ゆっくり行きましょう

気ままに生活してるシニアの残日録

「カラチの空」でパキスタン料理を食べる

2023年03月18日 | グルメ

埼玉県八潮市のパキスタン料理店「カラチの空」に行ってみた。店の近くに3台停まれる駐車場がある。並ばれずに入れた、結構広く、客が何組が来ていた。店内は壁掛けの大きな薄型テレビが3つかかっており、そのうちの1つでは、テレビ番組で当店を取り上げた録画を繰り返し流している。ブラタモリでタモリが来たときの写真もかかっていた。テレビの説明では八潮市にはパキスタン人が多く住んでいる、その理由はパキスタン向け中古車の輸出業者が多く、中古車オークション会場が近くにあるからとのことだ。八潮市とパキスタンをくっつけてヤシオスタンという造語を作ってメニュー表にも書いてある。

メニューを見てランチA800円(カレー1種類、サラダ、飲み物)800円とチキンビリアニ1,200円(サラダ付き)をたのんだ。出てきたものを見ると、大きなナン、大皿のビリヤニ、かなりの量だ、若者の客が多いのかシニアには量多すぎだ。ただ、後からわかったのだが、多すぎる場合には持ち帰り用に取り分けてくれるそうだ。食べてみるといずれもおいしい、カレーは辛めで、ビリヤニにはヨーグルトがついており、それをかけてとんがった味を少し緩和するそうだ。日本人にあった味にアレンジしているのだろうが、ビリヤニには現地の食事のニオイを感じた。また、ビリアニの米の中には大きなチキンが2つ入っていておいしかった。

近くに多くのパキスタン人が住んでいるのであろう、店内には多分パキスタン語なのだろうが全然わからない文字でメニューだろうと思われる表がかかっていた。

おいしかった。ごちそう様でした。


映画「すべてうまくいきますように」を観る

2023年03月17日 | 映画

近くの映画館で「すべてうまくいきますように」(2021年/フランス・ベルギー/フランソワ・オゾン)を観た。フランソワ・オゾン監督というので観たくなった。脚本家エマニュエル・ベルネイムによる小説を原作とする。この脚本家は女性で2017年に亡くなっている。オゾン監督が以前、この原作を映画化しないかと言われたがその時はまだ自分にも身近な問題でないので断ったが、最近、自からもそのような問題を考えるようになったので、映画化したと言っていた。

ストーリーは、ある日、85才の父親が脳卒中で倒れ入院し、体が思うようにならなくなる、娘2人たちが看護するが、医者からは再発の可能性もあると言われる、別居している母親もかけつけるがなぜか冷たい態度、看病していくうちに父親は「もうやりたいことが何もできない、終わらせてほしい」と娘のエマニュエルに言う。安楽死を調べてみるとスイスでできることがわかり連絡をとって話を聞き、その方向で進めることになるが・・・・

この映画のウェブサイトを見たらオゾン監督のインタビュー動画があったので見たら、「このような状況に遭遇したとき、どう考えるか、どうするか、観客に考えてもらいたい、どれが良いとは言っていない、自分もどうしたらよいかわからない」と言っていた。このような観点から映画を作ってくれる監督は大歓迎だ。

監督の言うように、この映画を観れば誰しも自分が同じ状況になったらどう対応するか考えるであろう、最近ではゴダールの安楽死が報道されて驚いたばかりだ。自分は、次のように感じた。

それは、この父親が入院後、しばらく寝たきりになり発作を起こして看病をしている娘をあわてせさせたりするが、しばらくすると自分でベッド横の椅子に座ることができたり、娘たちとレストランで食事をしたり、孫の音楽の演奏会に出席したりしていることだ。これをみた日本の年寄りは誰でも「これなら生きていけるのではないか、なぜこんなに回復しているのに死にたいと思うのか」と感ずるのではないか。この父親は事業で成功した金持ち、母親も彫刻家で生活に困っていない、娘たちも中流以上の生活をしている、よって、安楽死は金持ちにしかできない特権とも考えられるが、映画の中でスイスの安楽死させる会社の責任者が費用は1万ドルくらいだと行っていたように思うから、そんなに高額ではない、普通の家庭の人でもできる気もする。ただ、ここでオゾンが問題提起しているのは安楽死と言うより尊厳死と言うべきものかもしれない。言い方によってだいぶニュアンスが異なる。

