
不都合な事件 その3
姫路で鬱々としていた頃、亜希子は地元近くにあるS教会の支部で勧誘を受けた。 甘い言葉で...

不都合な事件 その4
亜希子は大都会の中で漸く立ち直れた。 人口が稠密である故に、人の噂もしつこくまとわりつ...

不都合な事件 その5
早春の午後、亜希子がその男と会ったのは、A市の公民館の集会室だった。 場所は男が指定し...

不都合な事件 その6
亜希子が気がついた時はこのマンションの一室にいた。 マンションと言っても、病院の個室...

不都合な事件 その7
このマンションの最上階の11階だけが特殊で、症状の軽い精神科の患者の解放病棟になってい...

不都合な事件 その8
眺めのいい料亭の一室だった。 広々とした日本庭園の遥か向こうに海が光って見える。 亜希...

不都合な事件 その9
大新聞社の記者として松村は幅広い付き合いがあった。 S教会に知人の秋嶋がいる。 隠然と...

不都合な事件 最終章
元信者の名は福岡晴といった。 行方不明ではなく、現在精神病院の保護室に入院している。 ...

1986年 新宿 その1
凍てつく空の雪が舞いそうな夜、兵頭菜美は赤いコートの衿を立てて歩いていた。 職場は新宿...

1986年 新宿 その2
どこかで聞き慣れた歌が聞こえる。 歌の快い響きは菜美を高層ビルの屋内ホールに導いた。 ...