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三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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ガーリームービー系1

2009-04-23 16:10:00 | モンスター映画
 (既レビューの『ひなぎく』『乙女の祈り』『ミネハハ』はここに移行します。『アリス』はどうしたものかな? 『2LDK』は? 『あずみ』は?)
 ■アメリ■ オープニングから妙なCG多発したりナンセンス漫画ふう人物紹介が羅列されたりした時点で、あぁ『ブリキの太鼓』系かと。わかったわかったと。それなり体勢とらされた空気をあっさり置き去りに、わりと普通ラブロマンス路線に戻っちゃうんだな。でもそれで大正解。こういう微妙路線で笑わしてくれる映画って意外と少ないからね。エレクトラ・コンプレックスが通奏低音になって、自閉の殻を破った先が変則ストーカー世界とは……。イタズラ妖精風の隠密マッチメーカーが自分のこととなると先読みできない流れがどう解決されるのやら。つまりサスペンス映画でもあるんですね。ターゲットの擬似オタク男との接点がなんとも、でもあれってポルノショップにひとりで入ってった時点で直接会う覚悟できてたんだよね? いや、外出中って見越してのことだったっけか、あとで「どんな子だった?」って同僚から間接情報得させるために。ってほんと? 手が込みすぎだが。他の場面もいくらでも深読みできそうで、謎の男がただの修理屋って脱力オチなんぞも端々に効いてて、アメリって笑顔だけはいつもすっかり健全明朗で、お父ちゃん宛絵葉書のイタズラもうまく着地してたようですし、いやいや望遠鏡の中で手を振ってアルバム突っ込んでるシーン一つだけでこの映画マイフェイバリット候補。お母ちゃん激突死のオープニングからは想像できない幸福なフィナーレ、うーん、爽快でしたよ。
 ■エコール■ ナンセンス系寸前のシュールな閉鎖空間モノときた。物語というか起きてることことごとくに対して極度の説明省略と、少女らの心理描写・生理的描写(初潮とか)の直接的な表現くどくどぶりとのギャップが傑作モードを実現。つまりこう、マクロには説明過少、ミクロには説明過剰で、そのアンバランスどうしのバランスが効果的だったってことかな。メインの子が棺桶で運ばれてきたオープニング、少女らの手足のパーツだけ画面内に蠢いて顔が写らぬまましばらく持続するところでもう吸い込まれちゃいましたよ。白ドレスの少女群がバレエって、いかにもパターンっちゃパターンだけど結果良ければすべて良し、ほんと雰囲気こんなにも完璧でいいのかと。とはいってもメインの子ひとりだけがアジア系って工夫は裏目に出やしなかったかな。しかも北モンゴロイドですらなく見た目ベトナムとかあのあたり? あのムードだったら絶対全員白人でしょう。でなきゃ逆にいろんな人種混ぜる方向に行っとくとか。ま、問題のその子が一番年下って設定、ただでさえアジア系はガキっぽく見えるんで、体の小ささも相俟っておろおろしまくりの新入生っぽさ全開でかえって効いてたかも。めそめそ泣いてるのがあんな似合ってる子もそういないからね。うむ。おっとこらこら、子どもの裸がいっぱいだからって、間違ってもこれを児童ポルノ扱いせんように。観る側の品性いや耐性を試される映画ですな。メンバーを高校生以上に引き上げて逃げおった『ミネハハ』よりも小学校低学年にしっかり焦点据えたこちらに軍配が上がるのは当然でしょう。
 ■テルマ&ルイーズ■ ガーリームービーじゃなくてオバサンムービーだけんどここでいいや。アホ女二人組のてんやわんやパターンが『ひなぎく』『乙女の祈り』『ゴーストワールド』路線にぴったし嵌ってるのでね。うむ、痛快映画です。そうです、たまには女がこのくらい暴れてくれるエンタメってあるべしです。タンクローリーのおっさんも撃ち殺すのかとハラハラ見てたらさすがにそれはしないのね。微妙に歯止めの利いた暴走ぶり、2人が交互にイニシャティブとって自転車操業で切り抜けていく展開、一方の専制亭主と他方の一見粗暴根は忠実彼氏とのコントラスト、イケメン強盗にひっかかってボロボロのマヌケぶり、強盗をオウム返しで亭主モニター前に口あんぐりの大変貌、どれも寸分の隙ない絶妙のエンタメ展開だが、ただ一つ、えーと名前どっちだっけルイーズかな、あれの過去にやけに同情しまくる熱血掲示の存在はどうも……、「傷ついた可哀想な女なんだぞ」的台詞&介入での予感に水差さないでくだせいよ。ラストもしっかり駆け寄っちゃうしさ、ほんと俺たちに明日はない的爽快一斉射撃を妨害する気かとやきもきしっぱだったよ。でもまあ無事空中飛行できたんでめでたしめでたし。テキサスでよほどのことがあったらしいトラウマ話はついに明かさずじまいって、もちろんそれ正解。はっちゃけたアクションの連続と曰くありげなバックグラウンドの対照が型通りの模範的深みを作ってくれたわけで。しかしさんざんしなを作ってたんまりたかっておいて肝心なときに「触らないで!」みたいな最悪女、いるよなぁ。俺も結構腹立たしい思いさせられたからあの射殺されたナンパ男とタンクローリー爆破されたオッサンには心から同情するね。しかしテルマ&ルイーズの弾けぶりがそんな腹立ちを爽快感で見事上書きしてくれっぱなしで。この系統がこんな面白いんならこりゃ『モンスター』とかも観とかなきゃだな。モンスター映画の一分類にわざわざガーリームービー新設したのは∀x(ガールズx⊃モンスターx)って見立てゆえだからね。
 ■ゴーストワールド■ まわりの喧噪尻目に仏頂面で悪態つきながら闊歩するギャル2人見たとき「なんや、『ひなぎく』の亜流ですかい……」と褪めかけたのだったが、うーん、別方向に面白展開じゃないですか。『ひなぎく』と違って2人が非対称的なのが新味ですわい。ダメ指数の高いメガネの子がメインなのはいい選択だけど、首尾よく適応していくモひとりの子のディテールもそれなりにほしかった気が。まあメガネ娘ひとりだけで十分楽しめたけど。自宅でメガネ外すとしっかり正統ブスなのがまた好感持てたり。芸術少女がオタクおやじに惹かれるってのはハナシとしちゃ大ありで、双方の気づきと体勢がズレまくってるのもリアルすぎてほんともう。留学話で絵の先生が最後一転して冷たくなっちゃったのは納得いかないけど、妄想世界に吸い込まれてゆくラストにとっちゃああいう流れでいいのかもな。コメディと幻想が入り交じった、オブジェ論や現代アート論も聴けてお得な映画でした。
