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三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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フェイクドキュメンタリー系4

2011-03-10 03:55:00 | モンスター映画
 ■パラノーマル・アクティビティ第2章■ やっぱ俺、このシチュエーションにゃ弱いわ。夜中に目ぇさめてベッド脇に人が立ってるって幻覚(あるいは夢)見た経験あるせいかね。ていうか誰だって寝てる間にいろいろやられた日にゃ怖くてたまんないでしょ。ただなんつうかな、前作でもそうだったけど、「撮るな」「撮らせて」「だめ」「頼む」のやりとりがウザ過ぎる。「あたしのせいだっていうの?」のカラミもただああいうの入れなきゃって義務感で進んでる感じ。この手のホラーのモチベーションからして、ああいうとこで無理に揉める必要はないだろうよ。しかも姉はわかってるんだから。自分に何かが取り憑いてるらしいってこと。わかってるからこそああやってごねてるんだ、なんて心理描写気取りはちょっとな。むしろわかってなくて後から「そういえば……」って方が効果的なんだから。前作に比べてラストがしつこいけど、まあ前作のラストがあれだったから完全になぞるわけにもいかないからしゃあないわな。しかしああいうの見るたびに警察だよなあ。お祓いなんぞ頼む暇あったら警察呼べって。超常現象に警察ぁ取り合っちゃくんない、ってお約束でホラー映画が可能になってるんだろうけど、んなもんあんだけ映像が揃ってりゃ住居侵入容疑で十分でしょ。ま、たしかに警察出動じゃ密室ホラー色消えちゃって面白くなくなるからなんつぅかな、警察呼べない事情でも用意しといてくれるとよかったんだがな。あとそうね、お父ちゃんの影が薄かったのが惜しまれるかな。どのみちキッチリ殺されてるんだから思いっきり凄めの死体をいっぺん見してくれるとかさ。あとは霊感少女のゲロだか泡吹きだかをもっと切実にアップで見たかったってのと。で、安置所の遺体は何だったのかな? あとなんかよくわかんなかったんだけどあの家二階に上がる階段が二つあんの? 鏡に階段が映ってただけ? とにかく姉弟の寝室の位置関係がいまいちよくわかんなんったです。わかんなかったのが逆に効果的だったりも。あっそうだ、十字架が燃えるあたりの一連の、窓ガラス割れたりとかね、あのへんの雰囲気は絶妙だった。これは言っといてやらなきゃ。
■パラノーマル・エンティティ2■ 全然ダメだな。前作は結構ビジュアルに工夫があったんだが今回は見どころなし。全員がただワアワア騒いでうるせーったら。異変(っても音がしたとか扉が閉まったとかほんとたわいない……)が起こるたびにもうやめよう帰る帰らないのやっかまし~口論。いっぺんに喚くもんだからせっかくの心霊スポットの雰囲気も冷めちゃってるよ。ていうより殺人犯だか犠牲者だかの霊って設定が全然生かされてなかったな。殺人現場ならそれらしく普通の心霊スポットとは違う何かが起こるべき根拠を期待したのにさあ。しかも何も特別なことぁ起こりゃしないし。始めっから心霊現象確信して調査にやって来たはずなのに何だよ、神妙なツラで「ここではたしかに何かが起こっている」しか言えねーですか、何度も何度も同じ口調で。プロフェッサーまでが。「編集したものである」って最初に断ってんだからああいう冗長なとこ消しとけよって感じ。いくらモキュメンタリーだからって怒るよもう。あと画像の乱れは効果考えて残しとくのも理解できるけど、色合わせの画像はやめといてってば、わざとらしすぎ。未編集ってならリアルだけど。あとみんなのおっ死に方ったらアップが一つも無いでやんのよ。展開もぐだぐだ、視覚性も地味って、結局何見りゃよかった映画なの? 作り物じゃなく遺留品だから仕方ないじゃんとでも? 馬鹿にしないでね。
 ■第三種接近遭遇■ 遺されたビデオ映像と再現映像を組み合わせた、と言いたいなら、その二つの部分の役者を替えなきゃダメでしょう。おんなじ人が出演できるはずないでしょうがよ。あの『ノロイエ』ですら顔モザ処理でそのあたりクリアしてますよ(あれもなんか同じ人だったみたいだけど)。この映画がもし人物替えてたら傑作になったはず。ったく惜しいよ。雰囲気いいんだから。9歳の子ども相手に大のおとながムキになって脅したり怒鳴ったり、なかなか理不尽な暗~いムードがなかなか期待させて、うん、出番は終盤ちょこっとしかなかったけどエイリアンどもったら知能あるんだかないんだかわけわかんない動きと造形、けっこうイケてたっけ。
 ■無残画■ リポーター女性の豹変ぶり(ていうか素への戻りぶり)が見ものだった、ってのだけ強烈に覚えてるんだけど。あと忘れちった。でもあれだけで十分だったよ。廃屋(だったかな)のムード満点だったし。わざとらしさが目につきまくったけどなかなか見ごたえがあった記憶が。
 ■テレビ放送できなかった禁断映像 盗聴取材編■ えーと出演してる芸人、人気者なのかな? 訪問先で無反応で迎えられて「俺のこと知らなかったし」って。売り出し中なら売り出し中で、その立場生かした事件に仕立ててくれた方がなあ。結局盗聴なんかどうでもよくなったっていうか、あの風呂場の光景しか印象に残ってないというか。猫(だったかな、あれは?)の死体は何かホンモノっぽくて気持ちワル度高だったけど、あれ、全体とうまく関係してたのかな、どうだろ? ま、何が起きてたんだか微妙以上に不明なまま終わる構成は褒めるに値するのかも。でも結局なんとなく気味悪かっただけで、誰にも何も危害およんでないっぽいんだよね。この程度の話ならどっかで見つけてきてホンマモンのドキュメンタリーでやってよ、って感じ。
■テレビ放送できなかった禁断映像2 鬼畜セレブパーティ潜入取材編■ ああいう状況ほんとにありそうでリアルですね。でも盗撮がバレてああいう顛末、ってだけの話なんだよね。あっけないっちゃあっけないかも。ありそうな話だからこそ、ホンマモンのドキュメンタリーでやってよ、って感じかな。
 ■テレビ放送できなかった禁断映像3 コスプレイヤー密着取材編■ シリーズの中で一番面白かったです。入り込めた。『無残画』の裏返しみたいなシチュエーションだな。追っかけの豹変がやっぱ普通に怖いよ。男版〈超逆ツンデレ〉ですよ。シャレにならないレベルの。俺ああいう豹変ものに弱いのかな。でも後半、演出過多になっちゃったな。前半、AV女優(ですか? アイドルっぽくて好感持てたんですけど)がカメラマンをいろいろ叱るあたりまでは(うん、けっこう叱り方うまかったよ)ギリギリセーフなんだけど(でも叱られ役がずっと撮ってるのはなんかねぇ)、それと荷物引きずってく変質者(だったのかな)の姿が遠くに写り込んでるシーンなんか「ゾクッ」なリアルさだったけど、後半、いよいよとてもじゃないけどカメラ持ってらんないような状況で律儀に撮ってんだもんよ。ありゃ無理だよ、全力疾走しながらもってのは。テンポよく畳み掛けてくれたのにリアリティ激減で惜しかったな。それに「見たな!」は見当違いでしょ、どう考えても正当防衛だからねえ。人を殺したら無条件反射で隠さなきゃ、逃げなきゃがああいうドラマのお決まりってのはわかってるけど。たしかにホンマモンのドキュメンタリーでやってよ、ってわけにゃいかない流れだったけど、そういう流れ過ぎたなぁ。あとそうだ、モニター見たAV女優の事後コメントがけっこう冷静で、そこがリアリティ上げてたかな。
