弁当日記

ADACHIの行動記録です。 
青年海外協力隊で2006年4月からバングラデシュに2年間住んでました。

バングラデシュのニュース(2024/6/22)その2

2024年06月23日 | バングラデシュのニュース

■見出し(2024年6月22日) No2024-12
〇灼熱の貨物車両にすし詰め状態! カオスで不思議な国、バングラデシュを旅する【前編】
〇バングラデシュの小学校を救おう 長野県松本市出身・下川さんの団体がCF
〇6月20日「世界難民の日」 ファーストリテイリンググループが
 難民の自立支援活動をはじめ世界の難民・国内避難民への支援を拡充
〇UNHCR日本人事務所長「ロヒンギャ難民には根源的な強さがある」 
〇【ミャンマー】増える「ミャンマー難民」、アジア人道危機
〇今月20日「世界難民の日」を前に
 高校生らがロヒンギャの宗教や文化伝えるイベント開催
〇ロヒンギャ難民の絵本出版 「人権侵害知る機会に」
〇【イマドキの大学ゼミ】「本気度」で早大生に人気 エチオピアの現場で開発調査も
〇人口減少の一方で増加する外国人…富山にも確実に多国籍化の波が押し寄せる中で“多文化共生”は
〇リクシル・瀬戸欣哉社長インタビュー、「極端な需要が社会ニーズをつかむ」
〇世界の原子力市場を牛耳る中国とロシア 米国は地政学的に敗北するのか?
〇「寄付」された古着が大量に…高橋メアリージュンがバングラデシュで見た「ゴミの山」
〇子どもがご飯を食べられない?高橋メアリージュンがバングラデシュで見た現実
〇前橋「カラオケワールドカップ」9カ国22組 日本の楽曲・世界の料理
〇ラマダーン月、都内の巨大団地で共にする日没後の食事
〇定員の3倍!福井の日本語学校に入学希望者殺到 進学先や外国人の雇用環境に課題も
〇人民元は米ドルと並ぶ「基軸通貨」となれるのか?
〇猛暑でLNG需要拡大、アジアで一段の値上がりも
〇【バングラデシュ】バングラ、ビジネス環境指数が悪化
〇気温40度で湿度80%、途上国にトイレ届ける職人たち
〇リクシル簡易トイレSATO、25年に1億人の衛生環境を改善へ
〇消えゆく色彩、リキシャアートが危機 バングラデシュ
〇人口問題話し合う国際会議開催 バングラデシュ
〇<IMALU>断食ラマダン明けバングラデシュ訪問 「めちゃくちゃ食べたくなっちゃいますね」
 「世界頂グルメ」出演
〇【バングラデシュ】FDI流入額、23年は18%減 
〇【密着】貧困層の子どもたちを救いたい…
 バングラデシュで初のオリジナル長編アニメ映画製作に挑む息子へ届ける両親の想い


■「寄付」された古着が大量に…高橋メアリージュンがバングラデシュで見た「ゴミの山」
 https://gendai.media/articles/-/131347?page=2
 (現代ビジネス 2024年6月08日)

 “バングラデシュにあるゴミ山へ。これで小さい方だそうです”
この言葉とともに高橋メアリージュンさんのインスタグラムに投稿された動画は、大きな反
応を呼びました。

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 Maryjun Takahashi 高橋メアリージュン(@maryjuntakahashi)がシェアした投稿
 今年4月、アクティビストの藤原ひろのぶさんのフィールドワークに同行し、バングラデ
シュを旅した高橋メアリージュンさん。このポストは、そこで見た現実でした。
 フードロス対策などをライフワークとしているメアリージュンさん連載「優しさと生きる
」。バングラデシュの旅についてお伝えする前編では、山に捨てられるような現状もある子
どもたちとの交流や食糧支援についてお伝えしました。インタビュー後編ではメアリーさん
が見たバングラデシュのゴミ問題について語っていただきました。
バングラデシュの「ゴミの山」に行きました
 バングラデシュは気温が高く、私たちが行った4月上旬で35℃以上ありました。今は更に
暑くなって40℃くらいになっているとか。日本の梅雨ほどではないものの、湿度も高く、か
なり汗をかきました。
 行く前は「蚊に刺されると病気になることがあるから蚊帳を持っていくべき」と言われて
持参したのですが、時期的にまだ蚊はおらず、結局使いませんでした。でもこれから暑くな
るうえ雨季には蚊が増えるので、旅行の予定がある方はぜひ持って行くことをおすすめしま
す。
 バングラデシュでは、ダッカにある「ゴミの山」にも行きました。写真を見ていただくと
わかるとおり、広範囲にわたって大量のゴミが積まれています。現地の方から「これでも小
さいほうです」と言われて驚きました。
 ゴミの内容はいろいろで、プラスチックもあれば綿製品もあります。綿のTシャツなどは
広げて干されていますが、これは再利用するためだそうです。
 「この山は今後どうなるんですか?」と尋ねると、「このまま大きくなっていきます」と
いう返事が……。
大量生産、大量廃棄、普段の買い物について考えた
 写真からも想像していただけると思いますが、ゴミの山からはものすごい異臭が漂ってい
て、そこに立っているのも辛いほど。すぐそばにある側溝には汚染された水が流れ、有害な
ガスが発生しています。どちらも近隣の皆さんの健康が心配になるレベルでした。
 他国からの衣類の「支援」や「寄付」も問題で、どう考えても着られないボロボロの古着
を大量に送ってくるケースがあるため、それがまたゴミになってしまうそうです。大量生産
、大量廃棄、そして普段の買い物について、深く考えさせられる光景でした。
 私自身はゴミについては、住んでいる場所の決まりに従って分類することを心がけている
程度ですが、その分類の仕方ひとつにしてもマンションや自治体によって微妙に違うんです
よね。
 たとえばペットボトル。あるマンションではラベルを剥がし、キャップは別の場所で回収
するのが当たり前でも、別のマンションではそうでなかったり。引っ越してゴミの集積場へ
行って、「前のところと違う!」とビックリした記憶がある方もいるのではないでしょうか

 今後も引き続き分別をしっかりするだけでなく、できるだけゴミが出にくい買い物の仕方
など意識しながら、自分なりに努力していきたいと思っています。
どんなリゾート旅より、今回が一番濃い旅に
 最近はモルディブを始め、いろいろな国に行っていますが、どんなリゾート旅よりも今回
が一番濃い旅になりました。
 子どもたちが美味しそうにご飯を食べている姿、お腹いっぱい食べて幸せそうにしている
姿を見られただけで、こちらまで幸せな気持ちになれて……。また周囲の大人たちがそれを
喜んで見ているのもいいなと思いました。子供たちが安定した環境で美味しそうにご飯を食
べている姿、それを喜んで身守る大人たちの姿を見られて、これ以上ないあたたかい気持ち
になりました。
 現地ではバングラデシュのマナーにのっとって、私も手で直接ご飯を食べたのですが、ど
の料理もお世辞抜きで美味しいのには驚きました。
 味わいとしてはインド料理に近いのでしょうか、多様なスパイスが使われているけれど辛
くはなく、野菜もお肉もあってどれも口に合うものばかり。私を含め今回一緒に行ったメン
バーは、誰一人肌荒れもせず、体調を崩すこともなく、行く前より健康になって帰国しまし
た。
 私にいろいろな気づきをくれたバングラデシュ。チャンスがあれば、ぜひまた行きたい国
のひとつです。

