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あなたの人生の伴走者、古都金沢のふるほん・古道具・骨董商「ふくもも文庫」。買い出しいたします。

★文化や教養力があれば毎日は楽しく過ごせます。ふくもも文庫はあなたへ癒しと笑い・懐かしさを届けます。

おいらは活版印刷に惹かれます

2012-12-15 18:25:54 | 骨董
古い漢字に惹かれます。

紙の上の文字がへっこむ、活版印刷が面白いと思う。

数年前、田舎の古い印刷屋さんを訪ねた。
おじいさんが出てきて、言った。
「活版印刷は終わった。パソコンの時代です」

もう廃業するとのこと。

活版印刷に必要な、いろんな文字や漢字の金属のハンコが数万個のこっていた。

それを入れる木箱も可愛くて、

ABC…

あいうえお…

年賀状のイラストの動物のハンコ

企業のキャラクターやマークのハンコ

を数箱買った。

とにかく重すぎてそれだけにした。

「残しといてね」と言って、1年後行くと

新しい家になっていた。

ハンコは金属やさんへ行って捨てたとのこと。


日本中、現実は一緒なんだろう


可愛いのにな

活版印刷は、残酷な末路を経て、消えてゆく…

ところがである。

最近デザイン・建築家を中心に、名刺を活版印刷にする人が増えた。

かっこいいし渋い。

活版印刷に可愛さ・面白さ・可憐さを感じる力は
若い日本人にも受け継がれているのだろう。

金沢でも活版印刷のセットを譲り受け、シェアハウスで起業した若いひとも

最近いるらしいよ。

古い漢字や活版の風合いは

いまや新しいのだ。

時代遅れが新しいってこともある。

古いものを捨てるのは惜しいね。

小商いはこんなとこから始まるのに…


★きょうのかくげん

小資本で、小商いで、独立起業しよう!


キーワードは、「OLD&NEW」


赤絵のじいさん

2012-10-18 17:17:38 | 骨董
僕が露店に出始めたころ、「赤絵ないか?」という決め文句で
80歳ぐらいのじいちゃんがよく遊びに来てくれた。

それ以来、市場で赤絵を見つけると、極力仕入れてじいさんに売っていた。

明治九谷の赤絵の猪口・馬上杯は、良く買っていただいた。

絵付けが細密でないもの、いわゆる下手(げて)だと
じいさんは買うのをためらっていたが、おまけの皿をいっぱいつけ、「じいさんのために仕入れたがや」と情に訴えると、
文句を言いながら、おそろしいほど値切り倒しながら買ってくれた。

ある日、ぽつりとつぶやいた。
「お前ぐらいの息子がいたんだが、わしより先に死んだ…」
日頃は陽気で悲しみなど微塵も見せなかった値切り名人の顔に、
恐ろしいほど深い悲しみが宿り、慰めの言葉もなかった。


その時始めてわかった。
表向きは陽気でもひとは深い悲しみを抱えていることがあること。
ものを買ってくれるのは、そのものが好きだから以外に別の理由があること。


人生の深淵は
商売を通じてわかることが多い。
商売・仕事は時に、心の奥底に通じる水瓶の淵をのぞかせてくれる…



僕や若手骨董商は赤絵のじいさんと呼び、ずいぶん重宝させていただいたが
露店に顔を見せなくなって1年以上が経った。
仲間内では「赤絵のじいさん来なくなったね」と話している。