エマニュエルをやったソフィー・マルソーは知らない女優だったが良い味を出している。彼女の映画をもっと観てみようか。フランソワ・オゾンと組んた映画も多いらしい。また、シャーロット・ランブリングは好きな女優だったが、結構年取ったというかそのようにメイクしているのだろうが、「スイミング・プール」に出たいた頃がちょうど今のソフィー・マルソーくらいの年齢だったのだろう。良い女優だ。

映画の中で、この家族はクラシック音楽に深く関係している一家で、ブラームスなどの曲が何曲か流れていた。その中で自分はシューベルトの幻想曲ハ短調D940がなんとも言えないもの悲しい雰囲気で好きだがAmazonで検索しても全くCDが無いのはどういうわけだろう。

観て損のない映画だと思う。

ソフィー・マルソー(エマニュエル、娘、姉)(57、仏)
アンドレ・デュソリエ(アンドレ、父親)(76、仏)
ジェラルディーヌ・ペラス(パスカル、娘、妹)(52、仏)
シャーロット・ランプリング(クロード、母親)(77、英)
エリック・カラヴァカ(セルジュ、夫)(57、仏)


「浮世絵で楽しむ邦楽、大谷コレクション2、河竹黙阿弥の世界」を観る

2023年03月15日 | 歌舞伎

歌舞伎狂言作者として河竹黙阿弥の名前は有名である。歌舞伎ファンとしては黙阿弥の知識がほとんどないので、紀尾井ホールで「河竹黙阿弥の世界」と題する公演、トークショウがあるのを見つけ、是非観てみたいと思い申し込んだ。

紀尾井ホールはクラシック音楽の公演で何回か行ったことがあるが、邦楽の公演もよく開催している。以前、確か「景清」をテーマにした公演に行ったことがあるので今回は2度目の邦楽鑑賞である。場所は3階の小ホールで、座席数は250席で後ろの席に座っても舞台とかなり近く、迫力がある。今回は、2列目中央といういわばかぶりつきの良い席、5,000円だった。客はほとんどシニアだったが若者も若干見られた。

今回は、紀尾井ホールに隣接するホテル・ニューオータニを作った実業家大谷米太郎氏の膨大な浮世絵コレクションから河竹黙阿弥に関連した作品に焦点を当てつつ、黙阿弥の作品である「白波五人男」、「白波五人女」、「時鳥殺し」を黒御簾音楽で実際に聞き、渡辺保氏や長唄三味線方の八代目杵屋巳太郎氏(57)の解説を聞き黙阿弥の理解を深めるものだ、また、後半は黙阿弥作の長唄「茨木」を聴き、やはり、渡辺氏と巳太郎氏の解説を聞き、作品の長唄を堪能する、という企画だ。

渡辺氏はNHKの歌舞伎番組に解説としてよく出演されているし、歌舞伎関係の本も多く書かれているので、話はわかりやすく、面白い。一方、杵屋巳太郎氏は厳しい訓練を積んでいるのであろうが話しぶりはそんなところを微塵も見せず、人当たりの良い紳士という感じで、かつ、ユーモアセンスもあり、親しみの持てる印象を持った。

「茨木」は、唄方、三味線方に囃子(能管/篠笛・小鼓・大鼓・太鼓)が加わった総勢14名の賑やかな唄だ。この唄方のリーダー的存在(タテ唄)が杵屋勝四郎氏(63)だ、勝四郎氏はコロナが発生した当初、テレビの番組で自宅からパソコンで長唄の稽古をする姿や、エレキギターを演奏する姿などが紹介され、偶然その番組を見て、親しみを持った。性格も温厚でやさしそうな感じの人だが、今日は厳し顔つきで茨木を一生懸命唄っていた。

長唄のメンバーを見ていると、三味線、唄の10名は若手も何名か含まれていたが、囃子の4名はそれぞれの最長老格の師匠が出ていたせいか皆さんご高齢な方ばかりとお見受けした。後継者がしっかり育っていれば良いのだがどうなんだろうか。

