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三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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オカルト系9

2006-01-02 05:09:22 | モンスター映画
 ■黒の怨■ オカルト系つーより伝説系? トゥースフェアリーって有名な話なのかね。マ、分類不能ってことでとりあえずここに。で内容は、んー、惜しいな。婆さん妖怪はかなりリキ入れて作り込んであるものの、いかんせんお約束が多すぎる。ショッカーと間一髪をよくもこんだけ詰め込んだものよ。やってて自分で呆れなかったんだろか、監督さんは。そもそも「いくら言っても信じてもらえない」結果「被害が広がった」ありきたりパターン、だいたい光に弱いってルールなので影踏みみたいなセコイゲームになっちゃって、闇から降りてくる妖怪をそのつど懐中電灯で追っ払うって繰り返しがなんとも貧乏臭えよ。そもそも停電中に警官たち、主人公が檻ん中から「ライト持ってけ」と必死で忠告してるのに「黙れ」とわざわざピストル一丁で闇に歩み入って妖怪のえじき、そりゃないでしょ。いくら信じてもらえないパターン貫きたいからって。まわりみんな殺されてんのにメイン3人とも雁首揃えて生き残りやがるし、殺されたやつらはやつらで誰一人惨殺の名に値する殺され方はナシときた。ホラー気取っていながら無毒無益の安心印ですね。重ね重ね定型ホラーの文法を守りすぎたがゆえのジミ調系。悲運の婆さんの因縁話も、無差別殺人妖怪に成り果てたとあっちゃ同情的感情移入も誘わず。逃亡対決シーンはホラー色捨ててすっかりモンスターパニック化してたかな。つか、後半のアクションだけはA級に迫るスピードを演出しながら、全体腰の引けた類型表現乱発ですべて台無し同然にしちゃうとはね……、傑作主張しうるビジュアルテクなまじひけらかしてくれてただけに、モー中途半端すぎには苛々しました。そーとーアタマ悪いかまたは自信ない人なんだろうな、この監督っ。
 ■いけにえ■ VR系かなと思ってたんだけど、どうも「悪魔」らしいんで(がっかり)、まあオカルト系が妥当ってことで。それにしても当世、悪魔もネット上のゲームを利用しなきゃなんないってわけですね、まあいいけど。で、何かの拍子に主人公の脳裡にブワッと未来の一瞬が駆けめぐるという、その映像表現はときどきドキッとさせられるんで「イケルかも」と身を乗り出したものだけど、結局アクマさんはほとんど全身見せてくんなくて(それなりに良さげなモンスターっぷりとお見受けしたのに……)、なんだか話がわかんなくなっちゃって、これだとよほどすげえビジュアルで締めてくんないと割り合わねえな、とアクビをこらえてたらただスーッと終わっちゃった。あれま……。期待外れもいいとこ。結局どうやら、主人公が実はあっちサイドのメンバーでしたとさ、本人も気づいてめでたしめでたし、みたいな真相と血だらけで逮捕されてくみたいな現世的破局とのアンバランスで締めくくってたような気配だけど、よくわかんねえや。とにかくツマラネーって印象が残ったことだけはたしか。ただでさえ悪魔ものは唾棄気味の私なので、せめてモンスター姿をちゃんと見せてくれてればのう。
 ■超少女REIKO■ んーとなんというか、新人アイドルデビューさせるためのプロモ風なんだけど、どこまで真面目にやってるんだか。というのは、文化祭の演劇の練習で、男子生徒が大根ぶりを非難されるわけよ。結局そいつが意外とキーパーソンだったって流れになんだけど、この映画演じてる高校生役全員がほんとに大根なんで(むかし小学校の「道徳」の授業の時見せられたテレビドラマ風。セリフ棒読みはやめようよぅ、とくに真面目に棒読みはさ~)、あの演劇場面は自己批評なのか、だとしたら高度な自己パロディテクニックだ……んな訳なし! そもそも観月ありさとやら、ちっとも可愛くないし(だいたい少女アクションにせよアイドルホラーにせよこのテのってヒロインの笑顔が限りなくゼロって傾向強いので、魅力アピールにはおおむねマイナスではないかと)、ESP研究会の面々もいっつもみんな団子になって移動してるばっかで個性主張なし。