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三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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オカルト系15

2007-07-08 21:00:01 | モンスター映画
 ■ウィッシュマスター■ これをホラーとして観る人っているんですかね。なんかそんなような分類されてるって聞いたことあるけど。これってまあ、コメディでしょうね、言葉尻コメディ。願い事はないか、と言われると、喧嘩まがいの睨み合いの最中でもつい真顔で願いを口にしてしまう人間どもの性というか、そこですでに笑えてるわけだけど、文字通り願いに合致してればとにかく願い主の不利になるように、ってコジツケがやっぱ笑えると。でラストは古典的な頓智比べときた。いつの時代にもああいうオチに胸がすく思いの大衆には事欠かないんだよねえ。ルールは律儀にまもらなきゃならんジンの真面目にあわてふためく御愛嬌が怖い顔とミスマッチで、うん、なかなか面白い作品でしたわ。ニュルニュル系や猛獣系のクリーチャーもチョイ出だけどいい味出してくれてたし、冒頭の人間変形も含めればモンスター度けっこうなもの。神々の彫像が動いて暴れるのも嬉しかったしね。もしかして仁王様もいたかな? ともあれこの映画、テーマからして会話いちいち掴んどかなきゃお手上げだなーと思って珍しく字幕出して観たんだけど、やっぱ字幕付きで観るとフラストレーションたまんなくていいっすねぇ。
 ■チャイニーズ・ゴーストストーリー■ モンスターは結構よかった記憶が。無駄な飾りみたいのが確かいっぱいあって、カメレオン的舌の先に顔が付いてたりしてね(口だったかな?)。ま、とにかくモンスター度については十分合格点。ただ何というかな、終始人里離れたっぽい野原みたいなとこでバトルが展開するので淋しげでしたね。町にもときどき切り替わってたと思うけど、なんかこう、単調だった気が。いかんせんよく覚えてないのであれだけど、アクションは相当な迫力だったような記憶が。なんかいろいろビュンビュン飛んできて危なかったような記憶も。道士が出ていたはずだけど、アレ系の人特有の超能力をもっと使ってくれたらな、とちょっともどかしかった記憶も。記憶ばっかでそれこそもどかしいが、うん、観たらすぐメモでもしとかないとダメですな、こういうレビューは。あ、これ同じタイトルのシリーズいっぱいあるみたいだけど、レスリー・チャンが出てるやつね。レスリー・チャンの個性はあんまり表面に出てなかったような記憶も。
 ■ペンデュラム■ おかしいな、この原作の映画化だったらもっとダークな映像になるはずなんだがな。むろんただの映画化ではなく振り子と落とし穴に生きながらの埋葬っぽいモチーフも加えて、E.A.ポオ・ワールド全開路線を目論んでいるのはわかるのだが、なんか大甘で。筋の運びも、牢獄の警備もね。囚われ人が、そんな簡単に出たり入ったりしないでよ。おどろおどろしくないポオってこんなんなっちゃうのか、的脱力感を与えてくれた一作ってことね。拷問で殺されるお婆様なんぞも一応フィーチャーしてたので、ほんと、もっとダークなポオワールドに仕立ててほしかったですよ。
 ■エヴァンジェリスタ■ こういう地味~な映画作られてもリアクションに困っちゃうな。オープニングの妊婦投身のシーン見たときゃ相当派手な展開期待したんですけどね。人物はどれも一癖あって個性的だし、ルーマニアロケの甲斐あったのかどうか画面はひたすら綺麗だし、A級っぽいムード芬々で、しかしいかんせんこう流れがジミでは……、ほとんど話が進展しないままラストに着いちゃったんじゃないかな。もしかしてパート2創る気だった? ちゃんと始めから全力打出してくれにゃ続編なんて無理ですよ。そもそもキリスト教とクローニングって組み合わせがいまいち融合しないはずの調合で、案の定チグハグのままだったし。せめてあの神父(?)がただの殺人鬼だったのか正義の使徒だったのかもっとヤキモキさせるような演出があってもよかったんじゃないのかねえ。しかし旦那が小説家として成功することにどういう意味があったのかな。あと、宿ったのが双子である意味あったのかな。なんかすべてのエピソードがとことん中途半端で終わってますね、相互関連薄いまま。あそうそう、良かったところとして、ハリウッド風のこけおどしBGMがなかったこと。音楽は終始上品でしたよ。いかにもヨーロッパ映画ですな。つか、盛り上がるシーンがこうも皆無であればこけおどし音楽の出番なんぞないの当たり前か。

