goo blog サービス終了のお知らせ 

三浦俊彦@goo@anthropicworld

・・・・・・・・・
オトイアワセ:
ttmiurattアットマークgmail.com

ファンタジー系6

2005-12-11 02:32:49 | モンスター映画
 ■ナイトメアー・ビフォア・クリスマス■ のっけから引き込まれちまって。何が素晴らしいって、モンスターの種類の多さですね。種の数だけだと『モンスターズ・インク』にキモチ負けてるかもしれないけど、種の上の属や門のレベルで見ると、つぎはぎ人形嬢とか幽霊犬とかウジムシキング(としか呼びようがないんだが何だったの、最後の対決相手だったパクパク口の動きが面白すぎるあやつは)とか、広範囲のバラエティにおいてこっちが断然勝ってます。いやあいろんなの見てるだけで楽しかったってば! しかしハロウィン界がクリスマス界に浸透するオハナシとはな。必ずしも邪悪一辺倒じゃないところがいいよね、ジャックの悪気ゼロの独りよがりぶりがほのぼの系迷惑って感じで、対空砲火を歓迎の花火扱いする無邪気さと地上の混乱ぶりとの対比はなんちうか異文化接触ものちうかコンタクト系にもなりうる寓意含み。必ずしもコメディ仕立てではなくむしろ純愛ものといってもいいわけだけど、笑えること笑えること。ほら、クリスマス研究に没頭するあたりなんかさ。クリスマス界のほうももちっと様子知りたかったというか、あっちのクリーチャー、サンタ以外のにもお目にかかりたかったけど、まあハロウィン界だけであんだけいっぱい出てきてくれれば何も文句ありません。とりわけほら、パーツを自由に切断、リモートコントロールの色仕掛けまで駆使したつぎはぎ人形嬢の恐るべき性能に拍手です。濃霧なんぞも作り出しちゃったりしたしね。
 ■ラビリンス 魔王の迷宮■ いやぁこのもう、文句なしの大傑作を支えたのは、トビーとゴブリンたちの交流に尽きますな。いろんなクリーチャーが出てきて楽しすぎるわけだけど、少なくとも二つ出てきたマシーンもどきも笑えるけど、そりゃートビーの独演会にゃかないっこねーや。唯一、あの岩呼びモンスターの遠吠えだろうか、トビーに匹敵しえたのは。いや、まだまだいたな、さりげなくお目見えする小妖精やイモムシ、岩呼びモンスターいじめの杖先の小ぶりクリーチャー、放屁音爆裂音これでもか泡たっぷりの沼、あそーそー穴に落ちてくときの、顔になりたいお手々たちなんかモー最高。いちいち挙げてるときりがない愛すべきクリーチャーってばもう。そりゃまあ城壁内バトル場面とかマペット色が強すぎるのがちょっとね~だったけど、つまりあれだったらいっそ全員マペット&着ぐるみにしてくれてもよかったくらいだが(『ダーククリスタル』や『ミート・ザ・フィーブルズ』並みにね)、そ、メインの女の子(あんま可愛いと思わんかったけど)はともかくゴブリンキング(あんまかっこいいとは思……うかな、こっちは。メジャープロの貫禄で歌ってたしさすがです)のホモサピエンス丸出しはやっぱ戴けなかったなぁ、けど全編こうもデフォルメ系ファンタジーに調えてくださっちゃあ、希少品としてもはや何も文句ありまへん。テンポも素晴らしくて、舞踏会みたいな幻にハマッてすぐまたガチャーンと戻ってくるとこなんざ、時間忘れましたよ。時間区切られたってハナシなんだけどね。ラストのエッシャー無重力階段部屋はもっともっといつまでーも観ていたかったよおぉ~~。
