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あなたの人生の伴走者、古都金沢のふるほん・古道具・骨董商「ふくもも文庫」。買い出しいたします。

★文化や教養力があれば毎日は楽しく過ごせます。ふくもも文庫はあなたへ癒しと笑い・懐かしさを届けます。

中国に渡った鉄瓶のゆくえ

2015-09-26 16:33:55 | 骨董
中国に渡った日本の古い鉄瓶はどこに行ったのだろうか?

地下鉄では
中国人の作家が広告を出していた




798芸術区の中に、椅子をいっぱいつるしてディスプレーしている
お店があった。



中国の茶器のお店で
若い作家さんの茶器が置かれていた。

その一角に
日本から輸入された古い鉄瓶が売られていた。
錫の茶卓、煎茶器など日本の骨董が高額でずらり。

そっか、日本の骨董の行き先はここだったんだね。
古いものは国が違えど、違和感がない。



古工場はかっこいい。




次は番家園。青空蚤の市だ。





これは新物だ。メードインチャイナだろう。

何でもある。広い。

外人とわかると何でもが100ドルスタート。吹っかけてるなあ…

たいがいは新物。毛沢東のバッジとかが多いから、文革以降の品物。

皇国なんとかとかかれた、明治ドロップ缶があった。田舎からの買い出し品もあるんだね。








中国人は、玉が好きなんだなあ…石や真珠や銀細工もいっぱい。




琉璃廠は、一流の骨董街。でも鉄瓶はあまりなかった。全体的に品薄な感じだった。




中国人骨董商が日本に来るわけ

2015-09-03 09:53:24 | 骨董
プロの業者が集まる

骨董の競り市場は相変わらず

鉄火場。暑い火花が散り、笑いと怒号とであふれている。

が、ここ数年、近隣国の骨董やさんが集まってきて、国際化が目覚ましい。

チャイナマネーだ。

きのうも台湾人4人と中国人3人がいた。(台湾人はフレンドリーな感じがする)。


来週僕は所要で北京に行く。

なので情報を仕入れる単に、中国人の若い骨董商、Aと話した。

○「来週北京へ行くけど、古道具のマーケットはどうだい?」

A「藩家園か?、ニセモノだらけだよ。」

○「なんであなたは日本のこんな地方都市に住みついて、骨董商してるの?」

A「僕は上海出身だけど、北京や上海には古いものがないからだよ。

清朝や明の骨董は、日本に多く渡っているから。



中国よりも日本で先に有名になった作家は、日本に作品が残っている場合があるしね。斉白石も扱ったことあるよ。

中国より上は砂漠で、南方や中東の周辺国には中国の骨董が無い。

日本に吹き溜まりのように残っているからだよ。」

○「なんで中国には骨董が残っていないの?」

A「文化大革命で破壊されたからだよ。」彼は静かに、語気を強めた。

A「発掘品は、いまでも地面の下には残っているだろうね。でも文化財として保護されているから。掘り出せば捕まるし、

掘り出してこっそり闇に売られるのもあるけど。伝来品はほとんど無い」


○「文化大革命?」

A「毛沢東は、文化面から言えば、悪魔だ!」

Aは言葉を慎重に選びながら、文化面に限定して、骨董を破壊しつくした毛沢東を静かに批判した。

そっか。書画 骨董 仏像類は徹底的に破壊され、燃やされたんだったっけ?!…

そういえばISも、今でもイラクの文化財を破壊・略奪しているね。


Aは硯・筆などの文房具類、掛け軸、金瓶銀瓶に目を光らしていた。

「新しい中国製が多い」とつぶやいていた。

○「なぜ中国人は中国のものしか買わないの?プライド?」

僕のこの質問に対しては、バカな質問だと感じているように感じられた…

A「プライドじゃないよ。

中国人は、中国のものしか買わない。

だから中国の骨董商は、中国のものだけを買うんだよ。

中国人はなぜ骨董を買うのか?

それは 投機目的だよ」


「投機」の対象にならないものは、売れないから一切買う必要が無い。


すがすがしいくらい、「カネ」という価値観に貫かれ、一点の曇りも感傷もない。

客が買わないものは買わない。当たり前なことを質問するなという感じだった。


おそらくは民族性の違いだろう。

僕は踏み込んだ質問を投げ込んでみた。

○「日本人は和物以外に、李朝や西洋アンティークやアフリカンのプリミティブな人形や、少数民族の古布などを買って楽しんでいるよ」

Aは「中国人は投機目的だから。」とにべもない。

僕はさらに突っ込んだ。

○「でも、中国人はにっぽんの古い鉄瓶を買うね?」

A「茶の歴史は中国の方が日本より古い。中国に鉄瓶はないけど

便利なものが日本の鉄瓶。」

中国発祥の茶道の大きなくくりの中にたまたま中国人が「便利」と感じた
鉄瓶があり、日本製であるけれど中国文化の中にある前提だから買っている感じ。


僕は最大のつっこみをぶっこんだ。

○「文化大革命って、中国人の伝統的な価値観も破壊したのかい?


たとえば政府を信じたり、助け合ったりする伝統的な価値観なんかも。


当時は自分を守るため、親戚や友人も売ったという、チクリの社会だったと聞いている」

A「そうかもしれない」

今の北朝鮮がそう。
ドキュメンタリーで脱北者が母親と兄の情報を当局に売り、自分が収容所に送られるのを逃れた話だった。


◎日本人は楽しむために骨董を買う。

一方、中国人は、政府や他人を信用していない。だから「投機」目的で骨董を買う。

戦争などの混乱期が長く続いた歴史から、いざとなれば「換金」できるものを身に付けたり所有したりするんだろうな。

土地も共産主義だから国家のものだし。

中国の骨董文化の間口は日本より狭く、換金できる&自国のものに限定される

というシビアな現実が見えてきた。

そっか、にっぽんのオタク文化人は、混乱の少ない島国日本でしか育むことのできない希少種だったのか?!