 ■ヴァージン・スーサイズ■ やった後は「あ~めんどくせ」って置き去りにしちゃうイケメン君のあの態度、リアリズムです。全般、女子に比べて男子の描き方がおざなりだったせいか(戦略的おざなりってわけだが)あのリアリズムは突出的に光ってましたな。あのへんわかってないとこがお嬢ちゃんの悲劇いうか、しかしまぁこの異性のわがまま本能わかってない度では『テルマ&ルイーズ』のレイプ未遂男とどっこいやな。本来ならおっかちゃんを殺す展開が絶対妥当なのに、そ、『乙女の祈り』のおっかちゃんのほうが全然感じいい人なのにあの無惨だったわけだしな。でもここでは娘らだけで心中というストイックな大団円。男子の回顧録構成なので遺された彼氏候補たちの受けたトラウマを想像させて(だから戦略的おざなりね)そこから娘らの傷ましさを浮かび上がらせる巧妙な仕掛け。体を張って街路樹を守るシーンは表情アップでほしかったかな、失われる者への共感って寓意をわずかでも主張するつもりだったら。並木通りから何から終始映像そのものは綺麗綺麗に撮りきってくれた反面、いかんせんこの女優俺パスだワ。眼窩上突起がどうも。スパイダーマンのときよりゃ印象マシとはいえ……、まぁあのくらいがリアリズムってことにしとこうか。って全員自殺はシュールリアリズムでしょうがよ。
 ■ピクニックatハンギング・ロック■ むかし『ビリティス』って映画観たときに「ああ、こうじゃなくてさ、もぉう……」と苛々したときの理想形がここにあったって感じかな。映像美の模範。空と岩肌の描写がすごい。少女らの神秘的なムードも陶酔モノ。デブス1人残して三人が唐突に憑かれたように岩陰に歩いてっちゃうところの微妙にスローモーなシーンはなんかすっげーわ。鳥肌が立つ。みんなの時計が12時で止まった微妙なホラーっぽさもゾクゾクっだし、ラストの投身自殺死体もうつ伏せ映像マニア垂涎の最高傑作級。ただ疑問はまず音楽かな。パンフルートのメインはいいとして、なんかときどき俗っぽいサスペンス調やドラマチック調になるのね。あれいただけない。白ける。この映画にこそフランシス・レイのメロディがほしかった。それとモひとつ疑問は、2人のうち1人の男が憑かれたように行方不明少女を探し回るのだが、あれって余計では? 憑かれるのは少女らだけでいいじゃん。『ヴァージン・スーサイズ』みたく男どもはチョロチョロっと背景に使っときゃいいのに。あといっしょにいなくなった先生ってどうゆう人だったのか思い出せんのよ。最初っからストーリーわかってたら注意して観てたんだけどね。せめて下半身半出しシーンとやらは報告ですまさずジカ撮しでお願いしたかったなぁ。たぶんおばあさん先生だからかなりの壮観だったはずだぞ。ところであれとかあれとかの台詞から読みとれってのは、憑かれてないほうの男が自殺少女の兄さんだろって? そういう因縁って逆効果というか、むしろ何もかも藪の中って世界なので。男ふたりの奮闘に時間かけすぎ。この種の映画の場合、ガールズ色に徹したほうがよかったに決まってます。それといい音楽といい、映像美が微妙にもったいなかったなあ。
 ■火星の女■ 『夢野久作の少女地獄』って原題をなぜ撤回しちゃったかね。地獄ってほどのおどろおどろしさはないことは確かだけど、ああゆう痛すぎる中絶するくらいなら産婆さんとこから逃げてこんでください、が第一地獄的風景。抱擁焼身自殺シーンはホントに燃えてておいおい、が第二地獄的風景。全編あれだけコケにされちゃ当然校長を殺すんだろうと普通思うよね。だけど違うと。追っかけ回したわりにはなんもしないと、ふ~ん。路面電車の追撃シーンなんぞ一応うまく悪夢的に撮ってたのになあ。そことかラストの風船見上げる直前あたりとか、校長のドタバタ喜劇風動作が洗練されない誇張ぶりでいちいち失笑的面白さだっただけに、第一ほら、せっかく女乞食の脳髄黒焼き食わされた以上どうにかなってほしかったなと。ただ食わされましたってだけじゃさ。アップもなかったし言葉だけじゃさ。なんかちぐはぐかつ不徹底で終わっちゃったのはしょせんは、ちうかさすがは「10分に一度濡れ場があればあとは何やってもいいと言われてた」(監督談)のジャンルですかな。しかしなんだな、ほとほと溜息、『ヴァージン・スーサイズ』や『ピクニックatハンギング・ロック』観た後じゃ日本のガールズムービーってきったないねぇ。って日活ロマンポルノでエントリーしちゃアンフェアか。改めて『下妻物語』あたりで比べなきゃかな。

トラウマ系25

2009-01-12 02:19:39 | モンスター映画
 ■七人の侍■ 俺てっきりこれ、7人全員死ぬもんだとばかり思い込んでたのね、根拠もなく。どしてそう思い込んだのかわからんのだが確信してたのよ。そしたら死ぬの4人だけじゃん。ラストまで来てあれれって。でも文句ありません、面白かったので。百姓が全員決起してるわけなんで侍は全員死ぬ必要もないわけだ。何となく七人だけで野武士集団やっつける話かと思い込んでたのかな。しかしまぁ4人とも死因は種子島だと。これちょっと意外。合理的すぎて。もっと接近戦で立ちまわるのかと思ってたんで。接近戦も馬上の1人2人相手に農民ともどもみんなでかかっていくパターンばかりで、ことごとく予想と違ったかな。まあいい意味でね。嘘くさいチャンバラばっかだったらどうしようかと思ってたもの。ただこう、野武士の襲撃パターンがいつもおんなじで、むこうにももっと戦術立てさせたほうがよかったよな。お話がこっちサイドの都合に合わせきってるもんだからむこうがてんで木偶の坊の集まりじゃん。むこうの頭目もなんか印象薄すぎだし。ただこっちサイドの描写は万全でした。利吉らが苦労して侍を集めるあたりのギャラリーの反応やら、菊千代の機転で溝が埋まるまでの百姓らの自然っちゃ自然な不自然対応やら、利吉の女房が炎の中に逃げ戻ってってしまうあれよあれよのシーンやら、うむ、やはり侍と百姓の架け橋たる菊千代が効いとるなあ。三船敏郎がああいうキャラ演じるとは思ってなかったし。七人一人一人の個性をちゃんと見分けるにはあと2回くらい観ないとダメかな。緊密な構成はさすが名作。隅から隅まで見たい感じ。それだけにいろいろ、水車小屋で長老が殺されるシーンとかきっちり見せてほしかったですけどね。
 ■トゥルーマン・ショー■ てっきりシリアスかつありきたりな悲喜劇になるのかと思ったよ。そしたらあっさり朗らかに受け容れて再起を期すって感じですか、トゥルーマン君たら。しかし考えてみりゃ騙されてたのはひとりだけとはいえ、束縛されてたのは彼ひとりってわけじゃなくて、奥さんとか、保険会社の同僚とか上司とか、最後まで信頼されてた友人なんか小学生の頃からだし、中途リタイアできた父親はともかく母親に至ってはずーっとトゥルーマン君といっしょにいるとか連絡取り合うとかしなきゃいなんないわけだよね。すっげー大変。盗撮カメラが5000コも仕込まれてるって設定に参っちゃいました。でもあんだけの芝居仕掛けるなら、バスの運転手も船員もほんとに乗り物動かせなきゃダメでしょう。「俳優に船の操縦はできない」ってあーた……、三十年の履歴そっちのけで観客本位に作られた観念論映画の見本でした。この世界に接し始めたばかりのお客本位にして作品世界蔑ろ、そこがチョイ残念。でもまあ、人権侵害だなんだって騒ぎたてるたぐいのラスト迎えなくてヨカッタヨカッタ。そのテの苦情はもう名前なんてったっけあの恋人にしそこねた日本語学習女が監督にさんざんまくし立ててくれてたからね。
