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あなたの人生の伴走者、古都金沢のふるほん・古道具・骨董商「ふくもも文庫」。買い出しいたします。

★文化や教養力があれば毎日は楽しく過ごせます。ふくもも文庫はあなたへ癒しと笑い・懐かしさを届けます。

金沢市が、スーパーシティーだったころ…

2018-04-23 18:05:12 | 金沢市
1877年から5年連続、石川県の人口は日本一位だった!?

北前船が物流の主役だったころ、穏やかな日本海側は

黒潮の太平洋側に比べてコスト面で有利だった。

そのころ金沢市は

日本海側のスーパースター都市だった。

もっともカッコよかった時代。

金沢は徳川家の城下町や京都を除くと、日本最大の城下町だったそうです。



市レベルでも東京・大阪・京都・名古屋に次ぐ全国第5位の大都市であり、

文化の中心地としての貫禄を認められ、

日本海側として初めて第九師団が置かれて軍都としての地位も確立していました。

また、第四高等学校が全国5つの高校の1つとして設立され、学問的にも先進都市として君臨するなど、

まさに日本屈指の一大スーパーシティでした。



●なぜその後、金沢をはじめとした日本海側は、太平洋側に比べて後れを取ってしまったのでしょうか?

その大きな一因は人口の都市圏への大流出でした。

コメの一大単作地帯で、太平洋ベルト地帯の工業化についていけなかった北陸は、

近代化の進んだ太平洋側にどんどん人口を取られていきました。



農家の次三男らが

北前船を滅ぼした鉄道に乗って、

東京・大阪などの大都市へ流出し、

工場労働者のほか、都市化にともなって増える小商人・職人・店員らになったのです。

人口は

経済や文化の源・パワーだ。今のインド・中国・ベトナムを見ればわかる。





いつしか、かつて文化の先端だったこと、日本を代表するスーパーシティーだった事実さえ、

僕たち金沢人は忘れてしまった。

●そして、「第二の危機」が迫る。

2045年
いまから32年後
金沢市の人口は43万人となるそうだ。
老年人口割合 35.0 %に上昇。

人口減少という津波だ。

いまでも募集しても働き手が集まらないと
金沢駅前の居酒屋や清掃会社はぼやいているというのに…

今よりさらに少ない労働人口で
生き残りをかけなければならない。




Kanazawaは戦災に遭わずに済んだし、
バブルを経ても戦前の建物が
駅前から観光地にかけてまだ残っている珍しい都市です。

たとえ経済が衰退しても…
そういえば
貧乏なアテネやリスボンで見た旧市街地がなんと美しかったこと…

路地で笑う親子、洗濯物、白い壁、彼らのなんでもない日常生活こそシャッターチャンスだった。

休みとなれば、はるかにパルテノン神殿に続く石畳の路傍に、

普通の市民がいらないモノを並べて露店を開く。

「誰でも商売してもいいのか」と尋ねると、アテネ市民はうなづく。

僕は日本から持ち込んだ薄いシャープ製電卓を10枚並べて、500ドラグマで売った。

あのころは珍しかったんだね。結構売れたな。

その残像が僕に極論を言わせる。


日本を代表するスーパーシティーという
金沢の過去の栄光はもう来ないかもしれない。
でも過去の遺物を未来のKanazawaに生かすことは可能である

残念だが今の金沢に日常生活でサムライ文化はもう残っていない。縁遠い気がする。県立美術館の収納品行きだ。
見世物でない本物の日常で、他の都市にないものは何か?
徹底的に考えて、
ヨーロッパの旧市街地のように
日常生活を
観光資源として見せることで暮らせたらね。