 ■テレビ放送できなかった禁断映像4 最新フーゾク取材編■ 人間が落下して地面に激突する瞬間って怖いよね。地面じゃなくていちおう床か。なんかほとんど地面みたいなロケーションだったけど。怖かったの、つか驚いたのあの瞬間だけだったんだけどね。風俗嬢の間でのイジメ、ってモチーフは絶対面白いんだから、そこだけでもっと掘り下げてくんないかなあ。人間関係となんか霊っぽい現象とがまぜこぜになって焦点定まらなかったよ。廃墟性もあんま生かされてなかったしなあ。
 ■実録心霊シリーズ 心霊投稿ビデオ 私たちは呪われた 山梨県 青木ヶ原樹海■ ちょっとちょっと。ヘタだよ、ヘタっぴすぎ。なんとかならんかったか。憑依の演技くらいもうちよっとさあ。定番の仲間割れもろくな科白ないまま「なんで俺のせいなんだよ」へ突っ込んじゃあ切迫感ないっしょ。お定まりの路線を急いでこなしてる感じで、霊も映りすぎっだって。あんなバッチシ人っぽいのが映っててどうして「霊だ」ってなるんすかね。常識的に「誰か人が。おーい」てなもんじゃないの? メインっぽい赤い女もしゃがんでたのゆっくり立ってくプロセスミエミエだし。これまた定番の霊能力強い女の子も泣きすぎでしょ。いくら霊が怖いって、泣くこたないでしょ泣くこた。女3人「帰ろう帰ろう」ってうるさすぎってば、ならチンタラついてくんじゃないよ、とっとと帰れよ自分らだけで、て感じ。人形も定番すぎるなあ。何もかもベタ、ベタ、ベタ。ベタはベタでいいんだけど、ヘタじゃ困ります。
 ■バトルフィールド TOKYO■ あの~一応現場が東京ってなってる以上日本人の役はちゃんと日本語しゃべれる役者使ってくださいよ。それといちいち画面を乱さなくていいから。乱れにしちゃ定期的に一定時間ってのもふざけすぎだし。タコの脚っぽいモンスターは結局、どういう形だったのかなあ。全体見せてくんなかったけど。あ~あ。
 ■心霊音 The Movie■ 本体のドラマがあるわけじゃないんでしょ、ザ・ムービーつっても。本編は最低、コメント部は見どころあり。どんな見どころって、とりあえず銀歯フェチの人は観る価値あるかもしんないです。女の口大好きの私、銀歯じゃなく唇でもなくひたすらあれフェチの現在だけど、こういう映像見せられると危うく銀歯フェチになっちゃいそうでしょうが。あんまり多種類のフェチは抱えたくないんだよ、薄まっちゃっちゃ困るからね。でも銀歯の彼女、予定外だからって理由でスッゲー不機嫌にインタビューに答えるわけで、もっとにこやかにやってくれたら萌えを超えて勃ちだったんですけど。って銀歯銀歯って期待させといて悪いけど、本作、大口開けての奥歯露出パターンは一度もありません。単に、美女(だよね、いちおう)の銀歯が何度もたやすく露出するだけの話です。普通に喋ってくれるだけで脇の銀歯バッチリ。それでよければ。
 ■TV放送禁止シリーズ 着信■ 「あの」放送禁止シリーズとは全くの別物。よくもまあこれほどレベルが違うものよ。つか何が悲しくて不細工な中年男の口元ずーっと見続けてなきゃならんの。話がちっとも怖くないっつのにこのジャンル特有のつっかえ口調多用したりゴクリと唾飲んだり、まったく見た目はっきり無理して深刻ぶった語りかたしてるのがどーしょーもなく空回りでさ。こーゆードキュメンタリー仕立てだとあんま怖い話にするとリアリティ減ると思ってんのかな。せめて語り手が女だったらまだしも観れたけどね。顔モザで音声変えててもいいからさ。口もと限定だったらつくづく『心霊音』の名作ぶりが思い知られるなァ。って観賞レベル落ちるとこまで落ちたね。
 ■幽霊インタビュー■ ふつうの人はそりゃ怒るよな、このテの映像ソフトってこういう不真面目な作り方されてんのかと思うと。いや、わかっちゃいるんだがね、これを心霊ビデオ制作の現状への自嘲的批評として観れば、それなりに気の利いたデータ提供素材になってるよってことは。しかしこいつらほんとにそういう批評意識持ってこれ作ったのかね。プロデューサー兼カメラマンの男とレポーターの女だけの即席取材だが(しかしねえ、「急に入った仕事」だの「予算ない」だの「台本今初めて見んの? メールしたはずだけど」とか、片手間のやっつけ仕事だってのそうあからさまに何度も強調すんなや、見てりゃわかるっての)、どうでもいいけどプロデューサーさんよ、「バシッと」「……んだけどー」「ちょっちょっちょっちょっ」しか語彙がないんかおまえは。しかも喋りすぎ。意味のないことを。「幽霊屋敷」の門前で未編集のNG断片ダラダラ流したあとヘラヘラしながらのインタビューだの公園のブランコで団子食ってる場面だのそば食いながらの無駄話だの入れて、「全長版」と称してこういうのが「リアル」なんだと開き直られてもな。てか開き直ってるって感じがするほどリキ入っちゃいないし。家に入ってからもろくにまともなルポせんでただコエーコエー言ってるだけだし。プロ意識持てよ(持ってるふりぐらいしろよ)。幼女がいるってのはいいにしても、あまりにふつうの女の子すぎて二人と生身で会話しちゃったりしてて、いつのまにか座り直して絵描いてたり、霊信じてるやつは怒るだろうし、信じてないやつは笑うだろうし。巷の尤もらしい幽霊像をあっけらかんと覆してるとこが「新しい」って誇ろうと思えば誇れるとこだったけど、あの二人が仕切ってるかぎりは駄目だったな、ありゃ。
 ■覗霊■ これ、何年前だったか、大学院の授業で映示したんだけど、駄作ほどツッコミ甲斐で高揚感、の典型例かな。駄作ってより手抜き作。こんな手抜きが作品になっちゃうんだから楽なジャンルだなあ。『幽霊インタビュー』といい勝負だね。いや、こっちの方がチョイましかな、心霊映像をいちおう用意してるぶん。『幽霊インタビュー』にゃ合成画像の一つすら無かったんだからな。こっちはまだしも工夫の跡が見えるよ。しかし中でも学生諸君が「まさかあれがそうだとは」と唖然としてた映像は(つまりリプレイの前にどこが心霊なのかを当てたいわけですね)、窓際で喋ってる女の子の反射像が静止してる、ってやつね。『ミラーズ』や『封印映像 呪われた森』で使われたパターンの逆だな。しかし逆手をとったからって名案とは限らんでしょ。俺も最初見たとき「まさか、この静止像ってこたないよな……」と思ったのだが、モロあれが種明かしじゃいくら何でも……。ま、微笑して許してやれよ系かね。あとあれだな、ともかく人物のまわりゴッソリ風景がモザイクになってるシュールな映像(意図的にシュールにしたわけじゃなさそうだが)が続いたときのウンザリ感が妙にしこりみたいに残ってます。ゴミも窮まると記憶に残りやがるなァ。

