前編のあらすじ
800年以上前から上越市板倉区猿供養寺(さるくようじ)に伝わる民話。
猿供養寺村では毎年のように地滑りが起きていた。その年の春に起きた地滑りは7日たっても治まらなかったので、人柱を埋めて鎮めることになった。若い娘が人柱になりたいと言うと、わしは年を取っていて命は惜しくないからわしを人柱にしてくれと年寄りが言い出したりして、中々話が決まらなかった。
猿供養寺の人柱ー(2)
ちょうどそのころ、信州(今の長野県)から猿供養寺(さるくようじ)へ来る黒倉山(くろくまやま)の峠道をひとりの年とった旅のぼうさんが歩いていたと。
ぼうさんは、村にはいったとたん、じすべりがあんまりひどいんでたまげてしもたと。道はでっかくもりあがったり、へこんだり、右に左にごちゃごちゃになっていたんだと。あちこちのうちも、かべはおちたり、かたむいたり、もうくずれかけているんだと。ひっそりと静まり返った村ん中に、ぼうさんのぬれたわらじの音が、ピシャッ、ピシャッというだけだったと。
ぼうさんは、村のしょが集まっている松の木屋敷にきたと。むらのもんはだれひとりふりむくもんもいなかったと。ぼうさんは村のおさに近づいて、村がどんげらか聞いたと。村のおさは、地滑りが始まってから今までのことを話したと。ぼうさんは、村のしょがきょうまで助け合い、はげまし合ってきたことを思って、感心するばっかだったと。-続くー
Just around that time, an aged traveling monk was walking along the mountain path of Mt. Kurokuma from Shinshu (now Nagano Prefecture) to Sarukuyoji. The moment the monk entered the village, the landslide was so bad that he was surprised. The road was swollen, dented, and limp to the right and left. Houses here and there had walls falling, leaning, or almost collapsing. In the quiet village, only the sound of wet straw sandals of the monk was heard "pisha, pisha."
The monk came to the pine tree grounds where the villagers were gathering. No one in the village turned their heads to look at the monk. The monk approached the village chief and asked what was going on in the village. The village chief told him what had been happening since the landslide started. The monk was filled with admiration for how the villagers had helped and encouraged each other. -To be continued-
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