憲 法 は 今 絵本と歴史と草案から考える
■ はじめに
私が、憲法オタクになったわけ
中学生・中学校との交流
絵本「憲法って、何だろう?」
■ 憲法は今
安保法強行採決、改憲議席の実現、憲法に対する敵意
右と左の対立軸の変遷
「自由主義vs社会主義」→「リベラルvs 靖国派」
自民党 「日本国憲法改正草案」
流動的かつ複雑な情勢 日本の未来を大きく左右する時代
■ 憲法って、何だろう
立憲主義の誕生 17世紀イギリス
中世から近代への変化 ムラの解体 国家権力と個人の誕生
両者の対立 王権神授説vs社会契約論
社会契約論の前提→自由かつ独立した人間像=「個人」individual
国家とは個人が作った協同組合である
国王の権力は信託されたもの 個人の自由を侵してはならない
それを担保するための「法の支配」
「個人主義」+「法の支配」=憲法、基本的人権
この2つの理念をモノサシに憲法問題を議論するのがコツ
■ あなたは、あなたの人生の主人公(絵本2頁) 自由な個人のイメージ
みんなが、日本という国の主人公(絵本3頁) 社会契約論のイメージ
13条「個人として尊重」vs 草案「人として尊重」
■ 憲法は、リーダーを縛るもの(絵本7頁) 法の支配のイメージ
憲法と法律は役割が違う ex「人殺し」の扱いは?
草案 国民を縛る憲法。天皇は縛らない
この発想の一例 情報プライバシー権の規定
表現の自由の規制とあわせて、何が起きるか
安倍総理 憲法が国家権力を縛るという考えは時代遅れだ
■ 全体主義の時代
19世紀 憲法の普遍化と空洞化の時代 1889大日本帝国憲法
20世紀前半 全体主義の時代
ドイツと日本の全体主義 現憲法の原点
この時代の特徴=社会契約論と真逆の国家像
国家そのものが一つの「生物」 国民は「細胞」
ドイツ アーリア民族の維持・強化のために国家はある
民族共同体構想
国家と個人の対立自体が原理的に消滅
自由や基本的人権が残る余地なし
個人主義を徹底的に否定したヒトラー
日本 神権的国体 大和民族
1935年 天皇機関説事件
すべてが国体・大和民族に呑み込まれた
個人主義を否定した国体の本義
ドイツと日本の共通点
1929年 世界恐慌をきっかけとして全体主義に
男子普通選挙は実施されていたのに民主主義が機能せず
精神的自由権が徹底的に弾圧
憲法は変えられていない ∵ 憲法に穴(欠陥)があった
戦争国家、国家総動員体制を目標としていた
■ 住むところがない人は、「自由」?
世界恐慌による社会不安 「娘売ります」
極貧の国民があふれると「変革」を叫ぶ「独裁者」が台頭する
ドイツ ヒトラー
日本 軍隊(陸軍)
その反省の上に、25条 世界に類のない規定
しかし、本質を突いている
住むところがない人は、「自由」?(絵本9頁) そんなはずはない
「貧困」=不自由 「格差」は国を壊す
しかし、解決困難な21世紀型貧困
草案 地方自治条項に「毒」
■ じっくり考えて、議論するのが大事
民主主義は 普通選挙=人気投票 だけでは実現できない
じっくり考えて議論するのが大事(絵本6頁)
大事なのは議論
議論の必要条件 表現の自由 情報や考えの自由な交換
日本人が好きな「現実主義」の落とし穴
政府の情報統制の危険性
特定秘密保護法、放送法によるメディア締め付け
■ 多数決の「いじめ」はダメ
多数決原理→少数者に対する多数者の暴虐の危険性
多数決の「いじめ」はダメ(絵本10頁)
民主主義は「立憲民主主義」でなければならない
■ 何をなすべきか…それは自分で決める
個人主義individualismと利己主義egoismは違う概念
「自由」と「わがまま」は違う(絵本11頁)
ロック、カント 「理性」による「自律」
JSミル 利他的な幸福 日本語では「生きがい」
靖国派との違いは?
「何をなすべきか…それは自分で決める」(絵本12頁)
思想良心の自由 個性の尊重
ex 愛国心の多様なありかた
■ 「変えにくい」から憲法
第二次安倍政権 96条改正?
「変えにくい」から憲法(絵本17頁)
96条改正は「裏口入学」
裏口入学より酷い「解釈改憲」
ドイツでも日本でも憲法に「穴」があった
ドイツ 大統領緊急令(ワイマール憲法48条)→全権委任法
日 本 統帥権独立(大日本帝国憲法11条)
この穴を活用したヒトラーと軍部
草案 「国家緊急権」 大統領緊急令の親戚 新しく「穴」をあける?
13条「公共の福祉」→「公益及び公の秩序」 「お国のため」の論理
■ よその国で戦争はしない
争いごとで「戦争」はしない(絵本14頁) 国連憲章、9条1項
9条2項誕生の経緯と意義 ドイツ・日本とも全体主義と戦争は一体
自衛隊が合憲とされてきた論理とその裏返しの憲法的規制
「よその国で戦争はしない」(絵本15頁)
安保法は? 黒を白と言い張る3つのゴマカシ
矛盾が顕在化している南スーダンPKO
■ 君たちが大人になるころ(絵本18頁)
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
ヒトラー
「ワイマール共和国ではなぜ国民の分裂が生じたか。それは西欧的な自由主義・個人主義が利益政治・政党政治を生み、民族の一体性を砕き、国民の連帯を断ちきったからだ」「ドイツ国民よ。お前がひとつになれば、おまえは強くなれる」
国体の本義 緒言 (1937・文部省)
「抑々社会主義・無政府主義・共産主義等の詭激なる思想は、究極においてはすべて西洋近代思想の根底をなす個人主義に基づくものであって、その発現の種々相に過ぎない」「個人主義の行詰まりは、欧米に於いて我が国に於いても、等しく思想上・社会上の混乱と転換との時期を将来している」「欧米が、今日の行詰まりを如何に打開するかの問題は暫く措き、我が国に関する限り、真に我が国独自の立場に還り、万古不易の国体を闡明し、一切の追随を排して、よく本来の姿を現前せしめ、而も固陋を棄てて益々欧米文化の摂取醇化に努め、本を立てて末を生かし、聡明にして宏量なる新日本を建設すべきである」と述べている。
ワイマール憲法48条2項
「もしもドイツ国家において公共の安全と秩序が著しく攪乱ないし脅かされたときは、ライヒ大統領は公共の安全と秩序を回復するために必要な措置を講じ、必要な際は武力を用いて干渉できる。この目的のためにライヒ大統領は、第114条(個人の自由の不可侵権)、第115条(住居不可侵権)、第117条(通信の秘密)、第118条(表現の自由)、123条(集会の自由)、124条(結社の自由)および153条(財産権の保障)に定めた基本的人権の全部あるいは一部を一時的に停止することができる。」
自民Q&A
「従来の『公共の福祉』という表現は、その意味が曖昧で、分かりにくいものです。そのため、学説上は『公共の福祉は、人権相互の衝突の場合に限って、その権利行使を制約するものであって、個々の人権を超えた公益による直接的な権利制約を正当化するものではない』などという解釈が主張されています。しかし街の美観や性道徳の維持などを人権相互の衝突という点だけで説明するのは困難です」
存立危機事態
我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される 明白な危険がある事態
絵本「憲法って、何だろう」
本文-日弁連HP 「憲法って、何だろう」でヒット
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます