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ぴあのぴあ~の うたのある生活

音楽、グリーグ、芸術、イタリア、北欧、旅…大好きなことを、ゆったり、気ままに書いています。

午後の音楽会

2009年12月05日 16時54分40秒 | ・コンサート感想
今日は、歌の諸先輩方の音楽会にお招きに預かりました。

元々3名での声楽アンサンブル活動を行っていた面々が、30分ずつソロステージを持つ構成でした。

最初の方は、ハンガリー民謡から始まり、コダーイ、バルトークと続き、最後にエルガー、フィンジ、ブリテンで締めくくられました。ピアニストと一緒に2重唱を歌いながら入場。しばらくお二人の2重唱が続き、次に息の通ったピアノとソロ。途中パトリシア・プティボンのリサイタルを彷彿させるような、素敵な小道具を使った演技も入り、30分とは思えないほどの濃厚な時間が堪能できました。

2番目の方は、男性コンビでイタリア歌曲とドイツリート。前半はトスティ、ドナウディ、後半はコンゴルト、シュトラウス。彼らの繊細な感性と情熱がこれでもかというほど熟練された音の世界で充たしてくださりました。

3番目の方は、ブラームスの歌曲をじっくりと。ドイツ語の子音の美しさが心地よく、しっとりと秋らしい響きを聴かせて下さりました。

どの組み合わせも、ピアニストと歌い手の呼吸がぴったりで、互いのインスピレーションの駆け引きがとても面白かったのが印象的でした。

最後のアンコールまでミラクルでした。曲はデストラー。まず最初に3人の歌い手による3重唱、最後は、ピアニストも含めた6重唱が奏でられました。それぞれの個性も楽しめ、それが最後に、錦の織物のように絡み合っていく様は、何とも例えようのないほど贅沢な音の祭典でした。

諸先輩の演奏会は、いろいろな意味で勉強になります。自分のここが怒られていたんだなとか、このノウハウは使えそう、とか、自分ではこの部分こう表現できる、とか。この機会に得たインスピレーションを次の演奏に生かしたいと思います。

レオン・フライシャー ピアノリサイタル

2009年12月04日 23時39分12秒 | ・コンサート感想
NHK芸術劇場を見た。レオン・フライシャーという巨匠のピアノリサイタル。

彼のこれまでの人生は苦難に満ちている。

20代に天才ピアニストとして世界の桧舞台に立ったものの、30代半ばにジストニアという当初謎の病で、右手の自由を失ってしまったのだ。日々の生活では何も起こらないのに、ピアノを弾こうとすると、右手が言うことをきかない。それは、精神的病やストレスからくるものとも言い難いものだという。

発病後、已む無くピアノ演奏活動からは退いたものの、若手ピアニストの育成や、指揮活動で成果を挙げ、ピアノ以外の音楽活動での研鑽を積んでいた。

しかし、「私は35年間、ピアノの前に座らなかった日はない」この言葉を聴き、私は涙が止まらなくなった。

医学も進歩し、彼の手も徐々に回復し、今回は両手での演奏を披露して下さる。

「この曲は、観客にバッハの世界へ誘うためのものです」

半音階的幻想曲とフーガ 第一音が鳴る。肩の根がほろほろと崩れ落ちるように力が抜け、幻いや奇跡の世界からの音楽が降ってくるようだった。例え、彼の右手がうまくいかないときにも、音楽は全く動じず前を向いている。これが覚悟だなと思う。それこそが、魂の力。

右手の言うことがきかない時期のあったクララ・シューマンのためにブラームスが作り直したというシャコンヌも圧巻だった。

「音楽に完璧なものを求めていないか?」

若手ピアニストに対する、彼の問題提起は、彼自らの人生経験から滲み出た言葉である。完璧な演奏を求めるがゆえに、自らの身体までを痛めてしまう。

恐らく、音楽だけではないのだ。日本の教育現場では、何でも100点ありきで、そこからどれだけ出来なかったかということがはじき出される。そうでないと先生は先生の存在意義を奪われかねないからだろうか。使えない人間というのは、その尺度でもって決まると思っている人がいる。先日も、「あなたのキャリアアップに」と思って依頼した仕事に対して、やる前から「私には出来ません」と強硬に断ってきた部下に出くわした。