哺乳類系5

2007-06-21 01:37:10 | モンスター映画
 ■死霊の牙■ 邦題はこうなってるけど、死霊じゃないやん。狼男じゃん。んで最後のフル変身バージョンなんか、狼ですらなく熊さんにしか見えねかったんですけど。まそれはそれとして、ウム、大変楽しめる本筋娯楽映画って感じですね。ヒネリもないし、グロくもないし、SFXも普通だし、変身場面も地味だし、いいとこひとつも無いようでいて、なーんかほのぼのする。カーチェイスがあるわりにはくつろげる。ま、あの子たちゃ死なないよな~って正しい先入観があったからでしょうか。ただ、アル中のオジサンはどうなのか微妙なところだったんで、そこが興味津々見続けられたと。結局オジサンもぶっ飛ばされただけで殺されずに済みましたと、まあ優良ホームシアターでしたって按配ですか。頼りない保安官、犯人である町きっての人格者、仲いいんだか悪いんだかわかんない小学生の姉と弟、しかも弟は車椅子生活、口うるさい母親、話のわかるわりにオオカミ男の話だけはなかなか信じないオジサン、……フームしっかりツボ押さえとるぞい。類型に凝り固まっとるぞい。だから最低限の面白さは確保されちょるぞい。可もなく不可もない設定で無難にいい味出してました賞。子ども向けとして評価すれば傑作なのかな。銀の弾丸号、楽しそうでしたしね。しかしあれってほんと、運転免許なくていいわけ? 保安官が怠慢な町だからだいじょぶなのか。
 ■マンモス■ 最初コメディかなと思ったんよ。当然ですよね。そのつもりで観てったんよ。でもヌルすぎるって以前に投げ槍っぽいのよ。具体例挙げんのも面倒というかあっというまに忘れちゃったから書けないけど、「え? これで次に行っちゃう?」的シーンばっかで。そりゃマンモスがいつも不意にテレポートしてきたように登場するのは笑っちゃったけど、意図した笑いじゃないみたいなんでねぇ。一度か二度、大勢の中にマンモス登場でバカスカ蹴散らされる場面あったけど、どうせあの程度のアクションでお茶濁すつもりなら、へたに野外に走らせるよりか、ずっと博物館内で頑張らせたほうがよかったんじゃないかね。退治シーンも確かコンテナ閉じこめ法だったんだしさ。とにかく何もかも中途半端な、コメディすらマジメに演じられないクズ映画とはこのことでした。人体パーツが動き出すあたりだけでもリアルに仕立ててほしかったなあ。
 ■レディ・イン・ザ・ウォーター■ とりあえず全然面白くなかったんですけど。期待してたんだが。ファンタジーのお約束を満たして見せた模範演技ってとこなんだろうけど、ちっとも面白くないんじゃ仕方ないや。住人たちの役割の照合のやり直しとか、別に謎解きのミステリー的面白さがあるわけでもなし、それ以前にいい大人たちがガキでも信じないRPGをすんなり受け容れるあたりの説得力が皆無。一人でも猜疑心強いやつを配置しておればねえ。舞台がフェアリーランドじゃなくてこっちの俗世なんだから、ファンタジーのコードきっちりお見せしました的な自己満まっしぐらはゆめてほしいよ。猿人っぽいのもちょっと出てきてたけどあまりに短時間すぎ。あれがもっと露出してくれれば星一個増えたかも。それにしてもヒロインったらブスだったねぇ。あれって美人のつもりだったのかなあ。妖精だからとりあえず美しいって設定だったっぽいけどねえ。

ニュルニュル系5

2007-05-30 19:07:58 | モンスター映画
