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三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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都市伝説系2

2010-11-25 15:41:00 | モンスター映画
 ■キャンディマン■ ただの黒人の鉤爪オジサンかよ。あんなんじゃなくてクリーチャー体だったら相当高得点いったんだがな~。そもそもヒロインの行動が終始デタラメすぎて、ま、「全部彼女の妄想かも」的選択肢が織り込まれてる以上仕方ないといえばそれまでだが。妄想じゃないってことは途中ではっきりするんだけど。でもほら、ラスト窓の外からガシャーンって突っ込んできてブッスーッ、てのは驚愕。ああいう見せ方は凄い。高レベル。だからあれをクリーチャーでやってってば。アー惜しい。
 ■隙魔■ 独特のムードがあることだけは認めなきゃなりませんや。初っ端からいろいろ遊んでるカット割りは単純に面白い。で、思わず『実録心霊シリーズ 撮影現場 心霊ファイル~劇映画「隙魔 すきま」の撮影現場より~』も買って見ちまいましたよ。どーしてくれんですか。いくら何でもそこまで付き合う価値のある映画じゃなかったョなァと猛反省。フェイクドキュメンタリーの好例コレクションがひとつ増えたなってだけ。『実録心霊シリーズ 撮影現場 心霊ファイル~劇映画「隙魔 すきま」の撮影現場より~』観てなきゃ本編もうちょい印象良いままで推移したのになあ。しくじったよ。
 ■渋谷怪談■ 呪われたらしいやつらが無駄にわーわーギャーギャーパニクるもんだから(しかも危機が迫っていもしない内輪の会話でどーすりゃいいのー式に絶叫調で取り乱しまくる……トホホ……)、ギャースカ度と観賞者のゾクゾク度は反比例するって法則を確かめることができました。けっこう基本押さえて(しばしば押さえすぎて)まあまあいい作りしてるんだけどねえ、どうしてああ金切り声を多用するかね。ブチコワシばい。
 ■渋谷怪談2■ で、そのーちょっとお尋ねしますが、「望まれずに生まれてくる子どもはいない」って、それほどの名ゼリフなんですか? あとなんだか前作から気になっていたのが、呪われる優先順位が間違っちゃいませんかと。ずいぶん気まぐれなサッちゃんですね。ほとんど罪のない助手さんがさっさと捻り殺されたかと思うとヒロインの女子高生はいつまでも引っ張ってく。前作の水子地蔵の頭ぶっ飛ばしたにーちゃんなんかほんとは真っ先でしょ。しかし2作続けて観て、壺を押さえたそこそこの良作だとは思いましたよ。あまりに呪怨系のお手本通りってのがちょっと痛々しいほどだったけど。あそうだ、コインロッカー説を警察が頭から馬鹿にして取り上げない流れね、普通ありえないでしょ。「呪い」だからって科学時代にそれはないでしょ、じゃないでしょ。変死者がみな同じロッカー使ってたってのは超重要な手掛かりでしょうが。別に呪いにかぎらずに共通点は探る。無理に呪いだけに結びつけて除外、ての、裏返したオカルトかぶれだけど、警察があれじゃあ、都市伝説を隠れ蓑にした完全犯罪なんて簡単にできそうですぜ。
 ■都市霊伝説 心霊工場■ 雰囲気いいんだけどな。のっけから「へ?」と思ったのは、あそこ、出版社の編集部なんですか? 民家じゃん。あれが心霊サークルかと思ったよ。デ何なの、編集部内のイジメがああいう顛末になったっての? どっちがイジメてたわけかな? 全ッ然わかんねえや。わかんなくてもナンセンスならいいんだけど、意味ありげにした以上は一応責任とってよ。霊感のお姉さん出さなきゃなんないほどの因縁もありそうになかったし。管理人の男女(の霊?)もただ「安らかにお眠りください」「はい、眠ります」でそれっきりかな? やれやれ……、いろいろ伏線貼ってみたっぽいけど全部放りっぱなしもいいとこだね。ギャアギャアわめいて彼氏候補(なの?)にぶん殴られたあのアホ少女だけは逃げのびたのかなあ。フォローがないからわかんねえや。ま、重ねてこういうのでもいいんだけど、だったらもっとナンセンスにしてくんないと。何度も言うけど。しかし編集部の新入り女性、なんかヒロインっぽい導入だったわりには出番極小で、結局いてもいなくてもおんなじだったな。これほど焦点定まらないホラーも珍しいね。残されたビデオ映像か現場かどっちかをメインにしてくんないとさ。唯一の見どころだった和式便所の放尿シーンで放尿音だけじゃなくて屁の一発も入れてくれたらそれなりだったんだけどね。廃墟に鳴り響く放屁を、他の連中が霊の叫びだと勘違いするとかさ。あの作りじゃそういう柔軟な演出は不可能中の不可能だろうけどな。最後にもう一つ聞くけど、女性編集者が急にレザーフェイスっぽくなって縁もゆかりもない男(こいつもヒーローっぽく登場したけど何せ後半からのお目見えだったからなあ、出てきかたそのものが中途半端)をブッ刺し殺したのはなんで? 次から次に何か起こせばいいってもんじゃないと思うよ、いくらなんでも。

オムニバス系5

2010-04-29 03:38:00 | モンスター映画
