3RD EYE STUDiOS
街角の映像制作下請け零細業者のブログ




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

これは文章で説明するのは非常に難しい。レンズが捉える被写体を立体的に把握し3Dデータ化。その3Dモデルと、算出されたフォーカス距離を同じ画面にリアルタイム表示し、フォーカス合わせを正確に行える全く新しい機械。って文章で書いても全く分からない。それくらい新しい機械とも言える。そしてコンセプトだけでなく、ほぼ実現化しているのに驚いた。KinectやらLeap Motionなどを考えると、もう、こういうのが出てくるのは間近だろうとは思っていたのだが、これほど早くとは。僕としてはこの技術を3Dトラッキングやロトスコープなど、VFXに利用できないかと思うのだが、そういうのももうすぐだろう。映像制作はどこに向うのだろう?

 


被写体との距離を測ってマーカー打って、、変わらぬ作業

 



Show-Focusのコンセプト

Focus Pullingってふと日本語でなんというんだ?と考えてしまった。フォーカス合わせ?なんだろう?とにかく、伝統的なフォーカスの合わせ方といえば、役者の立ち位置をマーキング、フォローフォーカスにマーカーをつける、役者の動きに合わせてフォローフォーカスをマーカーのとおりに動かす、というのが定番だ。いつまでたっても無線だなんだと技術が進んでもこのことは変わらない。

が、その仕事のしかたを根底から変えてしまうかも知れない新しい技術が生まれようとしている。それがShow-Focusだ。とにかくこのコンセプト映像を見ていただきたい。

ShowFocus Concept (Vimeo)

 

Show-Focusはカメラの下に装着されるカメラモジュールとフォーカスプラーが持つコントローラーの2つのデバイスから成り立つ。そして、カメラモジュールは3つのパーツで構成される。1つはTime of Flight=TOFカメラ。2つめはコントローラーと無線で接続するセントラル・ユニット。3つめはフォーカスを動かすサーボモーターとギア。


上記動画より。カメラモジュールは3つのユニットで構成される。

 



TOFカメラって何だ?

TOFカメラ、、、僕は全く知りませんでした。無知すぎる orz

TOF=Time of Flightとは光の飛行時間という意味。被写体から届く光の飛行時間の差を利用して、2次元画像を立体的に捉える技術らしい。オプテックス株式会社のページにTOFカメラの技術の概要が一瞬で分かる解説が書いてあった。オプテックスさんありがとう!!

 

3次元距離画像技術 (オプテックス株式会社さんのホームページより)


この技術を利用したカメラがMESA Imagingという会社のSwissRanger™ SR4000で、Show-Focusに使われているのはこれ。なんと6年も前の2008年に発売された世界初のTOFカメラらしい。いま見たばかりなのでどうやって使えるのかは全く分からないがお値段を調べたところ4,300ドルとのこと。これが高いのか安いのかは分からん。

TOFカメラなんて知らんわ!と逆切れ。SR4000。誰か買って。

 

このTOFカメラを使って3D情報をメタデータとして記録すれば、僕の願いである3Dトラッキング、距離情報を使ったロトスコープの自動化が簡単にできるんじゃないか?もうやってるのかなあ。。。。

 



Show-Focus実現化へ向けて

ということはつまりこのShow-Focusは既存の技術を組み合わせたいわゆる「枯れた技術の水平思考」ってやつだ。いや全くすごい。Show-Focusのホームページを見ていただければ分かるが既にプロトタイプは出来上がっている。テストも終わっており、今は商品化に向けて「メジャーな撮影機材メーカー」と話し合っているそうだ。どこだろう?

 

ShowFocus Test (Vimeo)

 

このShow-Focusを考案したのはGuillaume Coucheさんというロイヤル・カレッジ・オブ・アートの学生さん。え?学生?と思ってロイヤル・カレッジ・オブ・アートを調べたら、たぶん天才しか入れないねこの大学。orz 英国王立美術大学ってかっこよすぎる。。。掃除機のジェイムズ・ダイソンが学長なのだとか。

 

Coucheさん

Coucheさんいわく「撮影技術のいろんなことが時とともに進化しているのに、Focus Pullingだけは映像制作の歴史の黎明期からほぼ変わっていない。そして、いまだにフォーカス合わせは大変で、少人数のクルーや、トリッキーなショットでは難しいことである。」それを変えられないかと思って作ったのがこのShow-Focusだそうだ。

そのほかの発明品を見てもほんと凄すぎてもうなんというか歴史に名前を残しそうな人です、ほんと。


 



※追記(2014.1.30)

こちらにKinectとTOFの違いが解説されてました。

コンピュータビジョンのセカイ - 今そこにあるミライ 61 Kinectセンサの動作原理を読み解く

この記事の65ページ目にこんなものが紹介されてた。すごい。現実世界の物体を3Dスキャニングして3Dモデルに。3DCGのモデリング技術が要らなくなりますね。

 

Structure Sensor Kickstarter Video - Occipital

 

Structure Sensor Offers 3D Scanning For iPad

 



コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする



« MōVI起動への... まさかのシス... »
 
コメント
 
 
 
Unknown (muu)
2014-01-30 10:23:46
CanonのDualPixel機ってこういう装置なしで原理的には全ての撮影画像にDepth map付けられるんですよね。応用してくんないですかねえといつも思ってるんですがw

ちなみにRCAはそんなすごくもないですよ。自分の周りにもいっぱい、、。
 
 
 
RCA (3RD EYE(管理人))
2014-01-30 11:45:14
muuさん

そうなんですか!名前に騙された??でもその周りにいる人達が超優秀というオチでは!!??(笑

いずれにしてもこの空間把握の技術は車の自動運転とかもそうだしもうなんかそこまで来てますねえ。

ただこれ見て最初に思ったのは「ここまで出来て結局フォーカスは手で合わせるのかよ!」という。それよりベタフォーカスで撮って例のLytroみたいに後でボカしたいとこぼかしたほうがよくね??と。。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。