■グエムル 漢江の怪物■ こっ、こりゃあいいや! 絶対イイ。何がいいってそりゃもちろんあなた……、とまずはベタ褒めモードでスタートしつつ、しかし何だなあ、軍も警察も何で全然活躍せんかったかなあ。メインの家族にがんばらせたかったのはわかるけど、いくら何でもなあ。ラストあんだけ軍人ぽい人たちが警戒態勢敷いてる反米デモ(だっけか?)現場でありながら民間人4人だけで怪物退治って、そりゃないでしょうよ。ていうか全編にわたってあの怪物、なぜか徹底的に無視されてるんだよね、軍にも政府にも警察にも。ひたすらウイルス騒ぎで処理されて、怪物はあんだけ暴れてるのに空回りというか、マジメに戦ってるのはメインの家族だけ(笑。いや実際、ウイルスと怪物だったらやっぱ現実的に脅威としてはウイルスが断然上だろうけど、しかし映画としては怪物優先してくんないと……、ていうか学術的興味ってもんがないのかあんたらは!)。意図されたナンセンス味なのかただ結果的にバカ映画だっただけなのか、いまいちわからないところが微妙にイくて。しかしオヤジさんてば(最初お兄さんかと思いまひた)、あの質量で走ってきた怪物を鉄棒一本で刺し止めるってのはいくら何でもナ。(あそこは一応跳ね飛ばされとくべきだったなぁ)。それ以前にホレ、そんな復讐心に燃えて無理して追っかけまわさんでもいいでしょう、早く避難せいよ、娘も戻ってきたんだから……と思いつつ、えっと、もしかしてあの子死んだ? あ、死んだの、じゃ父親親戚一同挙げて仇討ちも当然か、と私ぁ見終えてしばらく経って気づいたんでした。すんません。リアルタイムでは、あの女の子気絶してるだけで最後てっきり生還したものとばかり。けどどうやら死んだらしいですね。といっても死を確かめてるシーンってなかったけどな、泣いてる暇あったらダメモトで応急処置しときなよって。それがなかったんで傍目にもしっかり生きてるものとばっかり。っていずれにせよ「仇討ちも当然か」じゃなくて相手はしょせん魚の突然変異体かなんかハッキリせん下等動物なんだから(といっても結構知能あるっぽかった?)そんなムキになりなさんなって。たぶんやっぱコメディだからいいってことかね。怪物大暴れから葬式場面に至る序盤からしてさかんにコメディのシグナル発してはいたものな。それにしちゃ音楽がシリアスだったけどね、ラストは。いや、ほんとのラストはあの売店の中か。いい感じだよね、「テレビつまんない」っての。あんだけの目に遭って、娘殺されて、しかし事件のことはもう考えたくない、てこともなく、いちおう銃構えてたし。最後まで中途半端なしんみり調コメディ色つくづく良いですわ。ま、あの娘が死んだならこの映画、そのぶん評価上げときましょう、だってあそこまでがんばった以上当然生き延びそうだったあの子を殺すってのはよほどの覚悟で作ってる証拠でしょ? 「葬式やった→実は生きてた→信じてもらえない→自力で脱出努力→失敗→救出」とくれば助かりますよ普通ハリウッド的には。それをあっさり殺して、代わりにあの小さい男の子が助かったあたりで効果倍増って寸法なんですな。韓国魂見せました。というわけで、最初に「こりゃあいいや。絶対イイ」て絶賛したのはなにゆえか。もちろんほら、怪物の造形ですよ! 徹底的にいいでしょうがよ、抜群っしょ! 日本製の何かのモンスターのパクリではといった非難を小耳に挟んだことがあるがそんなことどうでもよし。コウモリみたいに橋に逆さにぶら下がりイモリばりに泳ぎ、ウナギっぽくよじれ、口周辺のむわーっドロドロ牙ズラリって形もさることながら、翻って後ろ向きにカエルジャンプしたり、至近距離で撃たれて一旦気絶してはまた走り出したり、うん、冒頭の土手、大凶暴ぶりお披露目シーンにて斜面ですっ転んでたお茶目な時点でもう「こりゃあ上物モンスターだ!」恍惚レベルでしたっけがあれ以後さらにいろいろ変化してくれるとはなあ! 大口からドバドバドバーって人骨破片吐き散らしてくれた仰角アングルなんて私ゃシビレましたってば。最後まで飽きさせませんでした、怪物の動きに関するかぎり。(下水溝に人間を吐き出しては溜まったところでまた口に入れてどこぞに運び出してたらしいあれって、結局何をやってたのか、一切不明なところも五重丸でしたね)。ただ返す返すも家族がねえ。単細胞の馬鹿家族、喜劇とシリアスごたまぜの展開が……、まあこんだけ楽しませてもらったからいっか。冒頭のろくでもない薬品廃棄シーンも遡ってマル。いい加減な管理社会のいい加減な突然変異怪物対いい加減な家族のひとりよがりバトルが行き当たりばったり的に大団円突入でしたとさの巻。怪物があんだけ素晴らしいと俺もう何でも許しちゃう。劇中では怪物食ってた架空のウイルスなんかどうでもいい劇外怪物の仕上がりでした。でも韓国人ってそんなにアメリカが気になる?

