前回のエントリを書いてからふと思ったのはレコードやカセットと同じように、フィルムという言葉がいつフェードアウトしていくかということ。写真をいまどきフィルムで撮影する人はいないだろう。映画も邦画はほぼゼロだと認識してるし、ハリウッドでもIMAXなど特殊な事情を除けば監督がどうしてもといわない限りデジタル化が相当進んでいると思われる。思えばフランス映画のヴィドックが世界初のフルデジタル長編映画として発表されたのが2001年。。。来るところまで来たな、と。。「フィルムルック」という言葉、僕らにはまだ意味があるけど、これから映像を作ろうって人にとって「フィルムがそもそもわからない」という時代なのだろう。これを乗り超えていくとどこにいくのかの考察は、なんとなくぼんやりと思うことはあるけど、それはまたこんど。とにかく今はまだ「フィルムに似せる」ということに意味があるこのソフトの紹介。
どのフィルムを選ぶか!必見サイト
このソフトを使い始めてから、最も僕が「使ってよかった!」と思ったのは「フィルムによってこんなに色が違うのか!!!!」を知ることができた。これ、富士フイルムさんにまだフィルムの技術者は残ってらっしゃるはずで、こうすれば色がこうなるみたいな話をデジタルの今だからこそ聞きに行きたい、、と思った。
そしてデジタルでどうやってそのフィルム時代に追及した「あの質感」をどう再現するのか。。。興味深い。。
で、、、、、
実際このソフトを使う僕らは結局は見た目で判断することになるのだが、僕が最近「へーーー」と感心して見てるのはこのサイト。
ShotOnWhat?(BETA)
どの映画でどのカメラ、どのフィルム、どの音声機材、どのVFX会社がポストプロダクションをし、どの編集ソフトを使い、、、などなど、映画に使われた映像機材やソフトなどをデータベース化してくれている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/ec/adf18b9f5b31f5c698a37603bba0f704.jpg)
このサイトみたとき「野球がなぜアメリカで人気があるか」を思い出した。メジャーリーグの「データ」をどれだけ知っているかというのがアメリカで自慢話になるって、トム・ハンクスの映画でもあったが、なぜ映像文化ってアメリカでこそ深化したか、アメリカ人って世界一オタクだ、、、なんかいろんなことを思った。。。。
ここを見れば「この映画のルック好きだな」という映画があれば、どのフィルムで撮られているか検索できるので、それをもとにFilmconvertでプリセットを選んでみるのもオモシロイかもしれない。といっても5つしかプリセットないけど。
ちなみに「Editing Systems」の項目でSony Vegasで編集されている映画ってあるのかな、と思ったらなんとフィンチャー監督の「ドラゴン・タトゥーの女」に使われてたと!へ~~~~~
ほんと映像業者に関わらず「へ~~~~~~」と思うこと満載のサイトなのでぜひご覧あれ。
カラーホイールとレベルメーター
AEでは重複するエフェクトはできるだけ1つで済ませる、というのは鉄則。Filmconvertの場合、単にフィルムルックをエミュレートするだけなので、厳密な意味での「カラコレソフト」ではない。「フィルムで撮った素材」に変換してくれるだけと考え、カラコレ/グレーディング自体は他のエフェクトやプラグインでやることになる。
なのだが、Filmconvertのバージョン2以上にはカラーホイールとレベルメーターがついて多少のカラーコレクションができる。このカラーホイールとレベルメーターがなんか使いやすい。なのでたいていのことはこれでやっちゃうようになってしまった。
Color Finesseはインターフェースが別だてなのでメンドイし、レベルメーターがRGBが分かれてるのが僕にはムズイ。一時期よく使ってたけど最近めっきり、、、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/fd/1c128405686766f98f38aa233980d6eb.jpg)
Coloristaは数値が出てくるんで便利なんだけど、レベルメーターがないのでこれまた片手落ち。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/17/c85b447dbaf2e49692fb999cbe88ed7e.jpg)
Filmconvertのカラコレ機能はわりと痒いところに手が届いてくれて、「これでええやん」「これ便利やん」というのが僕の結論。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/ef/a8219b5b266e766c553c72c71fd08d4c.jpg)
