インドネシアと比べると、日本のバスの運転手は過酷な仕事をしていると、日本でバスに乗るたび思う。
インドネシアはワークシェアリングの国とでもいうのか、これだけの仕事にどうしてこんなにたくさんのスタッフがいるの?と思うことが多い。1つの仕事を何人かで分け合って、その分ぶらぶらしている。私にはそう見える。ゆとりのある仕事とでも言うんでしょうか。
バスもそう。長距離の場合は、車掌さんも2人乗っている。3人のこともあった。乗客だけを乗せる(貨物を載せてない)高速バスなら大して仕事もない感じ。交代要員だとすると、人件費を考えれば、交代する場所で次の人が乗り込めばいい話だと思うけど、初めからずっと2人いる。
日本の高速バスは、切符のチェック、客の荷物の積み下ろし、バスの中の案内アナウンス、休憩ごとの人数確認、すべて運転手が1人でやっている。路線バスなんか、料金箱ができたり今ではICで簡単に料金を回収できるようになってはいるものの、停留所が多いし、案内放送がものすごく丁寧なバスもあって、そういうときは「運転手さんそんなに熱心にしゃべらなくていいですよ、もう分かったから」と言ってあげたくなる。
インドネシア人が見たら驚くでしょうね。よくやるわ、といつも思うんだけど、とうとう事故が起こってしまった。長距離バスで運転手1人しかいないのはやっぱりまずいですよ。少なくとも乗務員はいるべき。だって、高速道路上のバスという密室で、いつ何が起こるか分からないのだもの。
インドネシアのバスでは、運転手は運転しかしませんよ。何にも言わないし、勝手にゴハン食べてるし。見習ったほうがいい?
2人の車掌さんはドアのところで一緒に並んでいたり、後ろで一緒に座っていたり、前と後ろに分かれていたり、時によって違うけど、いつも話をしていて、荷物の積み下ろしも一緒にして、なんだかとても楽しそうに見えるのだ。1台のバスに4人ぐらいのクルーが乗り込んで、休憩時間は運転手も車掌も話し相手がいる。
つまり、見逃してはならないのは、日本の高速バスの運転手の孤独さであると私は思う。日当が1万円というのは異常に安い。インドネシアでは分け合うわけだからもっと安いのかもしれないけど、職場に仲間がいるということは安心感、充実感、やりがいにもつながるだろう。
今回の事故の原因は居眠りだから孤独とは関係ないけれど、これをきっかけに日本のバスの非人間的な職場環境と精神的なストレスのことを考え直したほうがよい。
上の写真は、大きなバスターミナル(サービスエリア)の売店。長距離バスは目的地への途中でここに寄り休憩となる。ジュースを飲んだり簡単な食事をしたりできる。ジャワ島にて(2008年)
バスターミナルでの休憩時間、突然バスのお掃除が始まる。
違うバスに移動してください、と言われることも。スマトラ島-ジャワ島間のバス(2008年)
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