あだち蒸気機関車館

5インチライブスチーム模型や蒸気機関車に関する資料などを保存、展示する私設博物館

重箱読みと湯桶読み

2020年05月20日 | 館長のひとり言
熟語のうち、音と訓が混じっている読み方を重箱読み、湯桶読みと言いますが、これは小学校で教わるので誰でも知っていると思います。しかし、重箱読み、湯桶読みの例を5つずつ挙げよ、と言われてすぐに答えられる人は少ないと思います。
私たちは日本語を使い(聞き)慣れているので、テレビや新聞でこういう特殊な読み方に出会っても、重箱読みや湯桶読みと気づかないまま間違わずに読み、理解している場合が多いと思います。
中学3年の国語の時間に、湯桶読みの例として、「陸橋(りっきょう)」を教えられ、このことがずっと記憶に残っていたのですが、それならば、陸上、陸軍、上陸、大陸、着陸なども、湯桶読みまたは重箱読みになるのではと疑問に思って先日調べてみると、「陸」は常用漢字表では「リク」という音読みしかありません。したがって、陸橋は湯桶読みではなく、通常の熟語と同じように、音を2音重ねたものでした。
「陸」には、表外読みで「おか」という訓読みがあり、「陸蒸気」(おかジョウキ)だと湯桶読みになります。明治時代に蒸気船と区別するために、蒸気機関車は陸蒸気と呼ばれていたわけですが、時代も令和になり、ほとんど死語になった湯桶読みの例かもしれません。
重箱読みの例には、台所、台場、本棚、本箱、茶筒、肉屋、金額、桟橋、役場、新顔、番組、客間、残高、・・・
湯桶読みには、朝晩、雨具、高台、豚肉、鶏肉、雛壇、手帳、手錠、野宿、見本、株券、・・・ など、たくさんあります。
本(ホン)、台(ダイ)、肉(ニク)、茶(チャ)のように、音読みなのにそれだけで意味が通じる漢字は訓読みの漢字と熟語を作りやすく、手(て)、場(ば)、屋(や)などの一音の訓読みの漢字はそれだけでは意味が通じにくく、音読みの漢字と熟語になりやすい傾向があります。したがって、これらの漢字を覚えておくと、比較的容易に例を挙げられると思います。
ちなみに、「音読み」、「訓読み」も、重箱読みです。