 ■フローズン・タイム■ てっきりほら、時間が止まるとか言われると当然、エッチなこと想像しますよそりゃ。ところがエッチ要素は最低限以下と。あの主人公、ウジウジ系のわりに健全なんだなと。いや健全なとこがウジウジ系なのか。もひとつ肩すかしだったのは、もともとジャケット表紙になってた超美人が楽しみで観はじめたんですがね、なあんだスーパーでの静止状態で一瞬出演のみですか。当然セリフもなし。がっかりっす。ヒロインにあの女優使うくらいならあっちの美人にしてほしかったよなあ。しかしラストで肖像画の大盤振舞が感動的だったのは、あのくらいの平凡レベルの女が唖然感激顔で絵ェ見上げてる構図ゆえだったろうね。パーティーで誤解して速攻出てっちゃうあたりの表情とか、端々の仕草が主人公との相性バッチリだったわな。ヒステリックで脳天気なだけっぽい元カノよりはずっとね。しかしあの静止シーンってどうやって撮ったんだろう。そっちのほうが気になって、時間停止能力をフル活用せずデッサンにばっか耽ってる主人公をもどかしいと感じる暇もありませんでした。てわけで傑作です。ただ、静止シーンはただの静止じゃなくてデジタルで少しずつ動かせたらもっと面白かったのにね。戻したりとか。ところで静止シーンで突如ダッシュで逃げてったやつ、あれ誰だっけ?
 ■自虐の詩■ てっきりナンセンスものかと思ったんですよ。古典的ちゃぶ台返しのたびに大家のおばちゃんが正の字で記録してる、って出だしからして、少なくともトンデモ系コメディだろうなと。そしたらなぁんだ、普通中の普通、普通のヒューマンドラマでしたか。ま、それで損したってこたないんですが、ユキエが意識不明の時に見る夢が、走馬燈でそのままあの世行きってオチだったら……、って解釈もほんとはアリなのに、それまでの超マトモ感涙系ドラマ仕立てによってその可能性ハナっから消えてるじゃないですかよ。いかんなあ、いかん。深みをとりすぎて厚みがなくなってしまった。あっさり死にました、って展開も暗に並行させてほしかった。それが赤ん坊まで助かるときたもんさ。しかしあの夢、事実ですか? って事実でしかないンよなあ。ほんと解釈の幅の狭い映画だぜ。しかしまあシャブ中の幻覚がほんのりモンスターで嬉しかったのと、過去のハヤマと今のハヤマの落差教えてくれたのが効果的だったのと、クマモトさんとのベタなエピソードが意外と(たぶん彼女の風貌のおかげで)見せてくれたのと、ラーメン屋とユキエ父のソープで激突シーンがこれまたベタな笑いを誘ってくれたのと、見どころ多い映画でした。ほんとはこのネタ、返す返すもナンセンス向きなんだろうがなァ……、そして阿部寛はやっぱ、このテの役よりもほら、『トリック』とか『最後の弁護人』とか皮肉言いまくりっぺのほうが適してるって感は否めませんでしたし。
 ■恐怖のメロディ■ これてっきりストーカーものだと思ったわけよ、もっとひそやかなね。そしたら単なる押し入りじゃん。てか殺人鬼じゃん。いや、はっきりストーカーって銘打った映画じゃないから勝手に思い込んだ方が悪いッちゃ悪いんだけど、あっちの方向に行かせるなよって。むしろ恐怖は薄れますって。少なくとも家政婦めった切りだけはやめといたほうが、あとなんでだか知らんがベッド脇からナイフ振りかざして……、もやめといたほうが(玄関の鍵ぐらい締めときなよ)。刑事もアッサリやられすぎ。神出鬼没の妖怪ですかと。いや、だけど「ミスティ」のリクエストは怖いッすね。ああいう形でいつまでも復活され続けたらほんと怖い。「ミスティ」聴くたびにあの女の形相思い出す。ってこたあるようなないような。
 ■口裂け女2■ てっきりいわゆる都市伝説ものかと思ったんだよね。そしたらサイコキラーものかよ。顔に硫酸かけられたのはそりゃ災難だけど、だからって口裂け女になっちゃうってのはなぁ~。ま、正編が普通のパターンだったんで、この続編は鬱陶しいサイコものとはいえ「あらら?」てなはぐらかされた感が鬱陶しさと中和してちょうどよかったかも。アそうそう、ナイフでブッスリくらってるのに平然と走ってるあたり、しまいにゃ妖怪になりました的展開がさりげなくてよかったなあ。なわきゃないでしょ。でもまあ、重苦しい家族崩壊全滅モノが好きな人にはオススメかも。山野一の貧困漫画とかね。
 ■ミネハハ■ あれ? おっかし~な~。てっきり幼女ものつうか童女ものつうか、とにかくちっちゃい女の子たちの話だとばかり思ってたぞ。『エコール』とおんなじ原作だと聞いてたもんで。そしたら冒頭で一挙に何年も話が飛びやがんの。ひどいやひどいや。何歳になったって? あああ冒頭じゃちっちゃかった子たちがどう見てもあれじゃみんな18歳以上。(←少なくともモンゴロイドの審美眼では)。あのエコールの神秘的かつロリ危ないムードのカケラもねっつの。召使いらの人格否定的扱いぶりも描写なまぬるいし、肝心の異世界情緒ですらこうも負けちゃってちゃナあ。ま、それ以上の感想ナシです。
 ■転校生 さよなら あなた■ 82年版同様てっきりこれもハッピーエンドいうかせいぜいお別れペーソス止まりかと思ったのね。そしたら25年の差はそう生ぬるくないとでも言いたいかったのか大林監督、ああいう展開にもってきましたか……。文句はありませんです。病床のカズミを見てカズオの母が「?」となるあたりの演出は冴えてたしね。でも相変わらずの男女描き分けですなあ。シリアスになったぶん、もうちょいリアリスティックに作り込んでもよかったんでは。ジャケット表写真の2人の姿勢からして安易すぎるよ、25年にしては進歩なさすぎ。この不満の元はここではとくに繰り返しますまい。『ゼロからの論証』2-1「身体交換とフェミニズム」をお読みいただければ。
 ■1942 怨霊■ だからこのネタはもういいですって、まったくもう。てっきり怨霊が出てくる映画かと思ったわさ。タイトルがそうなってるんだから。怨霊に取り憑かれてるかと思いきや自分らが怨霊だったってか、あのラストは。だからそれってもう何遍もやられてるネタですからって。あれやるなら、自分らと思しき人影がカメラに写るシーンを繰り返して早々にネタバレするような真似やめとくべきでしたねえ。手垢のついたああいう展開じゃなくて、ふつうの怨霊ものにしとけばわりといい雰囲気出てたのに。映像も結構凝ってる遠景とかあったし。しかしどーにかなりませんかと閉口したのは主人公はじめ兵士らの絶叫口調に大袈裟なおたおたぶり。うるさいったら鬱陶しいったら。そのくせ銃は一発しか撃っとらんでしょう、戦争映画(だろ)なのに。大尉殿の棒読みゼリフにも困ったもんだし、まぁぜんぶ走馬燈なんだからインチキ演技も許してよってわけにゃいかんよ、ほんと。視覚的には合格点余裕でクリアしてる作品なんだから、ただの不条理ナンセンスにしときゃよかったんでないの?

