ゆっくりと世界が沈む水辺で

きしの字間漫遊記。読んでも読んでも、まだ読みたい。

深谷かほる【夜廻り猫 1 今宵もどこかで涙の匂い】

2016-08-01 | 角川書店
 
「エデンの東北」がきっかけで、るいちゃんにいただいた1冊。
泣くよと宣言付きで手渡してくれました。
まんまと泣き笑い。

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 夜廻り猫 1

 著者:深谷かほる
 発行:KADOKAWA/エンターブレイン
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「んっ 涙の匂い!」
泣く子はいねが、と夜廻りをする猫・遠藤平蔵は、誰に認められなくてもひっそりとがんばっている、弱くて強くてやさしい、普通の人たちの心に寄り添います。

1篇8コマの漫画。
手描き感たっぷりで、セリフの文字も手書きです。

「覚えておきます」
「赤の他人」
「夕飯いらない」
「今日の出来事」
「にっこり」
「うまい!うまい!」
「あかり」

こんなタイトルがついたある日、ある夜の小さな場面の連なりのなかには、誰しもひとつやふたつ、心の底からそれと似た気持ちを知っていると思えたり、思わず我が身を振り返ったりしてしまうものがあると思います。
平さんは強面の猫でしかなく、何ができるわけでもないわけですが、寄り添うだけでもいい時があるものなのですよね。
と、そんななかで「心で泣いて 顔で笑ってんならそれでいいだろ 懸命に笑っている奴を邪魔すんな な?」と、にっこり笑う男前がいたりして。
人の生きる立場は千差万別。
同情と共感を混同せずに、人を思うことの難しさを思います。
できているかどうかで自分に問うのはハードルが高いので、そうあろうとしているか、まずそこから始めたいと思います。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
きた〜〜〜! (るい)
2016-08-03 19:36:32
復活はきっと8月1日だろうな…と待っておりました。
しかも本当に平蔵で書いてくれて嬉しい。ありがとう。
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るいちゃん (きし)
2016-08-04 00:58:05
こちらこそ、どんぴしゃの本、ありがとう!
平蔵、いいよね。「にっこり」、マイブームです。
これから、ぼちぼちがんばります。
返信する

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