そうは言ってもカラコレソフトではないので基本的には「フィルムルックの撮影素材を作る」だけなのだ、というのは念頭に置いておいた方がいいと思う。
フィルムカラーだけ、グレインだけ
フィルムルックを再現したい!といっても、実際に仕事では色鮮やかでグレインのないすっきりとした映像が好まれることが多い。そうなるとこのFilmconvertの出番はなくなるのだが、例えば、「色だけフィルムっぽくしたいがグレインはいらない」「色はEOS標準がいいんだけどグレインだけ足してちょっとだけフィルム風味がほしい」ということもできる。
それがここ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/e8/36639925ded120dfc0c08063bd41c6f4.jpg)
やっぱりプリセットなので色が求める色にならないことがあり、逆に「やりすぎ」に思うこともある。ここで、「過剰なフィルムルック」を補正していく。
CGにフィルムルック
撮影素材もそうだけど、CGにフィルムルックを追加したいときもFilmconvertは使える。
僕のやり方は、まず最初にAdjustment Layerを作って一番上に置いてFilmconvertを当てる。撮影素材ではないのでカメラはデフォルトのままにする。で、それを前提にグラフィックを作っていく、という手順。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/72/38ff3e1051b5432fac9c55b00653ea32.jpg)
なぜなら最後にFilmconvertを当てると思った色にならないことが多く、そこから色調整をするのも大変だからだ。最初からFilmconvertがある状態にしておくと色調整の手間が省ける。あるいはグレインだけにするとか。
バンディング対策のグレイン
フィルムルックを作るのもそうだけどカラーバンディングを防ぐのもこのFilmconvertは有用だ。グレーの壁や青空を撮るとカラーバンディングが起こりやすいが、このカラーバンディングを消すのはグレインを追加する、、、というのはフォトショでも使われる一般的なテク。
↑このフォトショ・チュートリアルをご覧いただければ分かるが、バンディングにはグレイン!!!!これはファイナルアンサー。僕は、Technicolor Cinestyleで起こったバンディングに困ってこの手法を知った。そのCinestyleでめっちゃ困ったときに書いたブログ記事。このときはまだバンディングにはグレイン、、を知らなかった。。。たどり着くまで苦労しました。。。
After Effectsでもフォトショと同じ。例えばカラーカーブというエフェクトのグラデーションは最終出力でバンディングが起きる可能性が高い。困ったことありません?
その際、バンディングを防ぐために通常Add Grainを使うのが一般的。なのですが前回書いた通りAdd Grain重いしイヤなんです。。そこでこのFilmconvertを使うと軽く、しかもオーガニックなグレインを当てられる。ぜひお試しを。
バンディングをグレインで消すチュートリアルはネットでいっぱい転がってるが、僕は最近見たこれが最も分かりやすかった。必見。
Cinema4Dの教祖、Greyscalegorillaのニックも、珍しくAEのチュートリアルをUPしてる。彼はAdd Grainを使用。
というわけで長くなったので2回にわたってご紹介したFilmconvertのエントリー。僕にとってはgrainがとにかく軽くて今となっては欠かせないプラグインとなった。
最後にFilmconvertを購入するにあたってCinema5Dさんかブルーム師匠のサイトにいけばプロモーションコードがあって安く購入できます。
しかしながら自分とこもまったく同じなんですが、AEネタより機材ネタが断然アクセス多いですね^^; おそらくAEネタとかって、多少考えさせる事になるからなんですかね?機材ネタは非常に分かり易いですし、あまり考えないで物欲だけで読めますし。
自分がAE始めた頃はDIGIEFFECTS社のCINELOOKなんてプラグインがありました。EKやFUJI、AGFAのプリセットが一式そろっていて当時は眉唾物でしたが、かなりレンダが重かった記憶が^^;
グレインによるバンディング制御はウチらには定番ですね^^ ディザとも言いますし、カラーカーブ(今ではグラデーション?)にも標準で付いてます。16bitのプロジェクトに無理矢理8bitのノイズHSLを調整レイヤーでかけてデバンドする事もあります(特にオプティカルフレアーなどバンド出易いコンポ等)
前から思ってたんですけど、やはりCINESTYLEのデバンドにも有効だったんですね。ただ中間がベタってなるので、もはや使ってないのですが^^;
あざす!