ナンセンス系9

2011-01-06 03:21:00 | モンスター映画
 ■集団殺人クラブ■ このタイトルは何かな? 内容と全然関係ないよね。それと援交女子高生5人の方がなんか肝腎のタケゾーよかずっとモンスターじゃねえの? そのへんにいそうな子らで現実味あって怖いってばよ。事故の隠蔽も死体遺棄も殺人もあんま考えずにさっさかヤッてくし、連動して画面がねえ。稚拙なコラージュと早回し頻用しまくって、ああいうのって、行動とストーリーのハチャメチャさをカバーしてんだか増幅してんだか。いじめられ役が殺されつつある最中にフラリと戻ってってリーダー格2人に土下座強要したり、友だちの首捧げ持って恐怖ダンス踊っちゃったり、洗濯機でぐるぐる回る逆立ちルーズソックスだったり、なかば盆踊りの二人三脚スタイルでブスブス刺しまくったり、殺意があるんだかないんだかわからんタケゾーの背景不明な苦渋も、ドクターストレンジラブっぽい腕押さえ演技も、怖がってんだか面白がってんだか理解困難な女子高生らの無駄な喧嘩場面も、とにかく勢いで見せられちまった。敬服です。なんたってあの巻物にゃ大爆笑です。いつのまにか全員の名前把握しちゃってるのね。生き残りがヒロエだけんなったときにタケゾーったら名前呼び間違えてたみたいだけど。しっかしタケゾーのあの、ぬるこわキャラはなんとなく花輪和一っぽさも。とにかく見入りました。映画じゃなきゃできないことをちゃんとやってくれてる珍しい映画でした。こういうの心から大好きだわ、俺つくづく。ヒロエがだんだん可愛く見えてくるのもうっすら怖かったというか。しかしラストのカクレンボ場面は一体何だったんですかね。あれで無事ヒューマンに終わっちゃわないで巻物に戻って「またヤッちやっター」やってくれてひと安心だったけど。実をいうとフィナーレは全く予想通りだったんだけどなんか妙に騙されたような爽快感が残りました。
 ■亡霊の棲む家~犬木加奈子恐怖world~■ ん? なんだこれは? 地味ちゅうか全体おとなしめなホラーだけど妙に惹きつけてくれるぞぉ? 同じマンションの三組の夫婦の話が直接の関連なくパタパタッと続くのだが。ええなあ面白いなあ。ええ。水が関係しているらしいのだが、別にラストで水槽から行方不明の子どもの死体がきちんと発見されるわけでもなく、管理人がゾンビになる理由も明らかでなく、住人が対話不能になったりゴミに取り憑かれたりストーカー宅へ入れ替わったりやや手の込んだ事態を被る理由も定かでなし、うん、これいいっすよ。ホレ幽霊だ~的演出一切なし、かと思えばさりげなく盗撮というか窃視っぽい視界映像がマンション入口に多用されて効果濃密。拾いモノッす。
 ■恐怖列車■ 始めから走馬燈モチーフだと明かした上での進行なので、ナンセンス系とは言えないのだが、まあ現象的にナンセンスの見本展示なので。群がりゾンビがおっかなかったよう……。まさに悪夢風景ですな……。家族関係が不明になった室内といい、とぎれとぎれのテレビニュースといい、巨大ヤマンバギャルのけんけんといい、観覧車のラストといい、もともとあの3人の関係がただのキャピキャピじゃなかった変則設定の上でますます不条理感が増す。『集団殺人クラブ』の5人より何考えてんだか度がむしろ高い子らだからね、犯罪臭はなかったみたいだけど。全体どよ~んとしたムードが何とも怖いんです。だけど、これ怖いって感じるやつあんまいないかもな。路上や室内のスプラッター度もほどほどだし。だけど俺は怖かった。画面全体に、というより風景全体に見えない靄がかかったような雰囲気、あれ、とにかく怖かったです。
 ■ポゼッション■ こゆふに(てどゆふ?)しちゃえばそら、何でもありだわな、確かに。映画なんて案外楽なもんよ、いい意味でね。けどどうなんかなあ、あれじゃあ狂気の主体が嫁はんなんだか旦那なんだかわからせんわ。結局のところ。しょーもない痴話喧嘩延々と聞かされたわりには実り少なかったというか、あげくはハナシぐちゃぐちゃになりすぎて焦点拡散しきって終わってどーしてくれんのというか。ラストの思わせぶりな坊ちゃんドボンがなければほんとただの安易ハチャメチャ路線で終わってたってとこだろうな。モンスター映画期待して観た俺も悪いっちゃ悪いんだろうが、ああいうクリーチャーわざわざ3種類も用意したんだったら、もっとじっくり移動シーンなんぞも見せてくれるとかな。せっかくお目眼ぱちくりしてたことだし、ニュルニュル系のいい味出してたじゃんよ。巷では主演女優の体当たり演技が大好評の本作品のようですが、あの女優に別断興味ない私としては、そして路上ゲロシーンの類はそのテのAVにて見慣れちゃってる私であってみれば、ああいうのにポイント入れるのはちょっと無理ということで。終わり近くの化けもんとのセックスを旦那があんぐり目撃したシーン、紛れもなくハイライトだってのにあっけなく日常シーンへ切り替わっちゃうあたりは、ブーイングに値するでしょう(モンスターファンでなくたってこれ同意するのでは?)。マ、全体、ナイフだのピストルだの爆弾だのを振り回しすぎた感じだな、もっと心理劇風にやってほしかったな、てあたりが私の率直な感想ね。名作の誉れ高い廃盤作品ってことで一万六千円出して中古入手したわりにはインパクトが『マルホランド・ドライブ』レベルにとどまりました。いや、チョイ出にせよクリーチャーがウネウネしてくれたぶんこっちのほうが上かもしんないけど。
 ■ルナシー■ えーと、ヤン・シュワンクマイエル作品だけど、どうしたことかあまり面白くなかったな。期待しすぎたのかなあ。舞台はほどよく非現実的だったんで観ながらずーっと期待してたのに。
 ■運命人間■ ナンセンスというより「不条理」という程度だが、わりといいな。「ホラー番長」シリーズの中では一番よかったかも。
 ■山手線デス・ゲーム■ 理由もなく直感ですげー期待してたんだがな~。テンポ思ったより悪かったわ。min.jam、携帯電話向け1話約1分構成の連続ショートシネマシリーズってんで、濃密コテコテの一分刻みナンセンスを勝手に期待しちゃったんだが、ぬるかったなぁ、間延びしてたなぁ。どうしてだろ、やっぱ別段名作でもない代物に大きい期待かけすぎた俺が悪かったってことで。このテのは「掘り出しモノ」的「拾いモノ」式待遇が適切で、期待なんぞしちゃいかんかったのよ。って、まぁコントとして見りゃ並以上なのかなあ。笑えたのは魔法使いの女の子と、大塚製薬と、バイコキと(サンバイコキは要らねえっすよ)……くらいかなあ。間延びコーナーはラグビーとか武闘派ホームレスとか、ヤッパ長くしちゃダメだな、たったったーと突っ込んでくれなきゃ。でもまぁコメンタリー入りでもっかい見直してみようかなあ、なんか本編より面白そう。
 ■ねじ式■ 原作マンガのなぞりは終盤に入ってからか。なかなかひねった映画化だ。中盤まで昭和ロマン、あとはナンセンス全開と。しかしなんか物足りない。映画化の価値は十分感じられたものの、せっかくだから集団暗黒舞踏もっと見たかったかも。