コメディ系9

2009-01-06 02:22:50 | モンスター映画
 ■エイリアンズ■ ほんとはオバカ系に分類されたがってる確信犯的映画なのだろうけど、CGからしてしっかりしてるし全然チープな雰囲気ないのでコメディ系ってことで。たしか出だしは夜間主体のアブダクションもの系ホラー調だったのがだんだん白昼スプラッタコメディになっていってかなり愉快だった記憶が。『ブレインデッド』を意識してるのミエミエかな。わざとそう作ってるんだろうけどね。芝刈り機というか麦刈り機というかトラクターというか、あれでエイリアンどもを各個撃破バッサバッサグチャグチャグチャってシーン、流れからして「やっぱり出たか」ってなもん。壮大かつ爽快、だけどちょっと損してたかな。ああいう広々した野外じゃ迫力激減、やっぱプレインデッド風の狭い屋内であれやってくんないと。シュールな脳天気さって点じゃあの違和感が成功してるけど。あれよりむしろ追跡・射撃シーンが脳天気で気に入ったかな。オーブ風の球体がビュンビュン追ってくるのがえれー迫力でないかい。で肝心のテレビの撮影は結局どうなったんだっけな。とにかく血糊と内臓をとことん描きたかったエログロコメディ一筋とくればそんなストーリー的なこといちいち憶えてなくていいってことよ。テンポに乗せられてればいいこういう映画、貴重だよなァ。B級に徹しようとして出来がよすぎてA級っぽくなっちゃった珍しい例でした。
 ■フランケンフッカー■ うわっ。『ソサエティ』ばりの人体パーツランダムアクセスが観られるとは思わんかった。ラスト近くにちょこっとながら、うーんありゃあ萌えましたぞい。箱ン中で人体がひそかにあんなんなってるとは予期せんですもん、ほんと得したよ。全般あの動きったら女優さん、えらい練習したんでしょうね。敢闘賞です。映画史上いかなるゾンビにもフランケンにも出せなかったぎくしゃく歩きです。もっともっと買春客ぶっ殺すとこ見たかったですけど、ほぼあの歩きだけで満足なくらいです。表情もうまい。あれCGじゃないんだよね、拍手。それと売春婦6体連続破裂シーン。たまりませんでしょ。アジア系が1人混ざってたのも超いい味出してました。人種フェチは必見のハーレムスプラッターシーンですね。『ブレインダメージ』がえっれー面白かったんで同監督の噂のこれも観てみたんだが期待どおりいやそれ以上でした! 同じエロチックホラーやるなら『スピーシーズ』もほれ、モロこっち系に寄ってきた方がいいんでないかなと。どないだ?
 ■バブルへGo!! タイムマシンはドラム式■ やっぱ阿部寛はいいねえ。15年(だっけか)を隔てて二重人格的な効果をしっかり表現。しっかしここまで大らかにやられると文句つける暇もないわな。って経済破綻を防ぐったって、タイムトラベルのパラドクス全然考慮してねっつの。うまくやって戻ってみると首相でした、かい。出発前とのズレどー説明すんですかい。ってンなことどーでもいいコメディのためのコメディ。広末が自分の娘だと知ったとたんに「そんなふしだらな真似はやめなさい!」って阿部の豹変は普通に可笑しくて二重丸。変な理屈つけるタイムパラドクスモノよりか、こういう脳天気な映画のほうがやっぱ得ですな。座敷でのドタバタはあんま要らなかったけど、Xファイル的なネタを二重三重におちょくった構成は心地よし。しかし憶えてるだろ、バブルの最中だって「不景気、不景気」言ってたんだぜ。バブルどころか世界第2位に躍り出た60年代高度経済成長のさなかですら「この不景気に」って言ってるしさ(ウルトラQ「2020年の朝挑戦」見てごらん)。あんな札束切ったりしてねえよ。あとに10年くらいしてバブルネタで札束切らせたらリアリティ感じられたのかもしれないけどね。
 ■33分探偵■ 徹底したメタフィクションの傑作! と評価すべきなのだろうが、そして確かに5話くらいまでは大変楽しく観れたのであるが、こんなのもありか、と笑えたのであるが、推理披露の最中コピーロボットを妄想して「コ……」と言いかけてやめたあたりは常識と非常識のはざま的キャラクターぴったりのハイセンスぶりが心地よかったのだが、う~ん……、後半になるとワンパターンにすっかり飽きてしまいましてねぇ……、ドアにぶっ倒されるセールスに各人現場参加型の聞き込みにモテギが得た有力証言に、「なんやかんや」に鑑識の部屋に情報屋に手錠空振りにエンディングのストップモーションに。流れがあまりに読めすぎてしまっちゃぁどうもな。途中でアイテムを半分くらい入れ替えてくれたら飽きずに観れたんだが。ピタゴラ装置だけは微妙に趣向を変えてあってナイスでしたけどね。まあワンパターンもそれぞれ著名な原典をパロディ化した結果ってことらしいのでうだうだ言っても見当外れなんでしょうけど。しかしいまいち以上にツッコミ弱いと感じられたのは、六郎の「33分もたせてやる」がひたすらメタフィクショナルなモチーフに支えられているように見えるからだろうな。たしかに、ラストでときどき、「……が犯人だなんてあまりに悲しすぎるじゃないですか」のポツリが効いたりはしていたけれど(あれこそ毎回ほしかったセリフですが)、あれを最初にやってほしいわけですよ。というより、そういうヒューマンな動機よりもひたすら「名探偵でありたい」がミエミエの「はたしてそうでしょうか」にしてほしかった。ちょっと淡々としすぎてるんですよね。せっかく途中でクリスティやらなんやらミステリ小説の蘊蓄を口にするわけなので、ミステリオタクがそのまま探偵になった、的設定がもっと前面に出ていればなあ。どうせメタフィクション的構成は見てとれるに決まってるので、「ただもたせてやる」じゃなくオタッキーなムードを強調した方がねえ。お詫びの菓子折は『時効警察』の誰にも言いませんよカードのノリそのまんまのいかにも「ゆる~いギャグ」を意識しているが、ゆるさはもう33分探偵ってコンセプトの時点で十分じゃなかったのかな。でも、ああいう淡泊な感じとワンパターンのリズムが好きな人は多いはずだし、数あるテレビドラマの中でも脚本がバツグンに素晴らしいことは事実。あの濃密度は褒め称えなきゃウソだ。DVDボックス購入に続いて、もちろん早速『33分探偵 シナリオ・ガイドブック』を買いましたとも。