いやー、海外には名だたるチュートリアルサイトがあって、みんな情報共有と切磋琢磨すごいですよね。そしてそうやって自分のテクを公開することが、きちんと利益につながるという映像文化がうらやましいデス。
Filmconvertに関してはEOSHDやブルーム師匠のサイトでそれこそ作例もいっぱいあって僕なんか本来出る幕ないんですが、まーーええかーと思って書いてみたんですが、コメントいただいてめっちゃうれしいです!
AEネタという意味では、僕なんかは超絶モーショングラフィックデザイナーさんのスゴテクなんかと月とスッポンでもうなんというか、すみません、、、という感じなんですが、たまーーに「これ誰も書いてないよね?」というニッチを書いてるって感じです。。。
僕がPlexusの記事なんて書いてもしゃーないと思うし(笑 Mochaの記事書いた時なんてビクビクでした。。。
いやあでもAfter Effectsは楽しいデス。僕の映像制作のほぼほぼ基本です。。ファインダーのぞいてるときも演出してるときもAEのレイヤーが思い浮かびますし。。。
これからもよろしくです!!!
自分はMBのColorSuite系が好きで、特にColoristaはキーヤーが使い易く、正直Resolveよりいい結果が出ます(あくまで個人的な使用感)
ただ、今回のレビューを読んで、Filmconvertにとても興味持ちました。参考にさせていただきますm(__)m
僕もいちどフリー版のResolveをDLしてみたんですが、僕のワークフロー的にどうしてもResolveが入る余地がないというか、何工程か追加になってしまうため、「だったらAE内でやるよ」という結論に達しました。
結局、ちょっとしたカットでもバレ消しやら、色味調整やら、AEのマスク機能、Timeremapが必要なので、そのあとResolveに持って行って、、、とか僕レベルの仕事だとちょっとやってられない。
Resolveってそうやってあがってきた合成やらCG処理済みのカットを、さらにもうひと手間カラコレして全体のトーンで物語を作っていくっていうソフトだと認識しているので、ほんとカラリスタさんのためのソフトだと思っています。
なので僕のソフトじゃないなー、、、という。
たぶん長編映画とかだと少なくとも500カット、最近だと3000カットとかを総合的にカラコレしていくソフト、、、なんですよね。確かにそれをAEでやるのは難しいですが、、、
Filmconvertは、用途的にはさらにその前段階の、ビデオをあたかもフィルムで撮ったかのような素材に変える、、、ソフトなので、またちょっと違う面があるんで、ダヴィンチにも親和性があると思いますよ。
LooksやColoristaにもFilmconvertのようなカメラと撮影時の設定ごとのLUTのプリセットがあると嬉しいんですが、、、なにかご存知ないですか??
特にPrもCC2014からマスクトラック付きましたし、Resolveほど高速ではないですが自分には必要十分です。そしてAEに関してはエフェクト内マスクが作れるようになったのでもはやResolveにそこまでの未練はありません。コレ、AdobeがResolveの存在を意識したかのようなVerアップっすね^^;
MB用FilmエミュのLUT知らないです。^^; ただあったとしても、果たしてどれだけオリジナルのFilm画質に近くなるかは懐疑的ですが‥
でもこの手のソフトってそこ重要じゃないかもです‥まず往年のFilmプリセットの名前が出てくる所に萌える訳でw
自然で軽いグレインはいいですね!自分も余裕あったらPr用プラグインを検討したいです。情報ありがとうございますm(_ _)m
あ、誤解を招くような書き方してすみません。。。。(汗
Filmエミュレーターというより、例えばLooksのプリセットってたぶんだいたいLogとかスーパーフラットで撮ったものを前提にプリセットが作られていると思うんですが、たまにカメラ標準の色で撮った素材にLooksのプリセット(例えばBlockbusterとか)を当てると全然もうどうしようもない色になっちゃったりするじゃないですか。
あれをもうちょっと簡単に、極端な例でいうと「EOSの風景ピクチャースタイルで撮ったときにLooksのBlockbusterあててもちゃんとした絵になる」、、、的なことです。
Filmconvertはその点、カメラパックがあるのでそのカメラパックの範囲だときちんとした色になるんですよね。
LUT Buddyがそういうプラグインなのかなと思ったら違うし、、、
ただまあLooksの場合は、プリセットをまんま使うってことは絶対ないですけどね~
話の件は理解していますよ^^
要するにFilmconvertのような、各々のカメラのPPの最適化プリセットが、って事ですよね?