 ■ローズ・イン・タイドランド■ うーん……。出だしのムードで、面白いかと思ったんだが……、期待外れだったな。おかーちゃんの死にたての骸を前にとーちゃんと娘がとっとと出発しちゃったり、こんどはおとーちゃんの死体に娘が淡々とお化粧したり、ま、とりあえず不条理っぽい場面入れときゃいいだろうみたいな安易な作りが目立つ。登場人物も障害者やらシャブ中やら、それとその前にバスんなかでおとーちゃん(たぶん)がオナラしまくったり、そんなんやったって良質のナンセンスにゃなりませんて。ナンセンスのつもりやないって言い訳しても、あの流れだとなあ……。あ、子役がうまかったことは認めます。つか、子どもとしちゃうまいって意味で、うますぎていかにも演技って感じで可愛げなかったけどね。ア、あと映像は綺麗でした。
 ■しんぼる■ あ~だめだこりゃ。全然だみだ。酷評は聞こえていたが、『大日本人』が良かったので期待して観た。しかしこれはだみだな。「わけわかんない」系の酷評が多いようだがそれだったらばまだよかったのよ。俺にとってはこれ、わかりやすすぎる。そしてつまんない。つまんないコント。白い部屋んなかじゃいちいち叫びすぎ。先が読めすぎ。寿司食うとことか、カットがいちいち長すぎ。もうそのシーンのオチはわかってるんだし。二度にわたるオナラネタにいちいち「くさーい」って注釈的叫びは不要というか邪魔っけ。そ、「いちいち」っていちいち指摘したくなるもどかしさなのよ。扉に向けてわざわざ不器用にスタート切るパターンもくどすぎだって。それと根本的にシンボル押して何が出てくるかはランダムだから面白いのであって、漫画本の先の巻が順々に出てくるとこなんかはギャグやってるつもりでランダムな不条理性を消してしまい、単に姿見えぬ管理人にからかわれているだけっぽくなっちゃった。プロレスパートとの絡みも希薄すぎて、だからこそいったん連動したからには徹底的にやんなきゃでしょ。あんな既成映像の流用じゃなくてね。シンボルを最初に押したときの部屋の反応がほんとあれハイレベルなCG・音響の出来映えだっただけに、ほーんと失望もの。室内コントがもうちょい洗練されてればなあ。ほんとくだらん作品。エンタメ放棄した時点でもっともっとアートにしといてよ。アートっぽく、だけでもいいから。

夢幻系1

2010-12-25 21:34:00 | モンスター映画
 ■インセプション■ うわあ、この映像はすんげーや。ぐわーっと地面が反り返って街が折り畳みゴッツンコになるとことかさ。あーゆー映像作ろうなんて思うか普通? それとか一段外の世界の動きに従って夢の世界が無重力遊泳になる描写とかさ。商店街の爆発とか崩落シーンとかもね。カーアクションだって並のアクション映画以上だし、ビジュアル的にはほぼ満点ですね。で、肝腎の「哲学的(?)含意」はどうだろうな。う~む、これは保留かな。夢の中の夢、ってモチーフは新しいとは言えないし、夢への侵入、共有、観念の植え付けも、そのメカニズムがはっきりしないので哲学的とは言えない。一段深くもぐるたびに時間の速度が変わる、というのもさほどの奇想とは言いがたい。時間経過の変化は実際に起きていることだろうし。ただ明晰夢でそれをやったのは面白いといえば面白いんだよな。意図的に時間の変化を利用したりするわけでね。時間がないときはわざともぐって作業したりと、ふむふむ。夢の中で死ぬと目覚めるけどドラッグが入ってると魂の抜け殻になるんだっけか、確か? オモロイ発想だやね。どうしてそうなるんやという説明がないので現象的面白さにとどまり哲学的にはどうってことないのだが、トーテムによって夢か現実かを区別できるってのは、実際そういうの可能かどうか、考えさせられるって点で哲学挑発的と言えるよな。現実と夢、あるいは夢の異なるレベルの間での人格同一性、自己同一性もテーマになりうるぞ。なるほどそうね、こうやって一つ一つ考えてみるとなかなか哲学的に深い映画なのかも。チューブで繋ぐっていうどうもこの、侵入する技術が何ともローテクなのと、植え付けの方法もまったく手仕事で、言葉で相手に語りかけにゃいかんと。死んだ妻がちょいちょい妨害に来るのがそれこそ観賞上邪魔だったけど、死んだ理由が植え付けの哲学的(でもないか、これは)副作用だったという中落ちには感服しましたわ。あとそう、主人公と妻の住んでた街、中途半端な廃墟っぽさがきわめて魅力的でしたっけ。同系統映画でもやたらアクションづくしだった『マトリックス』に比べてセンチメンタリズムも入って、いっそうバラエティに富んだ内容だったかもな、こっちは。
 ■マウス・オブ・マッドネス■ これ、「メタフィクション系」なんだけど、作品数揃わないから夢幻系に入れさせてもらいますわ。でこれ、全体いい感じなんだけどねえ。映像も綺麗に撮ってるし、室内や深夜のおどろおどろげな閉塞ムードと白昼の明朗ムードの対照もいいし。迷宮感こってり。だけど肝心のクリーチャーがなあ。種類多いし造形もそれぞれ一流とくるので大歓迎なんだけどなあ、出番がなんであんなちょっとだけなのよう。フラストレーションまみれっすよ。いや、要所要所でお目見えなので全体からすると結構クリーチャータイム長いかもしんない気も。そ、『裸のランチ』程度のサービス度にゃいってる感じも。だがいかんせん一体一体がほんの一瞬じゃないの。全体像も一度も無しだし。お、イイクリーチャーだ、と思って俄然身を乗り出すと次の瞬間場面変わってそれっきりでしょう。もっと触手とかじっくり見せてほしかったよう。顔がいっぱい付いてるっぽいのも走ってたっぽいし~、うーんじっくり見つめたかった、予算の関係で特殊効果のボロを出さないうちに引っ込める手法でしょうかねぃ。そのためにチラリズムの奥床しさも生じてクリーチャーの邪悪っぽさも当社比倍増、って手筈かもだが、ま、それでいいか。しかし不完全燃焼なわだかまりも。こういう現実化虚構化的なネタって案外平凡なので、見てる最中はグルグル引きずられる目眩感たっぷり味わえるもののふと我に返ると基本的に安易。そこをテンポの良さで強引に押し通しつつナイスクリーチャー出し惜しみの陰翳効果によって傑作になり得たと。ふむ。著者がチラチラ登場するのは、あれは無しのほうがよかったかなって感じだけど。あとほら、蒸し返して悪いけど著者の姿込みでページ破ってメインモンスター群が現れるあそこんとこは、あぁあそこんとこばかりは、いきなり追跡シーンに移るんじゃなくて、出現場面をじっくりやってほしかったですよう、ハイライトでしょーが、脚、牙、目、そしてまた脚、みたいなディテールだけ個々に映されてもさぁ……。ああもったいない、つか意地悪ぅ。良質モンスターモノだっただけに……。
 ■ジェイコブス・ラダー■ ああ、走馬燈系ね、と始めからバレバレの形で進みながら、後半というか終盤で幻覚ドラッグの話になって、走馬燈系を裏切ろうとする仕掛けに工夫が見られたっけな。噂ほどではなかったがそこそこ楽しめました。
