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アイヌ民族紹介/北海道に「個人史館」(朝日新聞)

2009-09-14 00:00:00 | 事件・差別問題・領土問題など
アイヌ民族紹介/北海道に「個人史館」
2009年09月14日


恵原るみ子さん=北海道庁

◇苦闘の姿「知って」


 北海道帯広市出身で川口市在住のアイヌ民族の女性らが、北海道の山(さん)麓(ろく)の森で、現代のアイヌの人たちの人生を紹介する「個人史館」づくりを進めている。5年後をめどに50人から聞き取りすることを目指し、民族の実態を収集していく構想だ。一帯はアイヌ語で「母なる森」を意味するハポネタイと名付けられ、初イベントとして19日から27日まで、都内在住の若手アイヌ民族による絵画展が開かれる。


◇十勝の森の中/まず若手画家絵画展


 個人史館を計画しているのは、川口市の恵原るみ子さん(57)と長女詩乃(うたえ)さん(32)ら。05年6月、北海道十勝支庁清水町中心部から約10キロの雑木林を見学。森の雰囲気、周囲を流れる渓流の音にひかれ、「自分の思いが実現できる」と気に入った。06年5月、約6万平方メートルを購入。ここに名付けたのと同じ名称の有志団体「ハポネタイ」のメンバー10人が準備を進めてきた。


 昨年10月、森に活動拠点となる住宅を建てた。最初の聞き取りは今年5月に始めた。1人目は初老のアイヌ民族の男性。ビデオを回しながら丸2日間、生い立ちから現在までの生活や苦労話、思い出を聞いた。今は2、3人目に取りかかっている。


 恵原さんは「一人ひとりに歴史がある。聞き取りしてこれを集めることで、単に本を読んだだけでは見えないアイヌの歴史が分かるはずではないか」と話す。


 きっかけは父母や祖父母への思いが根底にある。恵原さんは「アイヌ民族として生きづらかった生涯だったはずで、多分幸せではなかっただろう」と言う。民族を取り巻く暗い過去を明らかにするとともに、今を生きるアイヌ民族が誇りと自信をもって生きていけるようになれば、と思い立った。アイヌ民族の拠点になることも期待している。


 聞き取り作業は今後、道内のメンバーらにも協力してもらい、50人を目標に進めていく方針。ただ、アイヌ民族にはいまだに残る差別や偏見を恐れ、民族であることを隠している人もいる。そんな中で、「人生のすべてをさらけ出す」(恵原さん)ことになる聞き取りは容易ではない。


 19日からは、ハポネタイで初めてのイベントが始まる。アイヌ民族で都内在住の芳野省吾さん、小笠原小夜さんの絵画展「二人展」。詩乃さんが2人の作品を見て、持ちかけた。アイヌ文様やアイヌ民族にとってかかわりの深い動物がグラフィック画像で描かれた40作品が、ハポネタイのシラカバなどに飾られる予定だ。





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