オープニング職員室で一人一人わざわざ特別紹介したイミなーし。バイクのオネーチャンあたりは面白い活躍してくれんのかなって思ったのに。死霊が生霊にバトンタッチしたところで大した効果もないばかりか「ありぇ? この嬢ちゃん途中から出てきて何なの?」程度のタマだったしね、イタコ嬢ちゃんったら。そこも笑顔制約ストーリーが祟ったよな。ま、サイキックアクションは壁ぶち抜いたとこだけ見応えあったし、死霊がケリつけてくれたとこはまあまあポイントアップかな。って、ラストのラストで生霊の死霊が出てきちゃダメじゃないか。しつこいよ、ほんと。てわけで、演技ボロボロ、力ずくで後半踏ん張りきったが前半のマイナスポイントを挽回するに至らず、系でした。降霊会から海上の浮遊場面、7人の足の位置が揃いっぱなしという合成ミエミエ映像がなんとかなってれば――7人の高度が独立に動いてれば――1ポイント上がったんだがなあ。

サバイバル系5

2005-12-31 04:05:44 | モンスター映画
 ■キューブ■ これは封切り時一度観たきりで、しっかり細部まですべて覚えてる印象があるんで、DVD購入しときながらまだ観直しておらん。見直したくなる傑作というより、見直す必要のない傑作ってタイプなんだな、これは。うむ、『2』があからさまにVR系に堕してしまったので、このオリジナルの奥ゆかしさがよけい際立つ結果になってますな。これはなんというかな、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』と並んでアイディア一発勝負賞モノじゃないかな。素直に楽しめた。警官を危機に陥れたイディオ・サバン君がリアルで。『2』は痴呆の女性数学者繰り出してきてたけど全然及ばなかったよね、ここのイディオ・サバン君には。もひとつ『2』と比べると、しょっぱなのトラップ場面も共通だがこっちは何といっても顔がスパスパスチャッ、だもの。迫力断然上。血糊の使いかたもこっちは効率がいい。ラストの絶叫エコー伴うあそことかね。人物らの疑心暗鬼の表現なんぞしっかり表情でやってて、おっかなくて、申し分なかった。対立にも必然性が伴ってたしね。キューブの外側も二度見れたしな。ヒロイン格のあの女がまさかあっさり殺されるとは思わなかったしな。ほとほとポイント押さえまくってますよ。これ間違いなく傑作。閉鎖空間の極致を味わわせてもらえた。どうもありがとう。
 ■デリカテッセン■ 異様なムードったら買いですよ、これは確かに。観ようによっては(いやどう観てもか)『地獄のモーテル』『悪魔のいけにえ』路線のまァたっぷりレザーフェイス系寄りなのだけれど、なにせ外部の状況が状況なのでサバイバル系ですね。地底人と地上人との中途半端な対立が笑えるが、地底人っててっきりモンスター風情なのかと期待してたんで正直ガッカリ。ま、でも、カタツムリやカエルが端々で頑張ってくれてたのでネチネチ度は十分でしたか。起死回生の水攻めをドバーッと仕掛ける二人の追いつめられっぷりには拍手だなありゃ。階段シーンのやたら多い陰鬱アクションって感じの独自ジャンル開拓精神がストライクでした。
 ■アイランド■ またかよ。……って苦情言い始める前に、まずは褒めとかなきゃそりゃ。カーアクション、凄いし。車の壊れかたったらタダゴトじゃないやね。立体的なスピード感がこりゃもう新記録モノだね。それにもう、眼にあんなもん入れんでください。気持ち悪さが気持ちよすぎ。何気ない蛾の捕獲もシグナルとして効いてましたわ。ってこんだけ義務的に褒めといてサテさっそくですが、さよう、そんだけビジュアルが優れてるにもかかわらずこの退屈さは何。プロモーションビデオ風のめまぐるしさが軽薄なのは措いといて、ありきたりすぎるプロットが問題だよな。だからクローンは基本的につまんないんだってば。安易なんだって。実は主人公がクローンでした、ってとこでもう、オリジナルと入れ替わるとか、いろいろお定まりの展開が読めるわけで、実際そうなるばかりかクローン工場を解放する潜入作戦、ときた。勘弁してください。だいたい手首の印確かめもせずに入れ替わりをすんなり成功させるだなんて甘過ぎでしょ、70階から落ちても擦り傷ですんでる大御都合主義の後だけに怒るよ、もう。