 ■エロ怖い怪談 第弐之怪 ポルターガイスト■ 走馬燈系かと思ったら似て非なるものだった。意外ッちゃ意外。登場人物配置にしても医者と看護婦がああいう形で出てきてたとは、って感じ。事故前には彼氏はいなかったって設定がわかるようにでもなってればもっと感動的だったけどな。しかし全部わかってみるとディテールが凝りすぎてるって印象で。いや、いい意味でだけどね。霊視をして前世の似顔絵描く商売なんて、どう考えてもリアルにしか思えないじゃん、フィクションの中だったら。幽霊つうかゾンビつうか、あれが何だったのか不明だが、あれに犯される空中レイプシーンはエロ度満点。ファックに興味のない俺ですら「エロ……っ」て感じたんだからたぶん本物ですわ。ファック好きの人だったらこれ観てどうなっちゃうんでしょうやら。この映画、なにげに傑作ですってば。だいたいラストの電話がほんと物悲しいです。泣けます。こういうエロくてチョイ怖くてしかも泣ける映画って、貴重でしょほんと。「エロ怖い怪談」シリーズの中で最高だったかも。
 ■エロ怖い怪談 第四之怪 呪幻■ とりとめがないんだなあ。ただ雰囲気いいから見入ってもうたですわい。でも次から次へと夢から覚めすぎじゃないかなあ。もっと抑えてもよかったような。ふてくされた助手の両面性がいい味出してたよね。宅配のドアの叩き方はちょっと誇張しすぎじゃないかね。夢の中だからってんで何が起きても辻褄合っちゃうわけだけど。まあなんやかんや雑然としすぎてて「エロ怖い怪談」シリーズの中では一番下だったかな。
 ■CYCLE――サイクル――■ 毛利家の中の科白は超・不自然なので、全体すげーいいムードというか不条理ホラーになってるのに惜しいなぁ、と思いきや、あのモチーフがわかってみると(つまり夢幻系ってことね)ディテールの不自然さが全部生きちゃうってこと。う~むうまい。ってチョイずるいんだけどね。けどこれやっぱ、傑作じゃないかなあ。オレ好きですよこういうの。自転車の音という中途半端なアイテムをキー概念にしてるとこもなにやら不条理感が増して却ってヨシ。何がなんだかわからんまま切羽詰まった不安にがんじがらめのヒロインの表情よし。こぢんまりした感じで結局正確な状況よくわからんのだけど、こういうワカラナサなら不気味で良し、大歓迎です。
 ■沈黙の惑星■ ラストのメンダックス人の鏡越しの「打ち明け」はないほうがよかったな。どうせ真実か欺瞞かわからない夢の中の情報だもの、雰囲気だけっていっても確定的謎解きなふりしてほしくなかったよ。ま、いろいろ追っ駆けっこシーンについてはそれなりにハラハラできて良かったですが。
 ■ウェイキングライフ■ もっと実写っぽいの期待してたんだけど……。あれじゃあセルアニメとあんま変わりませんな。たえず揺れてるんで目がチラチラしちゃったよ。変わり種としちゃ面白いっちゃ面白いけど、それだけのことかな。実験的ってほどでもないな。目覚めては目覚めては、まだ夢まだ夢……の恐怖みたいなのはわかるけど、全体がしょせん夢ってノリに乗せようとしてるので、切迫感は当然ナシと。全体が現実のはずなのにア~レ~? てムードにしといたほうがよくはなかったかな。まあ類似作がないみたいなんで貴重系ですね。そんなに面白いとは思わなかったけど、価値はあるのかなみたいな。
 ■夢の中の恐怖■ ミチオ・カク『パラレル・ワールド』で紹介されたもんだから期待して観たけどさ。大したことなかったな。1945年の映画にしてはいろいろやってますなって程度か。殺人場面も芝居がかっててヘタレだし(その頃の日本映画とあんまかあんま変わんないんじゃないか)、イギリス映画特有ののんびり度がまあいい雰囲気出してるって言っちゃっていいんかな。ハリウッド的大衆迎合ナシで淡々と作ってはいるやな。しかし科学啓蒙本でわざわざ紹介されるに値する映画とは思えないな、コンセプト的にも映像的にも。
 ■恐怖■ ありゃりゃりゃりゃー。何がなんだかわかんねー代物になっちゃいましたねえ。脳をいじられてるんだか死後の世界なんだか走馬燈なんだかわかんないようにしたかったのかなあ。どうせわかんなくするなら、演技を定型から外してほしかったよ。『CYCLE――サイクル――』を見習ってよ。だいたい片平なぎさはじめ登場人物が格好つけすぎなのよね、わざわざ低い抑揚乏しい声で喋って恐怖感煽ろうと(?)したりねえ、ああいう台詞回し、怖さと関係ありませんって、聴き取りづらいだけですって。怖いでしょ、ねえこういうのって怖いよね、ってしつこくおねだりされてる感じでほとほと厭になった。ラストはありゃ何ですかな、集団自殺の遺体回収風景が出てくることによってどんでん返しとでも言いたいのかな? 肝腎の本筋が行ったり来たり何がなんだかどうでも良くなっているおかげでちっとも効果出てませんや。どうせ夢か幻の可能性ありってことなのか全般流れが恣意的で、とくに途中からやたらエリコ、エリコってさも中心人物っぽくみんなの心配やら懸念やら注目を浴びたりするんだけど、こっちとしちゃエリコって誰?て感じ。中途半端にドラマっぽくしてるもんだから人物相関がわかりづらいのが致命的になっちゃったよ、もう。みんながみんなああ深刻ぶってると誰に注目すべきなんだかさっぱりだし。何が問題だかもさっぱりだし。脳手術か集団自殺か、どっちかに焦点合わしてくんないと全面分裂でしょうが。あっちゃこっちゃ保険かけとかないと不安なんですかねえ。Jホラーも競争激しいのかな、意識の上では? ま、主題分裂状態でもそりゃね、ディテールさえよければ。なのにそこまでがあんなレベルでは……、結局生きてたわけだけどオッサン刑事の殺され方も間抜けこの上ないし、あとほら、母ちゃんが「麻酔は要らない」とかやけに急いで脳操作してもらってたのは何なの? 脈絡無いってばよ。どうせ夢だから、って適当なシーン混ぜこまんでくれや。ああいった見切り発車ぶりが要所要所で水を差しまくるんだなあ。これ、いくらなんでも大駄作。

オカルト系16

2010-12-23 00:39:00 | モンスター映画
 ■スペル■ くだらない言いがかりでの逆恨み系ですな。本人にとっちゃくだらなくないところが怖いのだが。こういうの観ると、理不尽こそが最大のホラーって気がしてくるよね。このラストは、早くもひとつのジャンルを形成したような気配? 一件落着・いや勘違いだった系。地獄に引き込まれるってどんなだろうと思ったらあんなですか。炎がほとばしってましたね。なんかこういう、タイムリミットモノというかな、強制的に緊迫感の中に置かれるっぽいストーリーは、ある意味反則なんだけど実際面白いんだから文句ないやね。しかしああいうクソババアってほんとにいそうだから。そこが怖いよなあ。全編を引っ張ってたのはタイムリミットよりそっちの方だったんだろうな。ババアと女との肉弾戦、グロ面白かったなあ。双方のイジメ合戦みたいなね。あはは。振り返ってみると、窓口でのババアの形相が一番怖かったりするんだよね。ほとんどコメディなんだが、あのラストで無事ホラーとして軟着陸できましたな。唾やゲロや痰がホラーの小道具として有効だってことこの映画で再発見させていただきましたよ。あともちろん老醜もね。しかもそれだけじゃない。「出世のためには無理にも冷酷に」的ステロタイプ対応が命取り、って教訓もそこはかとなく読み取れたしね。冷酷が仕事できるの意、なんて誰も決めてないのにね。つまり俗物的自業自得と。しかもあの女、根はさほどの性悪女でないだけに、というか細かいとこ忘れたけど確か自己犠牲的なところもありむしろ善良な人間とも言えるだけにこのオハナシ、かわいそうで救いが無くて爽快だったです。いやあ、中身濃い娯楽映画でした。
