本年度のアカデミー賞で話題を呼んだ映画「ヘルプ~心がつなぐストーリー」を観てきました。
1960年代のアメリカ公民権運動をテーマにした映画は数多くあります。ほとんどの作品がシリアスで重い感じを抱きます。
それは、アメリカの持つ暗黒の過去から来るもので主に黒人の視点から捉えられた作品です。
そんな中で、今回の作品は異色です。先ず、黒人メイドと上流社会の女性との関係が中心に描かれていて、南部を舞台にしながら、差別による暴力シーンがまったく描かれてない点や、主従関係でありながら、人格を尊重する白人が少なからずいたこと点などです。
南部で生き、低収入なメイドの仕事しかないない運命の中で、差別を笑い飛ばすことで生活を楽しんでいる彼女たちに、作家志望の若い白人女性の投げた小石が、波紋となり事件が大きくなるのですが、助演女優の二人の黒人メイドの好対照な性格が、笑いと涙を誘います。
名もない黒人女性たちの勇気ある証言の輪により出来上がった名もなき白人女性の綴った小説が、小さな変革をもたらし、やがて大きな渦を巻き起こす。
彼女たちの勇気と友情は、まさに差別のないピュアな人間関係により開花することを示したように感じました。
オスカーに輝いた、メイド・ミニーを演じたオクタヴィア・スペンサーのコミカルな演技が、笑いと深い感動を与えます。