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ぴあのぴあ~の うたのある生活

音楽、グリーグ、芸術、イタリア、北欧、旅…大好きなことを、ゆったり、気ままに書いています。

スウェーデン音楽の調べVol.4「北欧の調べ」

2007年07月15日 21時59分34秒 | ・コンサート感想
家を出る直前まで、台風で開演が心配されたが
神が味方してくれたのか、さあっと光が差してきて
無事に初台に着くことができた。

今日は、毎年開催されている、ステーンハンマル友の会のコンサートだった。
今日はニッケルハルパの鎌倉ご夫妻も出演されると聞き、
どんなコラボレーションになるのかと楽しみにしていた。

向野さんの美声は相変わらずで、楽譜を前にしてどうしてあんなに自然に歌えるのかと驚嘆のまなざし。しかも全部音が決まっている。それには、松尾さんの
息の合った伴奏が、音楽をしっかり支えて自然に盛り上げている。

アルヴェーン、ステーンハンマルの名曲を堪能した後、
鎌倉ご夫妻の演奏だ。
最初残響が楽器に慣れていない気がしたが、段々お客さんの身体も、会場の音も
ニッケルハルパの音に馴染んできて、静寂の中に郷愁を呼ぶ旋律が流れる。

途中、間違えてしまったところがあったようで、
なんと、素直にちょっとおどけた顔をなさって手を上げられた。
そして息を取り戻してあせらずニコニコしながら演奏に戻った。
それがとても誠実な気持ちに思えて、演奏が終わった後、会場では
大きな拍手が鳴った。その後も、段々うねりが大きくなり、曲が終わるたびに
喝采が鳴り響いて、気持ちがほっとする時間が過ぎ去った。

私はその時、以前所属していた合唱団の印象的なコンサートのことを思い出した。
一人団員が演奏中に貧血で倒れてしまった。私達にとって、大切な仲間の異変に
我々は躊躇なく演奏をやめ、そして静かに彼女を安静に出来る場所へと
連れて行った。
そして、また静かに列に戻り、再演した。
体調の優れない中駆けつけてくださった、大学の担当教授に
その我々のふるまいが、何故か心にともし火を与えたように心地よかったよと
後からメッセージを頂戴した。


第二部では、「麗しきヴェルムランド」のニッケルハルパの演奏を口火に
ステーンハンマルのピアノ協奏曲第二番が始まった。
魂の入った和田さんと松尾さんの演奏を聴きながらいろいろなことが走馬灯のようにかけめぐった。音楽を追求することって、やっぱり素晴らしいことだなと
改めて思って元気になった。

最後は、出演者全員の合奏だった。

この日は、知っている人も多くいたが、語学学校の行事で知り合った友人と
1年半ぶりに偶然再会することができ、その後いろいろな元気の出るお話を聞かせてもらった。いい音楽は良い縁も引き寄せるのだろう。

モスクワ国立アカデミー室内合唱団

2007年07月02日 23時16分09秒 | ・コンサート感想
今日は渋谷公会堂にて行われた「モスクワ国立アカデミー室内合唱団」の演奏会に
足を運んだ。

渋谷公会堂は、中学校の学内合唱コンクールで優勝したときに
ご褒美で舞台で演奏させてもらった思い出の場所。
けれども、そのときの様相とは一遍して、CC Lemonの文字と
ガラス張りの外装になっていたのには時代の流れを感じた。

まず最初に、オープニングセレモニーが開かれ
ロシア文化フェスティバルロシア組織委員
ロシア連邦文化映画庁長官
M・Eシュビトコイ氏よりご挨拶があった。

その後、ロシア文化フェスティバル日本組織委員会委員長
日露友好議員連盟会長である
衆議院議員の森善朗氏の代理として、福田元官房長官がご挨拶をした。

厳かなセレモニーの後、合唱団の演奏が始まった。
メンバーは40人程度だろうか。年齢層は35年の歴史があるだけあって
脂の乗ったベテラン集団という感じであった。
地響きがするほど荘厳なロシアの古謡「永遠の命を」が流れた。