 ■クライヴ・バーカー 血の本■  欲求不満の女性教授がイケメン学生をひっかけて強引に心霊実験に参加させる話ってか。チョイ面白い。ってあの学生が実際に霊能力持ってるって設定だからややこしいんだなあ。だから趣味と実益を兼ねた形であの学生に惹かれたって設定なのかな。しかし自分で監視カメラ仕掛けた部屋でわざわざセックスするなよ。しかもその映像、研究協力者のカメラマンといっしょに確認しなさんなっての。しかも相手の学生当人もいっしょにさ。しかしビジュアル面は皮膚に血文字が書かれてく描写が生々しくてよかったすよ。あ、もちろん女の子の顔皮剥ぎもね。サービスも良くて3回くらいリプレイしてくれたじゃないですか。剥がれたあと顔面引きつりピクツきしてくれてたりしたしね。幽霊が大挙して姿を見せるのはラストシーンだけだが、そこまでの盛り上げ方はすこぶる良し。と思ったら、ラストのラストは血の海かい。トランクが血の泉に変わるシュールな展開には得した気分。ラストシーンを二つもらったような気分だよね。この映画、期待ゼロだっただけに(だって『ヘルレイザー』系以外のクライヴ・バーカー発の映画って、『ロウヘッド・レックス』だの何だの、クズ中のクズばっかりだったんだもん)ほんと得しました。
 ■シェルター■ とりとめのない内容だったな。というかどんどんずれていく感じ。多重人格者っていうからもっとこう、『アイデンティティー』みたいな緊迫感を期待してたんだがな。だいたいオカルトになっちゃった時点で脱力するよ。多重人格じゃなくて憑依なんだろ。多重人格否定派のヒロインがほら、殺された車椅子少年と母親の会話に立ち合って困惑するあたりの微妙な描写あたりまではわくわくさせたんだけどねえ。というか、最初のオッサンが土を吐いてオッ死ぬところでいやな予感はしてたんだわ、こりゃジャンルが違うなと。いや、いいんですよオカルトでも。ちゃんとオカルトになってればね。しかし何だかなあ、鍵握ってるはずのまじない師も出番少ないし、目の代わりする少女っぽい不気味キャラは期待させただけでなおさら影薄いまんまだったし、ああいう大仰な人工呼吸姿勢でわざわざ魂を吸い取ってく意味もよくわかんないんだよね。何をしようというのか。そいでどうして咳き込んで死にいたる症状をばらまかにゃならんのか。シェルターっていったい何に使うのか。しかしまあ、信仰と懐疑の拮抗とか、有神論文化圏ではそれなりの問題意識投げかけてるんだって認めにゃならんのかねえ。娘が最後、生き返ったときにゃ一瞬「ああ、しょせんこれかよ……」と再度脱力モノだったが、例の歌を口ずさんだ時点で「おうおう、そういうことか、よっしゃよっしゃ」と満足いたしました。全般、よくできた映画だったけど焦点がいまいち定まりませんでしたね。
 ■ニードフル・シングス■ 店主がどうも不死身の悪魔ってだけでオカルト系に入れるのもどうかと思うがまぁ……、最後ンとこで破壊シーンになるとはね。なんかそれぞれの秘めた大切なモノ、系のサイコ寄り設定かと思ったら絵的にどうしてもああいう展開になるんかいな。ああいう悪魔って、とことん愉快犯なんだろうな。そういう目で見ると一気に冷めちゃうけどね。
 ■エコエコアザラク(2001)■ ラストがなあ……。ラストってテレビ局のスタジオんとこね。そこまでは結構いい雰囲気だったんだけど。教師のオーバーアクションなんかがブチコワシだったりしてたけどそれなりにさ。
 ■満月のくちづけ■ 深津絵里ってあんなに眉毛太かったっけ? それともそうゆーメイク? いずれにしても『1999年の夏休み』観たばっかりだったせいか男子が女装してるようにしか見えんで困ったよ。マーク・ケア似の美術教師がうたた寝してるとこキスしようと迫られてもなあ、あの眉毛で……、つかここに出てくる女の子みんな眉毛太いんですけど。ああ気色わりッ『1999年の夏休み』の呪縛がキツイねぇ。
 ■スクリーム・ハウス■ ほとんどオカルトとしての意味ないけど、彫像が恐怖をオーダーメイドで受け付けます、てなコンセプトが新しかったつもりかなあ。本人の怖いモノに殺されてくわけね。ていうわりには各々死に方それぞれがいまいち鮮明でないし、恐怖のカテゴリを列挙したわりにはコウモリ、蜘蛛なんかは完全無視されてるし、黒人の死に方ときたらまったく無個性。一人一人に合わせて丁寧に虐殺してほしかったよね。あゆふに列挙されたからにはマニアックにえぐっていくのが当然じゃないかい? あともうちょいお化け屋敷らしさがほしかったかも。ただグルグル走り回ってる印象しか残ってないのよ……。

フェイクドキュメンタリー系3

2010-12-09 14:43:00 | モンスター映画
 ■クローバーフィールド/HAKAISHA■ お、面ッ白えぇぇぇ~~~~ッ! 大満足ですぅほんともう。怪獣映画はこうでなきゃ! マンハッタンのど真ん中に怪獣出現、偶然巻き込まれて逃げまどう群衆の一凡人がハンディカメラで一部始終を撮影……、って工夫無いようにみえてじつはもンのすげーシチュエーションじゃないですか! すげーよこれ。怪獣マニア的にとてつもない臨場感。怪獣のほぼ真下を間一髪地下鉄駅に駆け込むところなんざ鳥肌立ちました。怪獣映画観て心底怖いと思ったの、実に『ガメラ対バルゴン』以来四十何年ぶりっす。すげー、素直にすげーよこれ。怪獣がまたいいんだなぁ。フリークスっぽいいうかほんと身悶えるような痛々しいような不定型な動きしてて、ゴジラみたいな予想可能な動きじゃないもの、不意に方向転換だもの、怖いよ~~。チビのパラサイト怪獣(?)たちもおっかねーのなんの。おっかないクチをガシガシやってるわりに人間とサシでいい勝負って微妙な弱さがまたいいねぇ。メイン怪獣の身体からボロボロこぼれてたとこからしてパラサイトですかねぇ、最初は子どもかと思ったんだが? 咬まれた人間にとっちゃパラサイトだったようだが……、変身場面だか体ぶち破り場面だかはシルエット止まりでちゃんと映しちゃくれませんでしたね。あれでいいんですが。パロディ版(つか、真面目な真似っこ?)の『バトルフィールド TOKYO』みたいな小うるさい画像乱れの小技に頼らず、正々堂々リアルタイム風を表現しおおせました。セントラルパークにヘリ墜落したあとで、なんか怪獣が丁寧にも撮影主にかかりっきりでモーションつけて襲ってくれますよね。しかしサイズが全然違うんだからたった一匹の人間相手にああいう律儀なフォローってどうなの、とあそこだけ疑問でしたが。しかしあれがないとドアップで怪獣の顔映せんかったものね、ストーリー的にはともかく作品的にはOKです。つかヘリにジャンプしたあいつもいっしょに墜落現場にとどまって、這い出す生存者にじっと注目してたって流れはべつにそうおかしくもないか。こんなディテールが気になるのも全体リアルすぎる仕上がりになってたからでね。自由の女神のアタマがすっ飛んでくるシーンにしても、「おいおいみんな、もっとあわてふためいてパニクるだろう? なに回り込んでしげしげ見つめてんだい?」て突っ込みたくなるとこだけど、それは映画的感覚でのこと、いきなりこられたら実際たぶんああいう反応になるんじゃないかなと思わされたし(911んときもみんな逃げるどころか一斉にボケーッと見上げてたでしょ?)。しかしアタマふっ飛びの瞬間からしてそうなんだけど、大半の破壊が高層ビルに隠れて見えない角度でなされてるために、ええほんと、前半は恐怖倍増でした。見えない恐怖と見えてからの恐怖のバランスがほんと絶妙。見えなかったときの恐怖に負けてませんもの、あのフリークスっぽい異形怪獣のビジュアルったら。ところでこの映画は「POV系」とでもして別に立項すべきだったかな? 誰もドキュメンタリーとは思わないしな。