 ■ドリームキーパー■ モロA級って感じ。CGだけでなく特撮全般が良質だったなあ。冒頭ぶあーっと地面が盛り上がる巨大コヨーテの頭出現部といい大蛇のトゲトゲ造形が絡まっちゃいそうな動きを見せるサービスぶりといいバッファローキングと急成長大樹との戦い(と言っていいよね、あれ)といい。人物の動きひとつひとつに凝った映像処理。ウームだからこそなんかすげーもったいないよ、つまり全体が聞かせ語りの中のイメージ映像って設定になってるのが。劇中劇だから一段階薄れちゃうんだよなリアリティが。せっかく絶妙の映像にクリーチャーだというのに。ただまぁネイティブアメリカン語り部道の後継を決意するというビルドゥングス・ロマンの枠組みも悪くなかったけどね(しかし彼ら思いっきりコーカソイドだったぞぃ)。人物が現実と語り世界とでオーバーラップしてるあたりはVR系にも食い込む勢い。なんかしらんけど家族愛も強調されちゃって妙に健康的な映画でした。
 ■モータル・コンバット■ もとのゲームは知らんけど、テンポがよくて楽しいですね、何も考えずずんずん進んでいけて。モンスター度高いルックス備えてるのは3種類くらいしかいないんだけど、やっぱ4本腕のデカブツはインパクトありました。間抜けな突き落とされかたでお陀仏だったけどね。しかしもとの姿は全部モンスターらしいんだから、無理してヒューマノイド忍者形になってくれないほうが。まあカンフーやるためには人間形が好都合なわけだけど、こっちはモンスター目当てなんで。だって格闘技はアルティメット・グレイシー革命以来、打撃オンリーは全然ダメってことがバレちゃってるんだもん、いつまでもブルースリーの栄光にしがみつかれても。ゲームは機動性重視ってのわかるけど映画ではもちっとリアルファイトに近づけてくれたらなあと。で、敵のボス、なんなの、えらく弱かったけど。何か事情があったのかな? 
 ■モータル・コンバット キング・アンド・クイーン■ あれれ、えーと、前作から一気に質が落ちたけど、どうしたのかな? ビスタからスタンダードに画面縮まっちゃったし、別のシリーズなのかも。ジャケットは同シリーズ含みだけどね。で、第一作(?)が結構本格異世界モノだったのに対してこれ、全然異世界じゃなくて御近所の路地裏でチョコマカやっては帰ってきて、の繰り返し。野原で巣を一つ一つ撃滅するってのも子どもの遊びみたい。ま、かくして前作の百分の一にスケールダウンしたうえ、コメントするほどのビジュアルの一瞬すらなく、オハナシ自体がなんとなーく終わっちゃったんで、私もこのへんで。
 ■リバーワールド■ うおっ、いきなりのスペースシャトル被災、異次元丸出しムード充満・海岸での全裸被災者ぞろぞろ、これほど期待させてくれた月光浴オープニング映像は他にない。素晴らしや。ところがその後がねぇ……、なにやら安っぽ系アドベンチャーに早変わりと。そりゃないよと。せっかくシュールなSFのつもりで身を乗り出してたのにジャンル変わっちゃいかんよ~。フネは綺麗だったけど甲板上のヘナチョコバトルがなんともまた学芸会。せっかくああいう始まり方した意味がますます薄れてゆく……。マいいっすけどね、画面明るくて、ビジュアル的には結構イケて、諦めて以降はそこそこ楽しめたというか。まさか『ドニー・ダーコ』式のオチじゃないよね、と心配してたんだけど、あれじゃなくてホッとしました。バトル場面さえちゃんとできてたら、案外そこそこの傑作になってたかもしれません。