ラブシーンにもくだらん理屈つけやがるし。一対一バトルでは例によりとどめを刺さずに敵がわざわざ銃を捨てて悠長に首締めにきたところを銃を拾って逆襲ですかい。子ども向けマンガじゃないんだからさ。えーそれで広々としたラストはあれ、ハッピーエンドのつもりなのかそれとも「これからクローンがこんなうじゃうじゃ街に進軍だぞー大変だぞー」ってカタストロフィのつもりなのか今いちわからんところは本来、高評価のタネになるとこだがどーも無自覚にハッピーエンドのつもりらしい。ッてのが何か見えてる全体俗っぽさ。むしろあの、「外は汚染されてる」「くじは不公平だ」的不確実性ドラマで盛り上げてくれといたほうがよっぽどましというか。そ、あの素晴らしすぎアクションはそのままで本体ヒネることいくらでもできたでしょ。終盤の解放劇はナシにしとけっつの。スペクタクルは贅沢でもこんな映画じゃ何十本観ても無駄系、の典型やってくれちゃいましたね……。
 ■少年と犬■ このオチはですねえ……、ホンットしょーもないこのオチは、結局のところ犬好きに媚びたですか? ジャケット見てこれは傑作に違いあるまいと勇躍したオノレの直観力に自信喪失したわい。つうか、ラスト直前シーンで肝心の犬もたいして悲惨なことになってるように見えんかったし、犬をとるか女をとるかって設定にしたかったらしいがさっさと両方とりゃいいじゃんってユルサだし、だいたい犬とテレパシー会話できることを別にすればただのレイプ魔にすぎないアホなあんちゃんと淫乱娘の行きずりから大したドラマが展開するはずもないので、あ~ドラマにならんでよかった、的なあのオチって一体??? まあ、オープニングいきなり閃く連続核爆発がこの映画の最大の見どころ間違いなし、って程度のトホホ映画でした。ちなみに、ストーリー的には犬を助けたつもりかもしんないが、演技とはいえ犬が相棒の人間に怒鳴られッぱなしでじっと耐えてるのは見ちゃいられませんでした。立派な虐待ですぞあれは。ったく「カルト」って称される映画にゃろくなもんありやがらねえな。

ナンセンス系6

2005-12-28 03:47:51 | モンスター映画
 ■ひなぎく■ 笑える! 笑えます! 観ててニコニコしちゃいましたあ! のっけから歯車がまわり女子一号二号の関節が軋んで操り人形パフォーマンス。って共産党政権下のチェコだなあ、なんて感心してるヒマもない。画面はどんどん進む。背景だけ急に変わるし。唐突に色変わるし。コラージュに光学処理に、うーん気ッ持ちいい。意外性&脱臼感に満ちた快感。援助交際の元祖みたいなこの二人、ヤラせる前に食い逃げしてバイバイ、って、現代援交娘たちよりずっと進化してるじゃないかい。パンク魂異次元モードで炸裂。これが「プラハの春」より前なんだよなあ、参っちまうよ。男を受話器の中で喋らせたまんまだらだらソーセージちょん切ってたり、どこにでも蔓延してる気分がこうも集約されちゃあ降参。ファッションショーからシャンデリアに腰掛けゆーらゆら、ガッチャーンの衝撃的結末に再度機銃掃射映像で締めくくりとは、そもそもあの二人、堕落した資本主義の空虚な自由と欲望と破壊性を象徴してるっぽいでしょ。そう見りゃソ連邦御用達映画にすらなりえたような。これ作った女性監督、プラハの春の直後創作活動禁じられちゃうんだけどね、ま、透明人間になっちゃった二人、暗に逆説的に資本主義への憧れを呼び覚ます時限爆弾かもしんないからね、いかにも。パクパク食べてる場面がやたら記憶に染みこんで、あー面白かった系代表作品でした。なお巷では、片っぽは可愛いがもう片方は……って評価が一般的のようですが、私ゃティアラしてるブス役の子が受話器に「死ね死ね死ね」と連呼した時点であっちの虜です。