あれ、この路線でずっといくのかしらと少々心配になったが
次の歌は、PPから始まって、何ともいえないダイナミズムの渦に巻かれた。

その後、「早口おしゃべりカササギ」など、ユーモアあふれる作品や
「<<響きあう鐘の音>>夕べの音楽」など、ア・カペラのハーモニーを
深々と聴かせる内容のものなど、驚嘆の技術が披露された。

鐘の音は、ロシア語でコロコルという。
今から15年ほど前だろうか。春先のまだ雪で真っ白なロシア郊外を歩きながら
鐘の音に耳を傾け、そこで友達になったイコン画家に、その単語を教えてもらった
記憶がよみがえる。

ソリストも素晴らしい。基本的に、この合唱団はメンバー全員が優秀なソリスト
として通用するソリスト合唱団である。オペラのアリアを奏でる奏者とはまた
異なり、Bassの土臭さ、Tenorの優しいPPの高音が、
この合唱団に気品を与えていた。

しばらくア・カペラの演奏が続いた。ア・カペラの演奏とは思えないほど
力強く、壮大なスケールの演奏であった。

スキャットも多かった。それはそれで素晴らしかった。

けれども個人的に好きだった演奏は、グルジア民謡の「スリコ」という作品と
ロシア民謡「鐘の音は単調に鳴る「洒落」」のソロを歌った
B.マルチャーノフ(Tenor)の演奏だ。
グルジアには、ソ連邦崩壊寸前の時期に訪れたことがある。
着いたと同時に、何か知れない音楽が自分の中に鳴ったようなインスピレーションのある場所で、太陽の光と、土色の建物の色が印象的であった。

日本古謡のうち、「浜辺の歌」と「ソーラン節」が演奏された。
最近、日本の歌として「浜辺の歌」を紹介するケースを多く散見する。
実際演奏してみると、改めていい曲だなと思う。
外国の方が母国の歌を歌うのを聞くのは、ほろりとくるところがある。

私も旅先や合唱団で、その国の民謡を披露することがよくある。
そうすると皆ハッピーな気分になる。そういう歌があることは
本当に素晴らしいことだな、幸せなことだなと、先達の声に感謝するのだ。

グリーグ没後100年記念演奏会Vol.2<<トロルハウゲンのグリーグ>>

2007年06月23日 23時48分08秒 | ・コンサート感想
合唱団の仲間から急遽お誘いを受けて、コンサートに行くこととなった。
今年は、グリーグにまつわるコンサートが沢山催されることは予想していたが
自分自身かつてそれほどまでコンサートには足を運ぶほうではなかったので
その中の2,3をと思っていた。
ところが、今のところ、皆勤賞に近いほど主要なコンサートには行くことになっている。
これも何かの宿命か。

このコンサートの表題の通り、今晩はグリーグの晩年20年を過ごした、ベルゲンの
トロルハウゲン時代の作品とその仲間たちの作品を取り上げるというものだった。

「抒情小曲集」はじめ、グリーグの作品の中では比較的ポピュラーなピアノ作品が演奏された。フルートとピアノの演奏に編曲したものもあった。
グリーグの周辺の仲間たちとしては、スヴェンセン、グレンダールの作品が取り上げられた。そこで、また「夏の歌」を再聴することができた。

夏至の夕べの長さを窓越しに楽しみながら、ノルウェーの優しい音楽に耳を傾けた。

最後のアンコールでは、3人のピアニストが1台のグランドピアノの前に
処狭しと1列に並び「春」を演奏しているのが印象的だった。

劇音楽<<ペール・ギュント>>(全曲)

2007年06月08日 23時13分59秒 | ・コンサート感想
今日は、藝大奏楽堂で行われたE.グリーグの
劇音楽<<ペール・ギュント>>(全曲)を観にいった。

こちらの公演は大盛況で、夜の公演は早い時期から満席、
昼の公演もほぼ満席だったと聞いている。
私は幸い、前々からこのコンサートのことを知っていたので
結構早くにチケットを入手し、夜の公演に比較的良い席で鑑賞することが
できた。

