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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

DVD・ヒトラー暗殺、13分の誤算

2016年05月14日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、一人の家具職人が企てたヒトラ―暗殺に潜む謎を描いた「ヒトラー暗殺、13分の誤算」です。

 

ヒトラー暗殺計画は、有名なワルキューレ作戦など数多く存在しますが、今回の作品で取り上げられたのは、一人の家具職人による爆破暗殺事件。ミュンヘンの演説会で行われた暗殺事件は、ヒトラーが13分早く切り上げたことで未遂に終わり、一人の死者と多数の負傷者が犠牲に。

その計画を実行したのは、スイスの隣町に住む一介の家具職人、ゲオルク・エルザ―。彼は一貫して単独犯行を主張。ナチスは、イギリス諜報部や革命グループなどが関与を疑い執拗に尋問を繰り返すが、エルザ―は口を割ることなく、自らの信条を主張し続けます。

彼が犯行に至る恋人との生活と壮絶な尋問。過去と現在の異なる光景が交互に繰り返され、彼が歩んだ人生の背景にある自由の叫びは切々と感じられ、戦争への怒りがスクリーンに滲み出る迫力を感じました。

ドイツ政府が処刑後も、なぜ彼の行った事実を隠し続けたことは未だ不明ですが、もしヒトラーが早く退場せず、計画が成就していたなら、戦争の終結が早まり多くの犠牲者の命が救われたことでしょう。そこにある事実は、愛と自由を求めた男のシンプルな信条であったのだと思います。


追悼・蜷川幸雄

2016年05月13日 | 【映画・ドラマ・演劇】

日本を代表する演出家の蜷川幸雄氏が逝去されました。

蜷川さんの舞台を直に見る機会がなかった僕が言うのも奥がましいですが、ドラマや映画、テレビなどでの演劇を観る限りにおいては、演出家として稀有の存在で、未来にもこのような人は現れないと思います。

演出においての熱情は、ドキュメンタリーなどの拝見すると役者に対しては演出においては厳しく、人間として接するときは、性別、年齢の差別なく、愛情を持って接する姿に、多くの役者が彼を慕うわけがよく表れていました。

また、若手の発掘には定評があり、僕が最も印象的だったのは、身毒丸で藤原竜也を見出し、二宮和也と松浦あや主演の映画「青の炎」が印象深く、その後にジャニーズメンバーを起用するなど、ジャニーズ出身者との交流と才能を導き出した人でした。

僕の携わるアートの分野においても、娘の写真家・蜷川実花さんの才能も、分野は違えど蜷川さんのDNAを引き継いでいるように感じます。

突然の訃報に際して、ニュースでその功績が伝えられていますが、今後は、蜷川作品をテレビやDVDなどを通じてメディアで多く取り上げて、作品に触れる機会を作っていただきたいなと思います。


映画・アイアムアヒーロー

2016年05月11日 | 【映画・ドラマ・演劇】

人気コミックの原作、大泉洋主演のゾンビパニック映画「アイアムアヒーロー」を観賞

 

原作は、花沢健吾。ボーイズ・オン・ザ・ランでも映画化され、ダメ男がヒーロ化する作品が印象的でした。主演は、今や映画界にでも確かな存在感を放ちつつある大泉洋。ゾンビと闘う女戦士に長澤まさみ、ゾンビになれない半ゾンビ役には、有村架純が出演。監督は図書館戦争の佐藤信介でコミックファンにも好感触の原作の世界観をリアルに再現してます。

主人公の売れない漫画家・鈴木英雄が、貧乏漫画家生活から一転、日本中を襲った感染パニックにより、唯一の特技であるライフルを使って、ゾンビ集団を一掃するという内容です。

二つのサバイバルシーンは、浜松と韓国で撮影。エキストラの数に加え、壮絶なパニックシーンの連続は、日本映画では類を見ないスケールで、一人で観るのは危険のふれこみ通りの出来栄えでした。また、R15指定の作品は、グロさにおいてはかなりのハード。お笑い芸人に若手俳優、個性豊かなバイプレイヤーが、ゾンビとなって襲い掛かるシーンの連続に息を吞みました。

今やゾンビ映画は世界的にひとつのジャンルを確立しましたが、今回の作品は、日本映画が放った史上最高のゾンビ映画であることは間違ないと思います。


映画・ハロルドが笑う その日まで

2016年05月10日 | 【映画・ドラマ・演劇】

ノルウエーのアカデミー賞2冠に輝いたコメディータッチのヒューマンドラマ「ハロルドが笑う その日まで」を観賞。

 

今回の作品を映画館で観たいと思ったのは、その物語にあります。本作の内容は、町の家具店を営む老夫婦の店の隣に、あの、日本でも人気のIKEAが進出。主人公のハロルドは、店を失い最愛の妻を亡くしたことで自殺を図るも少女に助けられ、自暴自棄となってIKEAの創業者を誘拐。三人の珍道中が繰り広げられるといううものです。

