goo blog サービス終了のお知らせ 

ぴあのぴあ~の うたのある生活

音楽、グリーグ、芸術、イタリア、北欧、旅…大好きなことを、ゆったり、気ままに書いています。

Open ! architecture ~水上の音楽~

2008年05月17日 23時03分48秒 | ・コンサート感想
次へ向かったのが、常盤橋。日本橋川をゆく一艘の舟の上で
ケルトの代表楽器クラルサッハ & スコティッシュソングを聴きました。
元々申込者8名だけが楽しめる企画だったのですが、Jさんのお口添えと船が
予定よりも大きなものに変わったおかげで、奇跡的に乗船できました!

ライフジャケット着用だったので、かなりゆれるのかしらと心配でしたが
揺れはゆったり、大きさの割にはかなり静かな船でした。

約10名を乗せて、ゆっくりと日本橋川にかかる橋々を潜り抜けていきます。
頭すれすれのところに橋が来ていて、触ることもできました。
ちょっとした「青の洞窟」気分です。

時折吹く緩やかな風が心地よく、5月を堪能しました。

そして、仕事でよく通る日本橋や茅場町界隈も、いつもの威圧的ないでたちの
背中を見るように過ぎていきました。何か「人生の背中」を見たようで、
東京の違った一面を見たように思います。

亀島川の合流地点まで行って、本格的に歌と楽器の演奏が始まりました。
船の揺らぎと、繊細なハープの音、静かで情熱的な民謡が流れていきました。
時折風を感じて、何か夢見心地な気分でした。

復路では、建築家の先生のお話も聴くことができました。

思えばこの川の上には、ずっと首都高速が走っています。
この道路がなければ、川の上に空が開けて、もっと広い空が仰げるようになるという話もあるそうです。確かに、江戸時代に描かれた数々の江戸の風景で印象的なのは、空間の広さです。まず日本橋に来て、「日本橋はどこ?」と探すと、首都高速の下にあるので探しにくい思いをした記憶もあります。

これらを全て地下に埋めてしまうという話もあったそうですが、それは、必ずどの地点から道路を出すのかという話につながり、問題あり。また、3つの環状線の完成により、この川上を走っている道路は必要なくなるのではないかという話も聴きました。いずれにしても、建築を考えるということは、我々が後世に何を残し、何を活かすかということを考えることにつながります。加速度的に物が普及し、そして廃れていく昨今、いかに還れる素地を作るか、それが今の課題となっているのでしょうか。そのようなことを考える機会を頂いたことはとても有難いことだと思いました。

Open ! archtecture ~都市楽師~

2008年05月17日 22時26分50秒 | ・コンサート感想
ところが、その「地図」のようなチラシは、実は
Open ! architecture 建築の町・東京を開放するというプロジェクトのチラシだったのです!
しかも今日も開催しているではないですか!

まず、開放される建築物の一覧を見ました。全部で23あって、聖路加国際病院の礼拝堂など、滅多に入れない建物の名前が一堂に載っていました。ここは日本橋から少し離れているし、HPからの事前予約が必要と書いてあったので、この近辺のものに目をやりました。

そしてさらに見ていくと、「都市楽師プロジェクト」という表題が目に入りました。これも、殆どが事前予約必要でしたが、中には無料のコンサートもありました。しかも、楽師たちは、バグパイプはじめ、古楽器の第一人者!
トランペットは気がつかずに終わってしまいましたが、まだ都市楽師は聞けるかも。

都市楽師のコンサートまでには、まだ1時間ちょっとありましたが、その間近くの建築物を散策しようと外を出ました。すると、何と、音楽で大変お世話になっているJさんと入口でばったり!コンサートの時間までご一緒させていただき、ブリューゲル・パイプの音色を耳にすることができました。

太鼓と、バグパイプの音を聴いて、数年前来日した、国立西洋美術館でのル・ポエム・アルモニークのコンサートのことを思い出しました。バグパイプ特有の強いリードの音もしますが、どこか柔らかく温かみのある音がとても魅力的でした。そしてそれが3声で聴けるなんて!