この演奏会、2000円ととても安いので、豪華なセットは全く期待をしていなかったのだが
会場に入って、オペラのような舞台セットに圧巻。

舞台照明、指揮者・演奏家・俳優はじめ豪華キャストで
特に歌の部分は、ノルウェー語で演奏される(日本語字幕つき)。
劇の台本は日本語で上演された。
全曲の演奏を、意味を噛み締めながら聞く機会はなかなかないので
とても楽しみにしていた。

最初の井上道義先生のタクトの一振りに一目ぼれ。
一気におとぎの国の世界へ誘い込まれる。

「ペール・ギュント」は毛利三彌先生の翻訳された名著を
日々ちびりちびりと読み進めていたが、
それを読んでいない人や、あらすじを分からない人にでも
わかりやすく、しかも観客をあきさせない展開で
全曲の重さを感じることなく、その世界に引き込まれた。

今回、語りをつとめられた井上芳雄さん、とても魅力的でわかりやすい
ナレーションをされていた。時に俳優となり、時に語り部となり
イプセンの戯曲の一貫した思想をうまく受け継いで、一本芯の通るものとしていた。

それに絡まるように、グリーグの音楽が展開される。
これまで聞いていた馴染みの曲の新たな局面を見た思いがした。
ノルウェー語の発音もとても美しく響き、沢山のキャストの方で
一同演奏していたにもかかわらず、一貫とした哲学、美学が流れていて
藝大の方々の曲の解釈の深さに改めて驚嘆させられた。

ソールヴェイの歌のため息の付くほどの美しさ…、
特に後半部のLokの部分をあんなに自然に優しさに満ちたたおやかな響きで
歌えるとは!
他のキャストも、日本語からノルウェー語にガラッと切り替えができていて
演技も歌唱力も見ごたえがあった。
ソロもさることながら、合唱も本当に美しくて、とろけるようなハーモニーだった。

2時間あっという間であったけれども、大舞台を見終わって
舞台も観客も一体になり、最後のカーテンコールは大いに盛り上がった。

2年前にオペラに出演したときのことを思い出した。
今宵の祝杯はさぞかし美味しいことだろう。

アガーテ・バッケル=グレンダール没後100年記念コンサート

2007年06月04日 23時39分03秒 | ・コンサート感想
今日のコンサートは、ノルウェーの女性作曲家
アガーテ・バッケル=グレンダールの記念コンサートだった。

グレンダールは、グリーグと丁度同じ時代を生きた女性。
彼女の訃報に接し
「もしミモザの花が歌うことができたなら、そこから流れ出る調べは
アガーテ・バッケル=グレンダールの最も愛すべき、
親愛なる音楽のようなものだろう」という言葉を送ったといわれている。

数年前、日本・ノルウェー音楽家協会の主催するオープニングコンサートにて、彼女の曲を数曲取り上げおり、今年もいくつか演奏会で取り上げられる模様。私の所属している合唱団
でも「夕べは静か(Aften er stille)作品3の1」を先生が編曲してくださり
勉強をしたことがあった。今年、彼女の演奏を体系的に紹介するコンサートが
彼女の命日に開催されると聞き、前から期待をしていた。

場所は、東京文化会館小ホール。以前より音の良いホールとして
その存在は知っており、大ホールでは学生時代自分自身も何度か歌ったことがある思い出の場所であるが
個人的に観客として足を運ぶのが初めてだった。

フラットな空間ではあるものの、人の頭が気にならない構造になっている。
また、天井が教会のように石造りで高く、余韻に浸るために時折上を向いて
それを楽しんだ。

そして、演奏は各界の第一線でご活躍中で、且つ主催の谷戸基岩さんが選りすぐりの演奏家によるものであった。

まずピアノ。個人的には最初に演奏された「民話組曲<<ブローフィエッレ山にて>>作品44」「幻想小曲集作品45-3 夏の歌」がとても気に入った。
グリーグが彼女の音楽に賞賛を与えたのもうなずけるノルウェーっぽくて且つ
ロマンティックな音楽が展開された。

