カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

幽霊その24・寂しい誕生日

2021-09-04 11:21:38 | あなたが出会った幽霊に託されたもの
たかあきは誕生日に、公園で、生きてる人間と変わらない犬の幽霊に出会い、コレを渡して下さいと号泣されました。

 アパートへの帰り道、いつも通りに近道の公園を横切っている途中に犬耳の生えた幼児に呼び止められ、案内されるままについて行くと、死んで間もない子犬の骸を見付けた。どうやら自分を人間と思っていたらしい骸から首輪を外し、書いてあった電話番号に連絡を入れると飼い主に号泣しながら感謝され、それが今日、他人から貰った僕の誕生日プレゼントとなった。
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骨董品に関する物語・フルール・ド・リスのブックカバー

2021-09-04 00:25:09 | 突発お題

 コレを使えば見えなくなると、友人は革製の立派なブックカバーをプレゼントしてくれた。言っている意味が良く分からなかったので詳しく尋ねると、このブックカバーを掛けた本は何故か他人の視線から外れるようになるのだと言う。私が家を出るまで一番大事な本を家族から守り切れたのは、そのお陰だ。
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骨董品に関する物語・花のトレイ

2021-09-04 00:23:09 | 突発お題

 金属製の花弁を一片、それから雄蕊を一本持ち寄って集まるように言われた僕たちは、いつもの部屋で土台を所持する曽祖父にそれを渡した。一年ぶりに六片の花弁を持つ花が開いた前で、お前たちの一人でも欠ければ花は咲かなくなり、一族も離散すると言うのが曽祖父の口癖だった。
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骨董品に関する物語・ジプシーテレサの占いカップ

2021-09-04 00:20:40 | 突発お題

 占いを生業とする彼女は、毎朝必ずカップに残ったお茶の葉でその日の運勢を読む。占い師は自分のことを占ってはいけないと聞いたことがあるので尋ねてみると、自分ではなく遠くに行ってしまったひとの事を占っているのだと笑った。そんな彼女の表情は何故か儚げで、だから僕は黙るしかない。

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