 ■SURVIVE STYLE 5+■ これはよい! スタイリッシュを気取ってあざとさが目立ちすぎてるけど笑わされちったものは仕方がない、良いと認めましょう! 生徒の絵を批評して一人ワールドに入ってるやおい色の先生一人だけでこの映画は大傑作になりおおせましたってば。空き巣トリオはリアリティ不足だけど、他の4組はリアルなシュールさで真っ向勝負できてました。キョン2にしろハト父さんにしろ中途半端な運命に甘んじたまま終わるとこがいいねぇ。ゾンビ妻、あのロケットパンチをミスター殺し屋相手に使ってくれなかったのが唯一の不満ってくらいで。5組の接触度がもっとゆるいほうが良かったんだが。あれだとちょっと深く関係しすぎてるよね。阿部寛は退場早かったけど怪演全開。こういう作り方ならパート2パート3いくらでも作れるよねって安易さが最後まで気にはなるけど、面白けりゃいいんだよ、キョン2のCMプランナーじゃないけど。あ、彼女の場合は「面白くなきゃダメ」だったっけ。うん、小学校低学年の坊やがもったいぶった独白言うあたりも細部こだわりまくりました系で嬉しいし、ま、ハト父さんがほんとに飛んじゃったのはなんかな~ってシラけんでもないが、あとファミレス女子高生コンビがちょい作りすぎかなって、しかしとにかくテンポ良く気持ちよく走り抜けてくれました。
 ■散歩する惑星■ だまし絵手法ふんだんに使ったローテク映画ってことで大いに期待したんだがなあ。だまし絵があまりに巧妙なのか、それともだまし絵のシーンがあまりに少なかったのか、まあ巧妙だったのだと思うことにするが、全然気づかなかったんでむしろ残念でしたよ。なんかこう、見え透いた書き割りかなんかで確信犯的に勝負してくれるのかと、笑う準備調えて観てったのにさっぱり来ないんで。オハナシは……、うーん、いまいちわかんなくて、動きがあんまりなくて、そこが非ハリウッド的でさすがスウェーデン映画って感じでまあまあだったけど、なんか……。渋滞場面もシュールさが足りなかったというか……。ラスト近くの、ゴミ捨て場に人々がゆっくり近づいてくる妙なシーンはなにげに凄いとは思ったな。ウン、あそこかなり凄いシーンかも。あとなんだか知らんけど女の子が飛び込み台みたいなとこから落っことされちゃう、あのあまりにものさりげなさ。ウン。変っちゃあとてつもなく変な映画だったよな。って超高レベルのショットが散在してるわりには全体なんつうか引力がいまいち。統一感がなかったからかねえ。
 ■ロスト・チルドレン■ で、なんなの?てなもん。これナンセンス系でいいのだよな。ってきちんとストーリーありげだけど、一つ目教団だのノミだのクローンだの夢だのシャム双生児だのって、いっぱい出てきすぎて絡みがいまいちわかんないままズルズル進んでかれるんで、すっかりナンセンスモードで観てたら、ずらずら異形筋を並べりゃいいってもんじゃないよ的なとりとめなさ、ゆるさ。映像のインパクト不足が不満の元凶か。ノミの拡大CGは別としてなーんかいまいち色も形もハッチャケてくれないんで、フラストレーション溜まり気味。出だしは超期待させてくれたんやけどねぇ、ほら、サンタがついに子ども泣かしちゃって(ありゃあ泣くわな……)。ケドその後ぁ話進むにつれてだんだんボルテージ下がって……、どーもね、アート気取るのはいいけどもうちょいハナシまとめてくれるか逆に弾けてくれるか、どっちかでないと。一つ目教団サイドが丸ごと一つ余計だったって気もするな。ミエットがまあまあ可愛かったのを励みになんとか観通せたって程度の映画でした。
 ■闇のバイブル 聖少女の詩■ やたら綺麗な映像でしたね。とくに母子(じゃなくてえーと記憶定かでないんだけど祖母と孫だっけか?)の揃う部屋がね。キレーすぎまして。そのぶん内容は期待外れだったけど、じめっとした地下とのコントラストはなかなか感じさせたかな。良くも悪くもバンパイアの本場丸出しの東欧ムードを気怠く極限までやっちゃってくれたって感じ。模範演技ですね。でもそれ以上の見どころはなし。まあ、チェコ映画ってことで期待しすぎた俺が悪かったかな。
 ■ざくろの色■ つーかこれねえ……。色彩で勝負してるのはわかるんだけど、これだったら別にスチル写真の羅列と変わんないっていうかねえ……。アングルの変化もなし大した動きもなし、正面撮影でただ延々スライドショーやられて「映像詩」でございってふんぞり返られてもねえ……。映画が真の芸術の域に高まろうって時に、このテの疑似アートは有害無益だと思うんですけどね。ま、そう非難してもしょうがないけど、かなりつまんなかったもんで。あ、ラストの、首斬られた鶏たちが林立ろうそくブッ倒してく俯瞰図はちょっとよかったかも。でもあれもおとなしすぎだったっけ。とりあえず重ね重ねつまんない作品。決して芸術的なんかじゃねーよと断定しときます。