オムニバス系4

2005-12-10 20:11:44 | モンスター映画
 ■ヤン・シュヴァンクマイエル『ドン・ファン』その他の短篇■ 「棺の家」、指人形とハムスター(かな?)の共演にゃ爆笑です。「コストニツェ」、これはもう、このセンスはもう。納骨堂のあの女声ナレーションは本物なのかな? 「検閲によって全編音楽に差し替えられた」ってジャケには書いてあるけど。骨、ほんとに綺麗ですね。死が美しい、ていうか理不尽な死ほど美しいってことをわからせてくれてしまうカメラワークよ。シュールの極致ってか。もちろん「アッシャー家の崩壊」の粘土大活躍の陰鬱ぶりや「ドン・ファン」のオトボケぶり(従者が素晴らしい!)も言うことナシだけど、とりあえず「コストニツェ」にやられました。ただ一番気になったのは、「ドン・ファン」の建前上操り人形、あれらって全部人間なのかなあ? だって糸繋がってないよね、どこにも。そのへんの手法的なこと調べてないけど、『ファウスト』(ナンセンス系4)ではどうだったんだっけな、見直してみなきゃ?
 ■ヤン・シュヴァンクマイエル『ジャバウォッキー』その他の短篇■ ほんと即興で作ったような軽めのが主だけど、ヤンってつくづく素晴らしいよ。「家での静かな一週間」、例により繰り返しモノ。覗いた先は量子の世界みたいな。で、あれ、最後は爆破? 印付けに戻るところが効いてたなあ、爆発までやってくれたらよかったのに。カメラ向け直さずに背後の衝撃だけでいいから。「庭園」、これ単純に大好き。多分ああなって終わるんだろうな、ッてまさにその終わり方で大笑いっすよ。生け垣人間たちがどうやら完全に機械化してないとこがいいね。「ジャバウォッキー」は独特のがらくたムードの中で迷路+猫の絡みがしつこいところがツボでした。ラストはしっかり出口へ突き抜けてくれたしね、その代わり猫が鳥カゴに……。いやぁしょーもない動画掲示板にしょっちゅう、猫をああいうカゴに閉じこめて焼き殺す動画をアップするやつがいるもんだからドキッとしちゃったよ。ブレアウィッチ仕立ての「オトラントの城」は意外や意外、結果的には真っ向モンスター映画、てか怪獣映画でしたか。ラストの一瞬だけだが嬉しかったよネ。
 ■闇と光のラビリンス■ 「見捨てられたクラブ」と「最後の盗み」の異様すぎる不気味さはなんかこう、閉鎖空間と闇の怖さには違いないけど、土着者と侵入者の争いってモチーフがまた似てるな。沈黙の暗闘ね。「最後の盗み」はやや一方的だったけど。泥棒がもっと凶暴だったらよかったな。吸血鬼どもに一泡吹かせろって応援しちゃったよ。そういえば「笛吹き男」も住民がヨソモノとあれこれやりあうハナシか。ここでは雄弁な戦いというか、しかし住民をことごとくネズミにしてしまうというのは、原民話における子ども限定対象よりむしろ毒が薄れたかな。理不尽度が減ったぶん合理的完成は満足だけど。ネズミたちの水際の熱演にはもちろん喝采です。それにしてもイジー・バルタ作品って、一枚丸ごとはこれだけかな。チェコアニメ傑作集に散らばってるの以外は普通のルートじゃ買えないのかねえ。
 ■黒猫の怨霊■ 『ポォ怪奇コレクション DVD-BOX VOL.Ⅱ』。どれを選ぶかなあ、3話のうち。やっぱ第2話かね……。ワインの利き酒競争で笑えたぶん。猫も熱演したしね。第3話「人妻を眠らす妖術」って、タイトルと中身違うじゃないの。あと第1話、よくわかんなかったんだけど、復讐されるほどの過去がありながらどうしてミイラを大切に保存? 「モレラ」読み直してみなきゃかな。
 ■日常恐怖劇場 オモヒノタマ 念珠■ タマというだけあって正直そのまま玉石混淆というかなんというか。いちおう順位つけてみっか。出来のいい順にね。①第2話 貮ノ珠「自販機の女」ニュルニュルがよくて。ドリンクってアイテムも俺的にポイントアップ。高飛車女のスタンスも微妙に可愛い。②第3話 参ノ珠「オレオレ」あのピストル構えた相棒の容貌が一番モンスターじゃねーの。ボケばあさんと主人公のポジションがふわっと入れ替わる構成がメルヘンチックでよいなあ。③第6話 六ノ珠「エドちゃん」こりゃあひとえにエドちゃんたち大挙して遊星Xやってくれた功績ね。④第7話 七ノ珠「ECHOES」まあラストの上半身霧散シーンで稼いだね。前半じっさまのテレポート的偏在も「アレ?」と思わせたけど。⑤第5話 伍ノ珠「茸狩り」 キノコ人間を見せてくれないと……。オチはまあまあかな。⑥第9話 苦ノ珠「マンション」微妙に不条理DVっぽい前半はね、まあそれとして……ラスト総集編やるならやるでもっとわかりやすく全話から各代表わかりやすく舞台挨拶させろヤ。⑦第8話 八ノ珠「猫の手」 アニメと現実のパラレリズム、陳腐なぶんテンポで稼いでほしかったよ。⑧第4話 死ノ珠「リアル」もっとちゃんとお話作ろうよ。嶋田久作は何無意味に自殺してんのさ。⑨第1話 壱ノ珠「念ヒ」どーしよーもない支離滅裂を真顔でやってくれちゃったね。薄暗系全部統一してみたってホラーになんかなんないよと。でラスト、隣の旦那が襲われたらしい理由って何? まー、最初のこれのレベルが全編続くのかよと観賞停止を検討したんだけど結果的にゃあとのはみんなこれよりかなりマシだったんでホッとしたよ。

