「ノーボーイズ、ノークライ」(2009年 日・韓国)
監督 キム・ヨンナム
お粗末極まる脚本で空回りの熱演
韓国から日本へ麻薬その他の物を密輸する裏組織のボス・ボギョンに使われている日韓のチンピラ・亨(妻夫木聡)とヒョング(ハ・ジョンウ)の友情と、それぞれの家族愛を描いているらしい。秀作「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」の脚本家・渡辺あや脚本とのことなので期待させられたが、どうしたらこんなにつまらないお話が作られるのか尋ねてみたくなるような駄作である。前2作もあるいは監督(犬童一心)の力量によるだけなのかもしれないと思えてくる
ボギョンが誘拐した韓国企業の重役の娘をヒョングが小船で日本に運び、ホギョンに届ける前に齟齬が生じ、結局、亨に巻き込まれ、金のために組織を裏切って、二人で娘を匿いやはり逃げ隠れしている重役(娘の父)を探すことになる。ここまでの発端は良しとしても、この後、亨の家族(ボケた祖母と、父親違いの3人の幼児を育てる妹)や亨の元の彼女などの描写が無意味にだらだらと続き、退屈させられる。さらに組織に見つかりそうになり、家族ごと車で移動しホテルに隠れたりするが、それまで同様、緊迫感の無いこと甚だしく、亨とヒョングが街中の広場で行われているカラオケ大会に飛び入り出場してデュエットで熱唱するというアホらしさ。さらに、ボギョンからヒョングの携帯に初めてかかってきた(なぜ今頃初めてなのか)らしい電話で、ヒョングが子供の時に彼を捨てて逃げた母親を捕まえているので殺す、と脅かされただけで、娘をボギョンのところへ連れて行こうとする。案の定母親を捕まえているというのはウソ。ヒョングと亨のやり取りが続き、結局、娘を連れずにヒョングのみボギョンのところへ出向いて、簡単に殺されてしまい?亨が泣き叫んでお終い。何のこっちゃ。
確かに主役二人の熱演は伝わってくるが、このお話では空回りと言うほか無いだろう。
総合評価 ① [評価基準(⑥まれにみる大傑作)⑤傑作 ④かなり面白い ③十分観られる ②観ても良いがあまり面白くはない ①金返せ (0 論外。物投げろ)]