 

■子どもがご飯を食べられない?高橋メアリージュンがバングラデシュで見た現実
 https://gendai.media/articles/-/131346
 (現代ビジネス 2024年6月08日)

子供たちがご飯を食べること、食べてほしいと思う事に理由はいりますか? Do we need 
any reason to want children to eat? 
 自身のインスタグラムで、このような言葉とともにバングラデシュで旅したことを報告し
たのは、高橋メアリージュンさん。2024年4月、初めてバングラデシュを旅したときのポス
トです。
 現地では孤児院を兼ねた場所をはじめとしたいくつかの学校を訪ね、食事を満足に食べら
れない子どもたちへの食糧支援の現場も体験。笑顔でご飯を食べる子どもたちとも触れ合っ
たそうです。「とても有意義な旅になりました」と振り返るメアリーさんに、バングラデシ
ュ旅行の思い出と、現地の子どもたちとの時間について聞きました。
前編では、「子供たちにご飯を食べてほしい」と心から感じた体験をお伝えします。
バングラデシュに行ってきました!
 4月上旬、バングラデシュに行ってきました。4日間ほどの滞在でしたがとても有意義な体
験をしたので、今回はその時の話をしたいと思います。
 まずは、バングラデシュへ行った理由から。私の知り合いに「ギフトフード
(https://giftfood-store.com/)」というクラウドファンディングを主宰している起業家/作
家/アクティビストの藤原ひろのぶさんという方がいます。
 彼は、バングラデシュのスラムに住む子どもたちや食事ができない子どもたちが安全に暮
らせてご飯が食べられる環境作りに力を入れていて、現地で美味しい食事を提供するととも
に、孤児院兼学校の運営をしています。
 作家として『買いものは投票なんだ』『僕らの地球の治し方』等の著書があり、私が声優
を務めているアニメーション『EARTHおじさん46億才』の原作者でもあります。
バングラデシュでの活動については以前からお話を聞いていたのですが、今回「一緒に行き
ませんか?」とお誘いをいただき、「ぜひぜひ!」と同行させていただくことになりました

スラムの中にある学校を見学
 バングラデシュを訪れるのは今回が初めて。にもかかわらず、空港に着いた瞬間、なんと
も言えない懐かしさを感じました。母の故郷であるフィリピンの、30年くらい前の風景を思
い出したんです。空港にたくさん人がいて、動線が整理されていないために混雑がすごくな
るところも、昔のフィリピンみたいだなあと。
 と同時に、街の人々の「今を生きている」というエネルギーも感じました。物を持たず、
食べるご飯がない人もたくさんいるのですが、皆ただただ前を向いて今日という日を必死に
生きている。バングラデシュの人たちの強さを感じました。
 街の中心地にはやや都会的なエリアがあり、そこから車でしばらく行くとスラム街があり
ます。ストリートチルドレンも多い地域です。
 私は今回、スラムにある学校と、ひろのぶさんが新たに作った大自然の中にある学校を見
学しました。最初に行ったのはスラムの中にある学校で、規模としては東京の保育園くらい
でしょうか。コンクリート造りのビルの2階にあり、2つある教室では30人ほどの生徒が勉強
をしていました。
子どもたちがスーパーウエルカムで迎えてくれました
 バングラデシュの言語はベンガル語ですが、子どもたちはみんな英語を学んでいるようで
した。ちょうど私が行った時は、「1月、2月、3月を英語で言うと?」みたいな授業を受け
ていましたね。
 私も臨時の先生として、発音のお手本をさせていただきました。みんなスーパーウエルカ
ムで、ベンガル語で挨拶をしたら笑顔で挨拶してくれるし、手を振ってくれるし。どの子も
本当にフレンドリーで、笑顔がめちゃくちゃかわいかったです。
 学校に行くにはスラム街を歩いて通り抜ける必要があるのですが、そこで怖い思いをする
ことはなかったです。ストリートチルドレンを含め子どもたちが多いこともあり、皆すごく
フレンドリーで。「お金ちょうだい」みたいなおねだりもなく、むしろ観光客が多い都市部
のほうがそういう感じでした。
 ストリートチルドレンの子どもたちも、飲み物や食べ物を買ってあげたりすると、まず自
分が食べるのではなく私たちにシェアしてくれるのです。もちろん全員がそうではないかも
しれませんが、少なくとも私たちが会った子たちはそうでした。物をもっていなくても人に
分け与えようとする彼らの心、物に恵まれてるけどつい不満を言ってしまう私たち。本当の
豊かさについて考えさせられました。
子どもたちと一緒に美味しい給食を
 大自然の中にある学校のほうでは、ギフトフードが提供している給食を子どもたちに配膳
しました。孤児院を兼ねているため、そこに暮らしている子もいます。200人ほどの子ども
たちがいる、かなり大きな施設でした。
 給食のメニューは、無添加の素材を使った本格的なカレー。これが本当に美味しそうでし
た。しかも一人一杯ではなく、お腹が空いている子はおかわりOKなのです。みんな嬉しそう
に食べていて、今までで一番良いお金の使い方ができたと心がじんとしました。
 ちなみに給食を作っているのは、雇われた現地の人。雇用関係を結ぶことで、そこに住む
人の生活を支えています。
空き時間には生徒たちが自然素材を使ったバッグなどを作り、それをギフトフードのサイト
で販売して学校の運営資金にしたりもしているそうです。お金を稼ぐということも学ぶこと
ができるし、自立につながりますよね。
日本語を学んで「いつか日本に行ってみたい」と夢見る少女
バングラデシュには、学校に通えない子どもがたくさんいます。スラム街の子、親がいない
子、ストリートチルドレン……。生活するために、駅で荷物運びをして小銭を稼いでいる子
もいます。
 親に虐待されて逃げてくる子もいるものの、彼らをかくまったり学校に入れたりするのは
、バングラデシュの国籍やビザを持った保護者の許可が必要になるため、実はなかなか難し
いそうなんです。許可が下りたとしても、ひろのぶさんが運営している学校のように、すで
にキャパがいっぱいで入れないケースもあるといいます。
 学校に入ったことで、将来に夢を持てるようになった子もいます。ある15歳の女の子は数
年前に山に捨てられたのですが、ひろのぶさんの学校に入ってから日本語に興味を持って勉
強。今ではかなり日本語が話せるようになり、「いつか日本に行きたい」と話してくれまし
た。
 彼女が保護された当時の写真を見せてもらったのですが、顔に怪我をしていて暗い表情で
、今とは別人のように雰囲気が違うんです。学校に入って明るく笑えるようになって、そし
て夢が持てるようになって良かったなあと心から思いました。
 その一方で、せっかく保護をして学校に入っても、共同生活でのルールがある環境が窮屈
でなのか、逃げ出してしまう子もいるのだとか。「子供が捨てられる」「捨てるしかない現
状がある」ことの影響の大きさを感じます。
 ◇後編「「寄付」された古着が大量に…高橋メアリージュンがバングラデシュで見た「ゴ
ミの山」」では私たちも大きくかかわる「ゴミの山」についてお届けします。