引き続き、歌舞伎に関連した事項の理解を深めていきたい。

今日の番組

  • お話「河竹黙阿弥の女たち」
    渡辺 保
  • 黒御簾音楽で聴く河竹黙阿弥
    対談  杵屋巳太郎
        渡辺保
    演奏  尾上菊五郎劇団音楽部
        田中傳左衛門社中
  • 長唄「茨木」河竹黙阿弥作・杵屋正次郎作曲・杵屋巳太郎構成
    唄   杵屋勝四郎、松永忠次郎、杵屋巳之助、杵屋和三朗、杵屋勝四助
    三味線 杵屋巳太郎、今藤長龍郎、今藤龍市郎、松永忠三郎、今藤龍十郎
    囃子  田中傳左衛門社中

「船橋屋 亀戸天神本店」でくず餅を食べる

2023年03月15日 | グルメ

くず餅で有名な船橋屋、デパートなどでくず餅やあんみつを売っているのをみた人も多いだろう。亀戸天神の横に本店があるのは前から知っていた。一度行ってみたかったので今日は都心に出かける途中で下車して立ち寄ってみた。駅から歩いて10分ちょっとくらいか。

本店の前に来てみると入口に大きなのれん、その上には多分、藤だなであろうか、今は枯れているが良いムード。

中に入ってみると店舗と一緒に喫茶室が併設されている。入ったときは店には誰もいなかった、くず餅790円を注文して喫茶室の座席に腰かける。店内を見渡すと中庭につながる出口の上に木彫りの船橋屋と書いた大看板が掲げてあった、説明書を見ると文豪吉川英治氏による墨書だ。吉川英治は船橋屋を贔屓にしていたとのこと。

運ばれてきたくず餅は量が多く、その上にきな粉と黒蜜がたっぷりとかかっている。スプーンがついているのでスプーンで一つずつくず餅ときな粉と黒蜜を一緒に食べると、大変おいしい。

入ったときは誰もいなかったが、続々と客が入ってきた。結構人気があるのだろう。聞こえてくる声を聞いていると、くず餅は生菓子なので2日しか保たないそうだ。今日はできたてのものを食べられてよかった。ごちそう様でした。

帰りに隣接する亀戸天神にお参りした。


「らぁ麺 飯田商店 汁なし担担麺」を作って食べる

2023年03月14日 | グルメ

イトーヨーカドーで「らぁ麺 飯田商店 汁なし担々麺」というのを売っていたので、買ってみた。値段は忘れたが300円くらいか。一袋に二人前入っているので安い。写真の出来上がりのラーメンどんぶりに入っている挽肉、ナッツ類は自分でトッピングしたもの。食べたらうまかった。

この飯田商店という店は知らなかったが、湯河原にあるラーメン屋でホームページを見ると来店はネット予約制になっているようだ。ラーメン屋に行くのにネット予約かよ!! そして、メニューを見ると1,500円から2,000円くらいの値段設定だ。ラーメンとしては高めの値段だろうが、店主が自信があるのであれば私はこのくらいの値段でも安いと思う。それはテレビなどでラーメンを作るところをよく放映しているが、大変な手間暇をかけて作っている割には値段が安いからだ。普通は1,000円以下であろう。海外では3,000円以上で売っている店もあるらしいが当然だと思う。客としては3,000円というのは困るが、1,500円くらいなら十分許せる。ラーメン文化を守るためにもある程度の値上げは受け入れるべきだろう。

さて、この汁なし担担麺だが、予約しなければ食べれないほどの人気ラーメンを自宅で食べられるのであれば安い買い物だと思う。先日のカレーもそうだ。今後はどんどんこういうコラボものが出てくるだろう。店、客、スーパーなど全員にメリットのある方式だと思う。そして、この店は一工夫して、この汁なし担担麺は店では出さないメニューしている。これなら苦労して予約して店に食べに行った客にも顔が立つというものだろう。よく考えたものだ。

ごちそう様でした。


映画「ダンケルク」を観る

2023年03月14日 | 映画

Netflixで「ダンケルク」(2017年、英・仏・米、クリストファー・ノーラン監督)を観た。昨年、中西輝政教授の「大英帝国衰亡史」を読んで、このダンケルク撤退作戦のことが書いてあり、印象に残っていたのでその具体的なイメージをつかむのも有意義だと思って選んでみた。