 ■裏ホラー■ 『放送禁止』をバラエティ番組寄りにテンポ良くアレンジした感じだな。こういう愉快なのホント、もっと作ってくれないかなあ。12話/71分て密度は飽きる暇がなかった。ギクッと爆笑ッがほどよい波で襲ってきて。こういうノリだと本物流出映像っぽく作れてるかどうかなんてもはやどうでもいいわけだが、フェイクドキュメンタリーを本気で見ちゃう人とか心霊を信じがちな人とかって、この作品も「ウソっぽい」とか貶したくなるんだろうな。微妙な見え透き方だからな。始めからフィクションとしてきちんと観てるかぎり、これ、リアリティたんまりの傑作と言うべきですよ。それぞれ一発芸のアイディア競ってる感じが心地よくてどれも好きだが、私個人としちゃ、首ボキッが一番のカタルシスだったかな。対して話題の(?)「幽体離脱」の頭部爆発シーンは『スキャナーズ』とか先例があるんで「ああ……」て程度だったけど、あともっと長く見続けたかったのはもちろん海辺のあの生物だけど、とにかくああいう超常現象ネタに混じって蜂の襲撃やらストーカーの受難やらほんのりお笑い非超常現象ネタってのがリアリティに貢献してるんじゃないかな。女性レポーターの激太りとか自殺未遂者生還直後の二連続飛び降り巻き添え死とか、ホラーネタとして先例ないんじゃないかと思うし、第2作出ないかなあ。なんか一回限りで終わっちゃいそうだけど。評判よくなかったのかな? あのアッサリドッキリ感、私は支持派です。
 ■グラインドハウス■ えーとそれならそ~と始めに教えといてよ。6枚組を買い込んで、なんか知んないまま1枚目から観ちゃったでしょうが! てっきり『グラインドハウス』『プラネット・テラー』『デス・プルーフ』って三本立てだと思ったんですよ。思うでしょ普通。そしたら結局なんだァ、『プラネット・テラー in グラインドハウス』と『デス・プルーフ in グラインドハウス』をそれぞれ観ときゃ十分だったってことかい。あ~あ損したちゅうか。だってまたあの二つを見直す暇なんぞねえもん。そりゃ面白かったけど、カットされたとこ観るためにもう一度ってのもなあ。そこまで時間とるほどにはいくらなんでも感動しなかったってことよ。てわけでとにかくUSA公開版で二つとも観ちまいましたっと。いやまあ、だから両方とも面白かったって言ってるでしょう、まったく。フェイクドキュメンタリー色もいろいろ混ぜてくれてましたね、わざとフィルムのキズっぽいノイズ入ってんのも最初こそ「なんだこりゃ?」でしたが、フィルム紛失だのどうたらのあたりからフムフムそういう狙いね、みたいな。やっぱ予備知識なしで観るべき映画だったみたいですね。ただそのおかげで『プラネット・テラー in グラインドハウス』『デス・プルーフ in グラインドハウス』見そこなったけどさ。
 ■悪魔が棲む家2001■  浮田久恵、小野愛、川島令美、北川弘美、小池祥絵、庄司有希、高木梓、中村明香、沼尻沙弥香、長谷川恵美、平田裕香、深海理恵、松本ゆりあ、安めぐみ。これってどうでしょう、錚々たるメンバーですか? 私はこれ観るまで一人も知らなかったんですが。マ、2001年当時の先物買い、半分以上プロモーションビデオのホラーですけどね、延々と花火キャピキャピシーンやら水着ピチピチシーンやら続いたり。それでいてアクション控えめ。むしろアイドル惨殺フェチ向け企画というべきかな。出演グラビアアイドル14人のうちほとんど全員、次々に血まみれ化していきますんで。いやそんなことより! 銀歯フェチの皆さま、朗報です! 美形ギャルの大口開きアップ&奥歯銀歯バッチリシーンが拝めますて! ホラーの神髄は美女の絶叫シーンにあり、て古典的価値観を再確認させられますね。いや、勢いで美形ギャルっつっちまったけどほんとはどうかな、終始不機嫌な顔しか映らない役なんで好感度低いんだけど。制作サイドの期待度高い方じゃなかったのかなあの子。というのも出演アイドル(というかみんなセリフもドヘタでアイドルの未受精卵って感じね)14人の扱いがどうもこの、将来性の順に重要な役どころ割り振られてる感ぷんぷんで、問題の銀歯ギャルときたらさんざん憎まれ口叩いた舌の根乾かぬうちに早々に退場、って程度の扱いなわけで。第2話で真っ先に惨死。相対的に期待度低い子が銀歯露出プレイを強要されたと思えばそれだけ萌える人もいるかもしれませんけど。ま、観てやってください、シチュエーションとしちゃなかなかなんです。電話で彼氏相手に苛々キレまくった直後後ろから首にコードぎゅっ、大口開けベロ引っこ抜かれて悶絶昇天ですから。そのプロセスで一瞬、奥の銀歯が見えるですわ。一瞬ですからリモコンでスローにして繰り返し綿密に確認してくださいね。銀歯大開陳シーンといえば以前紹介した『死づえ3 呪縛病棟』の熟女絶叫総銀歯も迫力でしたが、こっちはまがりなりにもハイティーンの口の中なのでいっそう貴重と言えましょう。銀歯フェチ対応作品となると歯フェチAVを除けばこのあたりが最高峰でしょう。なお、歯フェチ用本格専門映像なら「ふぇち工房」をご覧ください。とりわけvol.12と16は必見でしょう(番号はDVD版)。さて話戻して第1話ときたら中途半端。霊を蔑ろにしたバチアタリ娘を咎めた義憤娘を真っ先に惨殺しちゃうってのは理不尽すぎませんか悪霊。映像的にあの流れなのはわかるが。それにラストねえ、ただ先公が現われてハイオシマイはないでしょう。付け足しのプールのシーン(結局何が起きたですか?)でフォローできておればまだしも。先公がサイコパスでしたってくらいのお約束オチの方がはるかによかったくらいじゃないかね、あんなんじゃ。第2話もなんだか。例の銀歯娘のベロ引っこ抜かれシーンだけでしたか、見どころは。ベロがいよいよピンチの瞬間、奥歯から目に焦点移してくれたカメラさんは大手柄。眼球フェチならずともあの描写は嬉しいのでは。あそうだ、もひとつ死亡3人目、ベロ根っこがピラピラ生きて蠢いてる描写も特筆に値しますけどね。さて問題は第3話ですが……三話中の最高作は間違いなくこれなんでしょうが、「シックスセンス」系としてもかなり良作の部類に入るわけでして、ただいかんせん次々にギャルたちが死んでく理由がさっぱりわかんないんだよね。オチさえしっかり伝わりゃ途中は雰囲気だけでスルー、的な作りってわけでもなかったと思うのだが。おばあちゃんの不気味さも効いてるようで効いてなくて。でもオバアチャンの真ん前でギャルどもが罵倒しあうの図はハラハラしちゃいましたけどね。