濁流の果て その1
「あんたの声なんて聞きたくない!」 ピシャリと電話が切れた。 小谷野雄三は暫く呆然とし...
濁流の果て その5
それは11月も末の紅葉が散り始めた土曜日の午後だった。 当時は半ドンといって、会社も学校...
濁流の果て その6
それが雄三と妻由紀子との出会いだった。 彼は由紀子の後をこっそりと付け、彼女の住む家を...
濁流の果て その8
雄三は拘留されて、由紀子は林の中の一軒家で一人ぼっちになった。 季節は春、近くの丘の桜...
濁流の果て 最終章
それから40年後の6月の嵐の晩に、小谷野雄三は河に飛び込んで自死した。 遺書はカナに宛て...
松本清張 『砂の器』 続き
閑話休題、松本清張の数多い名作の中で私の一押しは『砂の器』である。 不自然さが全くな...
冤罪
松本清張のヒット作の一つに『霧の旗』がある。 してもいない罪に陥れられて無念の中で死ん...
東京オリンピック、1964。
1964年(昭和39年)の東京オリンピックは、半世紀以上経った今も私の記憶に生々しく残っている...
この道 その1
70年代初頭の新宿東口近くに、「この道」という喫茶店と「アカシア」という洋食店があった...
この道 その2
浩二は一人前を歩いていく。 後ろで見つめる由紀子を充分意識しながら、休むのに適当な店を...