ダンケルク撤退は第2次大戦のヨーロッパ大陸での戦闘でドイツ軍の攻撃に連合国軍が敗退を続けてついにフランス沿岸のダンケルクの砂浜に追い詰められた時、チャーチルのイギリスが決死の撤退作戦をたて見事に成功した大撤退劇だ。これにより英軍や英国民の士気が大いに上がり勝利に結びついた。脱出した兵士の数は30万人と言われているが信じられない数だ。奇跡的な成功といわれる。中西先生の本では、あまりに成功があざやかだったので、ヒトラーが和平への道と閉ざさないためにわざと見逃したのではないかという説がある、と解説しているが、そんな気もする。

映画は実際のダンケルクでも行われたので非常にイメージがわきやすい、映画の冒頭のダンケルクの砂浜に撤退する兵士たちが列をなして船の到着を待っているシーンは本当にこんな感じだったのだろうな、と思わざるを得ないようなよくできたものだ。6000人ものエキストラを動員して撮影したそうだ。

ストーリーはこの脱出劇を陸・海・空の3つの立場から同時進行で描いたもので、せりふがほとんどなく、場面の描写のリアルさで勝負している。この作戦では民間の商業目的の船も徴用して、これらの小型船たちがダンケルクの海岸に大挙して押し寄せ、救出に当るという本当に信じられないことが行われ、成功した。そのうちの1つの船に焦点を当てて映画は作られていた。ドーバー海峡は狭く、距離が短かったことなどの要因があり成功したのだろうが、ドイツ側もこんなことをやるわけないと油断があったのか。

この小型船がドイツ戦闘機に襲われる危機的な状況の描写が少ないことや、ドイツ機の攻撃から守る役割のスピット・ファイヤー英空軍機のたった3機に焦点を当てたこと、そのうちの最後の1機が最後エンジンが止まっていてもダンケルクの海岸でドイツ戦闘機を打ち落とし砂浜に着陸すところなど、非現実的なところもあるけど、娯楽映画と割切って、本で読むだけでなく、映像で具体的な戦闘のイメージをつかむという今回の目的は十分に達成できたと思った。


「牡蠣のだし!海鮮ズンドォブ」(相模屋)を食べる

2023年03月14日 | グルメ

テレビで取り上げられていた豆腐の相模屋の「牡蠣のだし、海鮮ズンドォブ」を食べてみた。1人前がひとパックに入っており、豆腐売場に置いてあった。値段は220円だった。

相模屋というのは豆腐屋だがいまの社長になってから新規の商人開発に熱心に取組み、次々と豆腐を使った関連商品を開発してヒットしているとのこと。このズンドォブもその一つ。

パックを開けるとプラスチックの黒い容器と丸い豆腐のビニールパック、牡蠣のタレが入っており、先ず豆腐を黒い容器に入れ、その上にタレをかける、その後、そのままラップをせずにレンジに入れて3分でできあがり。写真の右側ができあがり。

これを見て「あれっ」と思わない人はいないであろう。パックの写真とあまりにもできあがりが違う。牡蠣は入っていないし、パックの写真の左側の白いものは豆腐なのか、でも出来上がりと形が全く違う、まあ、220円で牡蠣まで入っているわけないか、と思って食べた。辛口と書いてあるがそれほど辛くない、味は確かに牡蠣の風味がしておいしい。だが、なんとなく釈然としない。同じシリーズのチーズグラタンはパックに「チーズは入っていません」とちゃんと書いてあるのに、こちらは何も書いていない。

と、文句も言いたくなるが、アイディアはよいので、良いものを作ってくれましたと、最後はお礼を言って終わろう。ちなみに下の写真は別の日に作った同じ商品に貝と刻みネギをトッピングしたもの。


演劇「リチャード三世」を観る

2023年03月13日 | 演劇

BSテレビで放映された「リチャード三世」を録画して観た。この放送は再放送で自分も2度目の鑑賞である。2017年の池袋芸術劇場での公演。

作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:木下順二(2006年、92才没)
演出・上演台本:シルヴィウ・プルカレーテ(ルーマニア、72)

演出家のプルカレーテは演劇界を代表する演出家だそうだが、演劇初心者の自分は知らなかった、日本でも佐々木蔵之介の出演する劇などの演出を多く手がけているようだ。この作品では斬新な演出と音楽、美術、衣装に新たなアイディアが盛り込まれていると説明されている。番組のインタビューで彼は、この作品は人間の本性に関わる事柄「悪徳」というものを描いている、彼は佐々木に対して毎回シチュエーションやシーンに対する解釈の提案をし、佐々木はそれを正確に理解しようとしただけ、と述べている。あれこれを、どう演じるべきかとは決して言わなかった、様々なシチュエーションのメカニズムを説明しただけと説明している