未練・怨念系4

2007-04-02 02:28:40 | モンスター映画
 ■心霊写真 呪撮■ む? 侮るべからずJホラー! これだから油断できない。ゴミの山からこういうのを発掘する瞬間ったら。始めは上の空で観てたんですよ、心霊写真って盛り上がれないテーマの最たるものだしどうせ底辺ホラーだろうと見くびって。しかし、しかぁし、なんだかムードがじわじわとよくなっていく。お母ちゃんの役割が大きいかな。心霊写真なんぞよりよっぽど怖い俗人のお母ちゃん。ああいう人は絶対に呪われないよね、て感じのサイコ寸前の。ヒロインが殺されるとしたら心霊にじゃなくて案外お母ちゃんにだろうな、うん間違いないとか思ってたら、お母ちゃんからのストーカー的電話にヒロインが苛々答えてる最中に目の前で弟が墜落死と(たぶん心霊の仕業で)。む~んどれもこれも妙な展開で、寸断観賞の予定がつい通して観ちまいました。しかも連続誘拐殺人犯(しかもしかも複数の……)が地域をうろついているという第三の恐怖要件がなにげに効いていて、おとうちゃんが犯人なのかな?と思わせつつ、やっぱりおじいちゃんかな?とも思わされつつ、結局あれ、カメラはもともとどこから来たのか不明、てことでいいんですかね? それと、心霊写真ものとしては変則というか、写真じゃなくてカメラが呪いのモトでカメラをいじると取り憑かれる、てことでOK? いや、微妙にわかんない話なわけよ。友だちが殺されちゃったのも、彼女のお母さんいうのが下手人なのか、こっちのお母ちゃんと「似てる」てことらしいんで順番にこっちも……と思わにゃいかんのかとか、写真を調べてくれた初老の教師はなんで腑抜けになっちゃったのかとか、微妙にわかんないどころか全然わかんねってことが判明してくる。ラストもなんかあの状況で幽霊に頭ぶん殴られるってのは想像しにくいよな、とか……。結局わかんないように作ってある映画なんだろうってことで納得しときますが、もしかしたらすげー精妙なストーリーがほんとにあったのかも、とつい本気で観直したくなりかねない、そんな魅力たなびかせた作品だってのが正直な感想です。とくに最初のほう、いい加減に観てたせいでじいちゃんの死と家族別離の事情を把握できてなかったりして、俺ほんとにもっかい観るかも、これ。センター試験会場のシーンなんぞも、俗と霊界の二重性をうまく曖昧に滲ませてました。ただ我に返って一つ難を言うと、前半で姉弟がとくに弟とが「心霊写真、心霊写真」と騒ぎすぎてるのが。なんも映ってるようにゃみえない写真に強引に霊を見つけて深刻ぶってるのが笑えてしまって。いくら「暇だから」ってもねぇ。もう少し怖がる根拠を明示してほしかったです(ただ怖がってるのも呪われてる証拠だからあれでいいって? ダーメ。観てる最中の違和感如何ともしがたいんでこれからはそゆとこの作りよろしく)。基本は安ドラマなんだよなあ、しょせん。
 ■心霊写真奇譚■ 心霊写真モノってバカバカしくて俺大嫌いなんだけど、これもよいムードじゃないですか。侮れんなあJホラーよ。といってもほんとに素晴らしいと言えるのは5話のうち第4話だけなのだが。うむ、一人の女性を見つめ続け撮り続けるストーカー(ちなみにこのストーカー君、相手に迷惑かけないようつきまとってる隠れストーカーってとこが好感持てます)が彼女に取り憑く悪霊の存在に気づいてしまい……警告したいのだが霊の映った隠し撮り写真を見せるのは躊躇され……、疚しいところのある男の善意と執念が葛藤を生じる描写は逸品でした。ストーカーのライバルが霊だったとは、的不条理に絡まれているうちに、オチ寸前で「おっ」と思わされて、オチ直後に「おおっ」とプチ感激しました。よくある『シックス・センス』的じゃない真っ当なオチなだけについ唸っちゃいましたさ。