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三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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 ゾンビ・バンパイア・ミュータント系(人間型系)9

2006-04-09 00:39:10 | モンスター映画
 ■ファンタスティック・フォー■ まあ、お気楽な娯楽としちゃ最適だよな。橋の上の大活躍なんか素直に超高レベルって。普通にうれしいです、ああいうエキサイティングなビジュアル。どこかで見たような場面ばっかりにしてもね。あとまあ、それぞれのパワーにチョイ差がありすぎるのがどうも。火だるまで超高速飛行ってのは行き過ぎてるし、透明化女のパワー明細がいまいち要領得ないってか、岩人間も近くに道具がない場合は戦闘能力的にどうかな、って感じもして。『X-MEN』(人間型系1参照)のほうが話も大きくてすっきりしてたかも。でもまあ、面白かったです。こういう映画は絶えず供給されてなきゃいけません。そいだけ♪
 ■アイスクイーン■ コントですか、と言いたいくらいオーバーアクションなアイスクイーンは御愛敬として……なんせガオガオ吠えながら部屋入ったあとちゃんとドア閉めてるし……まぁそれはそれとして、前半の雪崩は凄かったんだけどねぇ。これがアルバロスかよ、と目を疑う超真面目なパニックアクションになってて。でもそこはそれ、雪崩れ後の雪煙というかクルマのガソリン煙というかの立ちかたとか、やっぱアルバトロスっぽさが次第に露見してきて、いやああの動きだものなあ。あれならもっとアカラサマにセクシーポーズとらせてもよかったかもとか。だいたい大ピンチだっつのにおにーさんおねーさんたち緊張感なさすぎよ。アイスクイーンがまだそのへんにいるってのにのんびり傷の手当てしようとしてたり。んでラストはどーしてあれで退治できるってわかったんですかね、水に漬けるだけでいいっての。ラストに博士が再登場ってのも意味わからんですよ。前半のシリアスムードと後半のコメディならざるズレまくりぶりとの対比が、はっきりした対比でもないだけになんというかまあ、例により変な映画でしたわ。
 ■ライジング・ザ・ブレット■ 死神つう自己申告だが、妖怪系にしちゃ形が人間すぎるんでとりあえずここに。しかしつまらんストーリーだったな。恋人相手に別れたいんだろ別れたいんだろとネチネチうるせー主人公からして「とっとと死ねよおまえは」的印象の超ダメ男にすぎないので。んで何、結局死神は私をからかっていたに違いない、だって?? そんな解釈でいいんかい。かあちゃんの死亡時期も中途半端で、どっちかはっきりしろいって感じで。まあ何つうのかな、鬱陶しい映画でしたわ。家族がとにかく強調されまくるとこったらスティーブン・キング特有いや通俗映画共通の俗っぽさ丸出しでほんと辟易だし、おまけに主人公の幻覚というか白昼夢癖が出ずっぱりなもんだから「また幻覚かよ……」と水増しに枝葉くっつきまくってウザいのなんの。野犬と対峙するシーンも結局幻だったのホントだったの。あげくは単なる青春回顧映画みたいに終わっちゃったのは結局何やりたかったんでしょうねと。ラストの死神再訪もただの挨拶ですかってぇ脱力感。ま、ブレットやらいうジェットコースター程度の刺激も見当たりませんでした。まさかあれじゃないだろうなと疑っていたほら、手垢つきまくりの『ドニー・ダーコ』型オチ(トラウマ系4参照)じゃなかったのだけが救いでしたかね。
 ■アッシャー家の末裔■ ただぼけーっと観てました。やっぱサイレント映画って、よほどいい映像で構成してくれてないとダメだな、って確認できただけ。ピアノのBGMが環境音楽っぽくて良かったな、だけ。しかもあの音楽はしょせん90年代に付け足したものだろうし。ま、はたはたとカーテンが風になびいてる光景だけは超異様なブキミさで印象に焼きついたかな。

