新・交差点のらくがき

AIOLOSSの管理人 ちぇきの“らくがき”程度の日記です。

突然の来訪者

2005年10月21日 | ちぇき事
それは都内のある公園内の自販機を点検し終えた時の事。
トラックに戻ろうとすると、車体下の隙間から向こう側に人の足が見える。しかもかなり近くにいて車体裏を覗き込むようにもしている。

   「もしや盗難?他社のスパイ?」

と思いながら、ゆっくりと反対側に廻り込みながら影の主に近付くと、年配の女性が車体裏を覗き込むように見ている。
落し物でもしたのかと思い、

   「どうかしましたか?」

と聞くと、

   「トラックの下に猫がいるのよ。」

トラックの下が暖かいらしく、近くで飼われている猫が近付いてくるのは知っていたので、しゃがみ込んでトラックの下を覗いてみる。
・・・・・だが猫はいない。

   「そこじゃなくて、この上よ。」

トラックの真下ではなく、荷台の裏の二つ並んだバッテリーの上に座っている。

   「ローリーちゃん、降りてらっしゃい。」
   「ローリーちゃん?」
   「このコ、トラックが好きで下にもぐり込んだり荷台に乗っかってるのよね。」
   「ローリー?なに??どーゆーこと???」
   「タンクローリーだから“ローリーちゃん”って言うみたいよ。」

よく分からないが納得してみる。
普段ならエンジンを掛けて猫を驚かして逃がすのだが、車体に近い所にいるのでシャフトへの巻き込みの危険と企業イメージアップの為にも

   「じゃぁ写真を一枚撮ってから捕まえます。」

と答え、写真を一枚撮ってから猫に手を伸ばす。
・・・・・が、届かない。
もぐり込んで手を伸ばすと、猫が抵抗していきた。

   「面倒くせぇなぁ・・・」

とつぶやき、体勢を直そうと後ろを振り返ると数人が携帯を片手に集まっていた。

   「・・・・・」

仕方なく、

   「猫はこの下にいますよぉ」

と教えると、あっと言う間に撮影会がはじまった。さらなる企業イメージアップの為に、貴重な時間を消費者に捧げた。
すると、携帯カメラのシャッターの音に驚いたのか、猫が反対側から飛び出して行った。
すかさずトラックに乗り込みエンジンを掛け、ミラーを見て一呼吸置いてからギアを入れた。