そうではない。どれだけやるべきかなんていうのは、誰にもわからないのだ。あるものでもって、前に進んでいき、そこで直面した物に対して、覚悟を持って答えを出し続けること。世界と関わろうとすること。そして目標を見続けること。それに尽きる。世の中の処世訓の基本である。目の前で繰り広げられる状況や、自分でさえも、刻一刻と変わっているのだから。それを捉えるトレーニングを繰り返すしかない。どんなときでも、何かはできる。けれども何でもはできないのだ。

自分もこのあたりから、眠気が差して、痛い肩をさすりながら、小豆タオルを片手に正座で寝てしまった。

ゴスペラーズ

2009年07月03日 23時25分36秒 | ・コンサート感想
今日は日本武道館へゴスペラーズのライブを聴きに行きました!

何年ぶりかで武道館へ行きました。確か、前回サイモン&ガーファンクルが来日した以来でしょうか。

混雑が予想されたので、会社を早く出て、30分ほど前に着きました。2階席からの眺めは壮大。私の馴染みのあるクラシックの音楽会とは大違い。まるでこれから、野球やサッカーの観戦をするよう。

開演が近づくにつれて、熱気がムンムンしてきました。のどのためでしょうか。会場はある程度湿気を帯びていました。ステージが始まる前から、既に感動してしまいました。こんなところで歌えたら、天にも上るほど嬉しいだろうなと。何故なら、来ている私達も、こんなに熱いテンションを与えられるのだから。やはり満員御礼って大事だなと思いました。

最初から、会場は総立ちでした。
私は、ゴスペラーズのことは殆ど知らず、彼らはア・カペラをベースにした、もっとしっとりした歌ばかりを歌う人たちかと思いましたが、ダンシングな曲が数曲続き、まずはたまげました。

ア・カペラの演奏は素晴らしかったです。1万人強の観客が、耳を凝らして、彼らの繊細なハーモニーを聴き入るのです。テレビやレコードで聴くより、ナマのほうが全然いいです。この人たちは、3時間ものフルマラソンでソロでも歌えるし、アンサンブルでも歌える。しかも、5人全員ウマイのです!歌だけではなく、踊りも、楽器も、MCも!

途中にあった、客席も巻き込んだロンゲスト・タイムのハモリの先導も見事でした。あれだけ多くの人に、歌う楽しさ、ハモる楽しさを身体全体で表現できるなんて素晴らしい。

これだけの人たちを一堂に感動させることができる仕事は、本当に偉大だと思いました。ゴスペラーズありがとう!誘ってくれた友達よ、ありがとう!!

尺八・ピアノ デュオ

2009年06月24日 23時48分00秒 | ・コンサート感想
今日は、尺八とピアノのデュオライブを聴きに行きました。

尺八 渡辺淳 & ピアノ 金益研二 DUO
恵比寿 アートカフェフレンズ 

金益さんのライブは先月からリスナーとしてデビューさせてもらいましたが
タンゴのリズムリーダーとして、顧客の鼓動をぐいぐいと引き込んでいく熱い演奏が魅力です。

尺八は、藤原道山の地下鉄ライブ以来2回目のライブ体験でしたが、ピアノととても相性が良く、タンゴから日本民謡、バッハまでいろいろなジャンルの音楽を堪能しました。

どの曲も素晴らしかったのですが、ピアソラのエスクワロ、リベルタンゴのデュオが熱かったです!