そして後半の歌曲。ノルウェー語の対訳もプログラムに載っており
それを見ながら、気に入った曲があったらとチェックをし始めたが
どれも気に入ってしまった!
ノルウェー語を習った後、グリーグ以外にもこんなに素敵な歌が歌えると
思うと、思わずうれしくなった。
この演奏会を機に、演奏された本島さんはノルウェー語の特訓を受けたそうだ。
多少ご専門のドイツ語に近い響きかなと思う側面はあったものの
演奏の後、ノルウェー人が彼女にご挨拶にいかれていたり
この短期間によくものにされていらっしゃり、グレンダールの魅力を
日本に伝えるに充分足る功績を残されたのかと思った。

この演奏だけではもったいないと思ったが、11月22日にも津田ホールにて
グレンダールの歌曲を演奏する機会があるという。
ノルウェーの音楽が益々活発になり、皆で切磋琢磨して勉強して
グリーグやグレンダールを演奏する、といったら人が喜んで集まり
さらに、声楽の先生に持っていっても、難なく勉強課題として受け入れてもらえるようになったら最高なのにと思った。

グレンダールの楽譜は、グリーグの楽譜と同じように、日本ではまだ入手しにくい。経験のある方はおわかりかと思うが、原語版については、
日本の大型楽器店でも注文することもできないので、海外のサイトを当たったり、
直接現地で手配するしかない。
私も、今度のノルウェー旅行で、是非この楽譜は入手したいと思っている。

Tenores di Bitti "Mialinu Pira"

2007年06月01日 23時14分04秒 | ・コンサート感想
普段私は専ら演奏専門で、あまりコンサートには行かないほうだったが
今年は何か行きたいコンサートが目白押しで、不思議な気分だ。

今日は、イタリア文化会館で主催されている「地中海音楽の夕べ」というイベントのうち、サルディニア島の伝統的男性多声アンサンブルTenores di Bitti"Milalinu Pira"のライブを聴きに行った。

会場はイタリア文化会館アニェッリホールであった。370席ほぼ満席で、イタリア人の姿も多く散見され
イタリア語の挨拶を随所で耳にした。

演奏は45分くらいだったか、最初と最後に挨拶が入った上、開演開始も遅かったので、それを含むと1時間程度だった。
バッス(バス)、コントラ(コントラアルト)、メズ・オーケ(半声、メッザ・ヴォーチェ)、オーケ(声、ヴェーチェ)とパートの違った4人が丸い円陣を組んで歌いだす。歌の姿勢も面白い。大地の魂のリズムを太いベルトで受け止めて、まるで天に向かって神の声を聞いているように耳に手をあてて上向きに歌っていた。

自分が太陽が燦燦としている草原に立っているようで
風の音、草の音、そういった佇まいを感じる演奏だった。
倍音がビンビンうなって、まるでホーミーを聞いているようだった。

私たちが聞きなれた音楽と異なって、曲同士のバリエーションは少なかった
けれども、段々その原初の音に慣れていって、草原での昼寝から目が覚めるように
終わった。

古代の音楽は、温故知新ではないけれども、時に懐かしく、時に思わぬ新しさを
私たちに教えてくれる。グリーグの曲をやっていて、つとに自然の音にもっと
耳を傾けようと思うのであるが、彼らの音色は、まさに自然との対話であった。

その後、ワイン1杯のチケットが配られていたので、その列に並んだ。
会場の人数分のワイングラスがきちんと用意されていて
チラシによると、会期中日によって、配給されるワインの銘柄が異なるようだ。
今日の銘柄はKharisma Rosso IGT(CAPICHERA)だった。
赤と白を選べたが、私は赤を頂いた。

さらに奥のブースで、なにやら人だかりができていたので、寄ると
何と、パルミッジャーノ・レッジャーノの塊や、サラミ、パン、カナッペなど
酒のつまみがあるではないか!!
さすがイタリア文化会館。客の半数はイタリア人であることを見越して
太っ腹である。
私たちは、目の色を変えて、頬張った。日本人の女性のパワーには、イタリア人もたじたじであった。
チーズやサラミはもちろんイタリア産である。Buonissimoであった。

以前、ヴェネツィア一人旅をしたときに、Parmaで山積みで買った
パルミッジャーノとサラミの味を思い出した。
丁度帰国が会社の創立記念日で、そのパーティーのときに友達からもらったチリ産のヴィンテージワインとパルミッジャーノを提供したところ、社長が大層喜んでいたのを覚えている。

それだけではない、奥のカウンターで、さらにおかわりワインが頂けた。
私もその列に並んで、キンキンに冷えた白と、赤をもう1杯ずつ頂いた。

久しぶりにイタリアの雰囲気を満喫できたコンサートだった。
まだあと2回毎週金曜日の夜にあるみたいなので、
イタリア好き、ワイン好きには是非おすすめです!