 ■ショーン・オブ・ザ・デッド■ ……これ、そんなに面白いか? 結構評判いい作品だよね、コメディとして。だけどギャグもそれほどじゃないし、なんかテンポよくないし、主人公コンビが緊張感さっぱりなユルユルムードで売ってるだけじゃないの? コメディだと聞いてたからセリフ逐一フォローできないと話になんないと思って字幕出してみたんだけど(いゃあ字幕出してみるとストレス溜まんなくて楽ッすね、これから意地張んないでぜんぶ字幕出してみようかなぁ)、とくに笑えるギャグはなかったぞぃ。笑うべきところってあのへんだったのかな、例えばLPを次々に品定めしながらぶん投げるとことか(あれでゾンビの頭に刺されば笑えたのに)、男か女かどっちにする、って相談してくるっと左右入れ替わるとことか、ショーン氏が何度かゾンビまがいの歩き方で「お?」と思わせるあたりとか、しかしなあ、だいたい一瞬先が読めるのばっかなのね。別動隊と鉢合わせしてすれ違うときに、「あ~こりゃ最後のやつゾンビなんだろうな」と思ってたらその通りだったし。先が読めるシーンが積み重なって「やっぱり、ニヤリ、やっぱり、ニヤリ」で観客をココチヨクさせる積み重ねかァ? でもそれじゃ刺激足りんです。前半で、ショーンが路上歩いてくときにまわりが血だらけ死骸だらけゾンビだらけになってるのに全然気づかずニアミス重ねつつすたすた戻ってっちゃうあたりが一番よかったかな。あとパブの入口脇でカップルが抱き合ってるかと思ったらショーンの肩越し遠景でカクッと片方の首が落ちるあたりとか、たしかに贅沢な演出やりまくってました。けど中盤以降どうも無駄が多いんだなあ。パブでのサバイバー同士の諍いも間延びしきってた。とりたててオチもないし。別動隊の女に再開したって別にねぇ。パロディ元になってるゾンビ映画はほとんど観てる俺がこうも反応鈍いってことは、一般にもそう大受けするようなモノとも思えないのだが。冒険はないが丁寧堅実な佳作ってとこでしょうか。ま、字幕出してたおかげでバートランド・ラッセル語録の引用があったことに気づけてよかったです。やっぱイギリス映画って感じ。字幕消してたらラッセル聞き逃してたの確実だもんな。
 ■東京ゾンビ■ あーこりゃあかんわ。すべってる、ギャグが。脱力系ナンセンスを気取って瑣末主義に陥っちゃったな。カルピスだの柔術だの、まあ柔術は最後に効いてきたからいいか、浅野忠信と哀川翔主演となればもっともっと面白いの期待しちゃったんだが。でもこのくらいの面白さで満足できなかった俺が悪いのかね。実際、ゾンビ化したはずの哀川翔が闘技場で「いてーーーーっ!」て目覚める展開は、全然予期してなかったレベルの傑作展開だったですもん。いわば自己催眠状態ね。ゾンビになりきっちゃった。それ式メカニズム使ったの、この映画が初ではないかな。あのアイディアだけでもこの映画は歴史に残っていいでしょう。うん。観てる最中は失笑の連続だったけどあのオチで甦ったな。まさにゾンビってか。えーと最後に一言。入れ歯で咬まれたってゾンビウイルス感染には変わりないと思うんだけど。
 ■ワンダーウォール■ これってコメディでしょうな。微妙なところだが。堅物教授が覗きはじめるとこだけ、いや、覗くたびに非コメディ系寄り異様な迫力ありました。そりゃあたまげますわ、学問の虫がドラッグ・サイケデリック文化をいきなり覗いたりしちゃあ。掃除婦さんがなにげに邪魔なのが笑える。覗き屋が救い主に急変する準お定まりの流れも許せるナシクズシ展開。あからさまに脱力系でないぶん自然な笑いをとれた佳作。『のぞき学原論』のあとがきにこれほど適任の窃視映画は他にありませんでした。
 ■GHOOOOOST!!■ ウワ、舞台劇だったか。騙された。ってちゃんと事前調査しなかった俺の責任だが。しかしやっぱ俺舞台はダメだわ。体質的にというか。ドタバタコメディって触れ込みなら「熱演」ってのやめてほしかったんですわ。中途半端にヒューマンだし。ヒューマンにしちゃ、妻が生んだ他人の子を承知で育てる純愛男、って設定がリアリティ極薄だったのも災いしたな。逆にナンセンスにしちゃ、ただの幽霊に宇宙人の幽霊にカーナビの幽霊に、って詰め込みすぎが仇となったよ。しかもセリフったら無駄が多かったなあ。一つのギャグ言うのに3倍くらい言葉費やしてるから笑えんよ。ほんとだらだら、「和牛」のとことか。ギャグになってませんぜ、あんなんばっか。ほんとバシッと決めてよ。霊が肉体取っ替えるたびに倒れて立って、ストン、サッ、サッ、ストン、のシンクロ身体運動がある程度注視に値したって記憶だけっす。パフォーマンスだけじゃなくて内容でも見せてってば。あの出来じゃ、客席からの折々の笑いもお義理にしか聞こえずムナしかったす。

バイオハザード系9

2008-11-06 14:16:01 | モンスター映画
 ■バイオハザードⅢ■ こりゃまたアクションずくめですね。目が離せない感がたまらんっちゃたまらんのですが、モンスター度がどうも、前二作に比べて薄いですな……、ゾンビ犬にゾンビ人にゾンビカラスに……、ラスボスっぽいあのドクター、指がぐにゅーって武器になってるのはなぜに? まあ細かいことは置いといて、アクションのスケールがでかくなったぶん何だかんだ言ってもとりあえずマルですよ。あの第一作を基準に考えちゃうんでどうしても点数辛めに観てしまいますけどね。