 

■前橋「カラオケワールドカップ」9カ国22組 日本の楽曲・世界の料理
 https://takasaki.keizai.biz/mapnews/4748/
 (高崎前橋経済新聞 2024年6月05日)

 日本語学校で学ぶ留学生や前橋で働く外国人が参加する「第4回まえばしカラオケワール
ドカップ」が6月9日、「前橋中央イベント広場」(前橋市千代田2)で開催される。(高崎
前橋経済新聞)
 まえばしカラオケワールドカップは2019年から開催している。今回はインドネシア(13人
)、ブラジル(7人)、ベトナム(4人)、スリランカ(2人)、ネパール、バングラディッ
シュ、中国、ペルー、東ティモール(各1人)、合計22組31人が日本の曲にチャレンジする

 4月30日現在、前橋市には70カ国9,672人の外国人が暮らしている。最も多いのはベトナム
人で1,814人、次いでネパール1,358人、中国1,116人。当日は練習を重ねた歌唱披露のほか
「世界のキッチン」を通して日本人と外国人の相互理解の促進を目指す。
 世界のキッチンはルーマニア、モンゴル、ネパール、トルコ、韓国。「ミティティ」(
390円)、「モンゴルうどん」(500円)、「モンゴルソーセージ」(500円)、「ネパール
餃子」(500円)、「牛ハラミケバブ」(1,000円)、「チーズタッカルビ」(800円)など
を提供する。ミティティは牛や豚などのミンチ肉を使うルーマニア料理。
 開催時間は11時~16時。

 

■ラマダーン月、都内の巨大団地で共にする日没後の食事
 https://www.asahi.com/and/article/20240603/424682631/
 (朝日新聞 2024年6月03日)

【&M連載】隣のインド亜大陸ごはん
インド、ネパール、バングラデシュ……、日本で出会うことが多いインド亜大陸出身の人た
ち。日本では普段、どんな食事をし、どんな暮らしをしているのでしょうか。インド食器・
調理器具の輸入販売業を営む小林真樹さんが身近にある知られざる異国食文化を紹介します
。今回は、イスラム教の「ラマダーン月」期間中、日中の厳格な断食を終えた後の食風景で
す。
静寂を破るアザーン、最初のひと口はデーツ
一面にブルーシートが敷かれた室内には、集まった大勢の男たちが横一列に並び、無言のま
ま時が告げられるのを待っていた。彼らの前にはイフタールと呼ばれる、断食後に最初に食
べるデーツ(ナツメヤシの果実)と数切れのフルーツ、簡単な揚げ物がのった紙皿と、水の
入った紙コップが置かれている。
やがて静寂を破るように、「その時」がやってきた。スマホに接続したスピーカーから日没
を告げるアザーン(礼拝を告げる呼びかけ)が鳴り響くと、皆いっせいに、まずデーツを噛
(か)み、次いでコップの水を飲み干した。一心不乱に軽食を食べる男たちから聞こえてく
るのは、かすかな咀嚼(そしゃく)音のみである。
2024年のラマダーン月のある夜(4月初旬)、私は友人のムスリム(イスラム教徒)の案内
で、東京都江東区大島にある巨大団地群の1階にある集会所を訪ねる機会を得た。インド系
住民の多いここ大島団地では、ラマダーン月になると週末の日没前後、ムスリム住民たち有
志が集会所を借りてムサッラーの場として使う。ムサッラーとはモスク以外の礼拝する場所
を指す。例えば空港内に併設された、簡易的な礼拝室もムサッラーである。日本国内にはこ
のムサッラーがたくさんあるが、多くの場合、その近くにモスクを建立予定で、完成までの
あいだだけ使う仮の礼拝設備といった性格が強い。
イフタールとは前述のとおり、狭義には断食後に食べる最初の一皿を指すが、その後の集団
礼拝や集団共食まで含めて用いられることも多い。その最初の一皿で最も重要なのがデーツ
である。古代エジプトの記録にも登場し、コーランだけでなく旧約聖書でも言及されている
デーツはカロリーが高く、糖分だけでなく多量のビタミンや食物繊維を含み、一日の断食明
けの最初のひと口目はデーツからと決められている。ただそれ以外のイフタールの内容は、
同じイスラム教徒でも出身地や民族によってまちまちらしい。
「僕のところではクグニ(豆の煮込み)を食べます」
「私のところではケバーブが欠かせないですね」
いずれにしても、このイフタールを腹に収めてようやく長い日中の断食から解放されるのだ
。食後、談笑する姿からは、目標を共に達成した人たちが持つ強い連帯感のようなものが感
じられた。
急増する団地のインド系住民、今では80家族に
「2011年にここでラマダーン月の集団礼拝をはじめた時、集まったのは我々含めて3家族だ
けでした。それが今では約80家族に増えたんです」
南インド、タミル・ナードゥ州出身のハミードさんは感慨深そうにいう。日本在住23年、IT
技術者として都内の企業に勤めているハミードさんは当初、千葉県の市川市に住んでいたが
、ほどなくして大島団地に移り住む。
「子供の学校があったからです。IISJという、インド人が経営する学校ですね。やはり子供
の教育が一番大事ですから」
2004年、同区森下に設立された日本初のインド人学校、インディア・インターナショナル・
スクール・イン・ジャパン(略称IISJ)は開校後すぐに手狭となり、2007年には大島の旧第
三大島中学校跡地に移転。子供を通わせるために都内各所からインド人家族が周辺に集まる
ようになった。その多くを収容したのが大島6丁目と4丁目にある巨大団地群である。新たに
団地の住民となったインド人の中には、自治会の役員になったり、夏に開かれる納涼祭りで
インドカレーのブースを出したりと、地元にとけ込もうとする人が少なくなかった。
その中にはムスリムもいた。法務省の資料によると、インドのムスリム人口は14.2パーセン
ト。全体からするとマイノリティーのように感じるが、人口14億のインドだからおよそ1億
9000万人。日本の総人口をはるかに上回る数なのだ。もちろん、来日するIT技術者の中にも
、少なからぬインド人ムスリムがいる。
当初、めいめいの自宅で礼拝していた彼らは、やがて集まって礼拝をする場を求めるように
なる。集団礼拝はムスリムの男性にとって義務とされ、仕事や食事同様、生活に不可欠なも
のである。と同時にその場は、子供の学校や仕事、病院といった異国で生活する上で必要な
情報交換の場にもなる。
「長年、見知った人たちと一緒だと安心するんですよ。通うのは遠くなりましたけど、やっ
ぱりここに来てしまいます」
流ちょうな日本語でそう語るのは、バングラデシュ出身のラナさんだ。NHKのドラマ『おし
ん』を見て日本に興味を持ったというラナさんは、1990年代はじめに来日。日本語だけでな
く堪能な英語スキルも買われて某国大使館に勤務している。そしてこのラナさん、もともと
大島団地に住んでいたのだが、数年前に江戸川区篠崎町に引っ越した。その新居近くにモス
クがあるにもかかわらず、わざわざ大島まで通ってくる。
「昔は礼拝しに行こうにも、代々木上原の東京ジャーミイぐらいしかありませんでした。今
では仲間内でお金を出し合って、たくさんのモスクが出来ました」
ラナさんは翌日、埼玉県三郷市にあるモスクにムスリム同胞からの寄付金を募りに行くのだ
という。こうして仲間内で集めた資金で中古の戸建て住宅や店舗、工場物件などを取得し、
モスクにする流れが1990年代ごろからはじまり、2000年代以降加速している。大島のモスク
もほぼ目標金額に達し、建設予定地も決まっている。どれくらいの募金が集まり、目標達成
まであとどれぐらいか、といった詳細情報は逐一ホームページで確認できる。見やすくスタ
イリッシュな作りは、さすがIT技術者の多いインドという感じである。
ムスリムのこの時期の楽しみ「夜の食事」
そんな話を聞いているうちに、集会所の別室の方からいい香りが漂ってきた。日没後のイフ
タールと礼拝を済ませたあと、ようやく本格的な「夜の食事」がはじまるのである。この日
準備されたのはマトンがゴロゴロ入った、味のよくしみ込んだビリヤニ。ジャシャンという
同じ江東区内にあるインド・レストランから大鍋に入れて運ばれたものだ。それを有志らが
一つ一つ皿に盛りつけ、バケツリレー式に配っていく。
この「夜の食事」はムスリム同胞が経営するハラール料理店(ハラールとはイスラム教で「
許された」という意味のアラビア語)にケータリングを発注するケースが多い。一度に数十
~数百人分となるので、店側の売り上げも小さくない。それもあってか、注文は一つの店に
かたよることなく、礼拝日ごとに違う業者に依頼しているという。これも同胞の経営する店
には機会を平等に与えたいとする、ムスリムならではの配慮によるものだろうか。
配られたビリヤニを皆、ワシワシとかき込むように食べすすめている。顔には自然と笑みが
こぼれる。日中の厳格な断食から解放された安堵(あんど)感と、仲間たちと食を共にする
という喜び。とくに断食をしたわけでもない私にもそれが伝わり、気がつくとなぜだか同じ
ようにワシワシとビリヤニをかき込んでいた。
日中の断食の反動からか、ラマダーン月の「夜の食事」は豪勢になりがちだ。現地にいくと
夜遅くまで飲食店はあいていて、この時期のみに食べられる名物料理に舌鼓を打つ。だから
中にはこの時期、逆に太ってしまうムスリムもいるほどだ。
「タミルでは今日みたいなビリヤニも食べられますが、カンジという粥(かゆ)が作られる
ことが多いです。普段食べているシンプルなものではなく、豆や肉をふんだんに入れてリッ
チに作ります」
ハミードさんがラマダーン月の地元料理を教えてくれた。粥のように、あまり咀嚼する必要
のない、それでいて肉をメインにした栄養たっぷりのものが好まれるようで、南インドのハ
イデラバードではハリームという、マトン肉を豆と共にペースト状にした料理が名物だし、
中央インドのボーパールには同様の料理をダリームと呼んでやはりこの時期のムスリムの楽
しみとなっている。そんなさまざまなムスリムたちの食の思い出話を聞きながら、東京のラ
マダーン月の夜はゆっくりと更けてゆく。