2つのコンサート(赤城カフェ・サロンコンサート)

2007年05月27日 23時17分36秒 | ・コンサート感想
今週末は、2夜連続の北欧音楽をテーマにしたサロンコンサートに出かけた。

赤城カフェでのコンサートは初めてだったが、両日とも天気にも恵まれ、第一線でご活躍のアーティストの生演奏を直に感じる
絶好の機会であった。
期待通り、演奏も、雰囲気も最高の夢のようなライブが繰り広げられた。

開演は18:00から。5月の新緑から垣間見られる夕暮れを楽しみながら
音楽に興じる。休憩時間には、その日の気分のカクテルを楽しみながら
演奏家と会話を弾ませるもよし、聴衆の方と交流を深めるもよし。
そして第二部になると、日も暮れ、オレンジ色の電球で照らされた
レトロな空間でさらに盛り上がる。
終盤を迎えると、その時間とお別れするのが名残惜しくなり
思わず涙がこみあげてくる。

初日の「ニッケルハルパに癒される夕べ」では、スウェーデンの民俗楽器「ニッケルハルパ」の二人の日本人奏者とアコーディオンベースの演奏が楽しめた。会場は満員、気温が暑かったのもあるが、熱気がむんむん立ち込める中、皆食い入るようにその音色に浸った。
第一部の土本氏の演奏は、軽快ながらも力強い演奏であったが
第二部の鎌倉夫妻の演奏は、しっとりと聴かせる。
ニッケルハルパの表現の幅の広さを感じた。

第三部では、3人の合奏でしめくくられ、最後のアンコールでは、「麗しきヴェルムランド」の旋律に合わせて観衆が何か昔を懐かしむように歌を歌いだし、私も何故かほろりと郷愁の渦に飲まれた。

休憩中には、楽器を触りたい人や、勉強中の方々と交流が生まれ
第二部では、鎌倉和子さんの詳しい楽器の解説やエピソードなど貴重なお話も
伺えた。また、楽器も新しいタイプのものと、古いタイプのものを両方
聞くことができた。


2日目の「グリーグの唄に癒される夕べ」も素晴らしかった。

これまで、グリーグ歌曲の日本人による演奏を何度となく聴いたが
今夜のは別格であった。
彼女の人柄と研究の成果が染み出ている気品ある味わい深いうたが聴くことができた。
自分にとっては、どの曲も馴染み深い曲であったが
特にグリーグとニーナの間に生まれ、早くして空に逝ってしまった子供のために
捧げられたという「マルガレーテの子守歌」に心打たれた。
曲自体は知っていたが、そのようないわれがあったということは初めて知った。
彼女の”lille Håkon"に込められたダイレクトな気持ちがそのまま部屋の中を
包んだ。

私も今度この唄を歌ってみたいと思った。そして、これは夢かもしれないけれども
いつか彼女にも、グリーグの唄の中で、「この曲いい曲だな」と再評価いただけるような内容のコンサートが私も近い将来開けたらいいなあと思った。
ドイツ語やイタリア語の歌曲では、歌曲の会などで、こういった交流を持つことが
できるのであるが、グリーグの曲同士でも、こういった交流が生まれる日が
来るといいなあと。

ソロを歌った坂上氏も言っていたが、会場がまるで
グリーグのピアノに合わせてニーナ歌っているトロウハウゲンの
小さな家のような暖かい雰囲気に包まれていて
とても良かった。