良い演奏は、自分の音楽だけでなく、仕事にも色々なインスピレーションをかきたてます。

ブラスバンド演奏会

2009年06月21日 20時48分03秒 | ・コンサート感想
高校時代のブラスバンド部の友人の演奏会に行ってまいりました。
久しぶりのブラスの音に圧倒されつつも、懐かしい音色に何か揺れ動かされるものがありました。
創立以来、23回目というこの演奏会。嬉しいときも、辛いときも、寂しいときも、明日を信じて奏で続けてきたからこその暖かい音がしました。

最近、会社では、小学校時代はNHKしかテレビを見ていなかったという噂が立っているよう。自分はそういうイメージなんだなあと、古い話題も、最近の流行も興味がないので、あえて訂正もしませんでしたが、ふと、それはそうと、私、その頃何に夢中だったのかと、思い起こしてもしばらく思い出せなかったのです。
ところが、今日第二部のアニメやピンクレディーのメドレーを聴いていて、そうだそうだと思い出しました。自分は昔も今も、歌に夢中だったなあと。

アイナル ステーン=ノックレベルグ ピアノリサイタル

2009年03月29日 21時34分42秒 | ・コンサート感想
今日は待ちに待ったアイナル先生のリサイタルの日。

曲目:

・グリーグ:ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード ト単調(作品24)
・リスト :ハンガリー狂詩曲S244
       第3番 変ロ長調、第15番 イ短調
・ベートーヴェン:ディアベッリのワルツによる33の変奏曲 ハ長調(作品120)

アンコール:
・グリーグ:「祈り」「初めての出会い」

実は、昨夏、ノルウェー旅行でベルゲンに行ったときに、偶然にもトロールハウゲンでアイナル先生のコンサートがあり、ヴェートーベンの「熱情」やグリーグの「スロッテル」全曲を聴く機会がありました。「スロッテル」全曲と「バラード」とグリーグの大事な曲を彼の演奏で聴けるのは、本当にラッキーです。

グリーグのバラードは、恐らく初めて耳にしたのですが、メリハリの良いリズムの中から、和音だけが、強く悲しく鳴く音が聞こえてくる演奏でした。
ベートーヴェンの曲も、恐らく初耳の曲で、その音の多様性に驚嘆しました。普通の人がベートーヴェンを演奏すると、田舎っぽくて、妙に皆似ていて新しくないのですが、彼らしい和声も出てくる中、止まることなく、常に変わり行く。万華鏡のようであり、マグマのようでもあり、果てしない可能性を感じました。

アンコール2曲のうち、最後の「初めての出会い」の第一声を聴き、ぽっと暖かい気持ちになりました。なぜなら、この曲は、元々は歌曲のメロディ。自分自身もコンサートで何度か歌ったことのある馴染み深い曲でした。ところが、曲が進むにつれ、激しいタッチの打鍵が続き、そのうちそれが、大きなノルウェーのフィヨルドの滝を連想させました。歌詞は、初めての出会いの甘さは、自然と自然が織り成す奇跡のようだと歌うのです。アイナル先生の演奏は、長い長い冬を打ち砕く春の清楚な訪れでした。決して甘すぎず、とことん厳しい中からふっと湧き出る恍惚とでもいうような歓び。気がついたら、涙がこみ上げてきました。

坂上賀奈子さんのリサイタル

2009年02月12日 22時53分57秒 | ・コンサート感想
今日は、坂上賀奈子さんの第3回博士リサイタル(学位審査会)
~エドヴァルド・グリーグ歌曲、北欧の蒼き調べ~
に行きました。

東京藝術大学の奏楽堂は、沢山のお客様で満たされました。

おそらく、グリーグの作品全ての曲を何度もさらい、その中から選りすぐりの曲をお選びになったのかと思います。声も驕ったところが少しもなくて、艶やかで、ノルウェーの2つの母語、デンマーク語、ドイツ語と言葉もとてもなめらかでした。プログラムの内容も素晴らしく、聴く人全てに対する細やかな気配りと、グリーグの音楽を志す真摯な思いが伝わってきました。

前半のプログラムの中では、ドラグマンの6つの詩作品49の2
Vug,o Vove(揺れよ、おお 波よ)がとても素晴らしかったです。

後半は、大曲<<山の娘>>。数年前にアンネ・ソフィー・フォン・オッターのコンサートで聴いて以来の生演奏でしたが、それに引けを取らないくらい良かったです!最後の曲を歌っていらっしゃるときに、会場全体が、彼女の演奏が終わってしまう名残惜しさで震えていました。私もその振動の中で、思わず涙がうるうるしてきました。

一ファンとして、これからも、もっともっとグリーグ歌い続けて欲しいです!