うーん久しぶりに暗ーい爽快なホラーでしたぞい。冷静に考えりゃ普通のネタでしょーが、こんなんが怖いのかよー、とかせせら笑う奴必ずいるだろうけど、対してこっちも言おう、「ふ、おまえらにゃわからんだろうなあ、真面目に隠れストーカーに励んだ経験のないおまいらには」。そ、マジコワだと思いますですよ、この第4話ばかりは。いや、第4話以外のエピソードもそこそこいけてて、写真がどういう役割を果たしているのか不明の微妙なハイキング奇談だった第1話、変則心霊写真が見どころの第2話(霊が映ってるなんてのより被写体の向きがいっせいに変わってるなんてああいうほうが確かにずっと怖いかもな)、外界とはテレビニュースで繋がるありがちな居間ドタバタ劇の第3話、霊というか怪物というかあの何か自体はいちばんおぞましかった第5話、って見てくると5話全部が水準を満たしてて、御納得の良質オムニバスでした。ところで第5話の家って、玄関とかアプローチは全然違うけど内部、『死づえ 噂霊』の家と同じに見えるのだけど、気のせい?
 ■怨念■ サブタイトル「呪われた証券マン」がなんともダセーと思いつつ、〈心霊〉の分類になっていたので買ったんだけど、ウム、全然超自然じゃなくてむしろサイコものと秘密結社ものを混ぜたサスペンスなんだけど、面白いよ、これ。秘密結社の殺し方が仕込み針なのに検死で心不全になっちゃうところがオカルトっぽい。対してまっとうな武器マニアの遺志(?)を受け継いで主人公が成長して本格的に戦っちゃうってあたりがいいねえ。終盤の救出劇はいただけないけどね。恋人の方ばっか向いてないで、罠が仕掛けられまくりの倉庫なんだから、とにかく敵から目を離すなよ。抱き合うなんてもってのほかでしょう。あそこまで来たんだから真面目に戦えって。そこを除けば、うむ、サイコ野郎と殺人請負業者と脅迫専門ヤクザの3方面からの脅威が微妙に絡みあって、このテのモノとしちゃ上出来なんじゃないでしょうか。いきなり襲ってきて返り討ちに遭ったナサケナイ鉄拳男はあれ、ヤクザですよね? あとそうか、殺された先輩の女房のスプレー攻撃、上司からの対マスコミ処置強要、ゴミ顧客からの嫌がらせ、てのも絡んでたんだっけか。なかなか複雑なドラマだったな。そのわりにバイオレンスであっさり一刀両断だけど。
 ■生霊 いきすだま■ 第1話ったらチンタラチンタラした生き霊ストーカーバナシでどっちらけ。押しかけガールフレンドが彼氏と携帯繋いだまま生き霊を追っかけて走ってく場面の途方もない不自然さはなんとかしてくれ。第2話のほうは観られるレベルかな。押し入れがいつの何か開いてるモチーフはJホラーならではのせせこましさで好感持てるんだけど、やっぱ貧乏くささにふと我に返ってしまうとどうも……。ただ同じモチーフの『ほんとうにあった怖い話 第二夜 屍霊』第3話よりゃはるかによく出来てましたっけ。
 ■ほんとうにあった怖い話 怨霊 劇場版■ こういう「投稿者の体験談を再現映像で」タイプのホラーって、メインの人物は投稿者自身なので、死なないことがあらかじめわかってると。そう酷い目にも遭わんですむことも保証つきと(だってあとで体験を得々と語ってるわけで)。なので「安心して見れるホラー」ってわけですね。だからそれだけに別の面で(主人公の運命とは別の面で)怖くあってくれる義務があるわけですが。その線でかどうか、そもそもやたら音質と画質が悪いのは、わざとだよね? にしても全然大した効果になってないっぽいってばよ。どの話もパターンおんなじ。幽霊がいる。メインの人物の背後に。横に。気づかないところに。パッと振り向くと消えてる。ときどき間違って目がじっと合って「わひゃひゃー」って怖がる。そればっか。