 ■[Focus]■ しょせんああいったマニア族って性根は犯罪者よ、的メッセージを伝えてるって言っちゃ身も蓋もないが、そのへんの急変がぞくぞくもの。ああいううざったいディレクターは俺もサプリメントの煩雑な取材などで経験あるから早く天誅下っちまえって感じで観てたし、浅野忠信がブチキレた瞬間は「ついに! よくぞ!」的カタルシスがありましたな。しかも予想よりずっと深くぶち切れてくれたんで。ああいううざったいレポーターっているんだよ、ほんとに。でこれ、ブレアウィッチプロジェクトより前だよね。こっちの方が出来がいいじゃん。とはいってもブチキレの瞬間から鳴り響いた音楽が気になるなあ。カーラジオだと思えば問題ないんだけど、BGMだとしたらあそこでドキュメンタリーを放棄したことになるなあ。最後までフェイクドキュメンタリーを貫いてほしかったけど。だけどいいのか、あとで押収された映像が後半編集されてBGMがくっつけられたと考えれば。それとカメラマンの立ち位置が気になる。監禁状態の時もカメラマンだけは特別扱いかな? 普通3人並べて監視されるものだと思うが。セックスシーン撮ったくらいで別に恐喝に使えるとも思えんからカメラはもう不要だし。やっぱいくら拳銃持ってるからって3人とも縛りもしないで連れ回すのはしんどいと思うよ。てわけであそこは3人並べて縛っとかないと展開不可能では。といった気がかりもあるにはあるが、根暗気弱な青年が犯罪者の本性を突如全開、あの瞬間のリアリティだけでこれ大傑作ってば。
 ■オカルト■ 笑えましたわ~。いやあヨカッタヨカッタ。観はじめたときゃ「こんな演技レベルで真面目にやろうってのか?」ってやな予感だったんだけど、大量殺人とかあの世とか呪文とか変な因縁が重なって、強引に持ってってくれて、単なるコメディもといホラーじゃなかったですぜよこれは。男が次第に傲慢に説教臭くなるあたりは実際よくあるパターンなんでリアリティ満点よ。欲を言えば大量殺人は爆弾じゃなくて肉弾でやってほしかったな。どうやったら人混みで短時間に大人数を殺せるかの研究とか二人でやってれば迫力じゃん、爆弾せっせと作るよりは刃物を研ぎ澄ましてくれた方がそりゃあ。そこんとこ除けば全くうまくできてたと思います。町並みを通過するわけわかんない霊体(ですかね、あれ?)といい「次はおまえ」の意味の反転といい演出補の女性の『集団自殺ネット』以来のというかそれ以上の素朴な適度にウザイ熱演といい、ほんのりおどろおどろしい質感つきの軽いホラー、って新ジャンルで成功してる。いやほんとこれ、楽しめたので。この監督の最高傑作でしょうよ。
 ■シロメ■ これも良かった。笑えました。『オカルト』程度の怖さがあればもっとよかったんだが、ももクロのプロモーション兼ねてる以上ちょっと無い物ねだりか。『悪魔が棲む家2001』みたいにアイドル容赦なく血みどろにしてほんとに怖くしちゃうといくらなんでもイメージダウンになりかねないからね。しかしドッキリというのがどこまでホントなのか。シロメという架空の都市伝説をアカリンがはじめから知ってたり、カナコと2人で超常現象に反応したりとか、どうみてもドッキリじゃないでショ少なくともあの2人は知ってたでしょ。同じ暗示にかかったとも考えにくいからさ。まさかスタッフがほんとに天井に無数の目を映し出してももクロを怖がらせた、なんて手の込んだことはしてないよな。もしそうだったらその百目状態の映像を映画本編に使わない手はないからな。そんな映像が出てこなかった時点でふたりは脚本サイドの人間。とはいうものの、本職として営業中の宗優子と神島剣二郎が出てきた時点でその部分はヤラセなし、とはこりゃ誰もが思うわな。霊能力者が心霊ビデオのヤラセ疑惑普及に進んで一役買うとは思わんものなあ。霊能力業界、けっこう自信持ってるのかもな。ふつう宗教だったらフィクションでも信仰を茶化すようなこと許さんものなあ。ともあれmvpは吉田です。二度目登場んときゃ吹きましたよ、当然でしょう。プチポルターガイストも吹きましたし。あそこ、ももクロも笑いをこらえるの必死だったんじゃないかな。モロ笑わせないためにちっちゃなモニターで見せたのか。ありゃあ笑うよ普通。それにしてもやっぱ、テレビの特番と映画じゃ全然心構えというか、スタンスが違うのかな? でなきゃコンセプトが弱まるもんな。ラスト近くに三転四転て感じでくるくるオチや種明かしが畳み掛けられるところもよかったですわ。憑依じゃないにせよ普通のヒステリーくらい起きてもおかしくないからね。しかしなんちゅうかな、一部のメンバーにとっちゃほんとにドッキリだったとして、あの子たち心の底では全然超常現象なんて怖がってないね。霊だの呪いだのちゃんと信じて怖がるのがアイドルのたしなみ、ってレベルで精一杯やってましたね。無理して怖がり顔作ってるのが初々しい子たちで。
 ■パラノーマル・アクティビティ■ 楽しめたんでOK。はい、そりゃいろいろ言えばきりがないですよね。あんなんなってたら速攻で引っ越せよとか、家じゃなく人に憑いてるらしいから無駄だというなら霊能者なんぞじゃなく警察呼べよとか。実際もう物理的に引きずられたり具体的にやられてるんだから警察張り込ませるしかないでしょ。霊能者が呆気なく退散しちまったのが効果的だったのかどうなのか。退散の仕方で一悶着あってほしかったような。アッサリしすぎてたんで。ま、とにかく、いろいろ不自然な設定だったが寝室の監視映像があまりに引き込まれるのでみんな帳消し。あのアイディア文句なし。寝てるときにいろいろ起こるって、やっぱ怖すぎですから。ああいう怖いシチュエーションを発見してくれことがこの映画のすべてとも言えるな。ただ、なんだな、予告編でさかんにやってたあの、客席でみんながワーッとのけぞるやつ。あれってたったの一回だけだよね。ラストだけ。ま、過剰広告とは言わないけど、ショックシーンはもうちょい散りばめられててもよかったんじゃないかなと。でもまあ、全体があんなだからラストが生きたとも言えるな。ドッすーん、ッてあれ、マンガチックでよかったな。たしかにウワッと仰け反らされたが、笑いの方が先行しちゃったよ。「もう一つのエンディング」より本編の方がずっとインパクトあったよ、あらゆる意味で。