妖怪系5

2006-03-30 21:27:07 | モンスター映画
 ■阿修羅城の瞳■ アカラサマCGバリバリ映像がせっかくいい味出してるってのに、音楽が盛り上げすぎて空回りムード作り出しちゃってる。だけど傑作。CGは露骨に徹して正解。アクションもレベル高くないわりには雰囲気たっぷり。ただチャンバラに終始してるのはいただけないというか、もっと超能力バトルを見せてほしかったっつのよ。当然でしょ。鬼たちが目立たなかったのも痛いな、人間が軽く扮装してる以外に見えなかった鬼たちにはトホホでしたよ。ちゃんとモンスターっぽいのが一体でも出てきてくれてたらなあ。鬼殺しのメンバーも約二人しか前景に出なかったんで、せめて鬼サイドで頑張ってくれないことには。ただのデカイ三面顔が阿修羅でございってのじゃ納得できんぞ。しかも動き回るときには巨大阿修羅もただの宮沢りえに戻るなんてさ。とかいろいろあるけど、でも傑作なんですってばよ、これ。最大要因は色彩が抜群ってこと。色彩がよければ9割方許しちゃう私は、正直言って、この映画ずっと画面から目離せませんでした。まばたきも惜しかったくらいで。見た目モンスター度の低さにイライラしラブストーリー仕立てへ流れそうになるたび落胆しかけながら、鬼火や桜花や月光の描写のなんと美しいこと。ベタな江戸情緒も嬉しい。色彩に関しちゃ満点でした。あと内容的に褒めるとすると鶴屋南北。オッサンいい味出してました。文芸の妄執はいかなるあやかしの恐怖にもまさる、ってモチーフですかね、ただし異界風バトル現場に南北師匠がいきなりまろび出てきたり、なんか勘違いしてる場面があって、「舞台じゃないんだから映画なんだから」的ズッコケも何度か痛感させていただきましたけどね。でもまあ、そうした欠点に全部目ツブって、色彩勝ちで、大筋傑作と認めたいッてのが本音です。文句ないよね。
 ■マリアの胃袋■ 分類しようがねえんで、ま、幽霊ってことらしいから、異形の幽霊イコール妖怪ってことでここに。えーとそこそこ面白い映画ではあったんです。ただなんというか、幽霊サイドと心中志願サイドと並行進行はいいのだけど絡みが弱すぎというか、無理というかどうもな。一年前にすっぽかされた課長を追い回すOLったらとてつもなくリアリティ薄。大竹まことはどうせマリア飼育者のポジションを継ぐんでしょって感じで見てたんだけど、それを上回るいい加減な最期だったな。マリアは従順にガン細胞食って爆発かよ。脱力してたのね、ほとほと2人ともいや3人ともあの時点では。はあ~。感情移入のフリもできない腑抜け系だわい。そいでマリアの胃袋がなんであの子に受け継がれたっぽいオチなのかね。放り出しちゃってるな、いかんよ、ナンセンス劇でもないのにこういう終わらせかたは。あと、全般、「日本人の女」にこだわってるところが妙に恥かしかったんだけど、サイパンが日本人観光客に占拠されてるっぽいとこ皮肉ってるつもりだとしても、もっと別の表現があるんでないかい。せっかく海外ロケなんだからもっと太平洋人っぽいいろんな民族出しや。とにもかくにもラストのニッポン、チャチャチャはなんのつもりでしたか? コメディにもなってなかった本編のシメとしちゃ全然意味不明なんですが。
 ■地獄堂霊界通信■ 水晶やら経典やら方位磁石やら数珠やら小道具そろえてだね、いい感じの森もロケ地に選んでだね、地獄堂の軒先の突風もあんだけいい感じ出しててだね、SFXもそこそこのレベルクリアしててだね、それよりなにより小学生にあんだけ体張った演技させてやね、ガラスに突っ込んだりカンフーさせたり跳んだり跳ねたり、とにかく子どもにあんだけやらせるからには全くもう、脚本きちんと作っとけっつの。とりあえず最低の脚本でしょ。クソシナリオの見本でしょ。生霊に犬神に死神に……?とりとめなく話が飛んで学芸会レベルをはるかに下回ってるでしょうが。こんな収拾つかないチンタラドラマ、ほんと熱演の子どもらが気の毒ったら。