 ■ダウン■ 一応バイオハザード系だよなこれ。あんなとこに心臓(?それとも脳だっけ?)光りながらばくばくしてたら怖いっすね。よほどのことがなきゃ見えない場所で幸いでした。しかし怖くなきゃ意味ないんで。怖さで言えば惜しむらくはしょせんエレベーターだからなあ。封鎖しとけば被害は出ないはずなんで、それをわざわざあんな事故多発箱にみんなわかっててどんどん乗っちゃうって無理な設定。ビルの管理者かなんかが頑固でって理由付けだけど、う~ン苦しい。あれじゃいくらなんでも恐怖感乏しいよな。恐怖感はやっぱナチュラル感に裏打ちされてないと。でもまぁ、エレベーターで人が死ぬとしたら可能なあらゆるパターンをいちおう全部試してくれたところは好感持てました。とくにほら、外からドアに顔はさまれてエレベーターがゆーっくり下りてくるあの死に方! 見ましたあれ? ほんとナイス! だったけど、あれだと首がもげてあーゆーふうに落ちるんじゃなくて顔の前面がゴシゴシズルズル削げ落とされる感じじゃないの? それやってくれたらポイント上がったんだけどなあ。首からばっさりのほうが映像やりやすかったんだろうね、仕方ないか。あと盲人を墜落死させたのはいいとして、せっかく妊婦の大量死が出かねない流れにもってった以上ちゃんと初志貫徹してくれないとさ。せっかくのリメイクなのにいまいち踏み込み甘かったですね。かと思えば変なとこで暴走しすぎてて、ようやく大量死が発生して以降の終盤アクションは無理ありすぎてついてけなかったなあ。まあ荒唐無稽演出はわざとだろうけど、主人公つったってスーパーマンじゃないんだから。最後のバズーカのアクロバットもね。ただ初っ端と途中の空撮はよかったと思いました。CGと併用かもしれませんが。
 ■リバイアサン■ ラストが……ラストが……、あああ、惜しすぎ。本格的モンスター映画になってるってのに、浮上した直後のサメと本チャンモンスターのダブルはね~んでねえの。のんきに爆弾クチに放り込んでんじゃないよって感じだし。センスの悪さが露呈したことで、それまでのマイナーな疵が全部改めて気になっちまったですよ。沈没船から持ってきた得体の知れん酒を平気で飲むかよとか、いかにもナイスな造形してるわりにモンスター結局全身見してくんなかったじゃんとか、銃器一個も無しのまま有り合わせの武器で戦う気するかョとか、いやまあ、ああいう見繕い武装って結構楽しかったけどね。それと腹から飛び出てくるのは『エイリアン』以降定番だけど、逆に腹にぶっといのがズルズル無理矢理入り込んでくあそことか、掌にバカッと牙が生えてるあそことか、やられたクルーの顔があたりかまわずボコボコくっついてる図とか、『プロテウス』をチョイパワーアップしたようなほどよいグロさがまことにイイ。ってそれら愛すべきグチュグチュニュルニュルモンスター映画の正道も正道のハイレベルぶりが、ああぁラストで台無しになっちまったっつの。一同を見捨てた女上司最後にブン殴ったくらいじゃ大して引き締まんなかったですよ。
 ■デッド・フライト■ スワッピングカップル二組あり、間抜けな警備員あり、手錠で繋がった刑事と容疑者あり、修道女あり、プロゴルファーあり、ウム、いるべき人間が全部揃ってる閉鎖空間、相当面白かった記憶あり。でも俺、基本的にゾンビって萌えないんで……ゴメン。飛行機内のゾンビって斬新さは認めるけど……やっぱゴメン。
 ■スピーシーズ4 新種覚醒■ こらこら、叔父さま、強すぎ。普通の人間でしょうがあんた? どーしてあのカメレオン舌をそう何度もかわせるわけさ。ラストもともども自爆すんのかと思いきやしぶとく生き続けるんですな。ま、いいけど。新種どうしの対決場面以外はさして見どころなかった的映画だったわりに、なんかストーリーが気になるな。いや、あのもう一人の遺伝子いじり先生にくっついてた新種(? エイリアン?)が共存してたかと思いきや思い出したように襲ってくるあの気まぐれさというか。なんかキャラクターどうしの間合いいうか相互関係がわからんかったよ。字幕出して観ときゃよかったな。
 ■ギガンテス■ うわ惜しいなあ、サソリ型クリーチャー造形(しかも金属質!)ったら素晴らしすぎなのに。CGも最初に冷凍車を飛び出した瞬間だきゃトホホ……の予感十分だったけどあとはしっかりボロ出さずにハリボテとの併用でリアリティ出してましたし。……とここまで書いて数ヶ月うっちゃってて、えーと俺何が不満だったのかな? クリーチャー造形もよくCGもまずくないと。なんだろ。全体を覆う安っぽさかな。ウン。それは憶えてる。ってことは結局CGが酷かったってことじゃなかったかな? あとあれだな、女兵士がやたら粋がって男と腕相撲やりたがってたシーンが白けたのと、具体的にどうって忘れたけど突っ込みどころとにかく多くて、ツッコミながら観るの趣味な人にはタマラン映画だろうなって記憶もありすわ。で肝心のモンスターはどうやって始末されたんだったかな? なかなか死なないモンスターだったことは確かだけど、うーん忘れました。
 ■リヴァイアサン■ 『リバイアサン』とは別ものです。巨大ウナギです。といってもあれくらいの大きさのウナギなら実在すんじゃないかなって程度ですが。しかしやたら人の胴体を真っ二つに食いちぎるのが得意なウナギどもで。ほんと人体真っ二つ地べたにごろーんをじっくり見せてくれるシーン何回あったかなあ。その意味じゃ嬉しい映画でした。ウナギは陸地も全速力で走ってくれて視覚的にサービス精神旺盛。湖畔の小屋でウナギを迎撃するあたり『フランケンフィッシュ』を予感させて期待満々でしたが、やっぱあれにはおよばず、しかしグロさが効いてそこそこ楽しめた映画です。

フェイクドキュメンタリー系2

2008-09-14 23:25:07 | モンスター映画
 ■陰陽師 呪詛返し■ これ、ヨイ! 笑える! 笑いをとろうなんて姿勢これっぽっちも見えないのに(見えないから)笑えちゃう。大真面目な教養ビデオ風解説がなんとも笑えるんだな。いや、呪いの実在を信じてる人がいたら、その人にとっちゃ「フムフム、ふーん、怖ろしいなあ」てことになるんでしょう。ほんの冗談が命に関わっていく第1エピソードの展開なんかほんと「冗談じゃない」の世界で怖いっちゃ怖い。冗談って呪いの正反対なんだがなあ……、って文化現象というより自然現象としての呪いの実在を頭ごなしに前提しちゃったあの生真面目解説と再現映像、俺ら合理派にとっちゃ笑えますって。しかもビジュアル効果がリキ入ってて、色彩も鮮やか。目に楽しいと同時に実在の神社の風景や由来や隠れ陰陽師に関する解説なんぞも勉強になったり。感性と知性両方を満足させてくれる極上ビデオって感じです。とりわけ犬神の話は笑えたよなあ。あと、お母ちゃんが取り憑かれちゃうエピソードの再現、もしかして証言してる本人と同一人物使ってない? モザイク意味ないでしょ。というかあれで「これは全部フィクションですョ」ってシグナル発してるつもりかな? ってモザイクとピー音だらけのこれぞフェイクドキュメンタリーっぽい作りが『女呪霊』思い出させて、このパターンって傑作化する傾向にあるのかな? 適度にドラマっぽいオチなんぞがラストのエピソードには備わっていたりして(彼氏をとられたってのはおまえかい!)、最初のエピソードも間接自殺っぽい何とも意味深な真相(?)らしいし、これ、十分A級な品格を実現できた掘り出し物というべきじゃないでしょうか。正直堪能しました。
