映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、一人の家具職人が企てたヒトラ―暗殺に潜む謎を描いた「ヒトラー暗殺、13分の誤算」です。
ヒトラー暗殺計画は、有名なワルキューレ作戦など数多く存在しますが、今回の作品で取り上げられたのは、一人の家具職人による爆破暗殺事件。ミュンヘンの演説会で行われた暗殺事件は、ヒトラーが13分早く切り上げたことで未遂に終わり、一人の死者と多数の負傷者が犠牲に。
その計画を実行したのは、スイスの隣町に住む一介の家具職人、ゲオルク・エルザ―。彼は一貫して単独犯行を主張。ナチスは、イギリス諜報部や革命グループなどが関与を疑い執拗に尋問を繰り返すが、エルザ―は口を割ることなく、自らの信条を主張し続けます。
彼が犯行に至る恋人との生活と壮絶な尋問。過去と現在の異なる光景が交互に繰り返され、彼が歩んだ人生の背景にある自由の叫びは切々と感じられ、戦争への怒りがスクリーンに滲み出る迫力を感じました。
ドイツ政府が処刑後も、なぜ彼の行った事実を隠し続けたことは未だ不明ですが、もしヒトラーが早く退場せず、計画が成就していたなら、戦争の終結が早まり多くの犠牲者の命が救われたことでしょう。そこにある事実は、愛と自由を求めた男のシンプルな信条であったのだと思います。