ロシア留学中・脱力進行中

モスクワ留学滞在記、スポーツ(特にテニス)のこと。他に趣味(漫画や音楽)等いろいろ・・・

白銀の盤 Kap.Ⅰ

2005-12-16 23:16:52 | 体操・フィギュアスケートその他スポーツ
さすがに平日は特に書くことが無い。
毎週何処かに行っているわけでもないので・・・
なのでたまにはロシアと関係ない趣味の話でも書いていこうかと思い立った次第。
まぁ趣味も、漫画無数、映画多数、スポーツ複数あるので
何から書こうか迷うところだが。
とりあえず16日(金)の授業で先生が話していたフィギュアスケートについて書く。

この日は文法の授業。先生はリリアという厳しい人なのだが、
教え方がうまいし厳しい分手は抜けないので都合は良いかも。
そのリリアが授業中、A嬢が出したオリンピックの話に反応して、
フィギュアスケートを熱弁しだした。
なんと先生、昨年(一昨年?)モスクワで開かれた世界選手権を全日見に行ったという。
そんなフィギュア好きの先生は、トリノでロシアは4つの金メダルを取るわよ、
と鼻高々に言っていた。
俺のフィギュア熱が一番過熱していた時期は長野五輪前後から2~3年。
ソルトレークの後は全く見なくなってしまっていた。
現在では、それほど興味のあるスポーツではないが、
やはり授業で自分の知っていることが話題に上ると嬉しいもので。
色々なスケーターの名前を挙げて話に相槌打ってみたり。

その昔最も好きだったスケーターはフランスのフィリップ・キャンデロロ。
中学2年のときだろうか、NHK杯エキシビジョンのパフォーマンスを見て、
一気にファンになった。次の日クラスで話題にもなっていた。
鮮明に記憶しているのは97年の1月の「International Open Figure」。
そこで見たナポレオンは、アウステルリッツを指揮する英雄の姿。
軍旗を掲げて行進する兵士、望遠鏡を取り出し敵陣の配置を調べ作戦を寝る英雄、
元帥達を配列させいたずらっぽく一人ひとりを視察するナポレオン。
すべての動作が練りこまれ、強烈な印象を残してくれた。
世界史で大好きだった英雄は、まさしくこういった姿だったろうと思わせてくれた。
97年NHK杯ではエキシビジョンの登場して、
2ヵ月後の長野本番で演技予定の「ダルタニアン」を世界初披露。
ストレートラインステップ一つであそこまで観客を引き込むとは!
はっきり言って本戦に出ていたすべての選手よりも魅了してくれた。
無論、五輪本番ではそのときとは比べ物にならない完成度。
じっくりと練り直された動作は細かいものまで本当に音を丁寧に使い、
ダルタニアンの物語が手に取るようにわかるほど。
友人の音楽家が作ったオリジナルの曲も大変良い。
入りのトリプルアクセルを気合で成功させてからは、不安のジャンプも何とかこなす。
そして名物の、“サーベルを持っている”と見紛うストレートラインステップは、
完璧に相手と戦っていた。信じられないプログラムだった。
大学1年時、金が無いのに無理してBSアンテナとチューナー付きビデオを買って、
後悔などは全くしなかった。生で見れてよかった。

キャンデロロはこの五輪の後引退をしてしまった。2大会連続で銅メダル。
五輪で悲願の金メダルは取れなかった。
しかし彼のスケーティングはその後のスケート界に大きな足跡を残したと思う。
日本ではプロの大会を放映することが少なく、観戦に行ったこともないために、
その後キャンデロロのスケーティングは見たことが無い。
今どうしているのだろうか?

残念ながらこの記事は続く。次回はアイスダンス編。

革命

2005-12-09 16:13:50 | 音楽・コンサート・バレエ・オペラ
8日木曜、遂にこの日が来た。
ショスタコーヴィチの中でも最も好きな交響曲、
第5番を生で聴ける日がやってきた。
場所は地下鉄パヴェレツカヤ駅から徒歩10分弱、
モスクワ川沿いにある新しいホール「ドーム・ムーズィキ」
その名も「音楽の家」だ。

午後7時会場。建物がでかい。外から見るとガラス張りでとても近代的。
中もとても綺麗で、コンセルバトーリヤの歴史を感じさせる建物とは一味違う。
どちらが良いとかはないが、たまにはこういう所も良い。
というか良い箱で良い音楽を聴かせてくれればそれで良い。

プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番、ソリスト=アルカディイ・バローダシ
ショスタコーヴィチの交響曲第5番
指揮はウラディーミル・スピバコフ。ロシアナショナルフィルハーモニーオーケストラの演奏。

