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映画 教誨師(きょうかいし)

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死刑囚に向かう教誨師を描いた大杉漣さん最後の主演作「教誨師(きょうかいし)」を観賞しました。

名バイプレイヤーとして知られる大杉漣さんがプロデューサーを務め、最後の主演作となった人間ドラマが10月6日より公開されています。

今回の作品は、急逝された大杉さんの最後の主演作で、僕の記憶の中では、死刑に立ち会う刑務官を描いた映画やドラマはあるものの、拘置された死刑囚と面接できる唯一の民間人として対話し悔悟を促し、そして死刑執行にも立ち会う教誨師を描いた作品はなかったと思います。

教誨師は、僧侶や牧師がその役を担いますが、何と無報酬の完全ボランティア。今回はキリスト教の牧師、佐伯として大杉さんが演じていますが、原作には触れておらず、おそらく浄土真宗の実在の教誨師の証言をもとに亡くなったあと刊行された堀川惠子著の「教誨師」を基に監督の佐向大が脚本されたのではと思います。

舞台は拘置所の面会室。6人の死刑囚と教誨師との対話だけの静かなドラマです。死刑囚役には、光石研、古舘寛治、烏丸せつこ、五頭岳夫などのドラマや映画で活躍する名脇役に、若手の玉置玲央、監督の自主映画に出演した演技経験のない小川登が死刑囚を演じ、それぞれの死刑にいたる経過が対話による少しずつ浮き彫りになり、そして、彼らが抱える心の闇が明らかになってきます。同時に教誨師の佐伯の過去が死刑囚と向き合う機縁となっていきます。

コンクリートの無機質の空間で机を介し座る教誨師と死刑囚。刑務官は、ただ立ち会う存在。ある時は、耳を傾け、ある時は、寄り添う、時に問答のような会話が続き、翻弄される。会話だけの人間ドラマに、人間としての本性が露わになる異質の存在感を放つ作品でした。

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