たとえば昭和という生活スタイルを
お店でもいいから
古い建物とともに路地や通りに残したいものだね…

地価高騰で小資本の地元のお店やおばあさんが県外資本に家屋を売ることは
金沢の未来の死を意味する。

いまはやや新幹線ブームは落ち着いてきたし、
なんだかできそうな気がするなあ

美術館の使命、 骨董商・道具商の使命…

2018-03-19 09:13:50 | 金沢市
●金沢には二種類の美術館がある。

一つは、現代アートを対象とする、金沢21世紀美術館。

もう一つは、工芸・古美術品等を対象とする、その他もろもろの美術館。

●骨董商は、どっちかというと後者のカテゴリーに属する。


イギリスの老舗の古美術商スピンクに就職した日本人女性が書いた本、

「ロンドン骨董街の人びと
六嶋 由岐子 (著) 」を読むと、
誇り高き英国の古美術商や貴族のコレクターは、最新モードなど数年後には廃れるだろうと気にも留めず
ひたすら古いもの・アンティークに情熱を傾ける様子が描かれていて、面白い。

でも、最新アートも、古美術も、どちらも
教養人は分け隔てなく興味を持つようだ。

なぜだろう?

テートモダンや21美は、一応美を称するが、常識人から見ると美しくないものも展示する。
たとえば21美は去年、ドブネズミのはく製にフォークをもたせた展示物があった。
コンセプトが美にかなうからだろう。

前者の美術館は何のために存在するのか?

思うに

人類の美の最先端を上書きするための実験がなされる場として存在するのだと感じている。

たとえれば、パリコレ。

奇抜すぎる服で知られるパリコレの服は誰のため とおもったことはありませんか

あれはほぼ着るための服ではなく、デザイナーのセンス・実験の場と思う。

変形シルエットや
人類が服に使ったことが無かった新素材や
えっと驚く組み合わせなシルエットレイヤード。

でも、今の我々が来ている服も100年前の日本人が見ると、笑いのネタだ。

美(センス)の進化は、常に最先端で起きている。



●では、
古美術や美しいと評価の定まった近代工芸品は何のために存在するのか?
思うに
人類の美の跳躍のエネルギーとなっているものだと思う。
新しい美を生み出し、人類の美の上書きを図るとき、
高跳びのスポーツ選手が跳躍前に屈むように、
過去の美を振り返り
最先端の未来に手をかけるための、参考とするに違いない。

●だから超モダンも

超レトロも

繋がっているのだ。

●そういえば、モダンアートの旗手である 杉本 博司も、
古美術商を営んでいた時期がある。

日本の古美術に通じるのみならず、
自身の創作にインスピレーションを与える人類誕生以前の化石から、
旧石器時代や縄文時代の考古学的資料、
仏教美術や神像、
古書画、隕石にいたるまで、
時空を超越する膨大なコレクションを持っているではないか?


金沢21世紀美術館「ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー」は危険・くせになる 

2018-02-19 19:15:52 | 金沢市
●金沢21世紀美術館で始まった『ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー』展。

恐ろしく危険だ。

魅入られたように、何度も足を運んでしまう。

警告しよう、あなたは見るのを止めたほうが良い。

それでも、行きたいのならば…、あなたは「違うあなた」に出合えてしまうだろう。

僕はもう何度も足を運んでしまった。


●マリオット・メーカーという作品

トレーラーの中に、

横たわる女性。これはカーディフから型を取った等身大の生人形

息をしているよう…

日本人が最も怖い西洋人形、ガキ使い山崎邦正が演じるチャッキーみたいなマリオネット

吊るされた本、物語の挿し絵や人体模型の図のようなもの、

横たわるカーディフの見た悪夢なのか

用意された椅子に座ってみていると、動けなくなり、不都合な自分と対面することになった

メイドリームに迷い込んで、心地よい不安に絡め取られていく錯覚をおこした。

たったひとりで理解不能な世界へ迷い込む「不安」「恐れ」
それがめちゃ好きな自分・気持ち悪いものを見たい自分と
それを全否定したい表面的な世間体で繕われた自分のと鬩ぎ合いを発見して、
吐しゃ物を吐きつけたくなるほど賛辞を贈りたくなり、
幻想的で悪夢的な美に酔いしれる…
骨董の魅力と似ているね
古いスカルや人体模型がマニアに人気なように
自分にもその癖があることに愕然とする





●ザ・カーニーという作品

アンティークのメリーゴーランドが、狂ったようなハイスピードでまわっている。

馬の目が狂気を帯びている。

同時に気味悪い音楽が流れる。部屋は暗い。光が線になって溶けていく。

ああ僕は、狂っていくんだな、誰にも認められぬまま…。



●ミラーは言う

本当に作りたかったのは
人をまったく違うところへ連れ去っていくような体験だと…。


●カーディフは言う

カナダの家は大自然に囲まれていて、街から孤立していたと。。
人の気配もなくて、何サーカスや芝居を町に見に行くのが楽しみだった。
そこで10歳の時に見た光景は、小さな金魚鉢に大人の女性が閉じ込められていたと!