でですね、この第3話で主演やってる子、性悪娘らの中でただひとりおっとり系お淑やか娘を演じてるってだけで私ゃ単純に好感持っちまいまして、名前からして日露混血って感じのピカイチ美人なんだけどネットで調べても全然出てこないんですよ、この映画以外には情報がまるで。01年の段階じゃ最も期待されながら早々に消えましたか……。それにひきかえ第2話銀歯娘はその後結構活躍されたようで、ウェブにファンフォーラムもあって、期待度とその後の活躍が比例しないってのはなかなか感慨深いですなあ、な話。第3話でテクニカルなことひとつ言っとくと、オチがわかる直前に主演娘の歩行姿がスーッと透き通るわけですな。あれは要らなかったでしょう。あれやらない方がオチが効いたはず。って実は私、最初観たときあの透き通りに気づかず、二度目で「あれ? こんなんやってた?」って(しかし客観的にはこんなしょ~もない出来の映画私ゃ何度見直してるんですかね、ちょい恥ずかし)。ていいますか私ゃもっと恥ずかしいことに、DVD単体買ってこれ観賞したあと第3話主演娘をもっと見たいがためにDVD3枚+VHS一本ちゅうとんでもないBOXを買い直しちまいましてね。目当ては同封の「アイドル14人の素顔が見られるメイキング&イメージビデオ『美少女アイドル探偵団』」。しっかり観させていただきました。それで納得。第3話主演娘、接写でずっと歩いてくわけだけど、ダメだよ、笑いをこらえながらじゃん。恥ずかしがってちゃアイドルは無理ばい。という以前に根本的にこういう企画、アイドル売り出しとしてはどうだったんですかね? 絶叫顔や毒舌だらけのあげく惨殺ッてんじゃねえ。流血フェチと銀歯フェチばかりぞろぞろ吸い寄せてもなんにもならんでしょうに。毒舌ゼロで悲鳴もお淑やかだった第3話主演娘が消えて、罵声全開の血まみれ娘どもが残ってるとこみると、やっぱこんな低レベルでも体当たり演技は効果あります、の実例だったのかな。ところでこの14人の中で一番ビッグになった娘って誰でしょうか?

ガーリームービー系3

2009-10-22 14:38:00 | モンスター映画
 ■小さな悪の華■ あらら男がてんで機械仕掛けじゃねーかよぅもぅ~。誘惑されたらまるっきりバネ仕掛けかよ。ま、事実に即したデフォルメときちゃしゃあないわな。あああいう描き方ほんとはすげー気に入っちゃいまして。『ひなぎく』の〈普通の映画バージョン〉て感じだけど。共産主義独裁がここではキリスト教だな。やっぱ一神教って、神だけじゃなくて悪魔も信じる宗教だからな、怖いよ。宗教教育の管理体制に反発する内面が濃厚に描かれたぶんほんと普通映画になっちゃってるけど、決して凡庸にはなってない。黒髪と金髪の小悪魔2人が笑いさざめきながら自転車並んでこいでる風景、すげー名シーンですよ。あと金髪のほうが必死に抵抗コイてるシーン、女の子殴りでポカポカポカってあーた、漫画みたいで二度までもほんと笑える。ケツ舐め体勢に何度か持ち込まれた1度目が無教養な野良男、2度目が微妙にお金持ちっぽい紳士然、うまい配置でした。しかし2度目のオッサンよぉ。あそこまで寄り添われたら、ああもガッツく必要なかったでしょうが。そこがまた男の生物学的悲しさ映画的に強調するにはああいう問答無用展開が効果的なんだからしゃあないっつの。ね。で最後の焼身心中シーンはあれ、『火星の女』が受け継いだつもりだったのかな。ラストシーンだけは『火星の女』、微妙に勝ったかな。全体の美的価値じゃ比較にならないけど。ほんとこれ傑作でした。刑事さんも子どもにタバコ勧めて唾液だか指紋だかとるあたりのさりげなさうっまかったしねえ。
 ■パラノイドパーク■ これ、ガーリームービーじゃないと思うよね普通。だけど俺ん中じゃガーリーなんだわ。なぜかっつと脇役の軽薄少女の描写がいちばん効いてたから。ちょうど『小さな悪の華』の男の描き方に対応するね。典型的なバカ女。ってバカッてっちゃ可哀想なんだけど。セックスしてすぐ別れようはないよねえ、そりゃ確かに。しかしセックス直後に友だちに電話して「よかったわぁ」じゃないでしょう、あの時点で要猛省。別れよう言われたら怒るんじゃなくてほんとちょっとは反省しようよ、いやそんな高尚な反省じゃなくていいの、自分のクチが臭かったんじゃないかしらくらいでもいいの。ほんとほれぼれするバカッぷり。あのバカ女が脇役じゃなくて主人公級だったらもっとよかったにな。それとあのお友だちの女の子がまた効いてるのね、手紙の宛先買って出たあのチョイブス子ちゃん。しかしあんさん、ほんとに燃やすかなあ。ほんとに燃しちゃうところがこの映画の「おまえ呑気にしてる場合か」的モチーフにぴったりで面白いわけだけど。しかし少年の無気力表現するのにイラク戦争は必要なかったな。あっちゃこっちゃでボロ出してることで少年の焦りと投げやり感の対比は十分伝わってましたです。政治社会的要素入れなきゃって義務感が邪魔だったね。映画ってジャンルはそんなこと気にせんでいいから。あそうそう、不運な警備員の胴体真っ二つ上半身断末魔のCGと、土管の中のスケボー風景の躍動感が素晴らしかったのは特筆しとかなくちゃ。しかし刑事さんも胴体切断写真見せて反応探るあたりうっまいねえ。
 ■水の中のつぼみ■ 女の子三つ巴か。単純ながら意外といい設定だな。男をゲットできるかどうかが死活問題のドタバタガーリー文化描写が素晴らしいね。うまくいかんからレズ文化が同時進行してゆくわけやね。パーティーでモテない女が焦ってるあたりの描写延々とやってくれるくらいでもよかったかも。アメリカンな脳天気さとは全然違うヨーロピアンな陰鬱ぶりが効いてるああいうムードならね。友だちのブスさ加減、ヒロインの微妙にいじけたチョイブス加減、新しい友だちの一見美人よくみりゃ……系加減、みんな絶妙な微妙さでした。カタルシスのない展開に徹してたからラストのプール飛び込みでは何か起こる……?とつい間違った期待しちゃったけど何もなくて正解。だけどバージンってそんなに恥かしいのかよ? アメリカ映画だったらただの決まり文句的なああいうもやもやも、ヨーロピアンだと結構説得的なのが不思議だな。