VR系(ハイテク異空間系改め)3

2005-12-01 18:38:29 | モンスター映画
 ■トータル・リコール■ ウワサだけは頻出したエイリアンそのものの登場はナシだったが(そりゃこの展開で出てこられちゃ白けるわな)ミュータント&フリークスが素敵なのわんさかで、いやあ、こんないろいろ居てくれるとは予想してなかったんで、ほんと大儲けした気分。カウンターに飛び乗ってマシンガンぶっぱなすミゼットがよかったよね。意外な転身を見せてくれたタクシー運ちゃんのカニ模様のお手々なんかもっと見たかったのにな。しかしシュワいくらなんでも強すぎでしょ。どこまで夢なのかわかんないってのがベースだから、どんな強くても超人的でもリアリティ以前の問題で許される仕組みではあるんだけどね。というか、そもそもシュワが持ってる情報とやらゆえに生け捕りにしなきゃならないって制約が敵にはあるわけなのでどんなに撃たれても決して一発も当たりゃしないのは当然だし、まあそのあたりの緊迫感の確保とか辻褄合わせはなかなか苦労したとは思いますけど。火星が大気で覆われるってぇラストはちいとばかし戴けないが、二人が真空中で窒息ゾンビに変形しきってしまう寸前元どおり、てな荒唐無稽もこう真面目にやられると許せちゃうよな。全般SFXも隙がなくて大掛かりで、映画の娯楽性を屈託なく全開させてくれたA級傑作でした。
 ■フォーガットン■ もったいぶったわりにはろくでもない映画だったなこりゃ。サイコホラーとの二股でいけるとこまでいかせりゃよかったのによう。前半早々でヒロインの記憶が正しいらしいってわかっちゃうからスリル9割減じゃんよ。それになんですか、人間の記憶消したり過去の新聞記事を差し替えたり刑事を現実離れした吹っ飛ばし方で退場させたりまでできちゃう万能宇宙人(?)が、草むらに潜む二人を見っけらんなかったり(まあ単なる手先だったからって?)、壁紙を上から貼って子どもの落書きを隠すなんて幼稚な手を使ったり、ホントもう話が破綻しまくってるでしょう。一瞬変身しかけた「彼ら」の一員もろくにモンスター化してくれゃしねえし。銃弾にびくともしない不死身ぶりだけ見せつけてくれてもちっとも嬉しくねえのよこちとらぁ。それにたまたまヒロインの主治医が「秘密を知る少数の者」かい。いい加減にせい。だいたい「実験」だなんて言ってながら、無理やり記憶消すなんてことしたら科学的な実験結果が出ねえでしょうが。ったく、記憶喪失モノの裏返しの珍しいトラウマ系ホラーかと思いきや、どうしようもないその場しのぎの積み重ねでしたな。せめてちゃんと積み重ね終えろよ。別エンディングバージョンも入ってたんで観ようと思ったけど、なんとラストだけじゃなくて始めっから観直さなきゃならんらしい。冗談じゃねっつの。3タイプエンディングが用意されてた『バタフライ・エフェクト』(トラウマ系16参照)みたく手軽にラストだけ見せてくれんならともかく、始めったらまた観ろだと~~、……もうちょっと張り合いのある映画ならともかく、これにかぎってもう一度は勘弁してくれ。