最近の子供たちは「退屈」っていうものを体験する機会を失っているように見えるよ。

子供たちの気を紛らわすような何かしらの娯楽や慰みが仕掛けられている環境では、

ある時突然にフッと湧いてくるような

すごいアイデアや空想が出てくるチャンスを失わせていると…。



●僕はこの言葉に、めちゃ共感する!

今の若い人は、理解できないことを、すぐにスマホで検索してしまう。

スマホで秒速で答えが得られると思っている。


すぐには解けない難問や、微妙な違和感や、深いんだろうけど退屈と感じる事柄や

すぐにでも解決するかもしくは逃げ出したくなる孤独や孤立感は…

しばらく寝かせて、「味わう」のだ。

「発酵」させて、

やがて「腑に落ちた」なにかsomethingを拾ってこそ、「自分の言葉」を「獲得」するのだ。

アーティストは孤立を恐れない。その力を蓄え、芸術を愛する人に われわれも変われるかも…ネ

金沢21世紀美術館で始まった『ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー』展は

危険で気持ち悪い。

だが、「理解不能な体験」はめちゃ魅力的だ。

「違和感」はしばらく寝かせて、「味わう」のだ。

現代アートの意味が そこにある。


金沢21世紀美術館に、急げ! ☆「死なない命」は、世界最先端のアートだ

2017-10-22 10:51:29 | 金沢市
「金沢21世紀美術館・コレクション展2 死なない命

を見ましたか?」

「バイオテクノロジー × アート」に挑んでいるよ。


●もしあなたが金沢市に旅行に来たのなら、何をおいても、金沢21世紀美術館に来てください。

タレントショップやお土産屋さんだらけで、下品な街になった「東山」や、
地元民ももはや買いに行かない「おうみちょう市場」には行かなくっていい。

●本当の金沢の魅力は、
金沢21世紀美術館(未来)と
鈴木タイセツ館(禅)にあるのだ。

●科学の進歩はスゴイ。
もし体の6割に大やけどを負ったとしても、
自分の皮膚(1cm×1cm)を培養し、
畳二枚分の皮膚を作り出して移植し、助かることができるのが、いまはやりの再生医療…
そう、科学は人の寿命を伸ばし続けている。死ななくなりつつあるUndying
山中教授がノーベル賞をとった、iPS細胞も実用の扉が開かれつつある。

●一方でなんだか怖さも感じませんか?

DNAというデータを人類が操り始めたことに対して。
DNAは人の設計図データだよ。
そのデータを書き換える、ゲノム編集ってなんだろう?
その技術で
肉の量が1.5倍のタイ、腐りにくいトマト…が生み出されている。
しかしこれが進むと、
子供を埋めない害虫を創り出し、
さらには絶滅させたい人種にまでこっそり応用されたら、
そのための生物科学兵器が生まれるかも…
SFの世界が実現され始めたと言っていい。

明るい面を見てみよう
ゲノム編集で、エイズの治療が可能となりつつある。
リンパ球の表面には、エイズウイルスが結合しやすい突起がある。
この突起に関係した遺伝子をゲノム編集で切断することで、突起がなくなり、
エイズウイルスがリンパ球に侵入できなくなると言う治療法がこの技術により
生まれた。

●さて、コレクション展「死なない命」が 超面白い。

倫理問題を前に尻込みをする科学者を横目に、
アーティストたちは、生命を素材として操作・改変する作品に挑む。
が、アーティストは神ではない。

美術館として「世界初と」なるiPS細胞を用いた作品を展示した金沢21世紀美術館。あんたはえらい!

