Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

『金持ち父さん 貧乏父さん』

2010-11-04 | rayonnage...hondana
数年前に話題になっていながら、今頃読了。
きっかけは、8月末、神楽ファム主宰・ちかさん邸にお邪魔した際、「おもしろい」と伺ったこと。自宅に帰ってから、即・行きつけの図書館に予約しました。
ところが、その府立図書館で先に借りていた人が、2カ月も返却をしない。しかも無断で延滞してるんだという。
そんなんでは、きっとこの本を読んだところでお金持ちにはなれないであろう・・・。
と思いつつ、こちらも意地になって予約をかけ続けて、先日、別の図書館からようやく受け取りました。

と前置きが長くなりましたが、
そのぶんワクワク度は増しており、じっくり読んだのでした。

さて、本を読み始めてまずびっくりするのは、タイトルの「貧乏父さん」が、いわゆるホームレスみたいな『貧乏人』ではない、という点です。
なんと高給取りのサラリーマン、しかも専門教育を受けたエリートたちのことなのです。そしてそこが、この本で取り上げている問題の一つです。
ほんとに貧乏な(=給料の総額が低い)人は、恐らくこの本を読むスタートラインにも立てていない、という厳しさを、出だしから知ることになります。
そういうわけで、どんな優良企業の優秀な社員さんであっても、この本を読んでいて拒否反応が出る人が多いだろうことは想像に難くありません。
優秀であるほど、自分を否定された気になる人も多いはず。

逆に、読んでいて「ためになった!」という人は、中小企業の経営者、作家などの専門職に就いている人たち、株など投資を本気で始めてみたいなあ、という人たちではないかしら。

かといって、ギャンブルめいた内容でもありません。
選ぶ、という行為に、もっとオリジナリティと信念を持ちなさいということです。
誰かが良いと言った道を歩いていては、誰かに搾取され続けるよ、というお話なのです。
その「誰か」たちとは、決して表に出てこない知恵者たち。そう、ほんとに仕組みをコントロールしている人たちは、決して気配を現さないのよね。
そういう黒幕たちによって、長い歴史のうちに張り巡らされた、税金の巧みな構造について(アメリカの税制の話ですが、日本も同じような感じ)、その背後にある意図について、赤裸々な説明がなされています。
支出について考え直すのにも、いいヒントあり。


読了して、爽やか、というわけにはいかなかったですが、とても面白かったです。
わたしにしてみると、メンターが「資産」についてわたしにずっと言い続けてきたことのまとめが書かれているという印象でした。
今ぽつぽつと会計の知識を積み重ねているところですが、その大切さを再認識も出来、良かったです。方向が明確になるというのはいいものです。なぜかというと、そこにも実は落とし穴があり、会計知識に長じた人はたくさんいるけれど、自分自身の人生設計に活かせている人がほとんどいない、・・・というのも現実と、わたし程度であっても知っているからです。
この本の共著者である公認会計士のレクター女史も、「自分もそうだった。専門家でありながら、まったく会計知識を自分の生活に応用できていなかった」と冒頭で語っています。
なんのためにこれまで得てきた知識を使うのかを今までと違った目で見る大切さ、を教えてもらいました。

さて、「人生は金じゃない!」という人も多いし、たしかにお金を稼ぐためだけに仕事をするのじゃつまらないでしょう。
でも、そんな主張は、そもそもがズレている。
お金は血液みたいなもので、例えば体を巡る血が少なかったり澱んだりしていたら、健康を害するのと同じ。
生きていく上に必要なものなのだから、自分に必要な量を、ムダにすることなく、きれいに自分の暮らしに流すことが大切です。多すぎても少なすぎても良くない。
お金を汚いとか嫌いとか悪いとか考えている人は、才能があってもお金から見放され、やりたいこともできなくなるのを、わたしも見たことがあります。蔑んでいるものから自分自身も見放されるのは、当然です。
体と一緒、
煙草をすいすぎて肺がんになる、お酒を飲みすぎて消化器を壊す、食べすぎて肥満になる、
など、健康を害する暮らしをしている人が、当然のごとく病気になるように。

しかしこの本は、「健康雑誌が健康情報に過ぎている」「美容ノウハウ本が美容に過ぎている」のと同じような趣で「資本主義に過ぎている」という一面があるのは確かなので、
あんまり入り込みすぎずに距離を保って読んでみると、新しい考え方に出会えて、楽しいと思います。


amazon『金持ち父さん貧乏父さん』
コメント (2)    この記事についてブログを書く
« 靴の選び方 | トップ | 『海を呼びもどす』 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
なるほど♪ (ちか)
2010-11-05 11:24:06
みきさま

感想、大変興味深く読ませて頂きました。
みきさんはどちらかと言うと「アンチ金儲け」タイプなのかなぁと思いつつ、
でも「お金がないと生きていけませんでしょ!?」って感じもある方なので、
ご自身の中でのこの本の落とし込み方が上手だし、
とてもみきさんらしい回答かと♪

実は、私読めていません(笑)
あの後、やむにやまれぬ事情で大量の違う本を読まなければならず、
(それは、どちらかというと社会貢献本ばかり(笑))
そろそろ落ち着いたので再開できそうです。
みきさんの読了と私の再開。

バトンタッチみたいでいいですね^^

私も感想書きますね。
返信する
お薦めありがとうございました! (ちかさま(mi))
2010-11-06 09:20:47
ちかさんの最新記事「腹が立つ」に拍手をお贈りしたところ^^
いつも新しい面白い情報のご提供を、ありがとうございます。

この本は「いつかは読むんだろうな」と思っていたのですが、それでもなかなかその気にならないままきたので、きっかけを頂いてほんとに良かったです。自分にとっては、まさしく今が読み時、という感じでした。会計について2年くらい前からメンターに教育されているのですが(まだぜんぜん実ってないけれども~。)、この本は、まったく新しい情報として読むよりもそんなわたしが今確認すべきこと、として読みまして、それがタイミング的にもたいへん正解でした。
お金のテーマにとどまらず、たくさん頭の中でまとまらなかった知識の断片をまとめるヒントになりました。

お金に限らず、持ちものはなんでも、「自分が扱えるだけのものだけが手元に残る」、というところは、『ユダヤ人大富豪・・・』にも共通しますね。
ありのままの身の丈を知るために、またそれを伸ばすために、お金も真剣に扱い、向かい合うのは大事なことですね。
それは、根幹の部分で、すべてのテーマと大きくかけ離れたことではないように思います。

ちかさんのご感想楽しみにしています!

返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。