パトリシア・プティボン ソプラノリサイタル

2009年02月07日 00時37分46秒 | ・コンサート感想
NHKテレビ「芸術劇場」でフランスの歌手パトリシア・プティボンのソプラノリサイタルを鑑賞しました。昨年4月に王子ホールで開催されたコンサートの映像でした。

殆ど全て、私が初めて聴く曲ばかりでしたが、あっという間に彼女の世界に引き込まれていきました。彼女の目指すものは、声でもなく、歌でもなく、音楽を通してのコミュニケーションなんだなと思いました。

象徴的に使われる、楽器や小道具、そして演奏モチーフ。それら全ては、彼女の構成論理の中に精巧に少しずつずらされて組み込まれていて、それらと作曲家、ピアニスト、観客との神秘的なキャッチボールの中で、彼女は自由に遊ぶのです。

アンコールの「さくら」の演奏。小さな鉄琴でメロディーが奏でられる。静寂の中、その問題提起を我々日本人が受け止め、単純化されたメロディーラインから、様々な思いが吹き出てくる。私自身、こみ上げてくる涙をどうすることもできませんでした。

凄いコンサートでした。見習うところが沢山ありました。

竹内太郎 17,8世紀イギリスのギター音楽

2009年01月17日 20時29分01秒 | ・コンサート感想
年明け第一弾のコンサート拝聴!

竹内さんは、実は以前、ホームページ上の同じアパートの住人つながりで
名前だけは存じ上げていたのですが、今回ひょんな縁でコンサートの情報
しかも、20人前後のこぢんまりとしたライブがあると聞きつけ、
初めて足を運ばせて頂きました!

スパニッシュ風のバロックギターとイングリッシュギターの演奏に加え
チェンバロとのデュオ、バロックフルートの演奏も聴けて、繊細な音のオーケストレーションを堪能しました。

バロックギターのローズ、イングリッシュギターの調弦のカギがとてもアンティークで目に焼きついています。

バロックギターの音色は、最初わりとおとなしいんだなあと思いましたが
長い間聴いていても、全然飽きなくて、どんどん味が出てくるような音色でした。
それはひとえに竹内さんの演奏が素晴らしかったせいもあるのですが、シンプルな旋律なのに心地よいリズムに支えられて安心してその世界に入っていけました。ジャコーモ・メルキのフォリアの変奏曲は、情熱的でした。

演奏の後にはお茶とお菓子を頂きながら歓談の時間もあり、素敵なコンサートでした。

SVANG フィンランドのハーモニカ・カルテット

2008年09月22日 23時57分44秒 | ・コンサート感想
本日奇跡的に、日本橋三井タワー アトリウムコンサート
”スヴェング” フィンランドのハーモニカ・カルテットを聴きに行くことができました!

ハーモニカにこんなに色々な種類の楽器があることを初めて知りました。
4人の力みのない阿吽の呼吸で、バクバク音楽が始まります。
確かにハーモニカだけの音なのですが、まるで弦楽器の室内楽を聞いているように沢山の豊かな表現に出会いました。

2人だけのセッションも緊張感と軽快なテンポがあって興奮しましたが、私はプログラムにはなかった「愛する人を探して」がすごく染み入りました。フィンランドの伝統音楽だけでなく、アメリカ・ロシア・ルーマニアなどいろいろな国の様式が繰り広げられた後、最後に「ハウルの動く城」を聞けたとき、思わず心を持っていかれました。

帰りに買うことができたCD「ヤルゥータ ~気楽にいこうぜ!~」もコンサートの曲が沢山入っていて、いつまでもいつまでも余韻に浸ることができました。

Jさん、教えてくださってありがとうございま~す!