あらすじは、エドワード四世の治世が出現したが、弟で、せむしでびっこのグロスター公(後のリチャード三世)はその王位を奪うために兄、エドワードとその子ども、前王の子どもらを次々と死に追いやり、殺し、ついに王位を簒奪する。が、配下のバッキンガム公や身内の呪い、復讐により破滅する。新潮文庫のリチャード三世の翻訳を手がけた福田恆存氏の解説によれば、この劇は歴史劇であり、復讐劇であるが単なる復讐劇ではない、呪いの儀式である、自分だけは運命の手から逃れていると誰よりもそう思っていたチリャード、他人の運命も操れると思っていたリチャードが最後に最も完璧に自己の破滅を通して運命の存在証明になる、としている

観ての感想を述べてみよう

  • プルカレーテの演出であるが、サクスフォンを吹く人が舞台に出て演奏したり、マイクや拡声器を使ったり、出演者に結構派手目の化粧をしたりと奇想天外なところがあるが一線は越えていないように思う、また、これは最近の演劇の傾向なのかもしれないが、場面の説明について代書人が進行役・説明役になったり、アナウンスがト書きのように流れたりしていた、福田氏の説明だと場面の説明も通常のせりふの中で行うことが昔の演劇では当たり前であったので役者は結構せりふに苦労したが、現代はその点が昔とは変ったのか
  • 上演台本もプルカレーテだが、シェイクスピアの原作(福田氏訳)では最後にリチャード三世がリッチモンド公などとの戦いで戦死となっているが、この上演台本ではピストルを渡されて自死するとなっていた、それはどうしてか、わからなかった
  • プルカレーテのインタビューを聞くと、彼の演出スタンスは福田氏が批判しているところの「演出家中心主義」ではないことがわかるが、福田氏が重視していた「演劇はせりふがすべて」という点では、肝心のせりふが聞きとりづらいところが多かったのは残念だ、これは福田氏が指摘するように海外ものの翻訳のせいかもしれない、これが海外物の難しさかもしれない、オペラでは原語上演+字幕が多いが、演劇の場合にはそれが難しいのかもしれない。日本語上演だが、わかりにくい部分だけ字幕をつけるという対応もあると思うが如何であろうか(確か先日観た「天国と地獄」がそうだったらしい)。また、プルカレーテも日本語がわからないので、この大事なせりふということについてどういう指示を出していたのか、出せたのか、知りたいところだ。
  • この劇の翻訳は木下順二氏(1914年~2006年、92才没)である。ウィキペディアで調べてみると、劇作家、評論家であり、東京帝大文学部英文科ではシェイクスピアを専攻、シェイクスピア翻訳をライフワークにしていた、著名な進歩的文化人であり日本共産党のシンパ、日本芸術院会員・東京都名誉都民に選ばれたが辞退した、国家的名誉は受けないとの考え。ガチガチの左派だ。著作や業績を見ると演劇界、言論界の大御所といったところだ。
  • 同じシェークスピア翻訳家でも先日読んだ「演劇論」の著者の福田恆存氏(1912年~1994年、82才没)は木下氏とは正反対の政治的スタンスの人だから面白い。シェークスピアの翻訳はこのほか松尾和子氏なども含めていろんな人が手がけているが福田氏は「演劇入門」で「翻訳上演となれば、その翻訳が重大な問題になるはずだが、それは完全に無視された、誤訳、拙訳が大手を振ってまかり通ったのである、それは今でも変わりない」と述べている、翻訳家の小田島雄志氏のマクベスの翻訳を例にとり、「英文和訳に近い説明的な文章としか言い様がなく、マクベス夫人の緊張と興奮を伝えていない」と批判を加えている。福田氏が指摘する誤訳、拙訳の対象に木下氏が入っているのかどうかは名指ししていないのでわからないが、存命中、大御所同士の対談などがあったのか、そうだったら是非聞いてみたいものだ。
  • ところで、翻訳劇の場合、誰の翻訳を使うのかを誰が決めるのだろう。