ま、ホラーの基本だってならしょうがないけどね、あんだけ繰り返されると「幽霊って怖いもんじゃないんだな……」て無感覚になっちまうわ。とにかく幽霊出過ぎ、はっきり映りすぎ、ワンパターン過ぎの三拍子で白けまくり。とくに『首坂』の度を超したわざとらしさは何だろう。顔を寄せてじーっとくねくね見つめ続けるって、にらめっこじゃないんだから。からかってんじゃないんだから。人ひとり嚇かすのも大変だなあって同情しちゃうくらい。てか観客全員怖がらせるのもほんと大変ですねと。てか霊ってみんなお茶目なの? もはやコンタクト系ですって。怖くねえですって。てことで話戻しますが、4話とも画質が悪いのは効果を狙ったのだと、そういうことでいいですから、カメラのレンズは最低限拭いといてほしいよ。曇りが見えまくりで、鏡を映した場面かと思っちまったよ。そういうのは特殊効果とは言わんから。とくに第1話『深夜の警備員』のレンズはひどかったよぉぉ。
 ■少女霊 14歳の魂■ ジュブナイルホラーとしてはこのへんで合格点なのかなあ。ホラーってムードじゃないけどね。「罰ゲーム」で秘密を喋らさせれるようにわざと負けたっぽいところだけがそこそこね。ヒロインのセリフ、あまりのド下手さに仰天。普通あれだとNGでしょう。それとも何度もやり直してやっとあれか? そのレベルにしてあえて売り出す価値あるアイドルなんですかい、あの子? せめて異界語っぽい喋りになっとればのう。どう見てもただのヘタだから。
 ■霊縛 少女の縛り■ 前半、もしや掘り出し物の傑作……?と期待したのが馬鹿でした。舞台照明のノリで原色飛び交う薄暗シーンの連続はなかなか良かったのにねえ、こんだけ脚本がヘボだと挽回しようがないっすね。結局レザーフェイスをやりたかったのか怨霊をやりたかったのか。女子高生がただ何の準備もなく一同連れて民宿に戻ってくあたり何のフォローもなしってのはいくら何でも。
 ■稲川淳二の呪界■ しかし樹海ものって、どうしてこう退屈……、なんてっても霊が見えるお姉ちゃん。入れ替わり立ち替わりだからもう途中でいちいち怖がるの放棄してるし。中途参入のカップルの女のほう、もっとましな演技せいよって感じだし。髑髏を投げてコワしちゃったんだからその時点でちょっとは気味悪がっとけよとか。あとで破損髑髏と対面したときに遅まきながら怖がるんじゃないよとか。そうねえ、終盤の地下空間の首吊り死体の群れが遥か上にっての、あの光景もっとじっくりやってればいいムードで流れたんだけどな。ラストのとってつけの家族勢揃いは、趣旨不明のセリフとともにうやむや。お父ちゃんの足跡、もうちょい何かちゃんとした因縁引きずってくれてリアクションもありかと期待したら、野球のボールが貫通して消えてオシマイですか。おどろおどろしげな鳥居も一瞬の舞台効果でしたね。
 ■死人形の墓場■ あ~あ、しょーもねー学芸会だったこと。家にある人形を供養して済むものなら、始めっから墓場なんぞ行かんでよかったんでしょ。話を作るために、ほんとも~超能力者の会長さんったら。あと門番のピエロの素人演劇ゼリフはどーにかならんかったのかぃ。
 ■TERRORS~怨霊郷■ このアイドル(?)喋りがボツの極みだよ。見苦しくない発音でセリフ言える子使わなきゃダメでしょ。すごくカワイイならそこポイントって言い訳も立つけど、この子の場合そういうポイントもゼロだよ。タイムトラベル的解決も安易すぎだし、異形度も極小だし、せめて一つくらい見どころ据えてほしかったですよ……。

サバイバル系7

2007-03-27 19:04:48 | モンスター映画
