ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

時代を感じる1冊、その2。 若竹七海【スクランブル】

2007-07-14 | 集英社
 
先日の『アルキメデスは手を汚さない』は1970年代の高校生。
こちらは1980年代の高校生です。
選んで読んだわけではなかったのですが(そもそも、この本をいつ買ったか思い出せない…)、読んだタイミングで、「時代」を感じる作品つづきとなりました。
『アルキメデスは手を汚さない』のほうでは社会的な時代を、こちらの作品では人生における時代を感じます。


スクランブル
 スクランブル

 著者:若竹 七海
 発行:集英社

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私立の女子高で死体が発見された。
被害者は見知らぬ、でも同じ17歳の女の子。
事件は未解決のまま、時効を迎える15年めに、当時の仲間達は結婚式で顔を合わせる。
32歳になった彼女達は、あの事件とともに、15年前、17歳だった頃を思い出す。
事件の真相は明らかになるのか、という物語。

主人公は女子高に通う本好きの女の子達6人。
スクランブル、ボイルド、サニーサイド・アップ、ココット、フライド、オムレットと題された章ごとに視点が変わり、彼女達それぞれの関係や、悩み、そして全編を通じて、殺人事件の進展が描かれていきます。
殺人事件の犯人自体は、ミステリを読み慣れている方ならば、さほどの苦労なくわかるのではないかと思います。
時効を迎えてしまうというのは、ちょっと警察をなめてる感じはしますけど。

自分が自分であるがゆえに悩み、それと同時に自分が自分であるために立ち向かう17歳の少女達。
彼女達を、殻を割って、外に出てからが勝負、すべてがこれからのたまごになぞらえてのタイトルは、もうそれだけで、書くのもテレる「青春」という感じ。
『アルキメデスは手を汚さない』もそうですが、タイトルがいい作品は読み終わってから、タイトル自体が余韻になりますね。

登場人物たちと同じ女子高育ちの私にとっては懐かしいような作品でした。
彼女達のように多感にすごしたわけではありませんが、やはり17歳の時期はあったわけですから。
私も、歳をとったなあとしみじみ思います。
この作品は、こんなふうに、懐かしがりながら読むのが良いのかもしれません。

そういえばそうだったなとおもったのが、缶入り飲料のプルトップ。
昔は、切り取るというか引き抜いていましたね。
彼女達が飲んでいたのがそれでした。





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