ハロルドを演じるビョルン・スンクエストは、ノルウエーを代表する名優で、今回の作品でもノルウエーのアカデミー賞と言われるアマンダ賞で主演男優賞に輝いています。職人気質で、頑固ながら妻を愛する男を演じ、その眼差しが印象的な俳優でした。シングルマザーの娘で、ハロルドと行動を共にしながら心を通わす少女役のファンニ・ケッテルも、少ないセリフの中で存在感を出し、IKEA創業者役のビョルン・グラナートは、事業の成功の陰で悪い噂の絶えない男の孤独と虚栄心をコミカルに演じていて、三人が交わす会話に笑いの絶えないシーンの連続でした。

IKEAの創業者に向けられる非難中傷の愚痴を聞き、ハロルドとは違う経営者の考え方に戸惑いながらも、少女の出会いにより、生きる勇気を再び取り戻す様をコミカルに描きながら、北欧の厳しい自然の中で、ハロルドと少女のあたたかな心に触れて、優しい気持ちになる作品でした。

 

 


幸兵衛窯歴代展・爲三郎記念館

2016年05月09日 | 【美術鑑賞・イベント】

先日の愛知県立芸術大学模写展と同時開催されている「幸兵衛窯歴代展」鑑賞所感を。

美濃焼の名窯、幸兵衛窯は、文化元年(1804年)に多治見市、市之倉に窯を開き古くは江戸城本丸と西御丸に染付食器を収める御用窯として歴史と格式高い日本に名だたる窯元です。

今回の展覧会は、主に五代、六代、七代の作品を中心に、次の時代を担う八代の作品が、数寄屋造りの爲三郎記念館に並んでいます。

五代の作品は、美濃焼の父と呼ばれ、岐阜県重要無形文化財に認定、染付や青磁などの作品や抹茶椀の中でもその美しさが光る天目茶碗などが並ぶ、古式ゆかしい作品が並んでいます。

六代加藤卓男は、人間国宝に認定された名陶で、特に幻の陶器と言われたラスター彩の復元に成功し、国際的な評価を得た日本を代表する陶芸家でした。また唐代に栄華を誇った三彩においても、高い技術と豊かな表現が魅力的です。

現窯主、七代幸兵衛は、父卓男の後継者としてラスター彩の技術と受け継ぎ、美濃並びに日本の陶芸界の担い手として活躍されています。本展でも卓男仕込みのラスター作品が並び、父子の作品の違いを目にすることができます。

八代、加藤亮太郎は、美濃焼の伝統に新風を吹き込む気鋭の陶芸家として注目を浴びています。その豊かな表現は、現代陶芸の魅力を十二分に表現されています。

歴代の名品が、一堂に介する機会は少なく、数寄屋造りの空間と日本庭園と言う普段とは異なる空間で楽しむことができる貴重な展覧会となっています。

陶芸ファンなら必見の展覧会。ぜひ足を運んでみてください。


愛知県立芸術大学模写展・古川美術館

2016年05月08日 | 【美術鑑賞・イベント】

GWに古川美術館を訪れました。当館は、名古屋池下にあり、覚王山と共に名古屋でも落ち着きのある地域にあります。

今回は、愛知県立芸術大学模写展が開催されています。愛知県立大学は、中部地方で唯一の公立の芸術大学で、故・片岡球子女史の指導の元で、国宝の文化財模写を行っています。

模写は、世界共通の技術習得の制作活動ですが、日本では、美術館での模写は認められず一部の芸術家しか模写制作ができない環境にあります。

その中で、愛知県立芸術大学の日本画専攻の学生たちにより、法隆寺金堂、高松塚古墳壁画、釈迦金棺出現図などを手掛けてます。

今回は、東寺所蔵の「両界曼荼羅図」や奈良国立博物館の「釈迦金棺出現図」などを模写制作の過程などを示しながら、模写制作の緻密な技術をうかがうことが出来る展示となっています。

2階では、模写制作に携わった卒業生の作品に加え、片岡球子氏や教官の力作の合わせて展示されています。

 模写制作は、技術習得に加えて、文化財の現存保護に大きく貢献しています。そうした意味でも歴史遺産を正確に伝える大切な事業だちお言うことを、この展示から感じ取ってください。


DVD・コードネーム U.N.C.L.E.

2016年05月07日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。ソ連とアメリカのスパイコンビが活躍するアクション「コードネーム U.N.C.L.E.」です。

スパイ映画と言えば、トムクルーズのミッションインポッシブルをイメージする人も多いと思います。ミッションインポッシブルは、1967年に日本でも放映されたテレビドラマのリメイクなのはご存知の方も多いと、今回の作品コードネームアンクルも、同時期に日本でも放映されたテレビドラマ「0011ナポレオンソロ」のリメイクです。

僕もこの二つのドラマ、日本でも再放送が繰り返されたこともあって子供ながらに記憶にとどめていました。年をとりその記憶は薄らぎましたが、リメイク作品に心動かされるのも、幼き頃の奥深くの記憶によるものかと思います。

今回の作品は、ナポレオンソロのアメリカCIAとイリア・クリアキンのソ連KGBの二人にスパイが、世界を巻き込んだテロを食い止めるためにコンビを組み活躍すると言うシンプルな内容です。

監督のガイ・リッチーにより、アクションを駆使したクールでワイルドながら性格も境遇も異なる二人のスパイコンビをテレビドラマシリーズより更にバージョンアップして新しい作品に仕上がています。また、二人のボス役にヒューグラントが、チョイ役にベッカムが華を添えています。

ただ、ミッションインポッシブルと違うのは、時代設定の変更が不可能なこと。ラストで次回作をほのめかしているので、コンビの活躍に次回も期待しましょう。


DVD・ヴィジット

2016年05月06日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、スリラー、ホラーが苦手な僕が、好きなM・ナイト・シャラマン監督作品「ヴィジット」です。

シックスセンスから、1999年ブルース・ウイルス主演のシックスセンスからシャラマン作品を観てきましたが、今回はその原点回帰として8年ぶりのスリラー作品となりました。

シングルマザーの姉弟の子供たちに起こる恐怖の事態を描いた作品。シックスセンスの恐怖とは異なるものながら、その恐怖と共にラストに感動も待ち受ける秀作スリラーです。

母の旅行の間、音信不通となっていったまだ見ぬ祖父母の家に泊まることになった姉と弟。祖父母と姉弟に交わされた3つの約束、1。楽しく過ごす。2.何でも食べる。3.夜9時半以降は部屋から外に出ない。この約束と共に徐々に現れる祖父母の不可解な行動に、翻弄されながら、その恐怖に立ち向かっていく姿が姉の撮影するビデオカメラを通して描かれていて、そのカメラワークに惹きこまれてました。

最初は予測不可能な恐怖が、その実態が解明されると全く異なる恐怖へと変貌。そして、その恐怖の謎が解明され、更なる恐怖が襲い掛かる。3つの約束と共に三段階の恐怖に驚くこと間違いのない作品です。


DVD・サバイバー

2016年05月05日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。ミラ・ジョヴォヴィッチと­ピアース・ブロスナンが共演したアクション作品「サバイバー」です。

 

二人の競演は、さしづめ「バイオハザード」と「007」の対決が強調されたふれこみのようででしたが、今回の作品は、そんなイメージを抱くと拍子抜けすると思います。

ストーリーはいたって単純。ロンドンのアメリカ大使館に勤めるミラ演じるアボットは、不正入国するテロリストの調査が任務。ある日、ロンドンのレストランで爆発事故があり、同僚を失ったアボットが、テロの容疑者に疑われ逃走。もうひとつのテロを計画を掴んだアボットをピアース演じるスナイパーに命を狙われながら、テロを阻止するという内容です。

ミラ・ジョヴォヴィッチには、バイオハザードでの派手なアクションや強さはないですが、テロを阻止するために必死に頑張る女性の姿を全力で演じてます。

一方のスナイパー役のピア―ス・ブロスナンは、セクシーなボンドのイメージはかけらもなく、62歳よりは、かなりの老け振りに少し拍子抜けしたものの、徐々にその存在感は増し、悪役ぶりが板についていました。

シンプルな演出ながらスピード感あふれる展開は、誰もが楽しめるアクションサバイバ―として秀作です。

 


DVD・先生と迷い猫

2016年05月03日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、イッセー尾形主演の人情喜劇「先生と迷い猫」です。

 

妻を亡くした、偏屈で堅物の校長先生が、生前かわいがったいた捨て猫のミーが行方知れずになったことで、ミー探しを通して、町の人々の絆を深めていくと言う内容です。

町の厄介者だった元校長先生と町の住人たちとの交流がおもしろ、おかしく展開される様は、イッセー尾形の一人芝居を観た者にとっては、スクリーンの中で演じる校長先生が舞台上で登場してきそうな、不思議な世界を体験しました。

偏屈で堅物と言うマイナスのイメージを受けていた校長先生が、猫を探すと言う行為が亡き妻への愛情の証となり、猫を愛する人々の優しさと共鳴することで、実は、ひとつ筋の通った男として愛すべき存在となる。人間の本質をうまくとらえた作品となっています。

長年のスタイルである一人芝居を離れ新たなイッセー尾形の世界に踏み出した彼の初作品を心行くまで楽しんでください。


DVD・岸辺の旅

2016年05月02日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。深津絵里、浅野忠信共演による黒沢清監督作品「岸辺の旅」です。

 

昨年のカンヌ国際映画祭、ある視点部門で監督賞を受賞した本作。サスペンスに定評のある監督が、湯本香樹実の原作を映画化。

三年間行方不明となった夫、浅野演じる優介が妻、深津演じる瑞希の元に帰って来たところから、物語は始まります。しかし、優介は死者として現れ、妻が知らない過去の思い出の人々と会うファンタジックな旅として進みます。

時に現世でさまよう死者との生活や過去を背負い生きる人々の出会いの中で、深まる愛は、同時に刻一刻と迫ってくる別れとなっていきます。そんな切ない夫婦愛を浅野と深津は淡々と演じ、深く静かな存在感を持っていました。

映画を通じて、古くからある三途の川が死出の境界線であるように、この映画は境目のない死出の旅を岸辺にたとえているように思います。生きる者も死せる者も、互いが抱く無念や後悔を愛の姿で洗い流していくような不思議な空気を感じる作品でした。