サイコパス系3

2005-12-26 02:27:20 | モンスター映画
 ■ハサミ男■ ちょっとお伺いしますけど、これのどのへんが「映像化不可能」と言われたんでやしょ? 原作読んでないんですいませんが、不可能と言いふらすなら言いふらすで、真相がすべて明らかになった時点で「ああなるほど、よう映像表現しよったなあ……」って感心させてくれる要素が必要かと。それが皆無でしょ。二重人格または背後霊だなってことは、初っ端の一ショットですでに明々白々なうえ、やがてほぼ明言もされる展開になってるのだし、冒頭近くで通行人が女のほうにぶつかるシーンがあったんで「お、これはどっちが本体なのかわからなくする趣向でんな?」と予期させたわりには早々にそれも立ち消え。なんかつまんない平板な二重人格もののまま推移、観客を騙す意図すら感じられず大いに期待外れ。警察関係者に犯人が居るって安易なネタもいい加減やめてほしかったし、なんつうか、前半の期待が膨らみすぎただけに後半のダラダラ感が耐え難かったですよ全く。ほんと、どこが映像化不可能だったのかなあ、誰か教えてくれよ。あと致命的なのはなぜに父親人格がサイコパスにならにゃならんかったかってことと、「美人で清潔で頭がよさそう」な少女ばかり狙われるってぇならほんとにそんな外見した少女をフィーチャーしてほしかったってことと、脇役の演技がどいつも悲惨すぎってことと(被害少女の弟の大根加減なんぞ見てらんねっつの)、間抜けな若い刑事が容疑者の女に鼻下伸ばすの定型を律儀に反復せんでいいですからってことと、まあきりがないからあとは省略。唯一の見どころは、女の嘔吐場面が何度も結構ちゃんと映ってて嬉しかったってことだけかな。JADE、不二企画、アロマ、ハウスギルド、大塚フロッピー、大洋図書、ミリオンクエスト等々各種レーベルの嘔吐専門AVですら案外、喉に指突っ込んで無理やり吐かせてる比率が高いんで(マニアの方のために推薦しますとあれ系の中ではP.SLUMの『ゲロショット』が本物盗撮なのでアングルチト悪くても見応えありかと)、本作のような自然嘔吐正面撮影は、本格フェチ界の水準から見ても貴重映像なんです。
 ■姑獲鳥の夏■ ありぇ? なんだ妖怪出てこないの。ジャンル勘違いしてたわ。ま、それはそれとして。期待裏切られたからってんじゃなくて、これ、いくら何でも出来悪すぎませんか。憑きもの筋とか多重人格とか呪いとか何でもかんでも次々に言い立てれば厚み増すってもんじゃあないでしょ。巫女の家系だの安倍晴明まで持ち出してきますか。恋文と名前と双子の絡んだありがちな取り違え、想像妊娠、そんなにまで揃えないと不安なのかなあ。妖怪は名のみ登場ってことでそのかわり謎解き度がハイレベルかと期待したらこれがゼロときた。実はこうでしたああでしたの因縁話ばっか延々続けやがって。じゃあってんで「ムード」を楽しみましょうかと、芸術ポイントに期待したんだが、なにョあれ、京極堂とやらのしたり顔のお説教がウザイのなんの。もっと自然にやってよ。スポットライト当てたり舞台のノリの演出もほんっと煩かったね~。マ、因縁話でなんとか乗り切ろうって方針だけはよぅくわかったけど、赤ん坊を殺した殺した言うばっかで殺害現場の映像ひとつも見せてくれゃしねーし、いったい何を観てろと。どこもないじゃん。おじちゃんおばちゃんも叫んだり怒鳴ったりが空回りもいいとこ(いしだあゆみって老けたね~、吠えるの下手だし)、アクションねーんじゃしょーもねーし。ま、原作はまさかもっと内容あるんだろーけど、こんなんいくつ量産されても世の財産増えんわな。ふへ~2時間長かったなぁぁ~~っと。

トラウマ系17

2005-12-25 14:50:26 | モンスター映画