最初からある程度コントラストが付いている画にLooksかけても(種類によっては)黒が沈みハイキーがぶっとぶだけですしね^^;
Looksのプリセットの中にそれが実装されたら、とても楽ですね^^ 最低限、各メーカーのシネカメラのLowやlogのプリセットが出てきたら、とってもステキなんですが‥。
LUT Buddyで逆ガンマ当てるがごとく、各プリセットに対しての最適化LUTを作るなんて現実的ではないですし、まぁ、無いでしょう‥。
(Looksのプリセットだけで、うんざりするほどありますしね~)
例えば、逆のアプローチで、GH4のCINE LIKE Dを基本にした、自分がよく使うLooksプリセット用のPPをGH4内に作るとか?^^;
フィルムエミュの話からは脱線して、いつの間にかLooks最適化の話になってしまいましたが‥^^;
うちでもお盆の通り雨と蝉しぐれ、、です。。
見た目でプリセット選んでってそこからカスタマイズして、、ってやるのが基本だと思うんですが、1カットならいいんですけど、複数カットになってくるとだんだんわけわかんなくなってきて、そこに違うカメラの素材とかが混じってくるともうグチャグチャになるんで、、、
1本のドラマで1カメ1セッティングというのが理想ですが、僕の仕事だとそんなことほとんどなく、いろんなカメラのいろんなセッティングのものが入り混じるんで、、、
まあLooksのプリセットって分かりやすいように極端に作ってありますからね~
それはそうと、そういう意味ではFilmconvertのそれほど極端でない微妙なフィルム風味は、僕の仕事ではNGくらいにくいんでいいかもーと最近思い始めてます(笑
フィルムの仕上がりをデジタルカメラで得たいというのは写真では当初からの野望であっていまだ業界では達成されていません。フジは自社のカメラにフィルムプリセットを入れる際に、銀塩のシミュレーター的なことはやらず、デジタルで得られるRAWデータの良さを生かす方向でという姿勢にしたようです。
一方でまんまシミュレーターを目指したDxO FilmPackというプラグインはカメラのプロファイルを元にしませんので片手落ちの感がぬぐえません。そういった意味で、ご紹介のソフトは興味深く拝見しました。
特にトイカメラを使ってる人は
ブローニーと大判も使っています、ホルガとか。
現像もトイラボとかありますし、、、
8ミリも根強いファンもいますよ~。
現像上がってデジタル処理を行わないで
プリントをする人もいます。
フィルムが無くなるよりデジタルの進化が早く
今後どうなるか分かりませんよね。
8ミリフィルムは見れるが
8ミリビデオが再生出来ないのが現状です。
保管するならフィルムの方が良いかも知れません。
フォトショプラグインもあるんでぜひ使ってみてください。確かデモがあったはず!
デジタルはほんとクリアになったのであのグレイン感はそれだけですごく懐かしく感じます。
でも、デジタルの良さという意味では、クライアントウケがいいのはクリーンな色かも。。
最近ほんと「EOS標準で何もしないほうがいいんじゃないか?」と思うこと多々あり。。。(笑
5~6年前まで銀塩使ってました。で、映像にも写真現像してスキャンして、、、って入れてたことあります。。あの質感欲しくて、、
そーいやDV全盛時代に、僕がやってたテレビ番組でジュリアン・レノンに8mmフィルムカメラ持たせて好きなように撮ってくれっつったら嬉々としていっぱい撮ってくれたことあったなーーーあれ残ってたら貴重な映像になったのに、、、
いまだとiPhoneのエミュレーターでなんとかなっちゃいますしねーーーー でも、だからこそいまフィルムでやるという意味はあるのは分かりますです。。