三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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ナンセンス系6

2005-12-28 03:47:51 | モンスター映画
 ■ひなぎく■ 笑える! 笑えます! 観ててニコニコしちゃいましたあ! のっけから歯車がまわり女子一号二号の関節が軋んで操り人形パフォーマンス。って共産党政権下のチェコだなあ、なんて感心してるヒマもない。画面はどんどん進む。背景だけ急に変わるし。唐突に色変わるし。コラージュに光学処理に、うーん気ッ持ちいい。意外性&脱臼感に満ちた快感。援助交際の元祖みたいなこの二人、ヤラせる前に食い逃げしてバイバイ、って、現代援交娘たちよりずっと進化してるじゃないかい。パンク魂異次元モードで炸裂。これが「プラハの春」より前なんだよなあ、参っちまうよ。男を受話器の中で喋らせたまんまだらだらソーセージちょん切ってたり、どこにでも蔓延してる気分がこうも集約されちゃあ降参。ファッションショーからシャンデリアに腰掛けゆーらゆら、ガッチャーンの衝撃的結末に再度機銃掃射映像で締めくくりとは、そもそもあの二人、堕落した資本主義の空虚な自由と欲望と破壊性を象徴してるっぽいでしょ。そう見りゃソ連邦御用達映画にすらなりえたような。これ作った女性監督、プラハの春の直後創作活動禁じられちゃうんだけどね、ま、透明人間になっちゃった二人、暗に逆説的に資本主義への憧れを呼び覚ます時限爆弾かもしんないからね、いかにも。パクパク食べてる場面がやたら記憶に染みこんで、あー面白かった系代表作品でした。なお巷では、片っぽは可愛いがもう片方は……って評価が一般的のようですが、私ゃティアラしてるブス役の子が受話器に「死ね死ね死ね」と連呼した時点であっちの虜です。
 ■SURVIVE STYLE 5+■ これはよい! スタイリッシュを気取ってあざとさが目立ちすぎてるけど笑わされちったものは仕方がない、良いと認めましょう! 生徒の絵を批評して一人ワールドに入ってるやおい色の先生一人だけでこの映画は大傑作になりおおせましたってば。空き巣トリオはリアリティ不足だけど、他の4組はリアルなシュールさで真っ向勝負できてました。キョン2にしろハト父さんにしろ中途半端な運命に甘んじたまま終わるとこがいいねぇ。ゾンビ妻、あのロケットパンチをミスター殺し屋相手に使ってくれなかったのが唯一の不満ってくらいで。5組の接触度がもっとゆるいほうが良かったんだが。あれだとちょっと深く関係しすぎてるよね。阿部寛は退場早かったけど怪演全開。こういう作り方ならパート2パート3いくらでも作れるよねって安易さが最後まで気にはなるけど、面白けりゃいいんだよ、キョン2のCMプランナーじゃないけど。あ、彼女の場合は「面白くなきゃダメ」だったっけ。うん、小学校低学年の坊やがもったいぶった独白言うあたりも細部こだわりまくりました系で嬉しいし、ま、ハト父さんがほんとに飛んじゃったのはなんかな~ってシラけんでもないが、あとファミレス女子高生コンビがちょい作りすぎかなって、しかしとにかくテンポ良く気持ちよく走り抜けてくれました。
 ■散歩する惑星■ だまし絵手法ふんだんに使ったローテク映画ってことで大いに期待したんだがなあ。だまし絵があまりに巧妙なのか、それともだまし絵のシーンがあまりに少なかったのか、まあ巧妙だったのだと思うことにするが、全然気づかなかったんでむしろ残念でしたよ。なんかこう、見え透いた書き割りかなんかで確信犯的に勝負してくれるのかと、笑う準備調えて観てったのにさっぱり来ないんで。オハナシは……、うーん、いまいちわかんなくて、動きがあんまりなくて、そこが非ハリウッド的でさすがスウェーデン映画って感じでまあまあだったけど、なんか……。渋滞場面もシュールさが足りなかったというか……。ラスト近くの、ゴミ捨て場に人々がゆっくり近づいてくる妙なシーンはなにげに凄いとは思ったな。ウン、あそこかなり凄いシーンかも。あとなんだか知らんけど女の子が飛び込み台みたいなとこから落っことされちゃう、あのあまりにものさりげなさ。ウン。変っちゃあとてつもなく変な映画だったよな。って超高レベルのショットが散在してるわりには全体なんつうか引力がいまいち。統一感がなかったからかねえ。
 ■ロスト・チルドレン■ で、なんなの?てなもん。これナンセンス系でいいのだよな。ってきちんとストーリーありげだけど、一つ目教団だのノミだのクローンだの夢だのシャム双生児だのって、いっぱい出てきすぎて絡みがいまいちわかんないままズルズル進んでかれるんで、すっかりナンセンスモードで観てたら、ずらずら異形筋を並べりゃいいってもんじゃないよ的なとりとめなさ、ゆるさ。映像のインパクト不足が不満の元凶か。ノミの拡大CGは別としてなーんかいまいち色も形もハッチャケてくれないんで、フラストレーション溜まり気味。出だしは超期待させてくれたんやけどねぇ、ほら、サンタがついに子ども泣かしちゃって(ありゃあ泣くわな……)。ケドその後ぁ話進むにつれてだんだんボルテージ下がって……、どーもね、アート気取るのはいいけどもうちょいハナシまとめてくれるか逆に弾けてくれるか、どっちかでないと。一つ目教団サイドが丸ごと一つ余計だったって気もするな。ミエットがまあまあ可愛かったのを励みになんとか観通せたって程度の映画でした。
 ■闇のバイブル 聖少女の詩■ やたら綺麗な映像でしたね。とくに母子(じゃなくてえーと記憶定かでないんだけど祖母と孫だっけか?)の揃う部屋がね。キレーすぎまして。そのぶん内容は期待外れだったけど、じめっとした地下とのコントラストはなかなか感じさせたかな。良くも悪くもバンパイアの本場丸出しの東欧ムードを気怠く極限までやっちゃってくれたって感じ。模範演技ですね。でもそれ以上の見どころはなし。まあ、チェコ映画ってことで期待しすぎた俺が悪かったかな。
 ■ざくろの色■ つーかこれねえ……。色彩で勝負してるのはわかるんだけど、これだったら別にスチル写真の羅列と変わんないっていうかねえ……。アングルの変化もなし大した動きもなし、正面撮影でただ延々スライドショーやられて「映像詩」でございってふんぞり返られてもねえ……。映画が真の芸術の域に高まろうって時に、このテの疑似アートは有害無益だと思うんですけどね。ま、そう非難してもしょうがないけど、かなりつまんなかったもんで。あ、ラストの、首斬られた鶏たちが林立ろうそくブッ倒してく俯瞰図はちょっとよかったかも。でもあれもおとなしすぎだったっけ。とりあえず重ね重ねつまんない作品。決して芸術的なんかじゃねーよと断定しときます。