 ■パラノーマル・エンティティ■ 家族の不機嫌なやりとりは観てて不愉快。兄にふてくされた応対しかしないカワイゲのない妹が、ピンチの時には兄ベッタリ。いいかげんにせいよ。撮影は主治医(だったっけ?)の指示なんだから撮るな撮るなうるさいよ。自分の問題だろうがっつのよ。現象そのものはパクリ元の『パラノーマル・アクティビティ』よりも凝ってるけど、うん、モノの動き方とかね、音とか。おんなじレベルの超常現象が延々とくどいって感じかな。でも天井の足跡ってのは快挙だったね。あれはかなり怖いんじゃないか、ほんとにああいうのに出遭ったら。そいでこっちの霊能者は危険を察知できずに殺されちゃうのね。自信たっぷりっぽかったのにねえ。『アクティビティ』のヘタレ霊能者よりは健闘した、と讃えたいとこだけどなんせ見せ場なく気づいたら死んでた的な端役だったんでどーにもフォローしようがありませんな。惨殺シーンくらい見せてほしかったのだが。
 ■パラノーマル・フェノミナン■ なんとも異様な雰囲気。とくに第2話。パクリ元と噂される『フォース・カインド』よりか面白かったぞい。キーン音の効果お見事。ロケはどこだろう。中国の山水画みたいな風景。消えたお友達捜しがなぜか一直線まっしぐらだったのはまあこれもフェノミナンのうちか。そいでモザイクかかってた赤いべっとりしたものはあれいったい何? モザイクやめてよね。AVじゃないんで。モザイクっていえば第1話はどうもちょっとな。や、乳にモザイクトは何事とかそうゆんじゃなくて、絡みシーン(ていうか前戯シーンだな)があまりに定型ってことよ。自画撮りマニアならもっとフェチがかったというかさ。なんかそれ系のカップルだけが被害に遭うんでしたとさ、みたいな含みがほしかった。しかし鏡の手形って意外とこわいもんだね。湯槽の中の髪の毛だけは避けてほしかったけど。
 ■パラノーマル・サイキック■ どひゃ。こりゃあ例によって駄目ダメだ。この監督って超駄作しか作らない珍しい人だが、中ではこれが一番マシなのかもな、これでも。しかしのっけから無駄なシーンづくしだねえ。無内容な打ち合わせが延々と続く。ほんとこれ以上無内容にできないって会話が続いて、そのわりに女性レポーターはそのあとほとんど登場せず。霊感あるとやらの女性タレントも一瞬にして退場。監督自身もときおりゴキゲン伺いに顔出すだけ。夫婦(にはまだなってないらしいけど)の会話がまた無内容この上ない。時間稼ぎのためだけの捨てシーンが多すぎだよ。ときどき訪れる紹介者のオバチャンは結局何だったの? 伏線でも何でもなかったね。なんか思わせぶりにいろいろやっといて全部放りっぱなしかい。全然関係ない素材を3つ4つくっつけてみた感じだな。そもそも定点カメラの至近距離で一回くらいコトを起こさにゃ話にならんでしょう。二階で起こることもなんか箱が落ちるってだけのチマチマぶり。ガラス戸の向こうを影が横切るとこだけが見どころってか。侘び寂び的なストイックな味をもし狙ったなら狙ったで、やりようがあったでしょ。こうも低レベルの出来事ずくめじゃあ忍耐が続かんかったなあ……、ふわっと暖簾がそよぐあたりの描写は一瞬期待させたんだがねえ……。ラストがあれっぽっちじゃあどうも……『アクティビティ』のラストを知ってる身としちゃあさ。
 ■フォース・カインド■ 日本版だけに収録のミラのインタビュー、あれ反則だろ。作品内だけでフェイクを完結させるのが筋なのに。あれはルール破りですよ、作品外からああいうこと言われると、ほんとに信じる人がでてくるぞ。薬事法に相当する法律でフェイク映像も取り締まるべきでは、と言いたくなってしまう。円盤の映像は微妙なアングルで撮られていて良しと思ったが、むしろポイントは心理学者と患者のやりとりっていうか、そのへんもっとリアルに仕立ててほしかったな。狂乱の有様はなくてもよかったと思うが。サイコなのかオカルトなのか判別しがたくしたかったのはわかるけど。しかし再現映像と記録映像を交互に、って手法は新しいのでは。いや、普通っちゃ普通だが、再現の方でしっかりドラマを作ってメインの物語にするってのはやっぱ新しい。これなら有名な俳優使っても違和感ないしね。だから手法的に満点だが、肝腎の本体が迫力不足、ってとこかな、うん。じつはもっといろいろ評してやろうと思ったけどもうさっそくほとんど憶えてないんですよ。意外と薄味な映画だったんだな。まさかほんとに騙そうとして抑制した結果があれかな? やめてよ、観る方もわかってんだからちゃんとエンタテイメントにしといてよね。
 ■ノロイエ■ ぷは。いやぁブッたまげました。こういうのでしたかや。ほんとどーゆーんだってずっと思ってましてね、amazonはじめウェブでいろいろレビューを見せられてましたが、えーとみなさん、お怒りのようで。あるいは御脱力のようで。下手な演技、とか学芸会レベル、とかウソ臭い、とかリアリティゼロ、とか真面目にけなしてらっしゃいますが、あのですね、この演技、下手なんじゃなくてですね、そしてウソ臭いとかリアリティ云々とかじゃなくてですね……、当然……、しかしあれれ? これ系のファンの方々ってそういう見方してるのかと改めて……、いやぁ私はこういうのアリだと思いましたよ。笑えますよこれ。真顔であの演技を通したキャストの皆さんに拍手ですよ。って、そういう反応でいいのか? ほんとにただドヘタなだけという可能性もあるぞ。確信犯でも何でもなくてただ大根なだけだという。いや、そうじゃないと思いたい。だからほんもんですって『ノロイエ』は。この極限的ど~しょ~もなさは狙って作れるもんじゃないし、狙わなきゃなおさら作れるもんじゃない。うーんなんていったらいいかなあ。子どもが倒れるときにポタポタポタっと水が滴るところ、謎めいていてよかったじゃないですかとか、そんなのフォローにならんやな。しかし脚本がけっこう工夫されてたことは確か。その工夫が、わざとかなあ天然かなあ、ことごとくピント外れなところが大駄作いや大珍策になった原因だな。CMだけが手がかりのほとんど誰も見てないローカル放送って……、だいたい編集済みの商品に仕立てたって設定なんだからCMの早送りは要らんでしょうが。ほーんと馬鹿。それに早送りであれじゃあCM長杉。だいたいあの画面はVHSじゃあるまいし。ラストの煙の出方も、玄関ドアわきで煙幕焚いてるだけって位置関係が見え見えすぎ。それに髭のディレクターが自殺しにゆくっぽいラストなんだけどなぜにそこまで映像に入ってるですか? 生放送のスタジオに髭がいて喋ってて、その放送を録画した投稿なんだから髭の最期にゃ間に合わんはず。あの映像はどこから? 番組の続きっぽいのが時間関係無視したデタラメもいいとこですな。とまあ、すべて意図的なウケ狙いでない限りフォローのしようもないしょー~もない作品でした。って意図的でしょ? よくやった。よくやったと言わせてくれ。このジャンル(ホラードキュメンタリー)のパロディ的自己批評としては大傑作。といいつつ結局、いくら何でもこれはなぁ、俺もアマゾンに評価出すとしたら絶対星一つだなこれ。それ以外は無理でしょ。