 ■ドラゴンズワールド■ そりゃもう架空のドラゴンと実在の恐竜の一騎討ちって時点でわくわくするよね。ティラノサウルスとのバトルと並行した調査開始部分はなんかワザトラシサばかり先行して「ちょっとな……」って感じだったけど、だんだん調子が出てきたというか、水素が揚力と火炎放射という二つの超能力の鍵を兼ねてるんだというあたりわりと自然な運びでかなり納得です。しかし仮説を一つ思いつくたびに観賞者より一歩遅れたタイミングで「そうか、わかったぞ」的に誘導してゆく古い手法はなんか貧乏たらしいのね。だって「燃料」とくれば水素ってのは簡単な思いつきでしょうよ。もっと専門的めかして誤魔化しながら進んでもよかったんじゃないかね。まあ全体、進化論の大まかな枠組みの通りの解説が進むんで(炎でのディスプレイでメスを呼ぶとかね、ハンディキャップ原理に合致してるし、ドラゴンが実在すればさぞああしただろうなというような)、学術的ドキュメンタリーの装いとして悠々合格点ではないでしょうか。絶滅時のホロ悲しい余韻もいいですね。六百年前のヨーロッパ人に「種の保存」なんて発想はありませんものなあ。のみならずドラゴンサイドからして最後の2頭だってのになんと♂の本能が卵殺しの挙に出て♀愕然!の展開には泣けましたよホント。あそうそう、虎との戦いは、欺瞞と待ちぶせで瞬殺するんじゃなくて、正面からのバトルを見てみたかったなあ。とくにあそこは中国の竹林って想定なんだから、なおさら竜虎両雄のフェアな対決は見せてほしかったですっけ。
 ■日本のこわい夜 特別篇 本当にあった史上最恐ベスト10■ これは笑えた。あー笑えた。敵の狙いどおりのドツボにはまった。ラスト近くになってカメラアングルが完全フィクションに開き直ってしまう展開にゃ脱帽。タクシーの中の正面アングルはほとんどカタルシスに近いですよ。リアルという建前からフィクションという真相への脱皮がこうも爽快だったとは。しかし件の家から一同引き上げたときの「恐怖はこれだけでは終わらなかった」というナレーションは無いほうがよかったなぁ。あれ無しで自然に繋げちゃったほうがね。私恥ずかしながら、これ始めて観た時点では、ここに出てる芸人さんたち、司会のくりぃむしちゅーをはじめだーれも知らなかったんです。テレビナシ生活を続けていたツケが回ってきたなあ(正確には1人だけ名前は知っていたが顔見て本人だと認識できるほどじゃなかったんで)。だもんで、どうせ架空の芸人で構成したフィクション、てつもりで観ちゃってまして。しかし実在の芸人さんらなんですよね。それ知ってる普通の観賞者は、そりゃだまされますわな、本人たちがいつものノリで掛け合いやってればね。超常現象のレベルも歯止めが利いてて、リプレイでも「ほんとに? うむ、よーく見れば……、いや、やっぱないない」的リアリティ出すのに全般大成功だったんじゃないでしょうか。押し入れから水ドバーーも全然やりすぎ感ありませんでした。持ってきかたがうまかったんですな。しかし考えてみりゃバラエティ番組ってものそのものがあらかじめシナリオ決めてるフィクションてのが普通ってことですわな、それとスタジオの客やカメラマンが倒れる展開にゃ感心しましたよ。ああいう人たちも演出に一役買ってる俳優なんだって論理に改めて気づかされましたし。そういや何度か「脚本(ホン)」に言及してたよね、芸人さんら。テレビの中の人物を生の人物と勘違いさせる天然モキュメンタリーを人為的に対象化した系。とわかっちゃいるんですが、しかし率直に言ってここに出てる芸人さんたち、全員好きになりましたです私。女性芸人2人だったかな、だまされてたってことでラスト泣いてたけど、たしかに「敵をだますにはまず味方から」戦略は説得的だが、あの2人の泣き自体も演技かもしんないよね。ほんと、どこからどこまでリアルなんだかフィクションなんだか。
 ■ほんとにあった! 呪いのビデオ THE MOVIE■ あらららほんとだ、映画でやる意味ないっすわ。もともとのビデオシリーズとおんなじじゃないですか、雰囲気も作りも。細かいとこは忘れちゃったんで、ま、映画である意味なかったってことで。考えてみりゃたしかに、スケールでかくしちゃっちゃあリアル路線からハズレるので、ま、呪いのビデオシリーズが劇場版向きじゃなかったってことで。
 ■ほんとにあった! 呪いのビデオ THE MOVIE2■ ああ、こっちは映画でやった意味大ありかも。なかなか良くできてましたよ、途中からあれよあれよとドラマ展開になるのも『日本のこわい夜~特別篇 本当にあった史上最恐ベスト10』ほど唐突じゃないわりに、それゆえにほんのり笑えました。投稿者が当事者化してゆくのはこのテの素材としては理想的な展開とはいえ、ああいうあからさま系に引きつけないほうがよかったような気も。プロレス的オカルトアングル、というかマナーの見本としてアマゾンのレビューを『のぞき学原論』に引用しましたが、興味持って本体観た甲斐ありました。そうですか、明日美さんってああいう子でしたか。なるほど微妙なラインですね~。