■著者プロフィール
小林真樹
インド食器輸入業
インド食器・調理器具の輸入販売業を主体とする有限会社アジアハンター代表。1990年頃か
らインド渡航を開始し、その後も毎年長期滞在。現在は商売を通じて国内のインド料理店と
深く関わっている。最大の関心事はインド亜大陸の食文化。著書に『日本の中のインド亜大
陸食紀行』『日本のインド・ネパール料理店』(阿佐ヶ谷書院)『食べ歩くインド』(旅行
人)。最新刊は『インドの台所』(作品社/2024年6月下旬刊行予定)。

 

■定員の3倍!福井の日本語学校に入学希望者殺到 進学先や外国人の雇用環境に課題も
 https://www.fnn.jp/articles/-/709293
 (FNNプライムオンライン 2024年6月4日)

 福井県内に住む外国人や、県内で働く外国人の数は年々増え、過去最高となっています。
企業の人手不足を補う人材として期待され、日本語教育のニーズが高まる中、福井市内の日
本語学校には2024年、約150人の留学生が入学。この学校には定員の3倍もの入学希望者が殺
到しました。彼らはなぜ福井の学校を選んだのか?そして、卒業後はどこの地を選んでいる
のか?県内の日本語学校の現状と課題を取材しました。
 2017年に設立された福井市にある日本語学校「福井ランゲージアカデミー」で5月、入学
式が行われました。ネパールやミャンマー、バングラデシュなどの国から約150人の新入生
が一堂に集まりました。留学ビザで福井にやってきて、2年間、日本語を学びます。
 日本の専門学校や大学などへ進学するため、日本語を学ぶ学生たち。その半分以上はネパ
ール人です。ネパールは、教育機関や産業が乏しいため、海外にチャンスを求める人が多く
、いま日本にやってくる留学生のうち、2番目に多い国籍です。

学生:
「日本は子供の頃から有名な国なので留学しました」
「日本語の勉強は難しいが、アルバイトがいっぱいある。卒業したらIT企業で仕事がしたい

政府が留学生の受け入れを拡大したことで、いま全国の日本語学校の数は、右肩上がりで増
加。その中で、福井にあるこの学校が選ばれているのはなぜなのか。学校を運営する会社の
社長は、「日本語だけではないカリキュラムが重要」と話します。

福井ランゲージアカデミーを運営するグローバルリンク・井上俊秀社長:
「教室の中で授業を受けるのも大切ではあるが、どんどん地域に学生が出ていって学校の外
で学ぶことも多い。そのあたりも考えたプログラムになっている。教室の外に出て地域のこ
とを学んだり、地域の人と触れ合ったりすることで、自然と日本語を話すので、どんな日本
語を学んだらいいのか、モチベーションが高まることにつながっている」
この学校では、日本語能力だけでなく、日本社会で生きていくための力を養ってもらおうと
、日本文化やマナー、地域特有のルールなどを学ぶ授業を設けています。この独自のカリキ
ュラムが、学校選びのポイントになっているとのことです。また、安心して学ぶことができ
る環境も、決め手となっているようです。