そして、後ろ髪ひかれる思いで、次の場所へも急ぎました。

ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2008

2008年05月03日 23時03分00秒 | ・コンサート感想
今年も行ってまいりました!
ラ・フォル・ジュルネ音楽祭。

本当は、シューベルトの歌曲が聴きたかったのですが
こちらのチケットは早々完売してしまったので
ローザンヌ声楽アンサンブルを聴くことに。

シューベルト:ミサ曲 第6番
谷村由美子(S)、Jカアン(A)、C.アインホルン(T)、M.ロイサー(T)、C.イムラー(Bs)
ローザンヌ声楽アンサンブル
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ミシェル・コルボ(指揮)

会場はAホールだったのですが、ちょっと広すぎ。何てったって5,004席だもの。
しかもA席だったので、舞台は小箱のようでした。オーケストラがあんなにコンパクトに見える経験は初めて!演奏の是非はともかくラ・フォル・ジュルネ&この設備で2000円はちょっと、と思いました。
一生懸命聴いていましたが、クレド、サンクトゥスを歌っているあたりは
コックリいってました。

でも、演奏は素晴らしかった!と思います。
少ない人数ながら、クリアヴォイスが会場になり響いていました。

シューベルトのミサ曲は、過去に2曲演奏経験がありますが
この第6番は、聴くのも初めてでした。
若くして世を去ったのに、膨大な歌曲もさることながら、ミサ曲も沢山書いていたのだなと圧巻。

ただただ本当~に遠かったので、演奏は「ひとごと」でした。
次回聞くときは、少なくともS席にしなくては…!

でも、熱狂の日の楽しみのツボはここではない!

屋台やグラーベン広場に行ったところ、既に終わりのムードだったので
CDをあさっていました。すると、どこからともなく管楽器の良い音が。
そうです!トラウトナイトがまだありました!
しかも今日は、フランソワ=グザヴィエ・ロト率いる若手オーケストラレ・シエクルのワークショップ。普段は、弦楽器も加えたオーケストラですが、この企画では、管楽器のみ出演。
フルート2、ホルン1、バスーン(ファゴット)2、クラリネット2、オーボエ2という構成。第一楽章の途中から聴いていたので、扱った曲がわからなかったのですが、モーツアルトでしょうか?第2楽章はスケルツォ、第3楽章はコラール、第4楽章はフィナーレでした。アンサンブルもさることながら、楽器それぞれの魅力も思う存分楽しめました。

近いところで、演奏家もラフな格好で、ワイン片手に通りすがりにいい音楽。私の周りには、おそらく、レ・シエクルの他の楽器のメンバーでしょうか、沢山のフランス人らしき人々が一緒に聴いていました。
演奏家も、聴衆も一体になって音楽を楽しむ。10数年前、草津音楽アカデミーでシューベルトを歌った時のことを思い出しました。

帰りも、演奏家の方々と一緒に階段を上って行きました。

リサイタル拝聴

2008年02月11日 22時38分53秒 | ・コンサート感想
今日は大学時代のサークルの先輩の
ソプラノリサイタルに足を運びました。

私と同じように仕事をしつつ歌の研鑽を積まれている同志です。

イタリアの歌曲の間に日本の歌曲を入れた難しいプログラムを
先輩なりの意気のこもった旋律で歌い上げていました。

後半では、Alfano、Resphigii、Ghediniという近代のイタリア歌曲をとりあげ
私にとっては、とても新鮮なプログラムでした。
特に、Alfanoという作曲家の曲が好きでした。

イタリアの歌曲といっても、まだまだ出会っていない名曲が沢山あるのですね。
人の演奏会は本当に勉強になります。

日本の中のグリーグ

2008年01月27日 23時52分19秒 | ・コンサート感想
本日は、日本・ノルウェー音楽家協会第15回演奏会に足を運びました。

プログラムはこんな感じ。

グリーグ、再発見~日本の中のグリーグ

・「日本におけるグリーグ作品の受容」 講演 小林ひかり
・ピアノソナタ ホ短調 作品7
・ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード ト短調 作品24
・ノルウェー舞曲 作品25 連弾