 ■腑抜けども、悲しみの愛を見せろ■ おいおい、なんか「?」だらけだな。不愉快な人物ばっか相互作用して不愉快な田舎芝居を逆手にとったのはわかるけど、わかんねーシーンが多すぎ。だいたい猫を助けようとしたんだかなんだかしらんけど二人もいっぺんに死ぬかよとか、しかも手首ちぎれて幅広血痕長々二筋? どんだけ飛び込みゃああなるの? あとだいたい兄ちゃんがああまで妹に逆らえんってどーゆーことよとか、末の妹がアホな歌歌わされるのに近所の人が集まってんのはいったい何? とか。全然わかんねーす。演技過剰で始まった兄嫁の不吉な爆発の予感が棚引きながら本格的爆発なしで過ぎたのだけは正解。「腐ってる? 何がですか?」等々の唐突さってば五重マル。けどマンガ少女の爆発の方はなぁ。もっと抑え気味でもよかったじゃん? 抑えないなら抑えないなりにそんじゃ喘息出してよ。ナイフとかバスとか、なんだかラストがたらたら漫然と続いて、もうちっと手前ですぱっと行かなかったもんかなぁ。そもそもお姉ちゃん、一緒に乗っかっちゃうのは呆気なさすぎだよ。家族崩壊と同時に逆説的な和解かよ。わかるけどマ、家族家族ってうるさい映画だったぶん呆気ないのも効果的って理屈なんだか、あんな家族もそりゃあるわなって程度の感慨は呼び起こされました。あ、クソ女の演技は狙いどおり堪能させていただきましたよ。ソートー不愉快に。不愉快だから映画面白くなかった、ていうのはもちろん初心者ね。「面白い」って妹にもはっきり言われてたじゃん。いちばん被害を被った妹がああ言ってんだし、何の害も受けてない観賞者としちゃあ思いっきし面白がらにゃ。ただもっかい言うけどモちっと自然な設定にできなかったかなあ。それにタイトルが内容と全然関係ねーでしょーが。あそーだ、話戻して一つ気になったのは、あのサトエリって、『ザ・クイズショウ』といいこれといいああいう役柄が似合うのかなって。ほんのりと地?
 ■式日■ えれー期待させてくれたんだけどねえ、途中まで。ほんとむやみに演劇的でシュールな感じがなんともよくて。しかし次第にあざとさが裏目に出まくって、ついに10日前(10日目じゃなくてたしか10日前だったよな)の錯乱と、火ぃつけるとこ。あのへんのシーンで音楽がやけにドラマチックに盛り上がるの。あれ白けましたね。やめてほしいです。何度か高いところに座ってたり歩いてたりするシーンは爽快な感じでした。母親との対面の妙に過剰演劇的な不条理感が後半に待ちかまえてるとあってはなおさら、音楽の盛り上がりが惜しまれます。
 ■いちばんきれいな水■ 何となく予想通りの展開、と見せて、微妙にズラしてくれたのがよかったです。夢なんだかホントなんだかわかんない全体の流れも抑制が利いててナイス。映像綺麗で、水の描写ピカ一で、邦画で唯一ウェスタンガーリームービーとタメ張れるクオリティですよ。設定がガリ勉少女じゃなくてオタク少女であってもよかった気がするけど、オーソドックスなノスタルジーはやはりあれでよかったのかな。しかし細部がねぇ。ファミレスでメニューの綱引きせんでくださいよ。露骨なコメディやりたいのか、夢かもしれないって伏線張ろうとしているのか。いずれにしても下手っぴです。とくに「生贄」のハナシは、なんか伏線がほしかったなあ、いきなり出されちゃったんで、あれじゃあ……、ま、指輪をした手の写真が伏線だったってことなんでしょうけど、直接繋がってないし。それと最後、怪我人一人いなかったってなんですか? 死語を使えば目が点ってやつです。ろくに確認もせんで南米へ飛んでかないでくだせい、しかも子ども残して2人揃ってそりゃないでしょう。直前に「あたしパスポートない」ってあーた……、あったら愛一人置いてくつもりだったんかい。あんだけ騒いだ以上マリコさんはいちおう死なせといたほうがよかったんじゃあ。生贄の約束(?)にかかわらず愛は別にあのままでかまわないんで。あのへんって細部どころじゃないキズですよね。で、特典映像の「夏美のなつ」の方がずっと面白かったのはなにゆえでしょう。夏美がなぜか別人みたいに可愛く撮れてるってだけのことかもしんないけど。
 ■中国の植物学者の娘たち■ とりあえず急いで結婚しなさんなよと。兵役のシステムに対する風刺も込められていたのかな? とにかくろくに知り合ってもいないのに結婚結婚ってガッツイてもあーた……。超俗的な学究とみえて孫の皮算用に嬉々として耽るとーさんもとーさんですよ。その矛盾を面白がれってのかなあ、微妙に無理。だいたい付き合ってから浮気されたんならともかく、初夜に「なぜ処女じゃない!」はないでしょう。映像の美しさで勝負してくれれば満点だったこの映画、細部とストーリーのツッコミどころ過剰ゆえによくて怪作って落ち着き方しちゃいましたねえ。でもまあ、あのハーフの方の無愛想なムードは微妙なサスペンス孕んでよろしかったし、学者の娘の薬草焚いた中に横たわってる裸体は何十分でも観ていたかった映像美でしたよ。あのスベスベの美肌ほんともっとじっくり見せといてよ。ハーフの方が時間を追うにつれてブスっぽく見えてきて、髪切ってからは男にしか見えなくなってきちゃうのがいくらレズ映画とはいえ疑問だったにせよ、女性美も中国の自然も視覚的には大満足、ストーリー的・ディテール的には一転なんじゃこりゃ映画でした。
