推理小説の愛好者(古い形容で、ミステリーファンなのを、敢えてこの表現使ってしまう)で、江戸川乱歩の名前を知らない人はいないでしょう。
時代の古さだけでなく、あまりにもおどろどろしい迫力に圧倒されて、草食化した今どきの人に受け入れ難いものはあるかも知れません。
ただ初期作品、例えば『心理試験』や『湖畔亭事件』、『ニ廃人』など知的ゲームの様で楽しいですよ。
今彼の作品のランク付けをすると、『初期短編集』や『黒蜥蜴』などよくドラマ化化されたものが人気を得てます。
しかし、乱歩愛好者や乱歩自身が選ぶbest1の作品はこの『孤島の鬼』なのです!
出だしは戦前丸の内のオフィス内で、臆病な青年と大人しそうな娘の社内恋愛のお話です。
めでたく二人が婚約してから、世にも不思議な物語が展開します。
愛しい娘は何者かに無残に殺されて、復讐の炎に燃えた青年は犯人探しを始めます。
奇々怪界な謎を秘めた南紀の孤島へ、青年と彼を熱愛する男性医師(!)が向かいます。そこは大判小判が眠る宝の山だったのですが。
当時で言う変態、不具者、検閲に引っかかりそうな人々が主役で跳梁跋扈する、大変な物語であります。
恥ずかしながら、私も『孤島の鬼』が一番好みです。これは長〜い間秘密でした。
この作品は1929年博文社の大衆雑誌『朝日』に連載されてます。
非常に刺激的かつアブノーマルなエピソードは出てくるものの、推理モノとして筋が通って因果関係が納得する形で解明されてます。
怪奇コミックを読む面白さと同時に知的興味も充分満たす作品です。
「なんと!趣味悪いの好きね」と軽蔑しないでね。無理か?
これは口直しの白ツツジであります。
オーソドックスな、昔ながらのゴロゴロカレーです。今となって、懐かしい味に回帰しました。