バイオテクノロジーや人工知能が実用化される時代において、

生命観や倫理観が揺らぐ今、

芸術の意味を問うているのだ。

◎それでは僕と一緒に、各展示室を覗いてみませんか…


●やくしまるえつこ

遺伝子組み換え微生物が冷蔵ショーケースに培養されている。
もはや、人類の記憶が動画として微生物の細胞に埋め込むことも可能なレベルまで 人類は到達している。
そのことをコンセプトとして作品が展示してある。
シアノバクテリアの一種であるシネココッカスの塩基配列をもとに作曲を行ない、
その音源データをDNAに変換して再度微生物の染色体に組み込むという方法で制作された。
微生物が奏でる?映像や歌を聴く時、
自分と、人類死滅後の異星人がやってきた未来が見えるようだ


●エドワード・スタイケン 

デルフィニウムという花を知ってますか?
そのの花言葉は、「清明」
Edward STEICHENはアメリカを代表する写真家で
2006年2月、スタイケンの初期のピクトリアリスム作品『池と月光』(1904年)のプリントが
オークションにかけられ、その当時では史上最高値である290万ドル(約3億5千万円)で落札された。
彼は花の品種改良を行っていたことでも知られ、青色の美しいデルフィニウムを作り出した。
僕らはスタイケンの写真は買えないけれど、青色の美しいデルフィニウムの種なら500円以内で買える。
おなじスタイケンのアート作品なのにね。。。


●BCL &福原志保 

家族の遺伝子を樹のDNAに入 れて「生きた墓標」をつくるプロジェクトを行っているので有名。
NHKのジレンマにも、彼女は出ていましたね。
遺伝子組み換えカーネーションと普通のカーネーションをかけ合わせたらどうなるのか
という作品が展示されている

「新たな生命を造形する意味」について考えさせられた。


●八谷和彦
風の谷のナウシカの飛行機【メーヴェ】ついに実現!アニメを現実に した男が八谷だ。
ピンクのクマがメールを運ぶ《ポストペット》の開発 者でもある。、
風の谷のナウシカとはなんなんだ?と立ち返ってみよう
ナウシカの世界は火の7日間(核戦争?)後に
絶滅寸前の人類が蟲たちという(世界を浄化するシステム)を構築し、
自分たち(特権階級?)はシェルターの中で世界が清浄化されるのを待つためにスリープ。
 その間に世界を管理するために汚染された世界で生きることが出来る改造人間を制作。
 改造人間たち(ナウシカたち)や蟲は汚染された世界でのみ生きられるので
清浄化されたあとは死滅して消えて
旧人類が目覚めた時にはスッキリ綺麗な世界で復活するという計画だった。
一方、ナウシカの選択は違って、作られた計画よりも自然と共に生きることを選んだ。
 核戦争後の「自然を生きることの可能性」を想像してみた。

●Chim↑Pom 

2006年に渋谷のセンター街でクマネズミを捕獲する行 為を記録、
捕獲したネズミで剥製のオブジェを作った《SUPER RAT》を 発表 。
ラットたちは人間から奪い取ったハンバーグにフォークを突きたてる。
かれらこそ人類種を超えて進化する死なない命の象徴化もなあ。

●椿昇 TSUBAKI Noboru

なんだ?あの黄色い球状の塊は?
「由来が異なる複数の部分から構成されている」合成生物、キメラ?
なんだかの移植手術によって生まれた突然変異かも…
呼び覚まされた想像は常識のボーダーを破壊し続ける

●最後に…

金沢21世紀美術館は、世界中のどこの美術館もやらない

最先端に、いま挑んでいる。

しょせん美術館なぞ、飯のタネには縁遠いものだ。

一体何に役に立つの?

だからこそ、見世物小屋

原点に立ち返れば。

高尚で入りにくいなら、人は去る。

そう、公共であっても、

好奇心と勇気と、若干の思慮があればよい。

予定調和など見たくもない。

金沢21世紀美術館は他の都市の美術館とはなんか違うのだ。



科学者がしり込みする分野に、果敢に切り込む、福原などのアーティストの姿と重なるのだ…



キュレーターは高橋というひとらしい…覚えておいて損はないかもね。