学生:
「ネパールの田舎で育ったので、福井の空気が合うと思った」
井上社長は、「福井は幸福度日本一ということも発信している。福井の人にとって住みよい
街だと思うが、それは海外から来る人にとってもそうで、治安もいいし生活費も都会に比べ
ると安い」と話します。
この学校は“留学生の在籍管理を適正に行っている”と出入国在留管理庁が認めた「適正校
」で、中でも、特に優れている「クラス1」に認定されています。学校の運営がしっかりし
ているため、留学生のビザもほぼ100%取得できるとのこと。

授業料は、平均的な日本語学校よりも2割ほど高いとのことですが、この学校の魅力にひか
れて定員の2倍ほどの入学希望者がいるといいます。

一方、県内には、留学生を受け入れる進学先があまりないことや、外国人の雇用に積極的な
企業が少なく、卒業生のほとんどが関東へ行き、県内に残らないという課題もあります。

グローバルリンク・井上俊秀社長:
「地方都市では、やはり外国人の労働者というと人手が足りないからとか、賃金が安く済む
という固定観念が根強くある。そういうところに就職するのは、学生の希望や将来のライフ
プラン、キャリアステップを考えたうえで上手くマッチしない」

日本語学校の留学生たちは、日本語を習得したあと、専門学校や大学へ進学し、ゆくゆくは
日本の企業で働きたいと思っているが、そのどちらも県内では難しい現状があります。取材
した学校によると、日本人と同じ待遇で外国人を採用しようという企業は、県内ではあまり
無いといいます。

今回取材した学校は、2024年秋に定員を100人増やし、340人の外国人を受け入れられるよう
になる予定です。今後は、留学生について理解してもらおうと、より企業との交流を増やす
ことにしています。また、進学先となる専門学校の設立を検討するなど、福井で学んだ留学
生が、そのまま福井で活躍できるような環境づくりを目指しています。 

 

■人民元は米ドルと並ぶ「基軸通貨」となれるのか?
 https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2024/06/post-104647.php
 (NewsweekJapan 2024年6月4日)

国際取引で人民元の使用が広がっている。代表格が、ウクライナ侵攻でグローバル金融シス
テムから締め出された形のロシアだ。データでみる人民元の現在の地位
昨年12月時点で、ロシアの貿易決済の約3分の1を人民元が占めていた。
バングラデシュ政府は昨年4月、国内で建設中の原子力発電所について、融資元のロシアに
人民元で代金を支払うことで合意。
昨年11月には、サウジアラビアが中国と約70億ドル規模の現地通貨スワップ協定を結んだ。
ただし、人民元が国際取引決済に占める割合はまだわずかだ。
3月には4.5%に上昇したものの、米ドルが今も約47%を占めている。昨年10~12月期の世界
の外貨準備高のうち、人民元の比率は6番目で、2.29%にとどまった。
「3分の1」
昨年12月時点のロシアの貿易決済に人民元が占めた割合
「4.5%」
今年3月の国際取引決済に人民元が占めた割合
「47%」
今年3月の国際取引決済に米ドルが占めた割合

 

■猛暑でLNG需要拡大、アジアで一段の値上がりも
 https://jp.reuters.com/world/korea/MKWAQHPXF5PZNEU5AEJWMYEXB4-2024-06-03/
 (ロイター 2024年6月3日)

 アジアで猛暑が続いており、液化天然ガス(LNG)の需要が拡大している。輸入業者は
夏を控えLNGを発注しており、南アジアの輸入量は記録的な水準に達している。
 南アジアや東南アジアは熱波に見舞われ、エアコンなどの使用が増加。アジアのLNGス
ポット価格は4月以降、すでに約3割上昇しているが、今後、需給が逼迫しさらに値上がり
する可能性がある。
 現在のスポット価格は百万英国熱量単位(mmBtu)当たり12ドルと、約6カ月ぶり
の高値。今後も高止まりが予想されている。
 エネルギーコンサルティング会社FGEの主任コンサルタント、シャマク・アディビ氏は
「スポット価格は現在、アジアの需要にけん引れている。熱波で南アジアの気温が上昇し、
電力需要が増えている」と指摘。
 中国の輸入は、記録的な高水準だった2021年を下回る可能性が残っているが、インド
など他のアジア諸国の需要が中国の落ち込み分を補っているという。
 南アジアや東南アジアの一部は4月から5月にかけて記録的な猛暑に見舞われた。インド
では30日、熱中症の疑いで少なくとも15人が死亡している。
 分析会社ケプラーによると、5月の南アジアのLNG輸入量は前年同月比約20%増の3
80万トン。インドの輸入量は5月として過去最高の240万トン、バングラデシュの輸入
量は月間ベースで過去最高の60万トンだった。
 昨年からLNGの輸入を開始したフィリピンとベトナムも輸入を増やしている。
 エネルギー・アスペクツのアナリスト、ミン・ナ氏は「気象予報によると、北東アジアで
は5月以降、気温が平年を上回る可能性がある」とし、アジアでLNGの在庫補充需要が今
夏に前年比で増加するとの見方を示した。
 「日本、韓国、台湾の今夏の在庫補充需要は合計240万トンと、前年同期の水準を23
0万トン、5年平均を10万トンそれぞれ上回る見通し」という。
 政府統計によると、日本の発電用LNGの在庫は5月26日時点で206万トン。高温を
背景に5年平均を下回っている。

 

■【バングラデシュ】バングラ、ビジネス環境指数が悪化
 https://www.nna.jp/news/2664847?media=yahoo
 (NNA ASIA 2024年6月3日)

 バングラデシュのメトロポリタン商工会議所(MCCI)とバングラデシュ政策取引所(
PEB)は5月30日、同国の2023/24年度(23年7月~24年6月)のビジネス環境指数(B
BX)を発表した。BBXは58.75ポイントで、前年度の61.95ポイントから3.20ポイント低
下した。
 BBXを構成する11項目のうち23/24年度に新たに導入した1項目を除き、前年度を上回
ったのは、▽土地のアクセス(土地の権利の保有や資源としての利用機会)▽取引の円滑化
▽技術の導入――の3項目だった。
 一方、前年度から大きく低下したのは、▽ビジネスの始動(前年度比8.04ポイント低下)
▽金融アクセス(同7.11ポイント低下)▽規制情報の有用性(4.81ポイント低下)――など

 報告書では、ビジネスを円滑に進める上での主な障壁として、免許取得の困難さや汚職、
土地登記手続きの複雑さ、脆弱(ぜいじゃく)なインフラ、電力不足、増税などを挙げてい
る。
 23/24年度の実質国内総生産(GDP)成長率は7.50%を予測。前年度(6.03%、速報値
)から加速する見通し。24/25年度は7.80%、25/26年度は8.00%と右肩上がりの成長を予想
している。

 

■気温40度で湿度80%、途上国にトイレ届ける職人たち
 https://www.alterna.co.jp/125485/
 (alterna 2024年6月02日)