小林さんの講演は、大変勉強になりました。特に
ハンカ・シェルデルプ・ペツォルトというノルウェー人教師が来日し
グリーグの音楽の普及に大きく貢献していたこと、
ドイツ人である彼女の旦那様と日本の比叡山に
眠っているということは大変興味深いお話でした。

その後続く、ピアノの演奏も素晴らしかった。
若手の方々だったのですが、大曲ではあるものの、フレーズが切れずにしかもグリーグ独特の和音の配分がとても美しく、生演奏を聞ける感動を堪能しました。

会場は小さいところでしたが、お客様も一杯で、音楽の熱が伝わりやすく
良いコンサートでした。

藤原道山

2008年01月17日 23時38分21秒 | ・コンサート感想
今日は会社の同期と銀座駅構内コンコースへ
藤原道山のコンサートを聴きにいきました。

藤原道山 Meets 横山大観 伝統+革新→新たなる伝説

昨年、彼の所属するユニット「古武道」のコンサートに誘われ
事前に何度もCDで予習までしていたのですが
そのとき仕事の都合がつかず、キャンセルせざるを得ませんでした。

ふと、地下鉄を歩いていて、このコンサートのチラシを見つけ、
すかさず同期の友人に連絡したところ、二人とも火が着いてしまいました。

最近は会社の鍵を閉めることの少なくない二人が
仕事は置いて駅へ急ぎました。
席は一杯でしたが、道山の顔がしっかり見える位置をキープ。

尺八の生演奏は始めて聞きました。
意外と尺八の大きさが小さいのに驚きました。

そして、昔、虚無僧がお経を唱える代わりにこの尺八を吹いていたというのを
初めて知りました。

祈りへの気持ちをこめて奏でられたアメイジング・グレイス
とても心にしみました。

歌であのようなフレーズを描くのはなかなか難しいのですが
音程も尺八ならではの自由さと繊細さが相まって
地下鉄の帰りの喧騒の中にしっとりと響き渡りました。

その後、「道」「空」「夜桜」「東風」など、結構盛りだくさんの曲を演奏して
下さりました。当初の予定では30分と聞いていましたが、賞味50分ほどの
コンサート。しかも無料!!

悔し涙もきれいに晴れました。
同期よ、誘ってくれてありがとう!

つかの間の癒しの時間を堪能し
私は会社に帰って、遅くまで残業をしました。

ヨルマ・ヒュンニネン バリトン・リサイタル

2007年11月12日 23時43分39秒 | ・コンサート感想
紀尾井ホールにて、合唱団の皆と一緒にヒュンニネンのコンサートに行った。

お仕事は決して帰れる状況ではなかったけれども、人目を忍んで脱出成功。
今年はグリーグの没後100年でもあるけれども、シベリウスの記念の年でもある。
シベリウスの歌曲を一度堪能したかった。

最初の舘野さん&谷口さんのトークにも、滑り込みセーフ。
今日は、お客様も歌い手さんやピアニストさん他、北欧関連の各界の大御所の
お顔を拝見することができた。

ヒュンニネンも、シベリウス歌曲も、実は初体験だった。
シベリウスの歌曲は、自分の持っているグリーグの歌曲集と同時収録されていることも多いのだが、とっつきづらくてあまり親身に聞いたことがなかった。

彼の最初の立ち姿で、巨匠の威厳を感じた。一本の大きな木がすっくと立っているようで、強烈なオーラ。百会からピーンと気が立ち込めているのがよく分かった。芸人は立ち姿というが、ああいう風にはなかなか立てないのである。

最初は、トイヴォ・クーラという作曲家の歌だ。フィンランド語の曲はいくつか歌ったことはあるが、それほど詳しいわけではない。けれども、すごくはっきりとその言葉が伝わってくる。あまりにもはっきりとしていて、その言葉の音に吸い込まれそうだ。

圧倒されるがままに、クーラは終わってしまったが、メリカントはドラマチックで結構聞きやすい。「私は生きている!」「なぜに私は歌う」は、ヒュンニネンの歌に対する思いまでも露呈されたようで、背中を奮い立たせられる思いだった。