●民族の歴史が、骨董をどう楽しむかという文化の違いを生み出すんだね。

面白い。


◎僕たちにっぽんの骨董・露天商は、ガラクタをブルーシートに並べてんじゃねえ。

こだわりぬいた美意識を並べてるのだ。

遊び心と冒険心で手に入れた星のかけらを並べているのだ。

果たして北京にも、骨董を心から楽しむ庶民の、蚤の市文化があるのかな?



北京行が楽しみになってきた。







詩2    骨董

2015-08-19 16:18:01 | 骨董
今日は古布を洗った。

行李(こうり)の中、

汚れがひどくて

朽ちてるものは

無造作にごみ袋へ。

解体される幕末の蔵の

真っ暗なほこりまみれの中で

箪笥の着物を無造作に

詰め込んできたんだったね…

せっかくうちに来たのに

かわいそうだなあ

穴を補修するための

手縫いの白糸が描く

まるい印はとても可愛い

朽ちてても趣きのあるものは

カバン業者へと回す

やがて、藍の襤褸布は

カバンの一部になるだろう

●ああ、朽ち果てているものの美しさを

知る人は少ない この世の中に。


朽ち果てることで生まれる美は


美の極致と言えやしないか?


●「美の極致を知ることは、


年齢という縛りから、


解放されることだよ」


朽ちかけた古布はそう僕に言うと


惜しむように


ゆっくりと


ごみ袋の中へ消えていった…


女子の「ひとり農家」って、なんだ?

2015-08-10 09:36:55 | 骨董
先日の蚤の市で

手作りの

ジンジャーエールを飲んだ。

バジルと本物のジンジャーの切れ端とシロップと炭酸を氷で割っていて300円。

美味しかった。

無農薬っぽい野菜や

自家製の漬物≒ピクルス

手作りジャム

なんば味噌も

ビン詰で売っていた。

「本業ですか」

と問うと

30代の女性は

「ひとり農家です」とこたえた。

一人で農家を始めたらしく、親は農家ではないという。

「農家カフェの申請を保健所に出しているの」



男子でなく

女子が

農家?

しかも一人で。

でも

女子だからこそ

ジンジャーや

お洒落なビン詰が考案できたんだね


ひとりは自由。

そんな充実感が

自分の人生を自分でハンドリングさせているのだろう。



競り人は「集団心理」を操る悪魔

2015-08-10 09:04:46 | 骨董
炎天下の神社の底に

その骨董商Bはいた。

8月の蚤の市は火鍋。

客足もまばら。

彼が痩せた体でつぶやいた。

「競り市で、会主の口車に乗ってはダメだぞ。奴は高く買わせる悪魔だ。

7千円で買った猫型のガラス瓶を泣く泣く 6千円で損して客に売ったよ」

煙草をふかしてうつむいたかれの小さな影は

テントから細く伸び、ゆらゆらと真夏の日差しに焼かれていった。


競り人は集団心理を操る悪魔かもしれないね…

競り値は実は自然と上がるものでもない。極上の珍品を除いて、

ものによってそのはぐちを得意とする人を次々と巻き込んで初めて値段が上がる傾向にある。

つまり熱狂が高値を呼び起こす。会主はそのことを知り尽くしている。

せり台に上がる品物を見て

買う人を想定し、競わせ、ゆっくりすばやく料理する。

荷物に対する商品知識がすごいので、うまくほめたり

時にはものの欠点を指摘しながら安い発句にして、あまりにも安いので
我慢できなくしてうまくいろんなひとを競り≒祭りに参加させる。

屏風が出れば「○○さん、これ好きやろ。出たよ。」

声掛けする人を次次変えてゆき、使命された人はなんとなく気分がよくなる。

塗り物が出れば、塗り物が得意な業者たちを自然と巻き込んで競わせる。

着物が出れば、着物を買う人を見て声を出さす。

おもちゃやくだらない機械類・レトロ物が出ると、

悪魔のタクトはこちらに向けられ露天商たちを底なしの沼にひきづりこむ。

「Bさん、声出てないけど、もうがまんできんやろう」

「Aさん、もっとがんばらんかい。負けるな」などと、ライバル心を呼び覚まさせる。

くだらないギャグと笑いで周囲を和まして、

ゆっくりとしたたかに買わせる天才ぶりは詐欺師の香り。

「銭で済む話やろ。買わんと後悔するよ」

その銭がないから苦労しとるんや…

しまった、口車に乗って、またくだらないものを高く買ってしまった!

一方で、いつも市場に貢献しているお得意様だけには特別に優しい。スイート。

すばやくお得意様だけの声を拾い、他の声は聞こえなかったことにして、

安く買わせたりする。

悪魔の同盟関係の結果、荷主は荷物を殺される。

くせものは隣にいる。

僕らは悪魔に金を抜き取られる。

買出し人は喜び、

いいものが市場に集まる。

荷物を売る力・買う力・買わせる力・お客に買わせる力が流通という厳しい現実の世界を鮮やかに作っていく。

骨董商Bの命が燃える夏本番。キター

Bの影が僕に小さな声で話してくる…燃え尽きてなるものか