
本日の映画レビューは、エドワード・ベルガー監督のバチカンを舞台にしたミステリー「教皇選挙」です。
アカデミー賞8部門にノミネートされ、作品賞最有力と予想されていた本作。残念ながら脚色賞のみの受賞でしたが、かなりの見応えを感じる内容でした。
内容は現ローマ教皇の死により、次の法王を決める教皇選挙における選挙の内幕を描くミステリー。フィクションではありますが、過去のカトリック神父のスキャンダルや保守派と革新派の対立などを踏まえながら選挙の詳細が描かれていきます。
教皇選挙については、ネットフリックスオリジナルで話題となった映画「2人の教皇」を観ていたので理解できたのですが、100人を超える各国の枢機卿による候補者選びの暗躍に亡き教皇が記したメモの秘密など、選挙を取りしきる清廉潔白のローレンス枢機卿の選挙戦における苦悩を中心に据えながら、カトリックのタブーともいえるテーマをミステリーの結末に添えた至極のミステリーとなっています。
宗教の本来もつ使命と人間の本質の両面に鋭く突いた作品だと感じます。この作品がアカデミー賞の脚色賞のみだとは、アカデミー賞の行く末がわからなくなりました。ともあれ、教皇選挙は今年必見の映画だと思います。