トラウマ系16

2005-11-24 23:35:28 | モンスター映画
 ■REM(レム)■ そりゃありがちなノンストーリーモノだけど、つまりこれ式モチーフでやりゃあドラマ作りの才能なくてもいっくらでも創れるじゃん系の典型・ある意味安易な映画には違いないけど、うん、普通に真っ当に良く出来てるんでとりあえず五重丸。幻覚と現実が適当に交錯した軽みで勝負していながら、主人公がだんだん現実を思い出していくプロセスがかぶさるので微妙に重厚ッて感じなんです。指が血の痕を引きながら歩いてったり、モンスターとしか言いようのない胎児が腕を掴んで離さなかったり、あのへんのホラー味ビジュアルは数ある類似作に比べて断然濃密でしょ。ただ、邦題から〈眠り〉そのものがテーマになってるものと予期してたんで、そこハズされたのは良かったんだか悪かったんだか。玄関のピンポーン、電話の呼び出し音、隣家の声、水漏れの音、そういった音響小道具がこれでもかと反復されてテンションが高まっていく。うまいよ。ちらちら訪問してきた女子学生と精神科医が各々もうちょっと絡んでくれるかと期待したけど、まああのくらいあっさりが結果的には良かったのかも。つまり間男が最終的な絡み方してくれたぶんね。もうちょい睡眠と覚醒の境目をいろいろ越境する瞬間を見せてほしかった気がするけど、不眠症の大学教授がついに壊れちゃった経緯を、見せることなく伝える手法はヨシ。あるときは点々と、あるときはタラーリと、あるときはじわわーと、血が見え隠れする画面からは目を離せない。奥さんの中途半端な罵声がちょい余計だったけど、全般、大いに楽しめました。
 ■日本のいちばん長い日■ うーん……。やっぱ帝国陸軍はこれからが本番と思ってたのかなあ。やる気満々だね。主力決戦を何度もやって完敗を認めている海軍大臣と、まだ本格的な陸戦をやってない、今までのは局地戦にすぎんと息巻く陸軍大臣の対立が面白い。そりゃ太平洋戦争、中途半端っちゃあ中途半端で終わったのは事実かもしんないけど。(特攻機がまだ一万機用意されてたってホント?)そうさね、満州以外の中国大陸にいた将兵らは「え?」って感じだったんだろうけど。ま、どうでもいいけど、玉音盤録音と同時に出撃してった最後の特攻隊がアメリカ艦隊にせめてもの損害をどれほど与えることができたのかが気になる。幼児を多数起用したあの出撃シーンこそ名場面だし。調べてみよっと。
 ■キャッチ22■ うむ、使える使える。定評どおりパラドクスの1項目に登録せん。にんまり。全裸で勲章いただくってのは佯狂ですか。ま、あんなんで許してくれるほど軍は甘くないってか。んでラスト、何気なく逃げちゃうのね。ギャグの暴露とともに。「撃墜される練習」はよかったね。盛り上がりもしないなんとなくムードがつくづく情緒的というか。
 ■バタフライ・エフェクト■ テクノ不要のタイムトラベルねえ。都合よすぎるけどまいーか、こういうのだったらいくらでも続けられるなあ、と見てたら(日記のない歴史に入っちゃったらオシマイだよなあ、と心配してたら敵もさるものやっぱそれ組み込んだのね)、ラスト近く、将来の恋人と早々に縁を切っとくところ、あそこでこのモチーフがやっと生きましたな。ただ、このテのお話についてはやや哲学的な批評を加えとかなきゃいけません。というのは、ものすごい自己中ストーリーだってことです。つまり、自分についてこういう巻き戻し制限なしのパラレルワールドが実在するってことは、他の人間についてもそれぞれのパラレルワールドが進行してるってことであってね。現におやじさんも散々悪戦苦闘行きつ戻りつしたあげくのあの顛末だったってことだし。つまり主人公はですね、自分のことだけ考えてりゃいいってことなので。恋人を救うためとか考えるのはおこがましいってこって。彼女にはまた彼女のパラレルワールドがあるわけで。自分を中心としたパラレルワールドだけに囚われてると、なんか却って尊大なことになっちゃうわけです。(幸せな彼女といっしょに居たいだけ、という反論は不可。だって結局縁切りに行くんだもんョ)。なお人間原理的に考えると、この種のタイムトラベルというか貫歴史横断ができる場合、確率的にいって、自分がそのトラベラーであることはほぼ確実です。ということは、私自身が現にトラベラーではないってことは、現実にはこうしたパラレルワールドはないという証拠になります(マジレスでした)。でもま、いろいろ疵の多い映画ながら、過去を変えるたびに友人たちに性格ががらっと変わってるのは一々面白かったですわ。
 ■CURE キュア■ フム、やっぱああいうふうに拡散させざるをえませんでしたか……。仕方ないけどね。全体、ひじょーに個性的なサイコホラーになってただけにチト残念。あんなに無理することなかったのに。謎なんか必要ないんだから、ここまで雰囲気出しおおせてれば。刑事のトラウマはわかるけど、各々の犯人の個人的トラブルがわかるようになってないのが惜しいよ。究極の癒しは殺人だとかいう仄めかしになってるみたいなのでね。奥さんの壊れぶりをもっと詳細に見せてほしかったような。あの空っぽの洗濯機(だっけか)、やっぱこえかったですし。