 ■マイ・サマー・オブ・ラブ■ うーん、微妙。前科者の兄さんばかりが気になって、2人の女はど~でもよかったよ。しかも兄さんの再度ぶっ壊れに至る経緯も唐突すぎるし。十分予感させときながらあれってのもね。全体『水の中のつぼみ』をちょっとスカスカにしたような感じかな。途中まで遺影を隠し味にした展開がなかなかだったけど、遺影の主があっけらかんと現われてからラストに向かってあれよあれよと何だありゃ。一気に軽く、ほんとクダラねー刹那の関係で終わっちゃったってこったね。あれじゃだめだよ。ラストはほんとに殺すくらいでなきゃ。ただのマヌケ話で終わっちゃッたっぽいよ。
 ■フェアリーテイル■ 何か煮え切らん話だな。結局何なの、妖精は実在するって話なの? 妖精は映像として出てくるべきじゃなかったなあ。妖精の映像は綺麗だったけど、そういう問題じゃないよね。夢の中かなんかの描写で十分だったんだから。二人がどっか姿隠してて写真だけ持ち帰って大人たちが真顔で有り難がるってあたりの胡散臭さがキモだったんだからさ、史実もこの映画も。安易な妖精映像はほんとやっちまってくれた感濃厚だよなあ。
 ■プリティ・ベビー■ 女優に興味なければとくにどってことない映画だな。生意気な餓鬼モチーフってどうも見てて面白うないのよ。
 ■犬猫■ いい加減にしろって言いたいな。受賞歴がいろいろ書いてあるからホントに傑作なのかと勘違いしたじゃねーか、あ~あ。階段の手すりを滑りながら女追ってく男の描写あたりで脱力系名シーンを意図したんだろうが、ダーメ。見え透いてるし。見どころはただ一つ、つっても超プライベートな見どころでトホホだけど、小学生の時自己流で弾いてたピアノのバイエル練習曲のうち私が唯一今でも弾けるやつが流れていたことだけ。サントラとしてじゃなく劇中世界の中でね、どっか近所の家から。てわけで客観的に見どころなし。せめて背景、たとえばぶん殴られる男にもっと個性か存在感みてーなもんあればなあ。しかし勝手におん出といて嫉妬して全力疾走してんじゃねーよ。つかそのへんもっと繊細に描いてよどーせなら。あんな安易軽薄な手すり横滑りじゃなくて。

ガーリームービー系2

2009-06-10 18:56:00 | モンスター映画
 ■明日、君がいない■ これガーリームービーでいいよね、いちおう。こういうの新しいなあ。ネタ元の『エレファント』凌いじゃったね。エレファントのマルチアングル手法+ドキュメンタリーインタビュー仕立て。あんな簡単なことで異様な効果が出ましたね。結局どーでもいいと忘れかけてた脇役が俄然メインだった的ラストへ突入する寸前の淡々たる下校風景、いいですなあ。なりふりかまわぬ兄妹の絶叫トラブルが生々しくてコントラスト効果絶大。各シーンがいちいち光ってるんだなあ。お漏らしくんがぶん殴られる瞬間の映像なんか絶景でしたわ。鼻血とともに壁にどすんと同時に泣きべそってタイミングったらあれ、何十回撮り直してもなかなかああはいかんぞ普通。しかしこれ、女子はみんな美人なのにどうして男どもは全員ゲソなの? あの隠れホモのマッチョがイケメンって設定なのかなあ、あのモテ方からして。納得いかんぞ、ただのゴリラじゃんか。男女アンバランスのそれはそれで効果あげてるんだけどね、ガリ勉のブ男にレイプされる可愛い妹の痛ましさこそ伏線として欠かせないところなど。インタビューもしくはカウンセリング受けてる人数がたしか4対2だったっけ、ラストに肝心の一人が加わるわけだけど、あれはじめっから男女比同じにしとくべきだったんじゃないかな。まあホモカップルのぶん男が多くて当然ってことなんだろうけど。それと男偏重モードから一気にガーリー系へ、って転調がまた快かったりしたのかな。その可能性はあるよな。あそうだ、素晴らしく完成度高い映画だったとはいえ一つ。冒頭近くのゴリラのハアハアのモニターがムキムキマンでした、ってオチをわざわざ見せるのはどうだったかな。もうわかってたことなんで、念を押さなくてもって感じ。ま、そんな部分もありましたが、基本、傑作ですこれ。
 ■エレファント■ これ、ガーリームービーとは言えんだろうけど『明日、君がいない』との行き掛かり上およびダイエット3人娘と犠牲者第1号ダサ子が光っていたのとでここに。カメラワークが素晴らしいったらありませんな。『ヴェルクマイスター・ハーモニー』ばりの長~い並走ショットからして本家よりナチュラルで魅入っちゃった。酔っぱらい運転の父ちゃんが世話焼ける健気な坊やと写真部の坊やがすれ違って一瞬立ち話するエピソードを3方向から3回みせてくれた芸も細かいですって。(あと犯人2人とすれ違う瞬間もマルチアングルでリピートね)。あえて言えば上映時間が短すぎるよ。衝撃的な実在の乱射事件を淡々と抑制的に描きたかったって狙いはわかるけど、「どちらにしようかな」でオープニングと同じ空に切り替わってエンドロールじゃいくらなんでも、尻切れトンボ感が否めませんて。もっとみせてよぅ。それ以外は完璧です。ダイエット3人娘のアタマ空っぽぶりも自然に描写されてましたし、とことん何気ない日常感に徹したところがむしろ非日常的凄さです。やけに悠々と歩いてた大柄な黒人の坊や(かな? 職員?)が「え? なになに? 別に普段どおりだよな、みんな何パニクってるん?」的信じられん感を表現する役回りだったのだろうね、あれは。それにしては窓から女の子逃がしたりはしてたんで、事情読めてたと思うんだけど。あのへんちょっとわからんかったな。適度なわかんない感がむしろ快感だったけど。で、私ゃ最初に撃たれるのは写真部の坊やじゃないかな? それが一番痛ましそうでドラマだよな? ってなんとなく予想してたんで、ドラマにゃしたくない意図は途中でわかってまぁそんじゃ誰かな、て思ってたけど、あのダサ子ちゃんがトップに選ばれたとは意外でした。イジメられキャラとしての近親憎悪ゆえの抜擢ですかな? もはや復讐とかの世界じゃないんだよな。ラスト、相棒をいきなり射殺したあれはどうだったかな。あれはやんなかったほうがよかったような。それでええと、写真部の坊やはどうなったんでしょう。途中見失ったですが、どっかで撃たれてた? それともただひっそり退場?