残念ながらプロコフィエフのピアノ協奏曲を知らない。
というか正直プロコフィエフの交響曲も他の曲もほとんど知らない。
知っているのはバレエ「ロミオとジュリエット」とアレクサンドル・ネフスキー位だ。
何ということだ!とお叱りを受けるかもしれないが、聴きたい気持ちは山ほどあったのだ。
ただ安い全集版が存在せずに、ナクソスの交響曲全集もブックレット版で、
しかも順番がバラバラで敬遠してしまっただけのこと。
ワーナーの没後50年全集はとても欲しかったが、その金を稼ぐためにと
ギャンブルに投資し何倍ものお金を失った。アホだ。
そんなこんなで予備知識全くなしの状況で2番を聴いたが、
ソリストの熱演もありものすごく、ものすごーく良かった。
ラフマニノフとは全く違う、現代的な激しい曲風で、展開がものすごい。
一度聴いたくらいでは説明できかねる。これはCD買うしかない。
そして初めて聴くタコ5(ショスタコ交響曲第5番をクラシッカーはこう呼ぶらしい)は、
やはりすごかった。CDの音とは迫力が違った。
何よりショスタコの音楽に特徴的な金管の響きが直接伝わってくる。
打楽器の衝撃もビシバシ体の芯を震わす。
特に第1楽章の中盤部、行進曲風に展開する場面は死ぬほど良かった。
体が勝手にリズム取ってる。隣のおばさんも同じで笑えた。
第4楽章は言わずもがな。何より、冒頭の抑制の効いたスピードと
激流の様に速く流れ落ちる展開部で一気に引き込まれる。
第3楽章で貯めたパワーをこれでもかと解き放っている様だ。
素晴らしい演奏だった。ブラボーの声があちこちから挙げられていた。

ところでこんな素晴らしい演奏だったのに幸か不幸か観客がとても少なかった。
結果すべて自由席になり、一番安い80ルーブルの席を買った俺は、
オーケストラの真正面、一番いい席で観聴きする事ができた。
2階~3階席は完全な空席。物好きな人は何人か上に残っていたが。
全体で半分ちょっとしか埋まっていなかったのでは?というくらい。
そしてこの少ない観客にもかかわらず、熱演してくれた楽団、ソリストに感謝。
観客の感動の拍手も鳴り止まず、ロシアではじめてのアンコールを見た。
恐ろしく安く、良いコンサートが聴けてよかった。また次も期待。

次回コンサート予定はコンセルバトーリヤ。
21日にラフマニノフのピアノ協奏曲第3番!さらに26日に同第2番!
年末に連続して素晴らしい曲が聴ける。
これはもう旅行に行ってる場合じゃない!?

カジノの戦い~大親征の終幕~

2005-12-03 16:01:20 | モスクワ留学記
時は今 雪が下しる 師走かな
全然関係ない句になってしまったが、12月になりました。
モスクワに来て早くも3ヶ月が過ぎようとしている。
月日は百代の過客にして 行きかふ年もまた旅人なり
知的に始まる本日の日記ですが、内容は前回と同じ。

12月2日(金)、学校から帰って昼寝して英気を養う。
7時過ぎ、戦の地「アリョーナク」へ到着。今日も戦友はT氏。
早速、スロット「俺達の台」でT氏が打つ。
回して5分も経たない内にいきなり当たりが来た。1,500ルーブル程払い戻し。
まさしく俺達の台=俺達の時代、つまり長州力!!?
とにかくT氏は順調に勝ち星を重ね、3,000ルーブルのプラスになる。
一方、別の台で戦機を伺う俺は、瞬く間に3,500ルーブルのマイナス。
だが打ち方を変えた途端に出てプラスマイナスゼロに戻す。
ここで一端夕食休憩。カジノロビーのレストランでピザを食べる。
これが2人には裏目だったか。ハングリー≠アングリーと言うことで、
ハングリー精神を大事にしなければいけなかった。
ハングリー → アングリー → ビクトリーと三段活用で考えたがそうはならず。
まず俺がとことんツキを失いマイナス12,000ルーブルへ。
その後T氏もマイナスへ転落。2人共に作戦の立て直しを迫られた。

台を変えて少しレートを上げてみる。数分後、来た・・・
一撃10,000ルーブルの快挙。2人の間では最高記録の払い戻し。
その暫らく後、またもや3,500ルーブルの払い戻し。一挙にマイナス分を埋めた。
更に再び金を呑まれてマイナスに突入するも、
「俺達の台」で7,500ルーブルの大戦果。これでプラス2~3,000ルーブルへ。
俺はこの後多少の変動はあったものの、結果2,000ルーブルの勝ちで落ち着いた。
T氏は、朝6時、マイナス10,000ルーブルを越えてグロッキー気味。
まさに先週の反対の結果に終わろうとしていたのだが、
ここで諦めないのがT氏のT氏たる所以だ(どんな所以だ)。
俺と同じ役(ハートの4カード)を引き、一撃7,000ルーブル。
マイナスを大きく緩和させることに成功。
この後多少の上下があり、結局T氏はマイナス5,000ルーブルほどで引き上げ。
「ほぉ,さすが名将は引き際を心得ておられる」

というわけで、今日は僅かな金額ではあるがカジノ初勝利を上げ、
寮の同室にささやかながらビールの1本を土産に買って帰った。
午前9時、雪の白さが目に沁みた