 記事のポイント ①リクシルはバングラデシュやケニアなどで10米ドル以下のトイレの販
売を行う ②安全なトイレが利用できず、命を落とす子どもは毎日700人に及ぶ ③気温40度
・湿度80%の過酷な環境でトイレを作る職人に話を聞いた
リクシルはバングラデシュやフィリピン、ケニアなどで10米ドル以下のトイレの販売を行う
。世界では、安全に管理されたトイレを利用できない人が約36億人おり、下痢性疾患で命を
落とす子どもは毎日700人に及ぶ。過酷な状況の中、トイレを作る職人の思いとは。(オル
タナ副編集長=池田 真隆)
「私には5人の子どもがいたが、1人は下痢性疾患で亡くなってしまった。息子のことを思う
とすごく辛くて、今でも信じられない。だからこそ、安全なトイレを広く届けていきたい」
こう話すのは、バングラデシュの北東に位置するハビガンジ県に住む女性だ。簡易式トイレ
「SATO」を設置するためには、排泄物を貯める穴を2メートル以上掘らないといけない。女
性の仕事は、その穴を掘ることだ。
仮設トイレという意味の「ラトリーン」を作る人ということで、「ラトリーンプロデューサ
ー」と名乗る。
かつて女性が住むコミュニティーには、安全なトイレがなかった。竹を敷いた場所がトイレ
だったという。ハエや臭いもにどく、屋外排泄によって感染する人も少なくなかった。
2021年からラトリーンプロデューサーとして働く男性にも話を聞いた。これまでコンクリー
ト技士として働いていたが、仕事がうまくいかず路頭に迷っていた時に、ラトリーンプロデ
ューサーの研修を受けた。
男性は6人を雇用し、ハビガンジ県で安全なトイレがない地域に、トイレ用の穴を掘る。気
温40度、湿度80%の厳しい環境下でも約8時間、大量の汗を流しながら働く。
過酷な状況で働くが、「地域の環境が改善されていることに携われて、喜びを感じている」
と話した。

□屋外排泄が当たり前、まずは「教育」から
世界では、安全に管理されたトイレを利用できない人が約36億人(2021年)、家に手洗い設
備がない人も約23億人(同年)いる。その結果、下痢性疾患で命を落とす子どもは毎日700
人(同年)に及ぶ。
こうした社会課題の解決に挑み続けるのが、リクシルだ。2013年に10米ドル以下で購入でき
る簡易式トイレ「SATO」を開発した。各国の企業やNGOとライセンス契約を結び、パートナ
ー団体が販売し、施行も現地の住民が行う。
現地住民の中には、衛生環境の優れたトイレの重要性を理解していない人もいる。それまで
、屋外排泄が当たり前だったからだ。そこで、現地のNGOがコミュニティーに入り、安全な
トイレや手洗いの大切さを教えていくことからこの事業は始まる。
リクシルはパートナー団体が1台販売するごとにロイヤリティをもらう仕組みだ。こうする
ことで、現地に雇用を生んだ。現在45カ国以上で展開し、約750万台を出荷してきた。
同社が掲げる、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」というパーパス(存在
意義)の達成に向けて、現在は2025年までに1億人の環境改善を目標に置く。トイレ1台を家
族やコミュニティー全員で使うことがある。出荷した台数から計算して、約4000万人の衛生
環境の改善に貢献してきた。
SATOの仕組みはこうだ。自宅周辺に排泄物を貯める穴を掘り、その上にトイレ容器を設置す
る。少量の水で洗浄ができる。排泄物を流すときに開くカウンターウエイト式の開閉弁がハ
エなどの虫による病原菌の媒介や悪臭を抑える設計になっている。

□「子どもの笑顔が見たいから」、バングラデシュに来た
SATO事業のアジア地域全体の責任者である、リクシルの坂田優・SATO事業部アジア地域営業
リーダーは、2018年にバングラデシュに赴任した。36歳の時だった。
これまで縁のなかった異国の地で働くことを選んだきっかけは、「子どもの笑顔」と語る。
SATOを開発した、石山大吾・SATO事業部イノベーションリーダーに誘われて、バングラデシ
ュの農村部を訪問した。
道中に、坂田氏は石山氏に、この国で働き続けるモチベーションを聞いた。すると石山氏は
、「子どもの笑顔が見れるのが楽しいから」と答えた。
それまで国内で営業を担当していた坂田氏にとって、エンドユーザーの反応がダイレクトに
見えるその言葉は胸に刺さった。こうして、2018年にバングラデシュ行きを決めた。
現地では先任者が一人もおらず、まずはパートナー団体を頼りにネットワークを構築してい
った。
SATOの主な対象は、途上国の女性や少女だ。採算性が課題だが、衛生課題が解決することで
、同ブランドへの信頼が増し、長期的には顧客の開拓につながると考えた。まさに、SDGsが
掲げる公式用語「アウトサイド・イン(社会課題起点のビジネス創出)」の好事例である。
一般的な企業は「顧客ニーズ」に対応しようとするが、顧客の後ろ側にある「社会ニーズ」
に対応すれば、同業他社に先駆けて、ビジネスのニーズやシーズを見つけることができると
いう考えだ。
坂田氏によると、SATOはエンゲージメントにも一役買っているという。「SATOをやりたいか
らリクシルに入りたいという新卒希望者が増えている。社内でボランティアを募ると、多く
の若手社員が集まる」(坂田氏)。
坂田氏は、現地のパートナー団体と連携を強化して、SATOを広めていきたいと力を込めた。

 

■リクシル簡易トイレSATO、25年に1億人の衛生環境を改善へ
 https://www.alterna.co.jp/125442/
 (alterna 2024年6月01日)

①リクシルは環境や社会課題の解決に向けて、「インパクト戦略」を推進 ②「衛生課題」
など3領域でアウトサイド・インの視点で事業を展開する ③簡易式トイレ「SATO」などで25
年までに1億人の環境改善を目指す
リクシルは環境や社会課題の解決に向けて、「インパクト戦略」を推進する。「衛生課題」
「水保全」「多様性」の3領域で各目標を定め、アウトサイド・イン(社会課題起点)の視
点で事業を展開する。衛生課題については、簡易式トイレ「SATO」などで2025年までに1億
人の環境改善を目指す。(オルタナ副編集長=池田 真隆)
リクシルは2021年にパーパス(存在意義)を打ち出すと、「パーパス経営」に舵を切った。
掲げたパーパスは、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」だ。
このパーパスを追求するため、インパクト戦略を定めた。「グローバルな衛生課題の解決」
「水の保全と環境保護」「多様性の尊重」の3領域で事業を展開する。
この3領域の中で柱となるのが、衛生課題の解決だ。世界では、安全に管理されたトイレを
利用できない人が約36億人(2021年)、家に手洗い設備がない人も約23億人(同年)いる。
その結果、下痢性疾患で命を落とす子どもは毎日700人(同年)に及ぶ。
同社ではこうした社会課題の解決に取り組むことで、企業価値の向上を狙う。同社の社会課
題解決事業の象徴が、2013年からバングラデシュで始めた「SATO」だ。開発途上国向けの簡
易式トイレで、上下水道がない地域でも、安全な衛生環境を提供する。
SATOの仕組みはこうだ。自宅周辺に排泄物を貯める穴を掘り、その上にトイレ容器を設置す
る。少量の水で洗浄ができる。排泄物を流すときに開くカウンターウエイト式の開閉弁がハ
エなどの虫による病原菌の媒介や悪臭を抑える設計になっている。
SATOの主な対象は、途上国の女性や少女だ。採算性が課題だが、衛生課題が解決することで
、同ブランドへの信頼が増し、長期的には顧客の開拓につながると考えた。まさに、SDGsが
掲げる公式用語「アウトサイド・イン(社会課題起点のビジネス創出)」の好事例である。
SATOのビジネスはライセンスをパートナーと結ぶことで現地で生産する体制を構築した。バ
ングラデシュでは、南アジア最大級のプラスチック生産企業RFLとライセンス契約を締結し
、同社が国内に持つ2000店の販売ディーラーを通して小売店で販売する。
トイレ用の穴を掘る職人もおり、現地での雇用の創出につながっている。
これまでにSATOは45カ国以上に展開し、約750万台出荷した。約4500万人の衛生環境の改善
に貢献してきた。
2025年までに「1億人」という目標に向け、現地でコミュニティを持つNGOなどとのパートナ
ーシップを強化する狙いだ。
リクシルの坂田優・SATO事業部アジア地域営業リーダーは、「地方部でコミュニティの健康
支援などを行うNGOなどと連携し、衛生課題の啓発を通して、SATOを広げていきたい」と話
した。