2日間、とても長い夢を見ていたように感じた。

藝大プロジェクト’07 グリーグにおける古いもの・新しいもの

2007年05月12日 23時18分00秒 | ・コンサート感想
今年の藝大プロジェクトはグリーグとシベリウスを取り扱う。
今回のコンサートは
レクチャー&コンサートとしては最初の
同プロジェクト企画としては2回目のコンサートであった。

新しい奏楽堂に入るのは初めてだったが
大きなパイプオルガンに圧倒された。
壁も木で覆われ、暖かい音色のするホール。
但し、少々大きいので、2台ピアノや室内楽クラスの編成になると
本領を発揮する。
一番端の席は、天井が低くなっており、前のほうも
舞台が高くなっているので、それ以外のところで聞くのが良いと思う。

まずは大束先生のご自身の経験に基づかれたグリーグに関するレクチャー
1時間があっという間で、先生のお人柄とグリーグのよさが染み渡ってくるような
お話だった。

お話の最後に出てきた土本先生のハルダンゲルフィドルは
独特のリズムと音色で民族色を出しながらも、透明感のある、澄んだ空気を思わせた。グリーグの音の風景である。

その後のコンサートプログラムもとても充実していて
グリーグの偉大な功績を堪能できる贅沢なプログラムだった。

ヴァイオリン・ソナタ第3番は、グリュミオーの演奏で
以前より何度も聞いたことがあるが
生で聞く機会は初めてだったので、とても嬉しかった。

「山にとらわれし者」はバリトンソロのオケつき作品だったが
耳にするのは初めてだった。
きちんとノルウェー語で演奏されており、男性の日本人でのグリーグ演奏も
初めだったので、とても新鮮であった。

コンサート後半
「昔のノルウェーのロマンスと変奏曲」
これも初めて聞いた。
2台のピアノ連弾は、本当に迫力がある。
角野先生ご夫妻の息もぴったりだった。
PPPなどは、緊迫した繊細な響きが会場中を静寂へと導き
懐かしさ、緑の香り、光や自然の息吹を感じた。

最後は、藝大チェンバー・オーケストラの「2つの悲しい旋律」であった。
それまでの演奏も、本当に素晴らしい演奏だったのだが
この演奏も本当に心憎い演出があった。
ジェラール・プーレ先生自らヴァイオリンを手にして
タクト無しで指揮された。
このやり方は、相当の技術があり、しかもお互いの耳を駆使しないと
演奏は難しい。

けれども、それが功を奏して、感動的な演奏に仕上がった。

私にとって「心の痛み」「最後の春」2曲とも、合唱団やソロで歌ったことのある
随分前から何度もさらっているテーマであるが
オケの方の忠実な譜読みの解釈には、感銘を受けた。
歌を歌っていると、特に自分自身、「音を読む」ということがおろそかになりがちで、歌詞から読もうとしてしまうが、今回の演奏を聴いて
音楽の中に、グリーグが託したかったことがいろいろ見えてきた。

「最後の春」が流れたときに、北海道の春を思い出した。
祖母が他界する直前にお見舞いに行ったときの羊蹄山の雪解け。
北国の春は、自然の雄大さを足元から感じ、しかも清楚で、強い意思のような
もので漲っていて、感動的である。
その光景に囲まれて、心が躍らずにはおれない。

そう、ロシアのシベリア鉄道に乗ったときのことも思い出した。
2月の下旬のこと、
朝、途中の停車駅で雪上零下10度の寒さの中、
同じコンパートメントのロシア人が
ランニングシャツ一枚で日向ぼっこをしていた。
「寒くないの?」と聞いてみた。
「全然!もう春だ!」ときらきらと目を輝かせながら言っていた。

そういえば「悲しい旋律」、という作品名にしっくりこない自分がいた。
悲しいだなんて考えたら歌えない、うたじゃない !
歌には付いていない副題を何故オケ譜にはつけたのか。
けれども、グリーグが何故それでもあえて「悲しい」とつけたのかが
分かった気がした。

悲しい旋律、それは意を決して生きること !