 ■劇団ひとりの匠探訪記■ えと、匠は2人とも本物なんだよね。3人目の「笑いの匠」だけが本人のフィクションを演じていたってことですよね、「途中からフィクションです」ってそういう意味だよね。しかし砲丸作りの匠のパートで、オリンピック話のたびになんかふざけたコラージュの「イメージ写真」が出てきたり、本物の匠に対して失礼でないかね(それともあの匠もウソ? いやホンモンですよねぇ……)。あとほら、悪魔が出てきた直後におろし金カンカン鳴らしながら走られた日にゃあせっかくの匠の作品を……、とハラハラしましてね私。別の品に取っ替えて使ってんだろうけど、いやぁリアルモードで見続けてしまった私が悪いんです、ええ。あんま笑えなかったのが不満だけど、しかし今考えてみると構成はきわめてよく出来てましたな。スタジオでの進行役の女性のリアクションが微妙に変で、劇団ひとりの表情も曰くありげなのが、後半に種明かしされていく。削除部分ではそういう展開が、なぁるほど、て仕組み。笑えなかったけど、笑うべき展開であることはわかる。うーん、いや、どう考えても現実に笑えなかった俺が悪いなあ。あれは笑えるべき演出ですよ、やっぱ。落ち着いた女性ナレーションと劇団ひとりの空転ドタバタとの落差が今考えると大いに笑えます。ラストの心中は完全なフィクション性をはっきりさせちゃったけど、ああしなかったほうがよかったんだがな。てわけで、どーせならリアルタイムで笑わせてほしかった的不満が残るにせよ、二度目には思い切り笑えるに違いない的印象ゆえに、高得点付けときます。(そもそも笑えなくてもあの「痛まし苦笑ムード」は得点源に違いない……)
 ■ファンタスマゴリア 闇に封印された映像コレクション■ どう分類していいのか……、最初に、映像だけ通して観ちまったじゃないか。どーしてくれんの。トークといっしょに観ないとわけわからんよあれは。よい意味でのワケワカラナサじゃなくて、「何ひとりよがりやってんだ」的にわかったようなわからなさ。だからひたすらつまんなかったです。ま、後からトークをまとめて見直してみたけど、初期設定でいっしょに再生されるようにしといてほしかったよ、このDVD仕様はまったくもう。アブストラクトな映像ばっかなので、背景を想像して「得体の知れない曰くありげな恐怖」に自足したい人向けかな。私ァそれじゃ駄目な方なんで。トークといっしょに由来とか聞きながら、ブルーフィルムとか懐かしい単語に触れながらしっかり観ればそれなりに情緒も感じられたかも。もっかい観る気力はないっす。てわけで初めて観る人は、初期設定を変更して映像とトークを交互に、つまり会場の時間の流れに沿って観てください。その上で「面白かった」かどうか教えていただければ幸いです。
 ■陰陽師 実録! 百鬼封滅■ うーん、これはどうかな……。『陰陽師 呪詛返し』が面白かったんでこれも期待して観たのだけど、ああいう真面目くさった教養ドキュメンタリー風味がなくて、ただ密着取材しました風。それにこっちの陰陽師はただ怒鳴るばっかで人間として格調低い。悪霊に怒鳴るのはいいとして相談者がしらふの時も怒鳴り散らしてどうすんの。あんた自信に余裕がないって自己暴露してるようなもん。それに悪霊に取り憑かれた相談者のインタビューも下手なんだなあ。あとひどいのは、画面全面ボカシってどうゆう心がけですかね。顔モザイクでしょう、普通。前半は顔モザで丁寧に追ってたけど、途中から相談者もしくは陰陽師の顔が映るシーンは全面ボカシに移行かよ。ひでーなあ。手抜きもいいとこじゃん。ただ一つよかったのは、洋子さんだっけ、相談者3人のうちの女性ね。ボカシ越しにも美形じゃないことはわかってたけど、最後の最強怨霊を追い出すシーンで、目隠しされたんでボカシが取れるのね。それで口もとが素で見えて、はっきりブスだってわかったとたん私勃起しました。やっぱさんざん隠されてたものが見えると何であれノゾキ中枢が刺激されるのだなあ。
 ■実録心霊シリーズ 撮影現場 心霊ファイル 劇映画「隙魔 すきま」の撮影現場より■ メイキング映像で一個作っちゃいました系。ふむ、効率いいね。……って全然面白くないでしょうが。でもマ、いい加減にオカルト映画作ると呪われちゃうよ、って虚構的教訓を本気で訴えかけるコンセプトはありだと思いました。霊の姿がもっとボンヤリしてれば普通にリアルっぽく観られて点数伸びたんだがな。だってそれしかアピールするとこなかったでしょう。
 ■我々は有吉を訴える 謎のヒッチハイク全記録■ お笑いを目的とした企画らしいが、演出が雑かつ演技が低レベルすぎて失笑すら誘発されない。ほぼ同じコンセプトで作られた『劇団ひとりの匠探訪記』より5ランクくらい落ちますねぇこれは。だいたいダメでしょう、主人公は有吉なんだから、ろくに顔も写らない無名の取材ディレクターのほうが目立ってちゃ。最初の車ん中で赤ちゃんが泣き出したとき(1歳半って言ってたけどそれにしちゃ赤ん坊すぎ。そもそも心配だったら後部座席でしっかり抱いてろよ、ほったらかしといてオタオタしてんじゃねっつのよ)「肉人間やるからですよ」なんて執拗に有吉を責めるわけだ、声だけのディレクターが隣で。ウザイったらアリャシねえ、大体てめーが「肉人間やってあげたら」って提案したんだろーが。有吉を悪者に見せようという演出が空回りしてディレクターのリキミがダサイ見え方しまくってのっけからダメダメ。泊めてもらった家でもねぇ、皆さん総出ではじめから待機してるのミエミエだし、しょせんお笑いだからってドキュメンタリー仕立てでやってんならもっとリアルに工夫しようよ。お笑い舐めんでほしいよ。しかし返す返すもディレクターがなぁ。そのつどブツクサ文句言ってないで、有吉がウソついたらてめえで素早く訂正しろよ、あと蕎麦代くらいさっさと裏で払っとけや。たかが何百円かでチョイ悪のイメージってショボすぎ。有吉が「電波少年のスタッフはやりやすかったんだがなあ」みたいに呟いただけで「今なんて言いました?」て突っかかるこたあないだろう。存在感も親近感もほぼゼロのクセしてディレクターがウザったすぎて、後半の暴力全開なんかどうでもいいって感じ。演出がこれほどダメなら演技で挽回してるかってぇと正反対で、とほほ、ラスト、安田が出てきたときの三つ巴の餓鬼のケンカんときも有吉ぁ吹き出しやがってるし。吹くなよ、プロだろが。横向いて隠したつもりか? この作品のとりえはただ一つ、「猿岩石時代のユーラシア横断も裏はこれと同じようなものだったのか?」的想像を誘発するという性格でしょうか。間テクスト的モキュメンタリーってか。あとあれよ、「特典映像」には唖然よ。なんの芸もない笑えもしない素人演劇以前。どゆつもり? せっかくDVD売っても芸人の評価を下げるだけじゃないかと心配になってしまいました。