 

■消えゆく色彩、リキシャアートが危機 バングラデシュ
 https://www.afpbb.com/articles/-/3498430
 (AFP通信 2024年5月17日)

 鮮やかな緑に黄色の渦巻き、映画スターの顔、羽ばたく鳥や建築物──昨年12月に国連教
育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたバングラデシュの三輪自
転車タクシー「リキシャ」とそのカラフルなペインティングが危機的状況にある。
 運転手は長年、リキシャの車体を動くキャンバスとして活用してきた。しかし、高速の電
動リキシャに押され、この伝統工芸の消滅が危惧されている。
 リキシャの整備士、モハマド・サブジさん(40)は「今では珍しくなった」とリキシャア
ートの衰退を嘆く。「私が若かった頃のリキシャは、カラフルなアートやデザインで飾られ
ていた。今ではそうしたものは少なくなってしまった」
 リキシャ運転手のシャヒッド・ウラさん(72)は、約2000万人の人口を擁する首都ダッカ
の狭い道路を半世紀にわたって往来してきた。リキシャアートの無形文化遺産登録には「誇
りを感じる」と喜ぶ。
 ユネスコはリキシャアートについて「都市の文化的伝統の重要な一部であり、都市のフォ
ークアートのダイナミックな一形態で、住民にアイデンティティーの共有感覚を与えている
」と評価した。
 だが整備士のサブジさんは、燃料やその他の必需品の物価高騰が、リキシャアートにとっ
ても大きな打撃になっていると嘆いた。「運転手がリキシャの所有者に支払う使用料も上が
り、デザイン料も高くなった」
 運転手は所有者から自転車をレンタルしており、塗装費用は通常、所有者が負担する。デ
ザインの複雑さにもよるが、塗装には45~90ドル(約7000~1万4000円)ほどかかる。新品
の自転車が約230~270ドル(約3万6000~4万2000円)なので、塗装料がその約3分の1を占め
る。
 一方、電動リキシャは新車で750~900ドル(約11万7000~14万円)と高価だが、採算が早
く取れるとされる。

□死に絶える芸術
 リキシャアーティストのハニフ・パプさん(62)は、技術を習いにくる若者の数が減って
いると語った。「今では誰も自分の子どもに習わせようとしない。教える側が食べていけな
いのを見ているからだ」
 ユネスコの無形文化遺産登録も、リキシャアートの衰退に歯止めをかけるものではないと
いう。「遅すぎた。この国のリキシャアートは死に絶えつつある」
 ダッカの道路を縫うように走るリキシャは、いわば巡回美術展だとパプさんは言う。「例
えば、これは平和のメッセージだ」と指さしたのは、鳥と家が描かれたのどかな田園風景だ
った。都会に出稼ぎに出て来た運転手が故郷に残してきたものだという。
「幸せな家族のメッセージだ。私たちは作品にそうしたメッセージを込めようとしている」
 映画のポスターが人気のデザインだったこともあった。
 パプさんはリキシャアートが「バングラデシュの遺産、私たち自身の創造物だ」と訴える

「つらくて、辞めることもできたがそうしなかった。だが、私のように55年もこの仕事を続
ける人はこれから出てくるだろうか?」とパプさんはリキシャアートの将来を憂えた。
 映像は2023年12月に撮影。(c)AFPBB News

 

■人口問題話し合う国際会議開催 バングラデシュ
 https://news.ntv.co.jp/category/international/d62c8e59b5ce4f2182018a0ae2697d3a
 (日テレ 2024年5月15日)

UNFPA=国連人口基金は、「人口動態の多様性と持続可能な開発」をテーマに世界の人口問
題について話し合う国際会議をバングラデシュで開催しました。
1994年に開催されたICPD=国際人口開発会議は女性やカップルが子どもをいつ、何人産むか
を主体的に選択する権利「リプロダクティブ・ライツ」を国際会議で初めて提唱するなど人
口問題に持続可能なかたちでの取り組みについて議論を行いました。
30周年を迎える今年は「人口動態の多様性と持続可能な開発」をテーマにバングラデシュの
首都ダッカで15日から2日間にわたって開かれる予定で各国から200人以上の代表者が集まり
ました。
会議を主催したUNFPAのナタリア・カネム事務局長は世界の妊娠の半数近くが「女性の意図
しない妊娠」で占められているとした上でこの問題について「性と生殖に関する保健サービ
スや包括的な性教育へのアクセスを拡大することが不可欠だ」と呼びかけました。
日本は今回、共催国を務めていますが日本から参加した穂坂外務大臣政務官は「各国が人口
動態の変化を的確に捉え、予測することは、持続可能な開発のために極めて重要」と強調し
ました。
また、日本政府はUNFPAなどのパートナーとともに、ますます多様化する人口動態と持続可
能な開発の議論を世界的に牽引していきたいと述べました。

 

■<IMALU>断食ラマダン明けバングラデシュ訪問 「めちゃくちゃ食べたくなっちゃいま
すね」 「世界頂グルメ」出演
 https://www.entax.news/post/202405101730.html
 (entax 2024年5月10日)