「夕暮れに」という曲はおそらく、文頭も文末も韻を踏んでいる。Nu(今)と鳴る度に、夕暮れの赤さと郷愁が益々熱くなってくる。しかも言葉の音が音楽そのもので、ピアノと何ら遜色のない効果を発揮しているのだ。文法や意味など知らなくても、それだけで真実を伝えてくれる。

休憩を挟んで、いよいよシベリウスだ。

シベリウスの曲は、スウェーデン語の曲が殆どだということは、合唱団で習った気がしたが、今日舘野さんのトークや、大束先生のプログラムで改めて確認した。そして、作曲者が選んだ詩に曲がついたのだということを改めて思った。グリーグが曲をつけた詩は、自然をモチーフにしたものが実に多い。ヒュンニネンの今回の選曲が偶々そうだっただけなのかもしれないが、それに比べてシベリウスは、人間の情熱や、愛や憎しみ、苦悩、そういったものを表現しているものが多い。

一つ一つが個性的であるけれども、それをヒュンニネンが一つ一つ紐解いて教えてくれるようだった。この曲は、普通の人では歌えない、そう思った。「テオドーラ」は、まるでレチタティーボのように、淡々と情熱的な愛を語る。一つ一つがまるで小さなオペラだ。

最後の「逢引きから帰った乙女」これはすごい。何てドラマチックな曲。言葉尻は、女性の気持ちを歌った曲だが、男か女か、そんなのどうでもいいくらい艶やかだ。

歌い終わったとき、ヒュンニネンは少しピアノにもたれてうつむき加減だった。でも完全に演じきって、彼の足から会場全体に、気流が漲っていた。彼の首がふっと正気に戻り、もう終わりだよと、伝えてくれた。拍手喝采…。終わり方まですごい。

その後、3曲のアンコールに答えてくれた。
全部で27曲暗譜…。素晴らしい!!!

ライッコネンの伴奏も、本当に素晴らしかった。寸分もの狂いもなくヒュンニネンと息が合っている。まるで、宿敵のライバルが舞台で張り合っているかのような仕上がりであった。

最後に、サイン会もあり、CDを買えなかった人にもサインをしてくださるというので、パンフレットにしていただいた。
背筋がピンとしていて、素敵だ。眼光も鋭い。

家に帰ってから、一度も聞いたことのなかったフラグスタートの歌ったシベリウス歌曲をさらった。演奏はまた違うけれども、あのときの感動の余韻を楽しんだ。

ヒュンニネンの声は、後で思い出すと、またさらに印象的にじわじわ効いてくる。
巨匠の声かくあるべき…。

エドヴァルド・グリーグ- ときじくの作曲家 -

2007年10月14日 23時43分44秒 | ・コンサート感想
私たちは、練習のあと、こちらの講演会とコンサートを鑑賞した。

日本・ノルウェー音楽家協会
グリーグ没後100年記念演奏会
エドヴァルド・グリーグ - ときじくの作曲家

最初コンサートも一緒に聞く予定であったが、遠くから参加していたり、普段なかなかお会いする機会のない合唱団の友人らの見送りがあり、コンサートは断念してお先に失礼することにした。

ヴォルスネル教授の講義は、とても実のあるものだった。
小林ひかりさんの、見事な同時通訳と、わかりやすい資料のおかげで
沢山のエピソードを聞かせていただくことができた。

グリーグの音楽を語るときに、ノルウェーの自然そしてノルウェーの文化・民俗音楽というのがキーワードになる。グリーグがノルウェーの自然の中でどのような体験をし、そしてノルウェーの文化・民俗音楽にたいしてどのように思い、接してきたのか、ということをグリーグの残した手紙を通して考察していく、という内容であった。

時折、音楽やスライドをまじえながらお話は進んだ。

・スカーガストール山脈での思い出がインスピレーションとなった
 グリーグの<山の夕べ>作品68-2のオーボエ・ソロ、

・山友達ユリウス、フランツとのショット

・グリーグの晩年の写真

・イェンディーネ・スローリエンが歌う子守歌

・樫原聡子さんの、ハーディング・フェレの演奏

コンサートが聴けなくなったので、ここでハーディングフェレを少し聴くことが
できてよかった。


グリーグが書き残している通り、ノルウェーは自然からのインスピレーションが
多い場所だと思う。日本で見るそれとは異なる「山」の佇まい、憂鬱な雲の合間から時折明るい表情を見せる気まぐれな光の有様、夜のない季節と光のない季節の呼応、ものすごい高いところから、真下まで遮るものなく静々と、そして雄大に落ちていく滝、長い冬が明け忽然とやってくる春そして踊るような短い夏、そして山々を歩いていくときに出会う人々の家々、そしてその中で息づく音楽。

