ピクチャースタイルというのはEOSに搭載されている「どんな色で撮りますか?」ということを決める設定。EOSはノーマル設定だと、「色が鮮やかで、コントラストが強い!」というふうになっている。一般的にはこれで全く問題ない。が、追求し始めると「これではあまりにあんまりだ」と気付く。そこから泥沼地獄が始まる。
僕の経験から、この「ピクチャースタイル」的なことが大きくフィーチャーされ始めたのは、パナソニックのDVX100に搭載されていた「CINE-LIKEガンマ」ってヤツだったと思う。あれを初めて見たとき、「おお、なんか映画みたい!」って思った記憶がある。
が、多くの現場ではほとんどそんなことが気にされることはなく、ただ白があってりゃそれでいい、というのが大勢だったと思う。
EOSムービーが爆発した3年前も、深度の浅さに驚きこそあったが、じゃあ色はどうする?というのは誰も気にしてなかったと思う。だけどCANONさんは、ピクチャースタイルエディターなるソフトを用意されてたんですね。さすがもう何十年も写真と向き合ってきた老舗メーカー。素晴らしいです。
このソフトを使えば思いのままに色を作れるようになる。すごい。ちゃんと分かっている。
そしてたぶんこのソフトを使っていろんな人たちがいろんなピクチャースタイルを作って発表してきた。
僕が知る限りその先駆者的なのがマーベルコミックで有名なマーベル社。彼らが発表してきたのが、その名も「Marvel Cine Picture Style」。この最終形とされるものが今年4月に発表されて、結構な人気を博してきた。
それを上回る注目を浴びたのが、三色法カラー映画を世界で初めて実用化した、映像関係者なら誰でも知ってる超有名企業、テクニカラーのCineStyle。今年5月に発表された。テクニカラー。。簡単に言うと、「天然色」ってやつを作った会社です。まあ映像の色について知りたければテクニカラーに聞け!っつうくらいの本家本元の企業だ。
いや、僕も飛びつきましたよ。
両社のピクチャースタイルの思想に特徴的なのは、「カメラが感知できる色と明暗は全部撮ってやる!!」ということ。つまり情報さえ残っていればあとでなんとかなるという思想。人間の眼と違ってカメラの場合、明るさがぶっ飛びすぎてたり暗さが沈みすぎていて、情報がゼロもしくは255以上だと、あとでどうしようもなく、もうただ白か黒でしかない。
特に日差しの強い場所とか、暗くて何も撮れないところでは、撮っても情報が残らないということが起きてしまう。
そこで、世界の超有名企業が作ったピクチャースタイルが上記2つなのだ。
ところが、ごりごりに圧縮かけてるEOSムービーにはそもそもの欠陥があり、つーかEOSムービーで色をいじるなんてやったらアカンやろ、ということが実はあった。みんなうれしくて使ったけど、僕はCineStyleでヒドイめにあった。
いや、やっぱりEOSでカラコレはしたらあかん。現場で決めろという話。その辺の話はraitankさんのブログ記事に詳しいのでそちらを参照。やっぱ色をポストでいじるのは最後の最後の手段であって、やっぱ現場というか、もっと前の企画の段階でどんな色にするか決めとかなアカンというのが映像の基本だと思う。
そのことを語ってくれたのがこのビデオ。残念ながらvimeoはgooに貼れないのでリンクだけ。リンク先をぜひご覧ください。カメラだけでこれだけさまざまなことができるということを示した素晴らしいビデオだ。
と、実はテスト結果を明日以降でUPしようと思ってポストを書き始めたが、ずいぶん長くなったのでこのままいったんUPする。
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もう~情報って、調べても調べても穴があって(←自分のおつむに?)、いやんなっちゃいますね…(爆)
ときに、どうして Marvel Comics社が EOSのピクチャースタイルを開発してたんでしょね??(新たな疑問)
あとで調べてみます~~
何にしても撮影に行ってきます!
このキャノンのエディターはRAW用ですかね?
キャノンはムービーカメラもパソコンで設定出来るので
その辺は見習え S なんですが。
先日CineStyleで撮影しましたがコントラストのみ後で調整する様にしてカラー補正は内部のWB補正を使用しました。
キノフロや蛍光灯下でのG補正にはかなり有効ですね。
シーンをばらばら撮影して行くので撮影条件によっては微妙に色や明るさが合わないのでカラコレが必須になるんですが、色彩に関してはライティングも関わる事なので事前に決めておいた方が無難でしょうね。PRやCMは特にそうでしょう?
EOSもHDVも後処理でやるのは何かあった時くらいにしておかないと。。。それとCineStyleのもやもやした映像ではライティングが出来ないと照明技師に言われコントラストを調整したモニターを出す事で何とかなりましたが。
結果、撮影部、照明部共にへ~って感じでした、CineStyle。
え? 元は「スタンダード」だって!? …EOS標準のピクチャースタイルで動画に使えそうなのは「ニュートラル」だけだろ?と思っていたので、少々(悪い意味で?)ビックリ。
>http://marvelsfilm.wordpress.com/
>http://www.martinbeek.net/
で、ちょうど Philip Bloom先生がこの辺りのことを書いたポストを、先ほど公開してました(ココの会話を盗み聞きされた?(笑))
>http://j.mp/q4yCCf
特に「シンドラーのリスト」「太陽の帝国」「ウィロー」など、スピルバーグさんのお気に入りDPのようで…。
そんな人が 5D MarkIIのピクチャースタイルを作ってんの?って、逆の意味で超ビックリですね…(笑)。
Martin Beekさん、DPではありませんでした。…いや、DPなんですが、スピルバーグ作品ではアシスタントだったり、スチルカメラマンだったりで、DPは別の人。しかも先ほど書いた作品では、「ウィロー」はロン・ハワード監督作品でした。
もうメタメタに間違いだらけで、自分のブログだったら先ほどのコメントを消して何喰わぬ顔してられたのに…(泣) と、やはり他人様の庭を汚しちゃいけないな、と痛切に実感いたしました。
どうも本当にすみませんでした。。。
ありがとうございます!僕なんて自分のブログで大恥かいちゃいましたよ!www 去年リリースされたとき、Marvelは映画で5D使ってるっていうし、こんなん開発してるんだ~って何の疑いも持ちませんでした~~!!
CINEMAといいややこしい名前つけんなっつうの!
kimさま
いや見てみたいっす。。。kimさんが撮ったやつ。今度僕が失敗したクリップをお送りしますんで、見てみてください。ほんと階調破綻がひどいんです。。
ちゃんとやってたんだけどなああ。。。
今日撮ったやつは気が向いたらUPします!
CineStyleで淡いグレーを撮ったり、青空を撮ったり、、、、それらの場合グレーディングしない状態でも階調の破たんが起きるんですねCineStyleは。しかもかなり酷いバンディングです。。何回もテストしてどうやってもバンディングが起きるのであきらめました。
おっしゃるようなCineStyleを使うときの作法は、その通りだと思います。が、そういう作法を注意深く守らなければならないのは、撮っているときに確認できないという状況下ではリスクが高すぎる。
僕がCineStyleを使わなくなったのはそのリスクが高いことが理由です。自分の作品だったらいざしらず商業映像の場合、お客様に説明がつきませんからね。
キヤノンの純正ピクチャープロファイルだとバンディングはほぼ起きませんから安心して使えます。