 タレントのIMALUさんが、5月8日午後10時から放送のバラエティー番組「世界頂グルメ」
(日本テレビ系)に出演する。「1か月の断食ラマダン明け爆食SP」で、バングラデシュを
訪ねる。番組のX(旧ツイッター)で公開された動画では、店先で「めちゃくちゃ食べたく
なっちゃいますね、これ出てきたら」と語り、現地の人に「皆さんファンキーですか」と問
いかけ、親指を立てて応じられ、一緒に親指を立てる姿が映し出されている。
 IMALUさんは、年に1度の断食月間後のお祝い「イード」期間中に行われる屋台が並ぶお祭
りを訪ねる。IMALUさんが「癖癖になる味」とリポートする、1日500人前も売れることがあ
るという屋台メシ「チャレ・ルティ」や、テレビの取材で「家庭料理の女王」と紹介された
女性が作る究極の魚料理「ショルシェ・イリッシュ」などの地元メシをリポートする。約60
種の食材で作られる「カッチビリヤニ」を50年以上作り続けるシェフの味が紹介される。
 番組は、お笑いコンビ「ハライチ」と、モデルでタレントの佐藤栞里さんがMCを務める、
世界各地の驚きの“1番うまい地元メシ”発掘バラエティー。現地に行かないと分からない
食文化やその国の歴史もひもとく。この日は、タレントのやす子さんが、セネガルの相撲力
士の家庭の地元メシもリポートする。

 

■【バングラデシュ】FDI流入額、23年は18%減 
 https://www.nna.jp/news/2654711
 (NNA ASIA 2024年5月08日)

 バングラデシュ銀行(中央銀行)によると、2023年の海外直接投資(FDI)流入額(グ
ロスベース)は39億7,000万米ドル(約6,100億円)となり、前年から17.8%減少した。
 流入減少は、今年1月に実施された総選挙を巡る先行き不透明感や不安定な為替相場など
が背景にある。
 23年の株式市場への資金流入は8億3,600万米ドルで、FDI全体の約21%を占めた。
 投資元の国別では、英国が6億5,400万米ドルで最大。これに韓国が4億3,900万米ドル、
米国が3億9,400万米ドル、オランダが3億8,700万米ドル、シンガポールが3億1,400万米
ドルと続いた。日本は1億1,200万米ドルだった。
 純流入額は30億400万米ドルで、前年比で13.7%減った。
 23年10~12月期のFDI流入額(グロスベース)は11億4,900万ドルで、前年同期から5.6
%、前期から25.8%それぞれ増えた。

 

■【密着】貧困層の子どもたちを救いたい…
 バングラデシュで初のオリジナル長編アニメ映画製作に挑む息子へ届ける両親の想い
 https://www.yomitv.jp/osj0v
 (読売テレビ 2024年5月07日)

 バングラデシュでアニメ制作会社を立ち上げたアニメーターの水谷俊亮さん(39)へ、奈
良県で暮らす父・充宏さん(69)、母・てる子さん(64)が届けたおもいとは―。
若きアニメーター集団が初のオリジナル長編アニメ映画製作に挑む
かつてはアジア最貧国と呼ばれていたバングラデシュ。だが今は急激な経済成長が続き、首
都・ダッカは人々の活気で溢れている。そんな町の一角にあるアニメ制作会社「スタジオ・
パドマ」は俊亮さんが社長を務め、スタッフは全員バングラデシュ人。ほとんどが20代前半
という若きアニメーター集団だ。
日本企業の現地向け商品のテレビCMを手掛けたり、日本のアニメ作品の下請けなどをしてい
るスタジオ・パドマは今、社運をかけた大仕事に挑んでいる。それがスタジオ初のオリジナ
ル長編アニメ映画の製作。50年前、パキスタンからの独立戦争に突入したバングラデシュを
舞台に、田舎に疎開した家族が支えあって生きるという物語だ。現地で劇場公開されるアニ
メ映画は日本をはじめ海外のものしかなく、この作品が完成すればバングラデシュのアニメ
スタジオとしても初の長編映画となる。
製作は始まったばかりで、監督である俊亮さんが描いた絵コンテをもとに、キャラクターの
動きを演出していく。作画には日本のスタジオと同様パソコンを使うが、わずか1分間の映
像に必要な絵は700枚以上。ひたすら作画するアニメーターたちはまだまだ経験も浅く、す
ぐにOKは出せないものの、これからバングラデシュのアニメ界を担う彼らのため俊亮さんは
粘り強く丁寧に演出し、修正を重ねていく。
大好きなアニメを子どもたちの教育に活かしたいとの想い。そして親友との出会い
目標は「スタジオジブリ」だという俊亮さん。昔から絵を描くことが大好きで、子どもの頃
は弁当店を営む両親の帰りを待つ間、弟と観るジブリ映画が何よりの楽しみだったという。
転機は2007年、大学でグラフィックデザインを学んでいたときに、異文化交流の授業でバン
グラデシュを訪れたこと。そこで現地の人々の純粋な人柄に惹かれた。だが一方でこの国が
抱える深刻な問題にも直面。いまだに国民の3分の1が貧困層で、学校に通えない子どもが社
会問題化していた。そんな子どもたちのために何かできないかとの思いが募った俊亮さんは
、2009年に現地へ移住。そして教育支援団体で活動するうちに、大好きなアニメを子どもた
ちの教育に活かせるのではと考え、支援活動を続けながら資金を貯めた。
また俊亮さんが「彼が最初に『アニメを作りたい』って言わなければ今の会社はしていなか
った」というのが、スタジオで背景を担当するモタレブさん(31)。15年前に出会った2人
は、アニメ好きという共通点からすぐさま意気投合し親友に。スラムで暮らし、その日の食
事にも困っていたモタレブさんが「アニメを作る」という夢を語ったことで、俊亮さんはア
ニメスタジオの設立に踏み出せたのだった。
こうして2014年にスタートしたスタジオ・パドマは当初、下請け仕事を格安で受け、日銭を
稼ぐような厳しい状況だった。だが2人で支え合いスタジオが軌道に乗ると、モタレブさん
は家族とともにスラムからダッカ市内に引っ越し、貧困から抜け出すことができたのだった

大きな目標に向けて仲間たちと走り続ける息子へ、両親からの届け物は―
両親の猛反対を押し切って日本を飛び出したものの、栄養失調で緊急帰国したこともあった
。だが今回、現地でいきいきと働く息子を見た母・てる子さんは「楽しそうでしたね」と安
堵し、父・充宏さんも「いいのを見せていただきました。行きたくなりました」と頬をゆる
める。
バングラデシュ初のオリジナルアニメ映画を完成させ、世界中の人に観てもらいたい…そん
な大きな目標に向けて仲間たちと走り続ける俊亮さんへ、両親からの届け物は、何年も日本
で正月を迎えていない息子のために作ったおせち料理。重箱には、実家の弁当店の名物でも
ある特大のおにぎりも入っていた。父が具材を仕込み、母が握ったおにぎりを頬張り「やっ
ぱり世界で一番おいしい」と感激する俊亮さん。「小さいときから握っているのを横で見て
きたし、これで育ててもらった。本当にこの両親だからこそ今、こうして幸せに生きさせて
もらってると思って感謝の気持ちでいっぱいです」。そして、心配をかけていた両親に「僕
の大好きなバングラデシュを自分の目で見てほしい。見てくれたら絶対安心すると思うし、
バングラデシュを好きになってくれると思う。そう期待して、今年、来年中には来てくれへ
んかなあと心から願ってます」と想いを伝えるのだった。
(読売テレビ「グッと!地球便」2024年5月5日放送)

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