 ■不機嫌なジーン■ 前半、何度中断しようと思ったことか。我慢して――というか毎回出てくる虫たちと進化論バナシに引きずられてなんとかズルズル――見続けた甲斐あって、後半それなりに挽回してくれました。南原教授が再び帰国したあたりからやや面白くなったというか(子ども教室の壇上で痴話喧嘩始めるとこは「またかよ……」とうんざりしましたがね)。なぜに前半ワタシが苛ついたかというと、なんかこう、コメディ作ろうって意気込んでるスタッフの熱は伝わってくるんだけど、うっとーしーのよ、キャストのどいつもこいつもコミカルこれみよがしで。べつに竹内結子って印象悪くないけど、頑張り過ぎよ、演技過剰。不自然。恋愛のことしか頭にない暑ッ苦しい女というか、ケンイチとやらいうぼんやり系小学校教師との恋愛なんぞどーしょーもなく運命性ゼロ厚みゼロだし、それ以前になんか好感持てないのねジンコに、同じテレビドラマでも『トリック』『ケイゾク』『やまとなでしこ』等に比べてなぜにヒロイン面がいまいちだったかゆーと、思うにどうも簡単なことなのでした。このドラマだけヒロインが処○でない。これに尽きます。ジラシ系ラブストーリーやるんだったら処○でなきゃオハナシにならんでしょ? つまり、遺伝子をばらまく♂の本能と並んで、慎重に相手を選ぶ♀の本能にまで言及しないと遺伝子テーマは完結しないっしょ。だから♀キャラは処○でないと片手オチなんですわ。そもそもしょせん元同棲カップルの縒り戻しバナシがメインだなんて、視聴者としちゃ関心薄いんですよ、スリル乏しくて。どうせすでに相性確かめ済みの仲なんてね。新鮮さゼロ。あーもーそれに、有明海の干拓がらみでは結局は「環境守れ」が正義です、南原にしても実は干拓するな派だったんですみたいなお定まりパターンがウンザリ。大体ブラックバスが生態系乱すに決まってるって頭ごなしに決めつけてる仁子って学者としてどうよ? 調査始めるだけ始めりゃいいでしょうが?(そもそも生態系乱しちゃいけないなんつってたら、おめーら生物進化の事実否定するんですかと)。ま、いろいろ苦情は言いたいが、とりあえず二人が結ばれなかったんでホッとしました。御都合よすぎた『やまとなでしこ』あたりに比べて、ラストに限って言ゃぁこっちが断然上ね。普通に結ばれてたら目も当てらんないドラマになるとこだったよ、ああよかった。
 ■降霊■ えーとこれ、正直言いまして、オチんとこ意味わかんなかったんです。なんであれで「バレた」の?って。で、観終わってしばらくしてよく考えたら(考えるほどの価値ある映画じゃなかったけどさ、いや映画じゃなくてもともとテレビドラマってか)どうやらこういうことらしいな。女の子の遺体はすでに警察が発見して安置所に運ばれている。にもかかわらずあなた、「今あなたはどこにいますか」という問いに「土の中……寒い……」と答えましたね。はずレー、安置所にいるはずです。答え間違ってるのに、どうして土の中ってわかったんですか、あなたが埋めたからでしょう!」とまあ、そういう理屈らしいな。しかしだね、よく考えてもみてよ、なぜそれで「ボロを出した」ことになんの。霊媒の呼び出した霊が真に現在霊って確証がどこにあるの。霊媒なんて非現実的な現象なんだからさ、タイムラグくらいあるのかもしんないでしょう。それに女の子の霊は今現在、まだ自分が土の中にいると「思い込んでる」のかもしんないでしょう、実際は安置所にいながら。残留思念って説明もありだしね。だからこれねー、あまりに霊媒の言葉を厳格に受け取りすぎて「ホントの現在に対応してなきゃいけない」「霊の主観ではなく客観的事実を言い当ててなきゃいけない」ってルールを勝手に適用して、そこを外したんだからあんたインチキ、インチキのくせに「土の中」って当てやがッた、ゆえにあんた犯人、ときた。あのですね~。こういう、ちょっとでも間違ったらシッポ掴んだぞ、式解決ってよくありがちだけど、御都合主義の裏バージョンというかいい加減やめといてよ。霊媒もそのへんすぐ反論しろよ、全く。ホラーっつーより世の中にゃなんとまあこんなアタマ悪い人もいるんですよー方面の恐怖劇だったのかも。確かに怖いわナこんなのと関わったら。とにかくまあ、前半はなかなか見物だったのにねえ。録音素材に紛れ込んでたらしいどうでもいい声なんぞにやたら怯える技師であるとか、てんでなってない脇役がいい味出してて。しかしなんというのか、つくづくあまりに愚かすぎて。女も男も、そいから学生も(何が悲しくてこんな霊媒信じる気になったのよ)。えーとところで役所さん、空のまんま持ってって富士山麓で一度もあけもせずただロックだけして重量の変化にも気づかず持ち帰って車の外に出してはただ何日か放置したジェラルミンケースね、あれそもそも何のために持ち運びしたわけ? 女の子に潜り込ませるため、ドラマを成立させるためだけ、ってのはいくらなんでもナシですよ。
 ■幻の湖■ なるほろなるほろ。悪評まみれで知られるこの映画、ついに観てみました。で、まあ、確かに。ヒドいっちゃヒドイ出来です。しかもオバカ確信犯としてやってるんじゃなくて大作気取りでやってるところがムゴイ。でも、正直いいますと、終盤の入口あたりまでは結構楽しく観ちゃいました。ともあれ、「走る」がいけなかった。作曲家を追いつめてくところ、間延びしすぎよ。短距離走ならまだしも長距離なのでねえ。しかもそう大した悪人とも見えない相手だし。とにかく感情移入絶対不可能のトルコ嬢がメインに躍り出っぱなしされても観てる方としては反応のしようがなし。まあ定評どおり謎の東宝50周年記念大作でしたと。

