はなとの出逢い

ハタチの頃、都会から周防大島に最果てに就職して来たあたしは、田舎暮らしに憧れていた

そして、犬を飼ってのんびり畑でもしたいと思っていた

しかし、捨て犬などの里親探しの情報を見るがなかなか縁がなく、話が成立しない

そんなある日、知り合ったマリーナのショップに行くと、オーナーが犬をたくさん飼っていた

何気なくオーナーに
「たくさん飼ってるんですね～一匹くださいよ～」
と聞いてみた
飼い犬をもらうなんて無理だろうと思いながら

すると
「あの子ならいいよ」
とびっくりする返事が返ってきた

「お客さん同士のラブをかけて、ここで生まれたんじゃけどの、引き取ってった常連客がある日、２,３日預かってくれって言ったんよの。常連客じゃけ引き受けたら何日たっても来んくなっての。家におるのはわかったんじゃけど、そんなヤツに返したらどうなるかわかるじゃないか。
だからここに居候させて、もらい手をずっと探しとったんよ。」

その犬はやつれた毛並みでかなり痩せ気味、でもうるさい位によく吠えて元気な犬だった
マリーナのメンバーに菓子パンやおにぎりなどのおこぼれをもらい
はな、はな と可愛がられていた

オーナーは
「絶対に最後まで責任もてるっていうならええぞ。コイツの生い立ちがそんなんじゃけ。
まぁよく考えぇ。」

運命のような気がした

そして翌週、うちへ連れて帰ることにした

全てわかっているかのように、大人しく車へ乗り込むその子を 生まれてからずっと呼ばれているであろう名前は変えずに迎え入れることにした

こうして、はなとの暮らしがスタートしたのだった