 ■モンスター■ これは迫力あるわ。主演女優はホントは美人なんだってね。この映画のためにブスメイクしただけでなくわざわざ体重増やしたとか? パンツ一枚のだぶだぶ尻の後ろ姿なんか美人女優なんて誰も信じませんやね。アイリーン本人が出てる『シリアル・キラー アイリーン モンスターと呼ばれた女』も観てみたけど、似てるわ。恋人のほうはかなり印象違ったけど。そっちでフィクション力を試したんだろうけどね。あの恋人のほうは『キャスパー』の女の子? ふーむだいぶ雰囲気違うね。そりゃ役者やからね。一番印象深いのはあの親切な爺さんを殺さざるをえなくなったシーンだけど、お節介は身の破滅、って教訓ですな。取調や法廷の部分をもっとやってくれたらこれすげー大作になったと思うのだけど、続編誰か作ってくれないかなあ。
 ■めぐりあう時間たち■ 3人ともオバサンだけど、ま、内面は思春期そこのけモードだしここでいいべ。でこれ、俺感動しちゃいましたよ。どうしてくれんですか! こんなんで感動しちゃっていいのかよと自分の感性に不甲斐なさを覚えるじゃないですか。自信なくすじゃないすか。って感動しちまったもんはしょうがなかんべゃな。って俺が感じたあれ、ほんと感動か? まあ「感動」って言葉から連想される感覚なことは確かでした。しかしだ、たかがあいつとあいつが同一人物だったってことにラスト近くの母親訪問シーンで突然気づかされたってだけのことだよね? そんなんで感動? 普通そりゃないわなあ。ま、感動だったのかどうかなんて言葉論争はこれくらいでいいや。ともあれ奇妙な効果を生み出した映画であることは事実だ。オムニバス風並行描写って単純な手法なんだけどねえ、全部バッチリ絡んだね、事実と虚構、過去と現在がきっかりと。
 ■地下鉄のザジ■ ガーリームービーというにはザジがちょっと幼すぎるけど、ま、ここでよしと。しかしこりゃ期待外れでしたよ。笑えたのはあそこだけ。エッフェル塔から落ちてきたメガネがスポっと収まったとたん新聞を逆さまにし直すオバチャンのシーンだけ。笑かすのが目的じゃない、ナンセンスなんだって前衛ぶりたいのはやまやまでしょうが、あんだけこれ見よがしのギャグ調で飛ばしたらそんな言い訳通用せんでしょ。あんなドリフみたいんじゃなくてもっと難解にしとけよ。だいたいザジが可愛げなさすぎるね。食べ散らかすわ盗むわ毒づくわ嘘つくわ、身の上話が本当だとしても、つうかそれなら尚更しおらしくしててよ。塔を螺旋階段で下りながらの童貞氏相手のシモネタ話も、ずっとロングショットだから表情見えなくてつまんなかったよ。後半なんかはますますザジそっちのけで、オトナ中心のドタバタになりきっちゃって、ザジはテーブルに突っ伏したまんま。メインキャラ定位も放棄して、お笑いでもないナンセンスでもないガーリームービーでもない何でもない。お母ちゃんの出番が意外と少なかったのも痛かったかな。ジャーマン娘どものウロチョロも悪い意味で意味不明。映像処理に見るべきものは結構あったものの、だからなに?って。ワープすりゃいいってもんじゃなし、クルマいっぱい走らせりゃ楽しいってもんでもなし。映画撮るための交通規制も大変だったろうなと、つかこんなバカ映画撮るためにパリの街も無駄な協力せんでください。
 ■ブラック・ムーン■ 『不思議の国のアリス』を意識してることはわかるけど、シュワンクマイエルの比べるとかなり迫力落ちるなあ。時代的にこっちが先ってことだけが評価できるかな。おんなじ家の中をグルグル走り回ったり庭へ出入りしてるだけなので飽きてくるよ。小娘が走りすぎ。もっとじっと佇んでクリーチャーどもと対決してくれよ。クリーチャーつっても一角獣以外はみんな実在の哺乳類や鳥類にすぎないところが切ないが。一角獣にしてもただ逃げ回ってるだけなので、いくら喋ってくれたってもうちょい身体的に関わってくれなきゃさ。あ、ただ一箇所なぜか私興奮させられたのは、パンツがずり落ちるシーンです。念入りに2回も。久しぶりに視覚だけで勃起しました。パンツ落ちるシーンってよりかずり上げるシーンね。あんなシーンでどうしてかなあ。
 ■花とアリス■ あのー、音楽がやたらうるせいんですけど。台詞聴き取れませんて。せめてもっとヒップホップ系だったらまだしも、ああいういかにもメルヘンですってのはちょっと……。あとハナシがリアリティなさすぎで。記憶喪失だと勘違いさせるってあーた……、子ども向けドラマじゃないんだから。いや、子ども向けでよかったのかな、これ? 阿部寛が出るっていうから楽しみにしてたのにさあ。ワンシーンだけじゃねーか。母ちゃんがせっかく家に呼んだんだからそこんとこもワンシーンほしかったなあ(広末とかはど~でもい~から)。それにしてもメインの2人、まああのくらいの容貌が平凡な少女チックで適切ってことかもしれなかったけど、どうせああいうリアリティゼロのお話で勝負してるわけなんで、はっきり美少女使ったほうがよかったんでない? 『明日、君がいない』や『17歳のカルテ』と比べて映像美で格段に落ちるのよ、『Yellows』愛読者としちゃ悔しいでしょうが。いや、俳優で映像美が決まるわけじゃないですよもちろん、しかし風景やらカメラアングルやら他の点で映像美出せてないんだからせめて女優の造形美で、って次第ですよ。オープニングの2人歩きの風景くらいもう少し綺麗に撮ってほしかったよなあ。紙コップ装着バレエもどうってことなかったしなあ。文句ばかりでごめんね。オヤジの万年筆のグダグダは笑えましたし、落語部の部長は熱演でしたし、ディテールではいいとこいっぱいあるわけで。でも本筋が……。花の泣き顔アップったら「ウソついてました……」なんて、ハナっからリアリティない幼稚園児レベルの嘘であってみりゃ、ああリアルに泣かれても白けるだけよなあ。って何から何までセンスズレまくりの残念作でした。結局、私の目にいちばんキュートだったのは写真部のお節介の「ケンカしちゃダメだよー」がやたらうるせぃ鼻広子ちゃんだったかも。あの子なんて女優? 他に出てます?
