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街角の映像制作下請け零細業者のブログ




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さていったいなぜDSLR用音声入力ボックスなんか作ったのか。これは僕がどういう録音の配線をしているかを説明すれば一目瞭然だ。似た商品はいくつかあるんだが、どれも帯に短し襷に長し、そもそもこの手の製品は部品の値段の安さの割に高すぎ、というのがあったのと、こういうのの専門家が我が家にいたからだ。

そもそもは、ショットガンマイクの音をDSLRにも入れたい、ということから始まっている。ショットガンマイクはほぼファンタム電源供給タイプのものが主流で、バッテリタイプのものは数えるほどしかない。なので必然的に電源供給する機器が必要となる。それが前回書いたフィールドミキサー。

さらにPart1で書いた通り音声を収録する撮影では、よっぽど予算がなくて質を問わないってことでない限り、音声さんをハショることはやらない。

なので基本、録音と僕の2名体制となる。録音自体はたいていZOOM H4nをレコーダーとして使う。DR-100はサブとして現場に持って行く。DR-100を使わないのは僕のはMKIIではないのでXLRはライン入力ができないからだ。ほんと残念な仕様のものを買ってしまった。

さてその2名体制は図で表すとこうなる。


まあ、ものすごくシンプルな構成で何も迷うことはない。が、これだと音声とカメラの位置が離れてしまってまったく違う音を録音してしまった場合、同期が鬼のように大変なのだ。っていうか絶対できない場合もある。


こんなふうに被写体にワイヤレスでマイクを仕込んだ場合、特に外ロケだとカメラマイクにはワイヤレスが拾っている音は全く入らない可能性もある。そうするとお手上げだ。波形は全く違うので絵を見ながらリップで同期させるという命がけの作業が待っている。

しかもたいてい音声は回しっぱなしで、動画は必要なカットしか撮らないので、絵音のファイル数もバラバラ。もうわけわかんなくなる。なのでなんとかこの状態を保ちつつ、音声レコーダーと同じ音をDSLRにも入れたいと考えた。

そのためには単純にフィールドミキサーとカメラを有線もしくはワイヤレスでつなげばいい。



この図のようになる。簡単な話なのだがなかなかこれがロケで実用的にはできないんですよ、、、いい感じのケーブルもミキサーボックスもぜんぜんない。。BeachTek系のオーディオボックスの購入も考えたんだけど、あれつけるとリグが何にもつかなくなるし、基本手持ちでは使いづらい。。つーかデカい!もっと小さいの作って!

DSLR 2chオーディオミキサーDXA-2T
大きさはこれが一番手頃だったんでほとんど買う寸前までいったオーディオボックス。ミキサーって名前がついてるけど、そんな大それた機能はなく単に音量調整ができるつまみがついてるってくらい。残念ながら在庫がなくてあきらめたんだけどまあ買わなくてよかった。これでファンタム電源供給ができてれば間違いなく買ってたんだけどね。ただこれもちょっと僕がイメージするより大きいんだよなあ。。でも良い商品だと思います。後継で小さくなることを期待!


ってわけです。思うような商品がなかった。そこで自作するしかない!と、最初に作ったのは2chを分岐させる単純なケーブルだった。ほんとこんな単純なものなんだけど、探すとなると全然ない。L型でメスのXLR、ミニピンと分岐させる、、、作るしかない。


邪魔にならない細いケーブルで作る。ステレオミニピンをXLRメスとモノミニピンに分岐させただけの単純な構造。



カメラ側は当然L型。意外にないんですよ、こういうケーブル。



マイク側。XLRがメスっていうのも少ない。そしてケーブルの長さは30cmなんだけどこの長さもない。


このケーブルで気になったのは、プラグインパワーの問題。ミニピンジャックにマイクを刺した時にマイクに電池を入れなくてもカメラからパワー供給をするタイプがあり、便利なんだけどノイズが乗りやすいという問題がある。その場合、プラグインパワーをカットする機能がこの手のミキサーにはたいていついている。5D Mark IIに関して明確な表記がなかったのでとりあえず試してみたところ、そのような問題が起こっているとは思えない。Kiss X5も同様に問題なく使えるクリアな音が録音できた。素晴らしい!問題は7Dで、まああいつはもう動画用カメラとしては失格だと思ってるんでカメラの台数が足りない時以外は使う気はほぼないんだけど、オーディオのマニュアル設定ができないせいか、結構問題アリな音しか録音できなかった。

ただこのケーブルはリグに巻きつけて固定しないことには使えない。いつもリグを使っているわけではないので、リグなしでも使えるもっと手軽にカメラの頭につけるようなボックス型があるといいなあと思って作ってみたのが例のこれ。


Rの方には3種類の入力を用意してどんなマイクにも対応できるようにした。



当然DSLRに親和性が高いようにシューアダプタを上下につける。市販のものを探してきた。薄いタイプがなかなかない!


こんなふうにカメラの頭につける。BOXの上のシューに別のマイクもつけられる。

というわけでいまの僕のロケは相当良好に音が録れる体制ができている。Mark IIIはヘッドフォンジャックが付いているのでワンマンオペレーションの体制も今後追い求めてみたい。




※追記(2012.3.9)
書き忘れてた。同じ音をDSLRに突っ込む理由の一つにバックアップ用途も多大にある。

というのは音声ファイルをICレコーダーだけに任せてしまうのは怖いからだ。どんなに一所懸命撮っても音がないと撮った意味がないという撮影で、たかだかICレコーダーにすべての運命を託すのはどうだろう?僕がICレコーダーを2台持っている理由は4chまで録音できるということのほかに、現場で壊れたときのバックアップ要員としての役割もあるし、音のデータを2か所以上に残す理由も同じだ。

ICレコーダーのバッテリがいきなり落ちたり、収録中にSDカードがいっぱいになったり、単に録音部さんが回し忘れてたり、、、様々な理由でバックアップはあったほうがいい。

また後日音声ファイルだけ紛失してしまうという怖さもある。失くしてはいけないデータが増えれば増えるほど、失くす危険は増す。音声ってちょっとおろそかにされてしまいがちなんだよね。。。。そのときに、多少S/Nが悪くても本線の映像に同じ音が残っているのは心強い。

とにかくファイルベースは怖い!!!のだ。




おまけ。

実はこのオーディオボックスを作ったのはウチの77歳になるおやっさん。本業は京都で寺の住職。もう隠居してるけど。相当なオーディオマニアで寺の2階が大変なことになっているんです。なかには戦前のドイツ製(つまりハーケンクロイツの刻印入り)の真空管もあるのだとか。すっげー高いって。


制作途中のオーディオボックス。横にあるのはフランス製の真空管らしい。



TANNOYのスピーカーの上に乗ってる真空管アンプ群。値打ちはよく分からん。



作業中のウチのおやっさん。しょーもないもん頼むからお参りを忘れる!と母親が怒ってた。


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