鬼籍に入られたのであろうか?
こてこての骨董を買う層がだんだん減っているのは高齢化のせいだろう…

赤絵じいさんが元気であることをしみじみ祈る。


大江戸骨董祭市は客もすごいぞ

2012-08-29 18:16:25 | 骨董
①「僕は博物館を持っています」

そう言うお年寄りが二人も来た。

主に紙もの。

ハガキの博物館



新聞の博物館

そのほかにも、マッチのラベルを数万点集めているじいさんや

江戸小紋の型紙を、博物館より上等なものを持っているじいさん。

共通なのはじいさんであること。団塊の世代より上の世代。

江戸の爺はすごい!半端じゃない。知識と教養が良く似合う。

人生を楽しんでいるね。年金の使い道も知っている。

パスカルは「人間から気晴らしを除いたら不安と倦怠のみである」と言った。

江戸のじじいは「気晴らし」のもつ効用を良く知っているんだな

人生によく効きます。

福山雅治に「オタクになろうよ」という曲を作ってほしいな。


パリで30年暮らす日本のおばあさんが来た。
旦那さんが上流階級のフランス人で、
向こうの貴族が暮らすエリアに住んでいるそうです。
毎年3月4月ごろは孫たちが、おじいさんの遺品を売り立てるそうだ。
日本のモノの価値が解らず、安い値段で古九谷を買ったとのこと。
裏に古九谷って書いてあると言っておられました。
それって…




②客で多いのは外人だ。

さすがに国際都市≒トウキョウ

朝にスペイン人の若い男女二人がきた。

「サッカースペインうまいね」とはなしかけると
「そうだろう」とうれしそう。
だから奈落へのひとこと。
「ところでロンドン五輪での、日本対スペイン見た?」
「わおー○×△■…×10000」
最後は早口でわからなかったが、意味だけはわかった。

日本に負けて、恐ろしく悔しかったと…


アメリカ人の若い男と日本人の妻、ハーフの5歳児が来た。

なんとなくゴッドファーザーに出てきそうな雰囲気の男だったので
「YOUは、マフィアかなあ…」
というと

「おれがか」と破顔で絶句していた。
帰り際、「Watch OUT」とうれしそうに叫んでいた。

気をつけろという意味らしい…

国際交流は、おもしろい。フランス人のおばあさん、台湾人の若い男女、ロシア、バングラディッシュ、そのたいっぱいの国の人たちと続くのであった。


戯曲 上市 ぬぬるり

2012-08-25 15:07:45 | 骨董
上市「ぬぬるり」は百鬼夜行の世界

同時に声を出せば、常連の声を拾い、

出品すれば、公平なくじ引きを装いながら、売る順番はすべて、最後から数えると一番、つまり、げべ。

新参者は目に見えぬルールに従い、最下層に位置することとなる。

戦いはしかし序列以外の要素もでかい。
金、
智恵≒心理戦、
そして
見た目怖そう≒腕力である。

ここにその糞野郎的&このすばらしきあじあん混沌世界を再現してみよう


前日買い出しで出た江戸ガラス・骨董品をぬぬるりの2階に並べた僕は胸踊らして当日張り出された売り人の順番を見た。ちぇっまたげべかよ…
公平にくじ引きした結果とは聞いてあきれらあ…見られないよう注意して市主の顔をにらんだ。
9時に一階で成り行きの品が競りにかけられる。
成り行きだから売り人は安いからと言って売りませんとは言えない。
猛スピードで競られてゆくのだ。
1階を支配するのは巨体男。なんてたって見た目が怖い。声がいようにでかい。言動も怖い。でも愛嬌があるので許せてしまうからふしぎである。彼は競ってくる敵には徹底的に競い、競り勝った後でこういう「わりゃああ、買わないのなら声を出すな」これで大概の男は戦意を喪失する。
 またちょっとでも遅く3000円とか叫ぼうものなら、「わりゃー、そんなに遅いんやったら猫でもいえるわー、商売やめてしまええええええ」となる。戦意喪失×2

 ほしいものであればあるほどケチをつけるリサイクルショップ屋もいる。「これ割れとるなあ…」「虫食いあるぞ」といって、皆を疑心暗鬼にさせといて自分が買うのである。

 2階の本番は謀略者たちの修羅の群れ、宴会場となる。
「おれの品物は5万円まで追いかけてくれ」仲間の業者の一人の耳元でささやくと、「よしわかった」
 発句が1万円スタートでちょっとずつ上げていき、ムキになった正直な骨董屋が6万円を叫ぶとゲーム終了。買った人は「高すぎたあああ」と頭を抱え、後悔することとなる。ただ頼んだ仲間がタイミング悪く外の人が引っかからずに5万円で落札してしまうことがあるのだ。案ずることなかれ、大丈夫です。
 この手の商売人はあとで市主に「売買不成立ということで、伝票消しといてね」と頼める間柄にあるのだ。売買は無かったことになり品物は元の持ち主へ。ゲームオーバーは彼らの辞書にはない。
 最初は「悔しかったら、這い上がってみな。強くなれ」そういう自分自身の内なる声に何とか励まされながら、自分の居場所を見つけるのだ…
 悪人が絶対損をしない鉄火場≒素人場へようこそ…

