映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。 役所広司主演、岡田准一助演の時代劇作品「蜩ノ記」です。
時代劇は終わったと言われている昨今、確かにテレビドラマではめっきり少なくなり辛うじてNHKで制作されている状況ですが、映画の世界では、色合いを変えながら良質な作品が生まれているように感じます。また、今回の原作となる浅田次郎氏の時代小説のように優れた時代小説が過去も含め読み伝わる限り、状況の変化はあっても時代劇を終わらないと感じます。また、日本の一文化としても残さなくてはならないと感じます。
御家の事情により十年後の切腹を命じられる役所演じる武士の戸田秋谷。城内の不始末の免じられるかわりに、監視役の命を受けた岡田演じる檀野。戸田とその家族との交流の中で、切腹に至った隠された真実とその日を迎える日々を静かにまた生き生きと描かれ、武士としての潔さと清らかさを感じる作品でした。
いつの時代にもある邪悪なる世界を良しとしない純粋なまでの心根が、ひとりの武士を通して呼応していく様は、誰もが心の奥底に持つ正義をこの映画から感じ取ることが出来ます。
時代劇は、まさに日本の情景と共に本来日本人が持っているであろう美しさを蘇らせてくれる良薬だと思います。