 ■ナイト・オブ・ザ・リビングデッド■ そーかね~。これそんなに傑作か? ほとんど興奮できるシーンがなかったので。まあ真面目に作ってあることだけがポイントですかね。こういう古典って、高く評価しなきゃいけないみたいな暗黙の業界ルールがあるけど、ちょっとあまりに本心を偽るのもなあ。ゾンビ大挙襲来・一軒家に立て籠もりパターンってのを打ち立てた功績は認めざるをえないのだろうけど、それだけでは……。ゾンビったらどーせならもっと密集してほしいの。その迫力欠如もたぶん、スローモーで不気味なゾンビ群ってパターン確立した歴史的功績ゆえ高く評価せにゃあかんのよね、やれやれ。それと女。いくら1968年でも、女がこんなにカヨワクてただただ悲鳴あげるだけ、黒人男に励まされても怒鳴られてもいっこうに戦力になろうとしないってのはどうかと思うが、最初に犠牲になったお兄ちゃんのことはしつこく思い続けてるわけね。だったら兄ちゃん置き去りで一人だけ逃げてくんなっつの。ひたすらよたよたしてるだけのゾンビにラスト火炎を使うほどの必要性も感じられなかったし、でもまあ、真面目に作ってある映画ってことだけは伝わりましたので、古典であることは別として、まあそこそこ認めさせていただきましょか……。
 ■ブルークリスマス■ ちょーっと勘弁してほしかったよ、いくらなんでも。予定どおりのこんなストーリー見るためだけに133分釘付けになってろってかい? あー退屈した。ほんと退屈した。全世界的パニックってのはどうも大味でいかん。Xファイル的な陰謀論やりたかったかと思いきや辻褄合ってないし、てかそれ以前に、あんだけバレバレに公然の秘密になってる青い血現象に、ひとり竹下景子だけが個人レベルで悩んでるって設定がちぐはぐすぎますって。なんか処女喪失テーマが鬱陶しいことこの上ないし。クリスマスプレゼントかなんか用意してじっと待ち続けるアホ設定がますます浮いてくるし。血が青くなると「人間ではない」と認定される根拠が描かれてないし。だから差別意識の表現も実感こもってないし。差別してる暇あったら肝心のUFOをもっと調査してほしいし。ましてや国家いや国連公認で機関銃乱射してぶっ殺しまくる処置にいたるだけの伏線がまるで出来てないし。あんだけの長尺費やしてですよ。内容のロクデモ無さと役者の生真面目な演技とのズレが限度以上に広がると救いようがない、そんな最悪の見本でした。記者が兵藤博士を探しに行ったニューヨークでの追跡劇(失)もダサかったなぁ。
 ■キル 鬼ごっこ■ バトル・ロワイヤルのカバーバージョンですかね。エンドロールの後のワンシーンだけでこれ、モンスター映画に早変わりしました。そこだけ嬉しかったです。あとはもう……。「実験」とかもったいぶって、殺人遺伝子の発見者らしきちゃんとした科学者の指揮下で行なわれてるっぽいけど、何の実験なんすかね。結論がどうも決まっていて、それに合致した流れにならないと困る的な、完全でっち上げパターンですかね。コントロール(対照群)も設定されてないし、見るからにデタラメ。堅いこと言いなさんな、映画の中でまで科学的対照実験やんなくていいですよってか。そうじゃないでしょ。コメディやナンセンスやるなら別だが、いちおうリアル路線で見せようとしてるんでしょうが。そのへんのケジメはつけといてくんないとね。科学者にコビトさん起用してりゃ感心してもらえるだろうなんてせせこましい根性だめョ。
 ■怖来■ くッだらないネタで引っ張らないでよ。まさか「アッと驚くオチ」なんて思ってないよね。『キューブ』や『ソウ』の世界をやろうとして、中途半端に廊下へ脱出させてビルの中うろうろ歩き回らせるもんだから閉塞空間の恐怖が演出できてねっつの。粉、霧、粘液とくればそれ的羅列に徹してたとえば泡、砂、霜、炭、油、酸、乳、って具合に次第次第に明らかにしてほしかったよ、お粗末なオチのシーン設けるよりかさ。で、ネズミ取りにかかった韓国人はどうなったの?