職業柄、そして生まれた時代、才能柄、渡航生活も少なくなかったであろう彼は、
自分の生まれ育った風土を愛し、そこから得たものを、また自分を通して表現する
その素朴で力強い仕事に拘ったロマンチストだったのだと思った。

そしてそれは、彼と出会った友人らとの交流の中から育まれた感性でもあったのだ
と思った。

今回の講義の中のエピソードで、さらにグリーグの人となりに近づけた気がした。

私は時折、グリーグの作品と向き合うときに、自分自身を鏡で写されているように思うことがある。自分は何を持っていて、どこに向かっていくのか、それを感じたいが故に歌っているのかもしれない。

ノルウェーが好きとか、グリーグが好き、というので歌っているのではなく
最終的には、自分もこういう体験をしたことがあって、それは何だったのか
ということを知りたいがために、接しているのかもしれない。

DET NORSKE SOLISTKOR

2007年09月08日 23時42分02秒 | ・コンサート感想
「これだけは必聴ですよ!完売の可能性が高いから早めに手配してくださいね。」合唱団の先生には強く薦められていたこのコンサート。けれども、時差ぼけ、仕事疲れ、夏の暑さ、趣味の手続き等々に流され、なかなかチケットの手配に行くことが出来なかった。今期グリーグイヤーで一番行きたかったコンサートに行けないなんてと駄目もとでチケットセンターへ向かった。すると、何とまだ残っているではないか!但し、2階席と3階席のバルコニーだけだったが、その中の一番よさそうな場所のチケットを買った。

会場は横浜みなとみらいホールだった。地下鉄みなとみらい駅から歩いて5分、3階までのバルコニーや舞台後方のP席があるアリーナ型で、席数は2,020席と多い。けれども、それほど大きなところとは思えないほど一体感のある作りだ。一階席を見る。グリーグに従事するそうそうたる方々が散見された。

私は2階席バルコニーの後ろのほうだった。S席だったけれども、舞台の端の方までは一望できなかった。2階3階は開演直前までは、当日券も販売されていたようで、まだ空きがあったが、後半の部になるとほぼ満席の状態だった。

オープニングはリゲティ「永遠の光」から。ここで一気にノルウェーの空気に吸い込まれる。ここまでは、まだ予想が出来た。

ところが、次の曲はグリーグの「4つの詩篇」の3曲目から始まった。グリーグが指示した全ての音を、寸分の狂いもなく正確に出してあげることの大切さ。それを身体に覚えさせ、快感を味わう。そのことを何度も繰り返すことで、それをこの海を越えたはるかかなたの日本の聴衆の前で再現することができ、聴衆の心も和らいでいく。こんなに良い曲だったのか。目から涙がこぼれた。次は、2番を演奏して、「4つの詩篇」は一度お預けとなる。

その間、グリーグの代表曲だけではなく、バッハやノルウェーの民謡を入れ、様々なフォーメーションで見るものもあきさせない。そしてどんなフォーメーションでも彼らの奏でる音楽は私たち聴衆、そしてホールも包括し一体となるのだ。最後のフォーメーションとして選ばれたのは、舞台を飛び出し、一階の聴衆席へ彼らがバラけるスタイルだ。そして、再び「4つの詩篇」が再現され、4番、1番と演奏されて、コンサートが一度締めくくられた。私たちの心の中には「4つの詩篇」の素晴らしさしか残らない。何てすごい演出だろう!!

