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映画 その手に触れるまで

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映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、カンヌ国際映画祭監督賞受賞のダルダンヌ監督によるヒューマンスリラー「その手に触れるまで」です。

今回はベルギー映画をご紹介。ベルギーに住む13歳の少年アソッドはゲーム好きの少年だったが今はイスラムの聖典コーランに夢中になっている。近くの食品店にある2階のモスクで兄と一緒に礼拝に通っているが、学校の女性教師イネスのあいさつの握手を拒否したことで、母親にとがめられ、イスラムの導師の言葉をきっかけにイネスをナイフで刺そうとしたことで少年院にはいってしまいます。

イスラムの教えを信じ、導師の言葉で犯行に及んでしまったアソッド。少年院での農作業を手伝いながらの更生生活の中でも宗教心をたもち続けるアソッド。今回の作品のテーマは少年の純真さがもたらした不幸だ。そしてもう一点は、犯行に及んだきっかけが女性に対するイスラムの教えに起因していること。アソッドは農作業のある出来事をきっかけに再燃してしまうのだが、ラストではアソッドにもたらされた思いもしない救いの手が。

世界三大宗教のキリスト教、仏教、イスラム教。とりわけ近年イスラム教を信仰する人々が増えていると言う。イスラム過激派によるテロによりヨーロッパでは警戒心が強い。特に今回の舞台となったベルギーブリュッセルのモレンベークはテロの拠点となっているそうだ。クリントイーストウッド監督による15時17分パリ行きで映画された事件の犯人もブリュッセルから乗り込んでいる。

しかしながら、イスラム過激派の信仰がもたらした少年犯行と言う表面的なことではなく、今回の作品は信仰心がもたらした盲信がベースになっているように感じる。思想信条は自由ではあるけれど、盲信により得てして人間は良識や常識の範囲から逸脱しがちだ。宗教に限らず、良識の眼を持つことが大切だと思う。


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