ウィキペディアより
パイロクロアの結晶構造は立方晶系において一般に「パイロクロア構造」(Fd-3m) と呼ばれる。より一般的には A、Bを共に希土類元素又は遷移金属元素としたときに A2B2O6 および A2B2O7 と表される物質(例えば Y2Ti2O7)の構造のことを言う。
パイロクロア構造は単純な蛍石構造 (AO2 = A4O8) からなる超構造体で、陽イオン A と B が面方位 <110> に沿って並んだものである。また、隣接するBサイトの陽イオン間にある四面体状の隙間に陰イオンが入ることができる。
これは幾何学的フラストレーションを内在する格子系であり、特異な磁気効果を生み出している。
フルオライトはA4O8に対して
パイロクロアはA2B2O7で表される。
つまり、酸素が若干少なくて、金属原子が多い状態で安定して存在している。
SrBi2Ta2O9(SBT)薄膜では
Sr+2、Bi+3、Ta+5、O-2で
電荷のバランスから考えると、
SBTOは、マイナスが18、プラスが18で釣り合う。
SBTのパイロクロアになるときのTEMとEDX観察で
フルオライトが(SrBi2Ta2)O8なら、酸素が足りてない状態でマイナスが少ない。正孔が多い。
+2+3+3+5+5=+18と-16となる。
実際の実験でのフルオライトは
ストロンチウムが少な目なので、+1.4+3.9+3.9+5+5で+19.2
で大幅に酸素が少ない。
これを電荷のバランスで考えると、
ストロンチウムを多くしてビスマスを少なくしようとする力、
または、酸素を多く取り込もうとして周りの酸素を奪う力になると思う。
実際に、パイロクロアの分析からビスマスが減っていることを確認している。
ビスマスが減った後のパイロクロアを電荷バランスの視点で見ると、
(SrBiTa2)O7なら、ビスマスのプラスが減っているが、
+2+3+5+5=+15と-14で同じくマイナスが少なく、正孔が多い。
分析値と組成値を加味すると、
+1.4+3+5+5で+14.4でマイナスが若干少ないが、ほぼ拮抗してバランスが取れている。
パイロクロアは結晶化してさらにBLSFにはなりにくいと推測する。
フルオライトからパイロクロアでは、
酸素とビスマスの比は、0/Biが8/2=4.0から7/1=7.0へ増加している。
つまりビスマス一原子あたりの酸素が増加している。
押し出されて残ったビスマスは、酸素をあまり含まない金属に近い状態で、
粒子界面や粒子三重点に偏在する。
BLSFのSrBi2Ta2O9が強誘電体結晶だから
原子比 0/Biが9/2=4.5
ここで、SBTの結晶化はO2が希薄条件で早く低温で進む報告を考慮する。
つまり、周りに酸素が少ないとビスマスが押し出されやすくて
ビスマス原子が移動して結晶化が早く進む。
トランジション状態が酸素が少ない方ができやすいことと一致している。
私は、750度で生じたパイロクロアがBLSFとの界面のビスマスチッチ相を還元してトポロジカルになっていると信じている。
リーク電流を抑えるにはトポロジカルにしないように気をつける。
つまり結晶化が進みにくい条件で、例えばビスマス少なめ、高温高圧酸素ガス、でじっくり結晶化させることは、
リーク電流抑制に有効だろう。
なぜなら界面のビスマスの移動が起きにくくて均質なBLSFにすることができるから。
以上の、説明で矛盾なく焼成メカニズムを説明できていると思う。
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