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災害弱者と情報弱者: 3・11後、何が見過ごされたのか

2012年09月14日 | リスク関連

災害弱者と情報弱者: 3・11後、何が見過ごされたのか 災害弱者と情報弱者: 3・11後、何が見過ごされたのか

 

 

 

情報弱者が災害弱者になりうる。
地域の情報力の差が、災害の被害の大きさとなんらか関係がある。
こういう分析の仕方もあるのかと参考になりました。

以下、抜粋■
○シャント・アイエンガー
 報道の切り口(フレーム)
 :エピソード的フレームとテーマ的フレーム の2つに分類

○社会的問題に際して、人々の心に訴えかけ、行動に移させる力は、エプソード的フレームの方が強い。

○リスクのグローバル化と危険の分配

○格差社会は、金銭の問題だけではなく、リスクに関してもいえる。富めるものほどリスクは小さくなり、貧しいものはリスクが小さくなる

○災害を契機として社会構造の脆弱が顕在化する

○社会的脆弱性が進行するプロセス
 (1)根源的な原因
 (2)ダイナミックな圧力
 (3)危険な生活状況

○社会的脆弱性の問題は、そのまま各種リソースや情報、ひいては権力構造へのアクセスの差につながる

○本書の「情報格差」とは・・・
 (1)個々人の情報入手/利用環境の状況に付随する情報環境の格差
 (2)取り上げられる/関心を持たれる情報・トピックをめぐる格差

○日本におけるインターネット利用率の傾向
 (1)高齢者になるほどネット利用率が落ちる
 (2)低所得世帯におけるインターネット利用率が低い
 (3)地域ネット利用率を見た際、首都圏や関西都市圏に比べて地方の利用率が低い

○「口コミ」は、本来あらゆるコミュニケーションを下支えする重要なメディア

○震災時は、メディアの部分的機能が失われていたことや分業化など、さまざまな制約により、被災地では総体として「情報の断片化」が起こっていた。

○地域コミュニティが存在していた場合には、口コミこそが最良かつ確実なメディアだった

○ソーシャルメディアは、人と人との直接的なコミュニケーションを媒介し、見ず知らずの人からの励ましなども届け、被災者に「私たちは孤立しているわけではない」というつながりの感覚をもたらした。

○時間経過と伴い情報ニーズも変化することと裏表であり、そのようなニーズ変化に対応した情報流通とコミュニケーションのシステムが必要である

○スロウィッキー「専門家を追いかけることは間違いで、しかも大きな犠牲を伴う間違いだ。
 一人の専門家の意見よりも、みんなの意見、すなわち「集合知」が優ると説くということは、ともに人々の多様性を評価し、多様性の恩恵として高い問題解決能力があると主張

○↑しかしながら、多様な情報のなかで集合地による価値のランク付けが行われ、自然と、「注目を集める情報」と「切り捨てられる情報」との格差が生じてくる。これは表面的な情報の多様性を低下させる

○情報を精査する先触れとなり、整理する専門機能としての「ジャーナリズム」の働きや「メディア」の構造が重要となる

○ヴォークスのCDIを多様度指数に引き寄せてみると
 ・情報コンテンツの種類のカズ
 ・各コンテンツ種に含まれる情報量
 ・全体の情報量

○「情報が多様である」ことの逆は「情報が共振し、画一的である」ことといえる

○ヤフートピックスは、ただ機械的に集められているのではなく、サイト編集者の「いま、人々が知っておくべきニュースとは何か」という観点で吟味した上で掲載

○新聞に比べるとウェブメディアのほうが、震災および原発事故を「忘れやすく」早く日常に戻ろうとする傾向が強かった

○メディアのなかで「私たちはいま、何を議論すべきか」というメタな視点に基づいた、ジャーナリズム的な情報の編集行為が一定程度介在したほうが、多様になり得る可能性がある

○情報のなかに、どっぷり浸かっているにもかかわらず、気づかずして「情報弱者」になる可能性がある

○新聞のみに接している場合よりも、新聞に加えてウェブにも接したほうが、多様な情報にアクセスできる」ことが明らか

○「適切な介入を行うこと」 情報空間においてはさまざまなレベルで「編集の介在」が求められる

○見過ごされ、見落とされていったものとは、震災にまつわる直接的・間接的な被害者を産みだす、社会の「構造」でもある

○メディアの議題設定(Agenda Setting) から 議題構築へ(Agenda Building)へ

○スロウィッキーが指摘している、集合知が最大限に発揮されるための必要な条件
 :集合知の生成に関与する構成員は、それぞれができるだけ独自に到達した多様な意見を持っている必要がある
 
○オルタナティブ・メディア
 (1)政治的、社会的、文化的に急進性を持ったコンテンツをもち
 (2)ボランティアによる作業や普及技術を活用した、ジャーナリズム営為と報道様式の非プロフェッショナル化した運営体制を持ち、
 (3)読者は書き手になることを奨励される
 (4)調査から報道までが水平型の組織構造をもっている

○エコーチャンバー:多様な意見に触れているようでその実は、自分の声が反響している空間にいること。

○情報を伝えていくことで情報格差を埋め合わせ、伝統的メディアからオルタナティブ・メディアさらにはソーシャルメディアにある「薄がりのおしゃべり」まで、さまざまなレベルの議論に連続性を持たせることが現代社会(の情報)を構成する私たちにとって責務となっている

○「ジャーナリズムの原則」
 (1)ジャーナリズムの第一の責務は真実である
 (2)ジャーナリズムの第一に市民に忠実であるべきである
 (3)ジャーナリズムの真髄は検証の規律である
 (4)ジャーナリズムに従事する者はその対象からの独立を維持しなければならない
 (5)ジャーナリズムは独立した権力監視役として機能すべきである
 (6)ジャーナリズムは大衆の批判および譲歩を討論する公開の場を提供しなければならない
 (7)ジャーナリズムは重大なことをおもしろく関連性のあるものとするよう努力しなければならない
 (8)ジャーナリズムはニュースの包括性および均衡を保たなくてはならない
 (9)ジャーナリズムに従事する者は自らの良心を実践することを許されるべきである

○↑に +2007年に追加 (10)市民もまた、ニュースに対する権利と責任を持つ
 :真実に対する権利と責任
 :市民に対する忠誠を期待する権利と責任
 :独立性に関する権利と責任
 :権力の監視に関する権利と責任
 :公開フォーラムに関する権利と責任
 :均衡と参画に関する権利と責任

○プラーのシンプルな6つのチェックリスト
 (1)私はいま、どんなコンテンツに接しているのだろうか
 (2)この情報は完全か?そうでないとしたら何が欠けているのだろうか?
 (3)誰、あるいは何が情報源で、私は、なぜそれを信じられるのだろうか?
 (4)どんな証拠が提示されており、それはどのように検証されているのだろうか?
 (5)どんな別の説明や解釈が可能だろうか?
 (6)私は、私が必要なものを学べているだろうか?

 

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