上市と 骨董業界ヒエラルキー

2012-08-25 08:30:54 | 骨董
骨董のプロの競り市には下市があるって以前に書いたけど、上市というのもある。

骨董業界のヒエラルキーのトップ№1に君臨するのは、美術倶楽部である。茶道具専門業者が多く、ライオンズ・ロータリーの会員になってるひともいて、金持ちの経済人やその妻、能や謡等の芸能関係とも親しく、富裕層を顧客に抱える。中島誠之助氏もその一人でしたね。

かつては大実業家のパトロンが骨董品を風呂敷に包んで持っていくとたくさん買い上げたが、今はそんな教養と財力のある好き者は消滅しました。
代わりに銀座日本橋でお店を構える人は、いまなら金持ちの中国人で潤っている。
この人たちが出入りするのが上市。

2番目は普通の骨董屋さん。もしくは市場主。
骨董屋はいつも店主がむづかしい顔をして奥に座っていて、客はほとんどいないイメージですが、実際彼らは生き残り方を知っている。売れそうな市場へ商品を運んだり、露店や展示会に出かけて収入を得る。要は現金の作り方を知っているのだ。

3番目は古道具屋さん。
ここはいまホットだ!
100年たっていないから骨董品とは呼べないけれど、自分のセレクトセンスを武器に、お洒落な展開をする層となりつつある。むかしは民具であったが、今は明らかに違う。昭和レトロ、白磁、ホーロー、古い錆びた鉄の器、理科室系などの流行語を生みだした。
独立するなら、ここが狙い目です。骨董の価値観や上手・下手などの秩序をぶち壊し、女子も男子も「自分ワールド」≒新しい分野 を作るのだ。

また業種ミックスがいちばん似合うのもこのボリュームゾーン。
雑貨×古道具
カフェ×古道具
バー×古道具
ふるほん×古道具

など古道具は主役にも脇役にもなれる名俳優です

(ただし僕は6番目からスタートすべきだと思います。商売の本質がスピーディ―にわかるので、失敗のリスクが減るからです)



4番目はハタシ。

市場から市場へ荷物を運んで、差益を抜く。最近はインターネットの普及から相場が全国津々浦々に知れ渡るため、差益が消え、絶滅危惧種とは言わないまでも少なくなっている。

5番目は初出し屋・買い出し屋・拾い屋

専業の人も多いが、ここはむしろすべての人たちが兼業している。この人たちが市場にものを運ばないと、市場は成り立たない。銀座のビルを持っている大骨董商も戦後は拾い屋だったという話もある。田舎の初出しが、多くの市場を経由して、出世して東京に運ばれる。
反対に奈良のごみが京都の市場→京都のごみが滋賀の市場→やがて北陸に運ばれるという流れもある。

6番目:5番目の番外編または5番目の進化系といってもいいですが、買い出しで物を集め、ネットで中古品を売って生きる若者です。

最近は、何でも買いますといってチラシが入るでしょ。あれはネットで売っている人たちです。
ネットで生活する人は、骨董であれ、貴金属であれ、中古家電であれ、ふるほんであれ、洋服であれ全てを扱えます。全てを買うのです。一般人や在庫を抱える法人から、買い出ししたもの・商品を倉庫にぶち込み、せっせとヤフオクなどに出品。

大きなものは倉庫で値段を付けて売ったり、冷蔵庫などはリサイクルショップに流したり、不動産やさんにリースしたり、事務用品は中古の事務機屋さんに流す。
自分で売れる生活雑貨品はリサイクルショップとしてエンドユーザーに売る。

ここはまだ参入者も少なく、ビジネスチャンスが多いにあるので若い人はやる価値があるよ。
ビジネスのスタートに似つかわしい。
なにせ全ての中古品が商売の範囲だから…BIGチャンス