先物取引について

昨日、話題に上げました先物取引について簡単ですが勉強をしたいと思います。
先物取引については、借金に関わる事件が発生したときに「先物取引で多額の借金を・・・」と報道されることがあり、耳にしたことはあると思います。
しかし、先物取引の内容について報道される事はないため内容が良く分からない人も多いのではないでしょうか。
今回、簡単にお勉強会を開催します。


【1 先物取引とは・・・】
価格の変動する商品について、未来の売買を約定（約束）し、本売買に関わる全量を売買することを約した契約。
現在の売買と未来の売買で取り扱われる量が同じであり、未来の売買を必ず行なうために現物がなくても紙面や電子データの間だけで取引される。
対義語として、現物取引・実物取引があります。


【2 本来の先物取引の概要・・・】
取引者が価格変動の影響を避けるための手段（リスクヘッジ）として利用されます。

○具体例-1

　＜前提条件＞
　・毎年小麦を10t必要な（購入する）業者Aがいる。
　・業者Aは小麦を市場価格にて購入している。
　・現在の小麦1t価格は3万円。
　・仕入れ価格が、1tあたり4万円になると赤字となる。
　・業者Aは先物取引で、来年分を10tを30万円で購入した。

　＜来年の小麦価格が1tあたり4万円になった場合＞
　・先物取引分10tを40万円で売却（10万円の利益）
　・本来必要な分の10tを40万円で購入（40万円の支出）
　上記をトータルすると30万円の支出（1tあたり3万円）となり、4万円ライン以内となる。←結果として、市場価格より安価で調達できた。

　＜来年の小麦価格が1tあたり2万円になった場合＞
　・先物取引分10tを20万円で売却。（10万円の損失）
　・本来必要な分の10tを20万円で購入（20万円の支出）
　上記をトータルすると30万円（1tあたり3万円）の支出となり、4万円ライン以内となる。←結果として、市場価格より割高な価格で調達された。

○具体例-2

　＜前提条件＞
　・毎年小麦を10t生産する（売却する）業者Bがいる。
　・業者Bは小麦を市場価格にて売却している。
　・現在の小麦1t価格は3万円。
　・仕入れ価格が、1tあたり2万円になると赤字となる。
　・業者Aは先物取引で、来年分を10tを30万円で売却した。

　＜来年の小麦価格が1tあたり4万円になった場合＞
　・先物取引分10tを40万円で購入（10万円の損失）
　・本来売却分の10tを40万円で売却（40万円の収入）
　上記をトータルすると30万円（1tあたり3万円）の収入となり、2万円ライン以上となる。←結果として、市場価格より安価で売却した。

　＜来年の小麦価格が1tあたり2万円になった場合＞
　・先物取引分10tを20万円で購入（10万円の利益）
　・本来売却分の10tを20万円で売却（20万円の収入）
　上記をトータルすると30万円（1tあたり3万円）の収入となり、2万円ライン以上となる。←結果として、市場価格より割高な価格で売却できた。

上記2例のように取引を必要をする人（業者）が先物取引を行なうことにより、市場価格の変動による影響を軽減するのが本来の目的です。


【3 投機目的の先物取引・・・】
前述の取引を必要とする人のリスクヘッジを目的とせず、以下の思惑に則って取引が行なわれます。

・将来の価格上昇を予想して商品を購入、価格上昇後売却し利益をあげる。
・将来の価格下落を予想して商品を売却、価格下落後買戻し利益をあげる。

リスクヘッジ目的と異なり、価格予想が外れた場合はその差額がそのまま損失となります。
これは、先物取引後の現物取引による補填ができないためです。


【4 投機を目的とした先物取引の問題点・・・】
本来必要でない人（業者）が、取引に関わることにより市場規模が大きくなり価格変動の幅も大きくなります。
また、リバレッジ（自己資本と借り入れた他人資本を合わせることにより運用資本を増大を図る）により、市場規模が更に大きくなります。
もし損失がでた場合、貸主への返済が不可能もしくは極めて困難になる事態が発生します。
よく報道である先物取引の事件は、元締めに出資したのに約束された返済がないというものですね。
巨額の資本が介入することにより、意図的な価格変動が可能（※）となり市場が混乱する要因の1つとなります。

※価格は市場の需要と供給のバランスで成り立っており、巨額の資本を背景にした購入（需要）があれば価格が上昇し、逆に売却されれば価格の下落を誘発できます。


【5 関連法規・・・】
商品取引所法


だいたいこんな所ですね。
他にも先物取引の特徴をして「証拠金取引」があるんですが、割愛します。
興味のある方は調べてみてくださいね。
先物取引の勧誘で「確実に価格が上がる」という謳い文句は確実に嘘なのでこのような主張をする人に出資するのは止めておいた法が無難です。
一応、法でも禁止されていますけどね。

こんな拙い説明でよかったのか甚だ疑問ですが、「世の中そううまい話はない」という事を肝に銘じてください。
私の理解している事を書いてみましたが、間違っている点があったらご指摘をお願いいたします。