ロシア留学中・脱力進行中

モスクワ留学滞在記、スポーツ(特にテニス)のこと。他に趣味(漫画や音楽)等いろいろ・・・

未来への助走

2005-10-17 11:26:18 | テニス
最終日。男女シングルス、男女ダブルス決勝が行われる。
1時半試合開始。2時15分会場着。
寝坊しました・・・orz
さすがに観戦疲れか?全く目覚ましに反応できなかった。

第1試合、女子シングルスFINAL。メアリー・ピアースvsフランチェスカ・スキアボーネ
 Pierce (FRA) 6 6
Schiavone(ITA) 4 3

会場に付いた時点で、5-2でピアースが1stセットに王手をかけていた。
スキアボーネここから一つ意地でBバックも反撃及ばず。
2stセットもピアースは攻めの手を緩めない。
スキアボーネには特に目立ったミスがあった訳ではないが、
フォースド・エラーが多かったように思えた。
ラリーで強打にじわじわ押され、ラケットが弾かれる場面は目立った気がする。
驚いたのは2ndセット4-2でピアースのサービスの場面、30-15からセンターへフラットサーブ。
スキアボーネはラケットに触れただけ。次の瞬間ラインズマンの「アウト!」の声。
詰め寄るピアース。主審も「入ってなかった」と言う感じで首を振る。
(遠くから見てるだけだから詳細は分かりません)
主審に食い下がってもどうにもならないと見るや、ピアースは次にスキアボーネに話しかけた。
試合中、ポイントの真っ只中に、対戦相手と話し始めるのはかなり珍しい。
別にけんか腰ではなく、いくつかジェスチャーを交えた後、
なんとスキアボーネが今のポイントを認めたのだ!
これで40-15。ブレイクのチャンスが限りなく遠のくというのに!
そのまま反対側のリターン位置についても、ポイント掲示板は訳が分からないらしく動かない。
次のポイントが終わった際の主審のコールで、やっと正常になった。
結局、スキアボーネにはその後チャンスらしいチャンスは無く、敗れ去った。
03年の全米OP、3日間に及んだ杉山戦では勝利への執念ばかりが印象に残っていたのだが、
こんなフェアプレーも見せてくれるとは、一気にお気に入りの選手の1人となった。
派手ではないが、モレスモー戦、デメンティエワ戦で見せてくれたしつこいラリーは忘れません。

第2戦は本日のメインイベント。男子シングルスFINAL。
イーゴリ・アンドレーエフvsニコラス・キーファー。
Andreev(RUS) 5 7(7) 6
Kiefer (GER) 7 6(3) 2

すごい試合だった。会場の雰囲気もすごかった。
まずはお互い順調な滑り出しの1stセット。
第5ゲームで最初にアンドレーエフがブレイクして3-2と1つリード。
そのままチェンジコートでゲームを続けようとしたが、キーファーがネットの向こうで席に着くのを見て、休憩があることに気づいたらしい。自分も席に戻った。ブレイクで勢いに乗ってたからか、若さゆえか。とても微笑ましかった。
第8ゲーム(10だったかな?)キーファーが返し、1ブレイクずつで6-5。
これでタイブレークを期待したが、第12ゲーム、アンドレーエフのサービスで、
キーファーがアタックをかける。リターンからそのままネットを取りボレー。
ラリーでもキーファーが制し、アンドレーエフはサービスゲームと同時にセットを落とす。
2ndセット、1stを取った勢いそのままに、キーファーが連続ブレイク。
ゲームカウント4-0となった。
最後のポイントではネットに出た際に逆を突かれて倒れこみ、足か何かをひねったのか、
次のゲームの1ポイント終了後にインジャリータイムを取りドクターを呼んだ。
このまま終わるのか。モスクワのファンは悲鳴に近い歓声を上げて地元の勇者を後押しする。
「イーガ!イーガ!イーガ!(イーゴリの愛称形です)」
再開。ここで開き直れたのか、これまで以上の強打を集めてラリー戦で主導権を握るイーガ。
ひとつ返して4-1。次のゲームで2ndセット初めてのキープをすると、
第7ゲームではキーファーのサービスをラブゲームでブレイク。
第8ゲームも危なげなくキープし追いついた。
この中の3もしくは4ポイント目に、ラリーでベースラインの際どいジャッジがあり、
キーファーが猛クレーム。覆らず(当然だが)かなり怒り心頭の様子。
お互いその後をキープしてタイブレークにもつれ込んだが、
アンドレーエフが早めにミニブレイクアップすると、
幾つかの不利なジャッジで不満の溜まる相手に付け込み一挙にセット奪取。
こうなると勢いの違いは明らか。会場のファンは怒号で後押し。
3rdセットも第2ゲームでキーファーからブレイクを奪い、3-0。勝利にグッと近づく。
キーファーはサービスゲームではサーブ&ボレーを駆使、
ラリー戦でも時折ネットを伺うが、波に乗るアンドレーエフの鋭いパスが決まりだした。
4-2のアンドレーエフのサービスゲーム、30-30の場面が最後のチャンスだったが、
際どいジャッジがここでもあり、アンドレーエフのキープ。
最後は第8ゲーム、アンドレーエフがリターンエースとダウンザラインのパッシングウィナーなどで40-15とし、チャンピオンシップポイント2つ。
キーファーはサービスウィナーで1つ返すが、2つ目、センターに足を止めてのストレートのラリー戦で、キーファーのバックハンドが僅かにアウト。
歓喜のアンドレーエフは、そのままラケットを放り、うつ伏せにコートに横たわった。
観客の「イーガ!マラジェッツ!」の大合唱の中、ベンチに戻ってラケットを叩きつけるキーファーは少し後味が悪いものが残って残念だった。
内容的には、全体的にキーファーのが主導権を握っていたように思えた。
ただSFと同様、第3セットの重要な場面でアンドレーエフに、炎のようなフォアの逆クロスが幾つか見られ、ストロークの主導権をキーファーから奪い返した。
アンドレーエフは、ロングラリーはほとんど自らのミスでポイントを失っていたため、そこさえ我慢できるようになれば、と思う。トップ30、いやトップ20は近い。
表彰式でも、ロシア語でファンに挨拶をしとてもうれしそうなアンドレーエフ。
今日の逆転劇は本当にすごかった。
地元の利があるとはいえこれ程大きな大会で勝つことができ、自信も一層高まるだろう。
4月にバレンシア(クレー)で初タイトル、9月末にイタリア・パレルモ(クレー)で2個目。
そして続けてクレムリンカップで3個目、自身最も大きな栄冠を手に入れた。
現在22歳。今伸び盛りの選手だろう。ルックスもいいので、ロシアの2番手として期待します。


※ダブルスの2試合は後日に。観戦後記とまとめて書こうと思います。