 ■鬼が来た!■ 日中戦争末期が舞台とくれば、どーせあっち系の臭気プンプンなんでしょみたいな先入観持ってたんだけどなかなかどうして。中国映画の日本軍とくればやっぱ徹底的に悪なんだが、コミカルな悪になってますね。小恥かしい悪。生還したら罵られぶん殴られるというのは、特攻隊なんかには実際あったようだし。台詞中、靖国神社がしっかりバックアップに効いとりますわ、よしよし。一から全部フィクションなんだろうけど、現実の中国戦線の滅茶苦茶さがほんとよくわかる(気になる)映画ですよ。大本営そのものが「目的が定かでない現状では……」と常に認めていた〈なにやってんだか戦争〉ですからなあ。それに比べてたった一人の日本兵を監禁したままいつまでも殺せずに会合に会合を重ねる村人たちがリアルです。通訳君の立場が微妙なのも、つうかあいつがいっしょに拉致されてきてるところが訳わかんなくてシュールなんだな。一体「私」ってどの筋なんだと。処分に呪術的な意味を持ち込んで展開を複雑にした可愛いめの奥さん、つうか未亡人は結局どうなったのか描かれずじまいなぶん、旦那、つうか主人公格のあの男の末路が悲しすぎるやな。あそこで無理な襲撃試みるくらいならさっさと殺しときゃよかったに、的感慨を催させてくれる。しかし祝宴の修羅場化と玉音放送が重なってたのは解せんな。ヤケクソの八つ当たりってことだったのか。突如殺戮に転ずるあたりは嫌な予感的中の逆カタルシスというか、怒濤のわびしさともいうべき頂点に首斬りと。そのもったいぶった人民裁判場面、中国軍指揮官の恰好付けがほんと笑えちまう。後ろに控える連合軍将校の間抜け面もキマってる。武装解除された日本軍部隊のアホな虚勢を憮然とすんなり認めちまうあたりの呼吸もね。実際あんなだったんだろうなあ、敵味方にかかわらず軍人どうしのカッコつけあいで民間人が刃にさらされるわけね。この映画の批判対象は日本よりむしろ国府軍だったのかも。でラスト、いきなりカラーかよ。理屈わかんないけどとりあえず凄え効果よ。最も死ぬべき花屋が生き延びて結局首斬り役でしたか。首筋を這う虫をピン、ピンと爪弾くところだけに躊躇いをミニマル集約して、表情も動作も淡々とやり遂げさせたのは喝采。下手なヒューマンドラマで締めくくりゃしないところが堂々芸術でした。
 ■オープン・ウォーター■ ふうぅーん……。予定されてた事件以外は何も起こらないんですね。トッピングも伏線もなしと。ま、いいんじゃないでしょうか、簡素で、それだけメインエベントが際立つことになって。実話とかいってどこがどう実話なのか、人数チェックはちゃんと客一人一人に名簿記入させろよ、的なツッコミはおいといて、海面や水平線上の空のシーンを色違いで各種試してくれたビジュアルセンスは満足ゆくものでしたし。取り残されてしばらくして案の定、女が泣き始めて、あ~あ、やっぱ女が泣いて男が慰めるのかよ、でそのあとは案の定男が一人でキレてんのかよ、で定石通り罪のなすりあいかよ、ってウンザリしかけたけど、踏みとどまってくれました。淡々とやってくれました。漂流そのものへ向きなおってくれました。よかった。男が脚かっさらわれるあたりは大騒ぎした反面、女はやけにあっさり地味にたっぷん沈んでっちゃったんで、なおさら好感持てましたや。実際あんなもんだろうしね、サメも観客に見せるために襲ってんじゃないんだし。てわけでこういう広々とした密室モノもたまにはいいですなあ。サメがメインじゃないだけに並みのサメモンスターモノなんぞより贅沢感ありで。あ、トッピングなしの簡素な傑作みたいにさっき評価したけど、まさかほら、ホテルでの最後の一夜、ヤラずに翌日死んじゃったのは悲しすぎですよう、だからラスト漂いつつアイラビュー連発してたんですよう、なあんて伏線じゃないでしょうな。まさかな。しかしアメリカ映画だからそーゆー俗っぺ~さもしげ路線もつい疑っちゃうよ。
 ■ビョークの「ネズの木」■ まあ、子ども相手に大人が本気になってるとこが怖いっちゃ怖いです。結局殺しちゃったもの。ああいう殺し方とはな。挑発殺? 指を切り取って出汁に使ったってのなにか意味あるんかな? 意味ありげってだけで十分なのかね。魔女とかなんとか、背景が結局リアルなのかバーチャルなのか不明ってあたりがまた……、全体おとなしい進行と荒野の風景ばっかなので怖さ倍増という考えもありかとは推察するものの、うーん……、肝心の妹がもうちょい活躍してくれればなんとかなかったんだけどいかんせん皆さん動き少なすぎて、お姉ちゃんの抑えた怖さだけが単調に目立ってむしろ浮いちゃって、結局どうも乗れない作品だったかな。荒涼感だけは鮮明に残ってるけど。