 ■下妻物語■ 深田恭子は可愛かったが、そんだけ。小学生向けのギャグマンガだな。熱血友情物語のパロディ。オープニングの激突事故も、巻き戻してここまで辿り着いてどうせ何事もなくストーリーは先へパターンだろ、って思ってたらやっぱそれね。ヒネリはナシと。もういいよ、そういうの。期待外れの巻でした。暴走娘が形だけワルぶって終始性格よすぎたのもこの映画の敗因かな。ふだん性格も徹底的に悪くてここぞというポイントで……、ってふうでなきゃ。原作はどうゆんだったか知らんけどね。で結論、笑えたのは水野晴郎んとこだけでした。
 ■17歳のカルテ■ たるかったっす。エレー長く感じました。早く終われよと。映像美だけじゃ観続けられないッす。相方の脱走娘からしてなーんか……、『下妻物語』のヤンキーよりゃ自然だったけど、行ったり来たりのとりとめのなさがどーも……、もっと病院内の面々を克明に描いてほしかったっけ。言葉で簡単に傷つくキャラたちのああいうのもこう、「ホレ、これから傷つくよ、観てて観てて」みたいな間合いのとり方がヘタッピ。男性職員が誘惑に乗りすぎ。一見『ソウ』みたいなオープニングみたときゃ「あゃ、こりゃあどげな世界ば展開されると?」興味津々だったもんですがあれじゃあ……、精神病院とくればもっと独特のムード出せてよかったんじゃない? 部分的な細部には、たとえばほら退院前日にも睡眠薬を強要する看護婦なんぞはいい味出しとりましたけどねえ。あと、「おいおい、猫殺してんのかよ……」とハラハラさせてくれたあのあたりもいいシーンだったかな。ところで、邦題はなぜに17歳? だれか17歳のキャラクターいた? 発病が17歳って言いたいのかな。そんならもっと遡ってもいいわけでさ。17って安易なイメージ戦略かい。

爬虫類系7

2009-05-06 20:36:00 | モンスター映画
 これまで、「爬虫類・恐竜系」を立ててきましたが、以後、「爬虫類系」と「恐竜系」に分割します。
 ■スネーク・フライト■ 似たような設定でも『デッド・フライト』よりかやっぱ面白いわ。飛行機内に大量の蛇って、単純でいいやんけ。実際に蛇大量発生となったら飛行機どうなるだろう、と真面目に考えちまいましたが。大したこと起きないだろね実際は。ただここではフェロモンかなんかで蛇どもハイになってるんだっけ? なんか起こさなきゃならんので苦労してますな。とはいえ手の込んだ仕掛けってほどでもなくて。飛行機落とすだけでいいなら、つか1人暗殺するだけでいいならもっと確実な方法ありそうなものを。って突っ込む種類の映画じゃないんですよね。とにかく地に足のつかない狭い空間で大小無数の蛇に追い回されにらみ合いぶっ飛ばしあう光景をひたすら見るための映画であると。てなわけでアホがわんさか出てきた派手な記憶のわりには大半忘れちった。犠牲者第1号が機上トイレセックス中のバカップルってのが「やっぱりかよ」的スタートだったってのはさすがに覚えてるけど、まぉお定まりの各種アホは不可欠ですからね、こういうシチュエーションでは。人間が状況に負けない壊れ方しおおせたって点で成功作でしょう。ただ大蛇ちょい役で登場したものの形状は真っ当な蛇オンリーでしたか。もっとモンスターっぽいのが出てくれりゃ儲けもんだったのだがな……。
 ■ガルーダ■ これ、いわば「トリ系」なんだけど。あんまり孤立系をいっぱい設けてもってことで、翼竜ものと同範疇に置いときましょう。で恐竜って顔でもないのでいったん爬虫類系に。はい。で内容ですが……、こりゃァアタマ抱えた。タイ映画ってやっぱりこれ式なんかな? B級ハリウッド顔負けの御都合主義的支離滅裂だな。だいたい何のためにわざわざあの女科学者を呼んだのだろう。呼びつけといて始めっから邪魔者扱い、罵倒し監禁しウロウロ勝手に歩き回らせて間一髪救出しと。やれやれまあ、破綻しまくりでしょう。お話にするためにご苦労なこって。特殊部隊かなんか知らんけど、公務なのにことさらナラズ者っぽい演技させてるのはなぜに? ヤクザだってあんな恥かしいポーズとらんでしょ。ムード出すためにしたってあれじゃ軍紀守れやせんでしょう、スパスパタバコ吸いながらの武器の扱い、傍目にもはっきり能率落ちてるし。相棒の白人男は輪をかけてひどい。ああいう脳天気役を配置するならするであからさまなコメディ路線敷いときゃいいものを。なまじシリアスな怪獣映画気取っていながらあのマヌケぶりだものなあ。ラストでもあいつが「また生きてました(「まだ」じゃなく「また」ね)、すんません」的に頭掻きながら現われるって段取りならまだしも、引っさらわれてオシマイだもんなあ、呆然。フォローのしようがないです。爪で音を出して呼び寄せるってありがちなハイライトでも、護衛の4、5人もつけとけっての、基本でしょうが。何よりヒロインが全然好感持てないキャラだってのが痛すぎ。