この春の息吹に包まれたときにおこる摩擦の音

そんな思いをめぐらせながら、気がついたらどおっと涙がこぼれていた。

本当に名演奏だったと思う。
熱い拍手が沸きあがった。
アンコールにもう一度「最後の春」が演奏された。

「熱狂の日」音楽祭

2007年05月04日 22時40分38秒 | ・コンサート感想
今日は、東京国際フォーラムで開催されている、
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」へ足を運んだ。

今年は特に、国民学派がテーマだったので
願ってもない企画だと思い、前々から注目はしていた。
けれども、当初より混雑が予想され、
人気のコンサートの予約をするのも至難の業ではないかと思っていたので
4月まで忙しかった私は、なるべくこの話が耳に入らないようにしていた。

ところが、友人の有難い一押しで、何とか一枚ぎりぎりの日にちにゲット。
今年初めて、この音楽の祭典を体験することになった。

私が入手した1枚はこちら。

10:15~
・ニールセン:弦楽のための小組曲 作品1(デンマーク)
・シベリウス:ロマンス ハ長調 作品42(フィンランド)
・グリーグ:組曲「ホルベアの時代より」作品40(ノルウェー)

オーヴェルニュ室内管弦楽団(フランス)
アリー・ヴァン・ベーク(指揮・オランダ)

パーティション越しの楽屋裏からチューニングの音が聞こえる。
辺りを見回すと、フラットな客席の4分の1くらいが子供だ。
老若男女がこぞってクラシックに耳を傾ける。
その静けさから奏でられる音は、とても感動的で、クラシカルだった。
21人で編成される室内楽団なので、音がレア(生)な感じでいい。

これでお別れなのかなと、7階のガラス越しに名残惜しくなった。
途中で、CDを売っているブースがあった。
そこで、欲しいCDを探した。グリーグのもの、今回の企画で演奏される全曲
を網羅したものなども気になって手にしたりした。
けれども

「今日演奏する合唱団のCDありませんか?」

と訪ねてきた女性がいた。
それは私も一番欲しかったCD。そこにいた数人の客が一斉にそちらに目がいった。そして、たった2枚のCDは彼らの手元に流れた。
呆然とした私を店員が見て
「展示ブースに、ここの5倍くらいのCDショップがありますから」

少々プンプン背中で言いながら、内心ここにいられる口実ができて
嬉しい思いで、展示ブースへ向かった。

そこへ行くまでに、会場の地図と、催し物を案内したガイドを入手したかった。
どんなものを企画側で用意しているのかわからなかったので
怪しそうなものをいろいろなところから手当たりしだい集めて
まずは情報収集。

本当は45分でさっくりと帰り、大型CDショップで関連CDをあさり
その後本屋で仕事に関係する本をチェックする予定であった。

だから、いろいろなところで開催される魅力的なショーにも目もくれず
ここからさらに足を運ばなくてもすむ、手っ取り早いCD屋(展示ブース)へと
突進した。

ここには、国民学派のCDや、本企画で出演したアーティストのCDが沢山売っていた。先ほど手に入れられなかったアクサントゥス合唱団の北欧もののCDをまず
探した。私が手にして売り切れとなった。

ジャケットの裏を見ると、合唱団馴染みの曲がいくつか見つかり
とても嬉しかった。北欧の国でよく歌われている愛唱歌である。

少々疲れたので、展示ホールの開いていた客席に座っていた。

すると、千代田区立和泉小学校のブラスバンドの演奏が始まった。
途中、グリーグの「わが祖国」を金管4声のアレンジで演奏されたのが沁みた。
ボロディンの「だったん人の踊り」は、ストレンジャー・イン・パラダイスだ。
自身ブラスバンド部の時に演奏したことがあり、その頃のことを懐かしく思った。
皆で盛り上がって、楽しい演奏だった。

そこに、この音楽祭に誘ってくれた友人からメールが入った。
「2時まで待っていてくれる? 一緒に会おうよ!」

段々楽しくなってきたので、待つことにした。

地上広場にあがって、無料コンサートを聴くことにした。
キッズ・プログラムも興味があったが、既に整理券はなくなっていた。
席は既に埋まっていたので、なるべく見やすいところで立ち見することにした。
まもなくハンガリーの民族音楽が始まるという。
元々民族音楽は大好きだ。
ハンガリーの民族音楽は聴いたことがなかったので
何気ない興味でその輪に加わった。
演奏者は今回来日の目玉の一組であった「ムジカーシュ」だった。

