<前回からの続き>
その日は、伊豆沼の畔の旅館に泊まった。翌朝未明6時過ぎ、起きて伊豆沼へ向かう。辺りはまだ暗い。東北本線の踏切を渡ったすぐそばに沼はある。。
踏み切りの近くの小さな池には白鳥やカモ類が多い。警戒心の強いガン類はこの辺りには近寄ろうとしない。野に生きる生き物達は、その種に応じて人との間合いを計っている。白鳥やカモの仲間はガンに比べその距離がかなり近い。
今日はこの冬一番の冷え込みとか、鳥たちも氷結したかのように身じろぎもしない。
池の中央部のまだ凍ってない所にキンクロやホシハジロ、オナガ等の小型カモ類がいた。
そこに起き出した白鳥が一羽割り込んできてカモ達を追い払った。
対岸では寒々とした風景が広がっている。
漁具も凍り付いている。
空は次第に色づいてきた。マガンは眠ったままだ。
山の端が明るくなってきた。日の出は何度も見ているのに、いつだって崇高な気持ちに襲われてしまう。自然の壮大なドラマを見ていると少し謙虚な気分になる。
白鳥のいる小さな池にも日が差し込んできた。
やっと2,3羽の白鳥が起きだしてきた。
そのしぐさは何処となく滑稽で、新しい一日にとまどっているかのようだ。
沼の反対側は日も差し込まずガンたちは依然眠ったままだ。
7時少し前、やがて眠りが少しずつ破られてきた。身じろぎを始めるガンが現れ、小さなざわめきが段々と大きなくってくる。飛翔は間もなくだ。
何がきっかけだったのかだろう。何の前触れもなかった。ただ突然大きな力強い羽音ともに群れが宙に浮き上がった。すさまじい羽音だ。
眼を閉じて日本の音風景百選の一つ、伊豆沼のマガンの大飛翔の音を堪能した。
空を旋回しながら隊列を整え、やがてガンたちはそれぞれの餌場へ向かって飛んでいった。
私も餌場へといったん戻ることにしよう。
宿に戻って朝食を済ませ再び沼にやってきた。
ハクチョウたちも起き出したようだ。
これは珍しい。白鳥のそばにいるのは沼に多いマガンではなく、ヒシクイのようだ。
沼の西側を岸沿いに少し歩いた。
ガンの飛び去った後の水面は何か空虚だ。
打ち捨てられた小舟と凍りついたハスの実。生き物の姿は見当たらない。
水面を覆い尽くすハス、花の咲く季節にも訪れてみたいものだ。対岸の洒落た建物は伊豆沼・内沼サンクチュアリセンターで、沼に飛来する野鳥たちの拠点となっている。
駅から少し遠いのが難点だが、沼の周囲にはこうした施設が4箇所も設けられ、そのうちのウェットランド交流館では安く宿泊も出来る。
葦原の中に入っていく。
背の高い枯れた葦の向こうに、一羽だけ嘴を羽の中に突っ込んで眠っている白鳥が見えた。
寒そうで寂しそうで胸に来るものがあった。
この後、電車に乗って五浦海岸へ向かった。
その日は、伊豆沼の畔の旅館に泊まった。翌朝未明6時過ぎ、起きて伊豆沼へ向かう。辺りはまだ暗い。東北本線の踏切を渡ったすぐそばに沼はある。。
踏み切りの近くの小さな池には白鳥やカモ類が多い。警戒心の強いガン類はこの辺りには近寄ろうとしない。野に生きる生き物達は、その種に応じて人との間合いを計っている。白鳥やカモの仲間はガンに比べその距離がかなり近い。
今日はこの冬一番の冷え込みとか、鳥たちも氷結したかのように身じろぎもしない。
池の中央部のまだ凍ってない所にキンクロやホシハジロ、オナガ等の小型カモ類がいた。
そこに起き出した白鳥が一羽割り込んできてカモ達を追い払った。
対岸では寒々とした風景が広がっている。
漁具も凍り付いている。
空は次第に色づいてきた。マガンは眠ったままだ。
山の端が明るくなってきた。日の出は何度も見ているのに、いつだって崇高な気持ちに襲われてしまう。自然の壮大なドラマを見ていると少し謙虚な気分になる。
白鳥のいる小さな池にも日が差し込んできた。
やっと2,3羽の白鳥が起きだしてきた。
そのしぐさは何処となく滑稽で、新しい一日にとまどっているかのようだ。
沼の反対側は日も差し込まずガンたちは依然眠ったままだ。
7時少し前、やがて眠りが少しずつ破られてきた。身じろぎを始めるガンが現れ、小さなざわめきが段々と大きなくってくる。飛翔は間もなくだ。
何がきっかけだったのかだろう。何の前触れもなかった。ただ突然大きな力強い羽音ともに群れが宙に浮き上がった。すさまじい羽音だ。
眼を閉じて日本の音風景百選の一つ、伊豆沼のマガンの大飛翔の音を堪能した。
空を旋回しながら隊列を整え、やがてガンたちはそれぞれの餌場へ向かって飛んでいった。
私も餌場へといったん戻ることにしよう。
宿に戻って朝食を済ませ再び沼にやってきた。
ハクチョウたちも起き出したようだ。
これは珍しい。白鳥のそばにいるのは沼に多いマガンではなく、ヒシクイのようだ。
沼の西側を岸沿いに少し歩いた。
ガンの飛び去った後の水面は何か空虚だ。
打ち捨てられた小舟と凍りついたハスの実。生き物の姿は見当たらない。
水面を覆い尽くすハス、花の咲く季節にも訪れてみたいものだ。対岸の洒落た建物は伊豆沼・内沼サンクチュアリセンターで、沼に飛来する野鳥たちの拠点となっている。
駅から少し遠いのが難点だが、沼の周囲にはこうした施設が4箇所も設けられ、そのうちのウェットランド交流館では安く宿泊も出来る。
葦原の中に入っていく。
背の高い枯れた葦の向こうに、一羽だけ嘴を羽の中に突っ込んで眠っている白鳥が見えた。
寒そうで寂しそうで胸に来るものがあった。
この後、電車に乗って五浦海岸へ向かった。