 ■回路■ なんかそこそこ知られた映画みたいなんでいちおう観とかなきゃって程度だったけど、モロろくでもない代物だったな。科白が恥かしくて聞いてらんないね。とくに60分台後半の科白はヒッドイねえ、小学生の会話じゃないんだから。幽霊幽霊って、何の話してるのか自覚あるんでしょうか。コトバが一人歩きすればするだけどんどん白けていく。しかも大真面目な台本だからさ、俳優がアホに見えてきちゃう、気の毒に。パソコンの中に幽霊が出てきてるらしいんでVR系に分類しようかとも思ったけど、後半唐突にというかいつのまにかというかサバイバル系になっちまってるんだよな。南米に向かうわけね、はいはい(笑)。確かもともとが「霊界が容量いっぱいになったんで現世にはみ出してきました」ってあーた、だったらなぜに幽霊見た人を殺して幽霊を量産しちまうですか? 逆効果じゃないっすかね、とにかくロジック不在の場当たり式というかそのわりにナンセンスにぶっ飛んでもいやしねーというか、支離滅裂もいいところ。人間が黒い染みになって壁に張り付いちゃうとこだけかな、ぞくっとさせられるのは。ダラダラ要領得ない移動ばっか繰り返すこのテの退屈劇って、100分以上のワクでは禁止にしてほしいよ。孤独だのひとりぼっちだの人生論風の語彙並べればそれなりのテーマ一丁上がりって勘違いしてるのかな? 何より痛感したのは、あまりパソコン用語を必要とする脚本ってバツだってこと。すげー古い感じがする。この映画公開は21世紀最初の年みたいだけど、「どうしてインターネットなんか始める気になったの?」とか「右クリック」がわからなかったりとか、「へ?」て感じ。6年前ってあんなに昔だったのかなあと。時代だから仕方ないとしても、幽霊が一過性テクノロジーレベルに載っかってることにしちゃうとハナシが俄然せせこましくなる、てことに制作者は思いを致さないのかね。登場人物にパソコンあれこれ解説させるとキワモノにとどまっちゃいますョと。
 ■水霊 ミズチ■ 分類しようがないからここへ。分類しようがないにもいろいろあるが、この作品についてはクソダメな意味で。呪いがかかってるらしい水道水を飲むと死ぬ、ってあーた……、こんなクソつまんねーテーマでよく映画創る気になれましたな。ヒロインの独白がのっけからベタもベタベタで。何だっけ、よく覚えてないけど、「それはある……の日のことだった」「私がその……を訪れたのは、今となっては偶然とは思えない」ってあのパターンね。そういう定型を大真面目にやるなって。「……犬死にだった」には吹いたよ。犬死にもなにも、必要ない生体解剖を志願しといてしかも現場は一切省略して、せめてグロシーンの一つや二つサービスしとけば生きたんですよ。画面に映らないんじゃそら犬死にですわ、映画的に(笑)。勝手にハナシ作ってなさい、て感じ。ラストで急にジャンルが変わってサイコ系みたいになったのは何? やってるうちに収拾つかなくなったかな。それなりの広告打ってメジャー色いっぱいに売り出した映画にこういうのがあるとは、シネマファンも見くびられたものですね。