 

主な出演

佐々木蔵之介(リチャード3世)
手塚とおる (アン夫人)
今井朋彦 (マーガレット)
植本純米(エリザベス)
長谷川朝晴 (クラレンス公ジョージ)
山中崇(バッキンガム公)
阿南健治(エドワード4世)
壤晴彦(ヨーク公夫人)
渡辺美佐子(代書人)


「チョン・キョンファ バイオリン・リサイタル」を聴く

2023年03月13日 | クラシック音楽

BS放送で「チョン・キョンファ バイオリン・リサイタル」を放映していたので録画して観た。2回連続の放送で合計2時間である。リサイタルは2018年6月5日、東京オペラシティーコンサートホールでのもの。

チョン・キョンファは1948年韓国生まれの75才、弟のチョン・ミンフンは指揮者・ピアニストであり、姉のチョン・ミュンファはチェリストだ。12才でアメリカのジュリアード音楽院に留学をしイヴァン・ガラミアンに師事、また後にヨーロッパではヨゼフ・シゲティの薫陶を受けた。1967年にレーヴェントリット国際コンクールで優勝した。2005年に指のけがにより長期療養し、2010年に復帰した。演奏できない時期に彼女の救いとなったのはバッハの音楽だと番組では説明していた。ショパンコンクール最高位のピアニスト、ケヴィン・ケナーとは2011年以来共演を続けている。

曲目は、

ヴォカリーズ(ラフマニノフ作曲)
シャコンヌ(バッハ作曲)
バイオリン・ソナタ(フランク作曲)

ハイオリンソナタ第1番(フォーレ作曲)
バイオリン・ソナタ第3番(ブラームス作曲)

(アンコール) 美しい夕暮れ(ドビュッシー作曲、ハイフェッツ編曲)

キョンファは演奏中、ときおり笑顔を見せるようなことが何回かあり、楽しんで演奏している感じだった。リサイタル当時は70才であるが立ちながら演奏できるのはたいしたものである。

今回演奏された曲では、フランクのバイオリン・ソナタを注目した。この曲はクラシック倶楽部に出てくる演奏家によって頻繁に演奏されている曲だから自然と覚えた。結構人気のある曲なのだろう。フランクはベルギーの作曲家・オルガニストで1886年にこの曲を作曲した、バイオリン・ソナタとなっているが内容的にはピアノはバイオリンの伴奏ではなくバイオリンとピアノの二重奏曲だ。フランクが同郷の後輩のバイオリニストのイザイの結婚祝いのために作曲して、献呈されたもの、初演はイザイによってブリュッセルで行われた。最後の第4楽章が好きだ。バイオリンとピアノのかけ合いのような演奏がとてもよい。

さて、演奏中気づいた事項を2つ記しておこう

  1. フォーレのバイオリン・ソナタの演奏で第1楽章が終わったとき、拍手が起こった。別にこれはかまわないことなのだが非常にめずらしい、他では確か1回しか見たことがない
  2. ピアノのケヴィン・ケナーの前には大きめのタブレッドが置いてあり、そこに楽譜が写されていた。そして、紙の楽譜の場合と同様、斜め後ろに何かデバイスを持った女性が控えており、タブレットの画面のページをめくっていた(と思われる)。他の例ではピアニストがスワイプしていることもあるが、後ろに係の人が控えている方式は初めて見た。観客が見えないところでできないのだろうか。

ピアノ・リサイタルでオペラシティーのコンサートホールを埋める集客力があるというのはたいしたものだ。知名度もある人気なのバイオリニストだろう。いつまでも現役で頑張ってもらいたい。


「サロン ド カフェよしだ」でケーキセット

2023年03月12日 | カフェ・喫茶店

ゴルフの帰りに、谷和原インター近くの「サロンドカフェよしだ」に寄った。アド街に出ていたので知った。

建物の中は広々としており、ゆっくりくつろげる雰囲気だ。ケーキと飲み物のセットで確か1,000円弱だったがたのんだ。昼時はランチのメニューもあるようだ。一人で来てもゆっくり読書でもできる感じで静かな雰囲気である。まさにサロンという感じのイメージにぴったりだ。

ゆっくり休んでくつろぎました。ごちそう様でした。ケーキの写真は撮るのを失念した。