映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回はナチスドイツに音楽で立ち向かった伝説のギタリストの物語「永遠のジャンゴ」です。
僕の映画を観る上でのライフワークのひとつに反ナチスの作品があります。こうした作品を観ることは、心の中に反権力と反戦への強い意識を持ち続けることと人間の中にある差別意識への闘いでもあります。
今回は、愛する映画や芸術、そして音楽。困難な時代の中で音楽を武器に静かな抵抗を続けたジプシーでありミュージシャンであったジャンゴ・ラインハルトの真実の物語です。
1910年にジプシーの旅芸人の両親のもとに生まれたジャンゴ。10代より演奏活動を続け18歳の時に火事で小指と薬指の麻痺のハンデを負いながら3本指による独自の奏法を身に着け、第二次大戦の戦火をくぐりぬけながら演奏を続けた伝説のジャズギタリストで、デューク・エリントンの招きでアメリカ公演を行うなど戦後もヨーロッパで活躍するも43歳の若さでこの世を去ります。
今回の作品は、ナチスドイツの迫害を受けながら、迫害の歴史を持つジプシーの仲間を音楽を武器に救った戦時下の活動を描いています。
監督はチャップリンの贈りものや大統領の料理人の脚本を担当したエディエンヌ・コメのデビュー作。ジャンゴをフランス人俳優のレダ・カティブが彼を助ける恋人役にはセシル・ドゥ・フランスが演じ、大戦下の中で繰り広げられる音楽の美しさが渋さと華やかさで彩られています。さらに残虐なシーンはないものの、音楽への偏見と規制に立ち向かう主人公の自由な精神は誰もが共感を持ちます。