タイって国では地元純血顔だとスターになれないとか聞いたことあるけど、結局はハーフを主役に就けたわけね。事情はわかるけど、意味不明なハーフ差別っぽいことぐじぐじ言わせてたのは映画産業界への自己批判かね? なんか半端だよなあ。ま、雰囲気としちゃリキ入れて創ってたっぽさが充満してはいたのでメリットも言っときますか。ガルーダの造形とCGが結構イケテたんで、あと知的生物っぽい頭脳プレイがスペクタクルだったんで、前半洞窟内バトルシーンと後半都市上空アクションシーンとの対照の鮮やかさも加わって確実に得点アップです。あと自動小銃の連射浴びて翼がちゃんとちぎれるあたりの「適度な不死身さ」がリアルだったのとでモひとつボーナスポイント付けときます。しかし最後のあの銃弾一発で仕留められるなら、始めっから眉間を狙えばいいのに。翼ばかり撃ってないで。危機一髪の時の一撃は余裕あるときの百撃にまさる、ってウルトラお約束はここでももちろん健在でしたねっと。
 ■ヒドラ■ ああ、またこれか。ってのはつまり例のごとし、いきなり至近距離にヒドラが現われて、襲われ役は銃で応戦しながらいよいよバックリやられるまで棒立ちのままって……、そりゃ人間がじっとしてないとCGと組み合わせづらいってのはわかるけどいくら何でもなあ……、それならそれで、臨場感を工夫して補うとかさ。なのにあれってどうなの、バックリの後は煙と消えたようにヒドラの気配まるでなし、居合わせた人間どもも人間どもで、ひとしきりおざなりに走って逃げたはいいが立ち止まるやヒドラの余韻なんぞそっちのけで身の上話なんぞ呑気にくっちゃべったり。ハンターとヒドラの両面から狙われてる危機感がゼロでしょうが。脚や胴体がズタズタに引き裂かれるなかなかグロいっちゃグロい描写で健闘ときゃいいってもんじゃないでしょうよ。ハンターvs犯罪者vs 考古学者vsヒドラって四つ巴の豪華設定が泣いちゃうよ。しかしこの一応複雑な詰め込み設定は字幕出して観りゃよかったかな。言葉がやたら多かったからね、人間狩りの企画の成立経緯とか、船長とメインキャラとの因縁とか。船長が生き残りハンターをぶん殴って樹に縛りつけたのはどういういきがかりだったか、理解できんかったョ。ま、どうせろくなこと喋ってたわきゃないけどね。で第一大団円、考古学者のブスのほうを首チョンパしてチョイ美女の夫殺しを生き残らせたのは娯楽映画の常道だけど、どうだったかな。観客がろくに感情移入もしてないキャラのどれ殺したって同じなんだから、せめて台詞の多かったやつ順にズタズタ度上げとくのがカタルシス効果ってもんじゃないかと。あと気になったのは第二大団円入口、縛られてる夫婦をヒドラが襲った形跡。あんだけ血痕ベッタリとあっちゃふたりとも無傷で脱走中、てシーンはありゃ無理だと思うけどね。
 ■キング・スネーク■ CGがただでさえ浮きまくってるとこへもってきて……。よしゃいいのにスタッフの一人の脛を咬ませるってショボイベントのためだけに本物の蛇なんぞを登場させるから、蛇神ったらますますヘタレなCGへと強調されちゃったじゃないですか。ヘタレもヘタレ、仲間がガブーッと吊り上げられ食われたすぐ下をあわてふためく人間サイドにカメラが向くと頭上にのたうってるはずの大蛇の気配が皆無という、安CGにつきものの見飽きたパターンですけどね。しかし演出のほうも映像をサポートするどころかなんちゅう流れだい的モチーフばかり。子どもに注射した女ドクターが縛られ処刑される寸前にホレ、元気になった子どもを抱いた原住民が走り寄ってきてくれるのね、でニッコリね、はいはい。まあテレビ映画のようだからそのへんで結構なんかもしれんけど、どーでもいいけど首が結局何本あるのか、胴体がどうなってんのか、つうか首どうしがどういう繋がり方してんのか、全身見えねーんじゃ何のための映画なのか。石像見てたって姿わかりゃしねえし。ラストに駆け込みみたいに四肢もぎ取れ首もぎ取れCGやってくれてもなァ……、ほんとのラストに蛇神がチラッと顔見せるサービスしてくれても何とも言いようがなァ……。
 ■コモドvsキングコブラ■ こういうバトルは観てて全然ノレませんて。ガオガオぶつかりあってるわりには咬みついたんだかただゴッツンコなんだか、戦いとは言えんでしょう、ありゃダンスでしょう。つかジャレあいでしょう。もっと丁寧にやってくんないと「vs」が詐欺。コングコブラが水面にザバーって首もたげるシーンなんぞアニメでした。確信犯的にほんとにセルアニメで合成すりゃよかったくらいだな。
 ■スネークトレイン■ なんや蛇と呪術のハイブリッドときた。ラストに超巨大蛇が列車を丸呑みときた。乗客いっせいに客車内を走って逃げるシーンだけは面白かったですわ。始めっからあれ級の暴走系でやってくれたほうが。あゆふにもってくならチマチマした呪術は不要だったな。