サバイバル系4

2005-11-09 14:48:06 | モンスター映画
 ■宇宙戦争■ 2005年版。さ、さすがです。ダツボーっす。期待を裏切らない特大スペクタクル。最初の雷雲からして滅法怖ぇし、舗道をむくむく割ってジャジャーンとばかりトライポッド登場のシーンは細かいの凄まじいの何の仰天としか言いようがない。車は至近距離に降ってくるわ殺人ビーム掃射ったらモロ容赦ないわ。そのあとも一貫して宇宙人マシンの暴れっぷりは非の打ち所ないのだけど、アメリカ軍との直接戦闘をもっと見えるように描いてほしかったのと(砲弾が全部バリアで防がれてるのだけはわかりましたが)、人間サイドに視点置きすぎてるのがちょっと。トムやん恒例のテンション高すぎがいい加減にしてくれものだしさ、もっとリアルにひたむきに逃げまくってくださいよ、親子喧嘩してる場合じゃないでしょう。そもそもレイチェルちゃんったら表情が大人びててカワイゲがないのが。おませが売りの子役らしいけど、やっぱあの状況じゃ普通にガキっぽいの起用した方がよかったはず。で、なぜか民家の地下を念入りに(3回にわたって)調べに来る宇宙人のヒマぶりとか、たかが手榴弾の内部爆発で巨体が一体倒れちまったりとか、主人公サイドの都合に合わせたツッコミどころ頻発ってとこだが、ま、いいでしょ、あんだけの映像見せてもらったことだし。も一つ言うと赤い根っこもしゃもしゃはもっと成長を見守りたかった。あわよくば怪奇植物襲来のトッピングを期待したんだけど、そこまでのサービスは高望みだったか。でもそこまで自然に望ませるレベルに達しまくりだったと思うのでね、この映画は。それと高層ビルに寄りかかって干からびてるトライポッドがあと4、5体も映ってりゃムード十分だったんじゃないかな、ラストにバズーカ攻撃なんぞ駄目押しせんでもさ。それで聞くところによるとなんだって、一部で〈オチ〉が不評だって? だってこれ、あの「宇宙戦争」でしょう。53年にも映画化されてるあの歴史的ストーリー、既成事実ですよ。「ロミオとジュリエット」のオチに文句つけるがごとき無知な輩に耳傾けるのはやめにしましょうや。てことで傑作ってことに全く異論ないとして、あと一言。兄ちゃん生き残りなさんなってば! 大侵略の惨劇レベル大幅減殺モノ!

 ■なお、過日〈コンタクト系1〉に分類してしまった『インデペンデンス・デイ』、『宇宙戦争』1953年版、の2作は、本来コンタクト系に置かれるべきだったでしょう。『宇宙戦争』53年版はそれほど深刻に追いつめられはしなかったッぽいんだが、ここで配置しなおし宣言をしておきましょう。