色即是空 ~ 行く川の流れは絶えずして ~ 3

北の大地での生活

All things in the universe

<18.Jun 2009 Thu>

2009-06-18 | 野生生物

山の林道にヒグマの糞が落ちていました。
消化しきれいていない繊維質のものは、今時期、ヒグマが好んで食べる山菜の蕗です。
シカの毛も少し混じっています。

ヒグマの糞から食性を研究していた院生がいましたが、
消化されていない糞の内容からそれをたくさん食べているとは結論づけられないと言って困っていました。
単に消化が悪いから糞に残るだけで、消化の良いものをたくさん食べていても
残らないから検証できないそうです。
だから、肉片などからも最もよく食べている食糧を検出するそうです。

とはいっても、1年を通してのヒグマの行動から、
季節ごとに、食べている食糧の推測はおおよそできています。
イヌと同じ食肉目ですが、雑食です。

春先の主食はやはりセリ科の山菜です。
今時期、一般開放している自然散策路などでヒグマの目撃情報があると、
フキがヒグマによって食べられていないか、ヒグマが座ることで円座になっていないかどうか確認をします。

夏はアリも好物で、アリの巣をほじくって食べた後が山で良く見られます。
クマのプーさんでわかるようにハチミツも大好きです。
スズメバチが黒いものを目がけて攻撃をするのは、天敵であるクマが黒いからです。
(HP「風の大地 旅の空」に、それぞれの食痕の写真を掲載しています。)

秋の冬眠前は栄養価の高い木の実や、川を遡上するサケ・マスなどの魚が主食です。

もちろんエゾシカも襲って食べます。
1度で食べきれない食糧を手に入れた時は、土に埋めて隠します。
ヒグマに襲われた人が土に埋められていたこともあります。
土に埋めたエゾシカの場所には何度も戻ってきて居付くため、人里近くの場合は処理します。
もし、森の中で、ヒグマの隠したエサ場にでくわしたら、速やかにその場所を離れないといけません。
食糧を横取りに来たと思われて、襲われる可能性があります。

おおよそ12月までには冬眠に入り、翌年の5月ころまでずっと巣穴で過ごします。
最近は3月でも目覚めるようになってきました。
メスは冬の間、巣穴で出産します。出産は2~3年に1度で、2頭前後の子を産み、
子どもは翌年か翌々年の秋まで母親とともに過します。
子どもを連れたメスグマは、子どもを守るため、人を襲うことがあるので危険です。

何年か前の知床で、温暖化で早い春の目覚めをしたヒグマが
立派なオスジカを仕留めたのを見たことがありますが、迫力もあり、
内臓をくわえて雪の斜面をあがり、途中で、雪の上に転がって遊びだしたのは
とっても、かわいくもあり、不思議な生き物です。

秋の山で、茂みの中からうなられたこともあります。
唸るということは威嚇されているので、静かに、何事もなかったかのように
その場から離れます。

この森もヒグマの生息地のため、糞が落ちていること事態は珍しくありません。
午後4時以降の薄暗くなる頃からはヒグマの時間です。
昼間は昼寝をしていることも多く、お気に入りの場所もあるようです。
コメント
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