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映画批評&アニメ

◆ シネマ独断寸評 ◆

基本は脚本(お話)を重視しています。
お勧めできるか否かの気持を総合評価で示しています。

映画寸評「デュー・デート」

2011年02月10日 10時01分16秒 | 映画寸評

「デュー・デート~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~」2010年 米)

  監督 トッド・フィリップス

 

トラブルを招くロードムービーだが期待はずれ

 

「ハング・オーバー」の監督トッド・フィリップスが同じくザック・ガリフィアナキスを起用して制作した同様の喜劇ということで、大いに期待したが、残念ながら大したこと無い、そこそこの出来映えである。

アトランタで仕事を終えた建築家のピーター(ロバート・ダウニーJr)は、妻の出産に間に合うようロサンゼルスへ帰ろうとしているが、俳優志望のイーサン(ザック・ガリフィアナキス)と出会ったために、飛行機に搭乗拒否される羽目になり、財布も手元に無くなり、やむなくイーサンの車に同乗してロスへ向かうこととなる。常識人だがキレやすいピーターは、「旅は道連れ」と親しくなろうと話しかけるピーターの無神経で傍若無人な振舞いが、いちいち気に障り全くそりが合わない。そして、ピーターのせいで様々なトラブルに見舞われることとなり、被害はどんどん拡大して、その災難振りは観客にも伝わってくる。 

しかし、2人の掛け合いにあまり面白みは無く、トラブルにもひねりは無い。だから、アメリカ映画お定まりのようなカー・チェイスまで持ち出してくる。実際、自分も含めて観客が大きく笑ったのは、2人がピーターの友人宅に立ち寄った時、コーヒーと間違えてイーサンが持っていた彼の父親の遺灰を3人で飲んでしまうシーンくらいだろう。確かにザック・ガリフィアナキスはユニークな喜劇的個性を見せており、ロバート・ダウニーJrもうまく共演しているが、「ハング・オーバー」とは話のレベルが違いすぎる。期待はずれといわざるを得ない。また、前作よりさらに長い安手のテレビドラマのようなタイトルもあまりいただけない。

 

総合評価 ③ [ 評価基準:(⑥まれにみる大傑作)⑤傑作 ④かなり面白い ③十分観られる ②観ても良いがあまり面白くはない ①金返せ (0 論外。物投げろ)]


映画寸評「アンストッパブル」

2011年02月01日 09時57分02秒 | 映画寸評

「アンストッパブル」2010年 米)

  監督 トニー・スコット 



話はお粗末だが迫力ある暴走列車シーン

(以下、一部ネタばらし有り)


整備員の怠慢によるミスで暴走することになった無人の貨物列車を、どう止めるかをめぐるアクションを描いたもの。貨物列車は有毒物質を積んでいて、このまま行けば住宅地に入った地点の高架の急カーブで脱線して大惨事を招くことは必至。それ以前で人為的に脱線させることも含めて、様々な方法が検討される。そして、たまたま同車線に居た列車のベテラン機関士フランク(デンゼル・ワシントン)と新米車掌ウィル(クリス・パイン)がそれに挑戦することになる。


39両編成の貨物列車が時速110キロ以上で暴走するシーンはとにかく迫力いっぱいで、ぐいぐいひきつけられる。しかし見所はこのことに終始し、その過程で試みられる方法にたいしたひねりも無く、結局、最初に試みて失敗したやり方を、フランクの同僚のベテラン欄機関士が登場することでウィルが再度試みて成功することになる。それなら、どう考えてもこの方法が良いわけで、一度失敗したからといって途中でどうして誰も検討しなかったのだろうかと、思ってしまう。ヘリコプターで運転席に人を吊り下ろすやり方にしてもそうである。また、途中で語り合われるフランクとウィルの家庭の問題も大した深みも面白みも無い。監督の現場労働者応援の気持ちも伝わっては来るが、これも深みは無い。


途中からマスコミも大挙押し寄せ、フランクたちの行動は実況中継されることになり、それをテレビで見ている人々がフランクたちを応援することになる。それが映画を見ている観客にも伝わり感情移入させるという、うまい作りになっている。そして二人をヒーロー扱いする結末は、如何に実況中継の影響が大きいかを結果的に表している。チリ落盤事故の当事者たちに対する過剰な賞賛と同じ現象であろう。実況が始まる以前に、職務で挑戦して、死んだベテラン機関士のことなどみんな無関心なのである。


なお、アメリカのスピード表示はマイルで表されるのだが、字幕ではキロメーターに置き換えられている。字幕だけ見ている分にはそれで良いのだが、頻繁に映されるスピードメーターはマイル表示で、セリフも勿論そうである。アメリカ映画でよくあることなのだが、違和感があって仕方が無い。こんがらがって理解できていない人も居るのではなかろうか。いっそ1マイル=約1.6キロという説明を最初に大きく入れて、マイルで統一すべきであろう。笑止なのは、翻訳者が自分でこんがらがって、途中、暴走列車を追う自分たちの機関車の最高時速をウィルに尋ねられたフランクは確か「約8687キロ」と答えていたはずだ。

総合評価  [ 評価基準:(⑥まれにみる大傑作)⑤傑作 ④かなり面白い ③十分観られる ②観ても良いがあまり面白くはない ①金返せ (0論外。物投げろ)]