私は幸い、4つの詩篇をコンサートで歌ったことがあった。この曲を歌ったことのある人間にとっては、このプログラム構成は第一声から驚きで、新たな発見が沢山あった。
3番の「イエス・キリストはよみがえり給えり」の何と現代的で甘美なハーモニー…。ソリストが交互にしかも、女性も交えてアレンジしてあるところも、ソリスト合唱団の醍醐味であろう。それが妙なる一体感を生む。

ハーモニーが閉じる一瞬の余韻を楽しんだ後、2000人の拍手が彼らをどっと襲った。2階からそれを聴いていると、谷間の中から、ものすごい勢いで、煙が巻いてきたようだった。

拍手に応えて、彼らはさらに2曲歌ってくれた。
最後の曲は「ヴァイセイフィヨルドの結婚行進曲」というノルウェー民謡だった。
結婚行進曲のリズムに合わせて、彼らはまた舞台から1階の聴衆の中を通って、会場の外へと出て終わりを告げた。

残された私たちはあきらめて終わるしかなかった。けれども、彼らがいなくなってもしばらくの間、大きな拍手が鳴り止まなかった。

名残惜しさを抱えて、階を降りていった。すると、彼らの取り巻きがひしめいていた。サイン会だ。私も何人かに話しかけた。またとないノルウェー語を使うチャンス!「ここにサイン下さい」とノルウェー語で話しかけると、英語で話しかける取り巻きを差し置いて反応してくれた。習い始めてから1年、こんな私でも、漸くカタコトをこの日本で伝える機会がめぐってきて嬉しい。「何年習っているの?」と聞かれたのを「いつノルウェーに行ったの?」と聞き間違えて「たったの1ヶ月(前)です。」と答えた。「そーんなに短い分けないじゃない。どのくらい?」ともう一度聞かれて、「約1年くらいです」と言えた。多分話しかけた人の殆どは、オスロ出身の人だと思うが、漸く彼らとノルウェー語でお話できるようになれるかもしれないという兆しが出てきた。

武満の「風の馬」、いくつかのノルウェー民謡以外は、全てコンサートでの演奏経験のある馴染みのある曲であったが、やっぱり帰路の頭の中は「4つの詩篇」のことでいっぱいであった。これだけの大曲をノルウェー語で歌える男性のソリストは数少ないので、演奏の機会を作るのは、非常に難しいものの、「この曲また歌いたい」と切に思った。

帰りがけに、港では大きな花火が数十発打ち上げられた。ノルウェーの皆もこれを見ていたらいいなあと思いながら、駅を発った。

白夜 ~北欧民俗音楽の夕べ~

2007年08月28日 23時49分43秒 | ・コンサート感想
先日ご紹介した「白夜 ~北欧民俗音楽の夕べ~」聴きに行きました!

会場となったボブテイルは井の頭線池ノ上駅を降り、踏切を渡ってすぐの小さなライブハウス。アンティークな空間熱い音楽を感じようとお客様がそぞろ集まってきました。

ハーリングダール地方のスプリンガルから幕があけました。
ハーディングフェレの音を、このような小さい空間で聞くのが初めてだったので、先日聞いた音より、少々丸い音に自分には聞こえましたが、トゥーラーデルという小型のボタンアコーディオンと合わせると、ハーディングフェレの繊細で熱い響きが伝わってきます。

シャネッテのハーディングフェレの演奏は、とても素晴らしかったのですが
祖国スウェーデンの地元Upplandのフィドルのレパートリーを聞くと、やはり血は争えないなというか、伝統に根付いたリズムが弓捌きの中に息づいているようで、特にこれらの曲は彼女がリードしてリズムを刻んでいると思いました。

ハーディングフェレの伝統的な技法を取り入れつつ、彼女の培ってきた独自のリズムが融合され、また新しい音楽が編み出されていっている様子を見た気がしました。

トゥーラーデルの音は初めて耳にしたのですが、形もコンパクトで可愛らしく
まるで、逆複式で声を出しているような、静かだけれども熱い響きでとても良かったです。アネッテの披露してくれたソロはフィドルの原曲からアレンジしたものが多かったのですが、その原曲は知らないものの、コアのリズムの部分が良く引き出されていて、ノルウェーの風土が見えてくるようでした。

濃い目でたっぷりグラスのジン・トニックを傾けながら芳醇な夜を楽しみました。