何ともいえない擦れた音色が郷愁を誘う。
途中から舞台に上がった人が、Yシャツ1丁で突然フィドルを弾き出す。
まるで身体から音楽が発散されるようで、全てが揺れだす。
周りで、踊り始める人も出てきた。

突然早くなったり、遅くなったりするリズム
ブラームスのハンガリー舞曲第5番などにも出てくる。

そして、ゲストとしてマリア・ペトラーシュが民謡を独唱する。
ブルガリア民謡の歌い方にも似ているが、少しソフトな発声だ。
世界を包み込むような、けれどもどこか遠い記憶に語りかけるような
懐かしい響きに目をつむって耳を傾けた。

久しぶりにいい音楽の渦に飲まれた。
大喝采、そして皆笑顔でそこを去った。

足を棒のようにしていたら、友達が現れた。

音楽祭の感動、そして
久しぶりに尽きない話を交わしたが、
どこかで休憩しようと展示ホールへ行った。
しばらく席が空くのを待って、遅い昼食を取る。
美味しいパンと、白ワイン。ワイン片手に極上の音楽を木陰で聞く。
なんと至福のひととき…

しばらくおしゃべりに夢中になっていたら
周りは、青島広志のトークを聞く人でいっぱいになった。

そのまま、私たちは彼のお話に耳を傾け、楽しい時間を過ごした。

あっという間に時間が過ぎていった。

最後に、国際フォーラムの7階から空中廊下を散歩した。
大盛況の渦を高いところから見下ろすのは爽快だ。

新緑の隙間から沢山の人のくつろぐ姿が見えた。

薔薇よりも甘く

2007年02月18日 22時24分03秒 | ・コンサート感想
広瀬奈緒 ソプラノリサイタル
薔薇よりも甘く

突然だったが、昨日、友人より誘いがあり
このコンサートに足を運び、久しぶりの古楽の世界を堪能した。

最初の歌で、いきなり、自分が以前にソロを歌ったことのある
モンテヴェルディ「Quel sguardo sdegnosetto(あの軽蔑したまなざし)」
が演奏され、びっくりした。
そのころ私は、演奏会また演奏会と実践は多かったものの
ヴォイストレーニングは全く行っておらず、非常に乱暴な音楽のつくりをしていたので、赤ららな思いであったが、広瀬さんの演奏は、演奏始めの曲とは思えない
ほど素晴らしく、自分も機会を見つけて、さらいなおしをしなければと反省した。

第一部は、イタリア・ドイツものの作品、第二部はイギリスものの作品であったが
音楽的には第一部でも充分満足できるものだったが
第二部のほうが、彼女の全身からのメッセージがびんびん伝わってくる内容で
とても素晴らしい英国の言葉の響きが堪能できた。
それから、いろいろなしぐさの端々から、音楽に対する真摯な姿勢が伝わってきて
聴いていてとても清清しい思いがした。最初は楽譜を持ちながら、英国ものは
楽譜を取って、きちんと自分自身の音楽を表現されていた。

バックの伴奏陣にもしっかり支えられていた。
バロックヴァイオリン 桐山 建志、ヴィオラ・ダ・ガンバ 福沢 宏、
チェンバロ 大塚 直哉の演奏も目を見張るものがあった。
桐山さんのプロフィールを見たところ、天満敦子さんにも師事されていて
ここでもつながっていると何か偶然の縁のようなものを感じた。
4人がそれぞれ音楽を支え、そして引っ張り、自分は今大きな音楽の中にいると
感じた。

最後のアンコールでは、ダニーボーイが歌われた。
これも彼女の人柄を彷彿させて暖かい気持ちになった。

ホールを出てみると、波多野睦美、エマ・カークビーなどの古楽界の
巨匠が来ていてびっくりした。

この日の夜、NHK芸術劇場で英国の一大音楽イベントPROMSが放映されていたのも
印象的だった。