オカルト系10

2006-03-24 06:53:25 | モンスター映画
 ■スケルトン・キー■ お屋敷モノとしてはなかなか緊張感あり、ただ黒魔術特有のアイテムがなんだかんだ煩いのと、ホラーで始まっときながら普通のヒロインアクション寄りになっちゃってるのがどうもな。ラストで一挙に「あ、循環モノだったか……」と判明するあたりはそりゃニクイわな、傑作風情だわな。縛り首の因縁話ンとこのあわわわわ……って痙攣場面も「そういうことだったか……」的感覚で頷かせてくれたし。この繋がり感って捨てがたいものがあるよな。そりゃ因縁場面はもっとおどろおどろしさが欲しいところで、全編ホラーとしちゃナマヌル系だけど、雰囲気は十分だったんじゃないでしょうか。ミステリータッチになってるんで俺てっきり、「えーとこれ、被害者装ってる爺さんのほうが実は封じ込められた悪魔かなんかで、勘違いして爺さんを救けたヒロインがせっかく悪魔封じを成し遂げていた婆さんの努力を無にしてしまうんだろうな、きっと」ってパターン予想してたんだけど、違った。で、結果としてわかんなかったとこいっぱいあるわけで、そもそも入れ替わった後の肉体を活かしておかなきゃならん理由って、何かあるんでしたか? むろんそれだからこそヘルパーとして住み込みができたわけだけどね、そんだけのためか? ラスト、救急車で二人して運ばれてったけど、なんか含みがあるんですかね。ま、ともあれ最初にして最大の被害者だった二人が高笑い、しかもひそかに高笑い、ッて凝った構造はなかなか後味いいんだか悪いんだか、変な映画でした。どっちかつうといい意味で。
 ■ノロイ■ 正直けっこう引き込まれまして。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の二番煎じとしては『チュパカブラ・プロジェクト』(オバカ系3参照)よりずっとずっと良いですね。あっちがオバカにもなり損ねていたのに対し、こっちはオバカにならずに済んだ結構真面目系で通せてましたっけ。くだらんドラマ仕立てのJホラー百編観るよりこういうほうがずっといいですわ。ドキュメンタリー仕様ってよりコラージュ仕立てが私ゃ気に入ったのかな。バラエティ番組に超能力テストに近所取材にと目まぐるしく変わるテンポが心地よいですわ。ただなにかね、全体もうちょい演技うまくできんもんかね、いやさ、アポ無し取材だったりするんだから、普通に言い間違えたり、トチったりしていいじゃん。滑らかに行き過ぎだわ。とくにメインの作家のレスがいちいちうるさいね。表情とか他の面じゃうまくやりおおせてる人なのに惜しいよ。あとラストがねえ。霊能者が乱入して子どもぶん殴るとこから奥さんが火ぃつけるとこあたりね。執拗にカメラが光景を捉えつづけてるけど、チョイ無理でしょう。ハイライトだってんで省略には忍びなかったのかもしんないけど、もっと乱れるよねえ。それまでんとこでは画像の乱れを結構うまくフィーチャーしてリアル感出してたんだから、いかに実録作家が映像確保に執心してたこと強調したいからって、現場の混乱がそれにまさるようでないと台無しよ。でもまあ、うまくできてたんじゃないかな。二度目の村訪問でイヌがいっせいに消えてるあたり怖かったしさ、ハトなんかほんとに殺してるっぽいし、胎児が群がる心霊映像は森から二人とも生還してきちゃうのもったいないくらいだったし。住宅街に普通に住んでるデンパどもキチガイどもがああいう具合に互いに辻褄合ってたらおっかないよね、ッての全般伝わってきてるし。ま~定番の土俗性っちゅうか、ある意味ありきたりな鬼祭りの雰囲気なんか付け足し程度にしか見えないトータルの出来映えでした。モノスゴーク良いわけじゃないけど、確実に小傑作の域。

レザーフェイス系3

2006-03-23 01:52:43 | モンスター映画
 ■グロヅカ■ 序盤、ガバッと後ろから友人の手ッパターンのショッカーんとこで「こういうのまだやってんのかよ、トホホホ……」観るのよっぽど打ち切ろうと思いつつダラダラつけっぱなしにしちゃいました。結論言うとさほどひどい出来じゃなかったけど、なんちゅうか、無理にお話にしなくていいのにご苦労さんと。観ると狂うビデオってか? なーんかモチーフ弱いッてか、実感伝わってきませんねえ。女の子7人もねえ、後半やっと見分けがつくようになってきたけど途中まで全員同じ顔に見えちゃってさ。日本人なのにこりゃ困ったわ、全員かわいきゃいいってもんじゃないでしょ。アイドル映画仕立てはいいけどバラエティに富んだ人選心がけてくんなきゃな。無駄な動き多すぎたし。撮りたてのビデオん中でブワッと後ろから能面が、ってとこだけはさすがにビクウッとのけぞっちゃいましたがね、恥かしながら。全体ああいう本物ショッカーだけで繋いでいけばよかったんじゃないかなと。何度かズームになってた寮の遠景はよさげなムードだったんだがねえ。
 ■ソウ2 SAW2■ 前作は「サイコパス系1」に入れたんでしたが、こんなにゲーム参加者同士が無意味に殺し合ってちゃ、ジグソウのお面に免じて今回はレザーフェイス系だな(いちおー無差別殺人っぽい暴力系をレザーフェイス系、計画殺人っぽい知能犯系をサイコパス系と分けてるつもりですが、もとより始めからトレードしまくってます)。いずれにせよど~もいかんねえ。ゲームやりたいならもっと簡潔にやってよ。外野はいらんよ。密室に徹しろよ。今回の密室はどうも出たり入ったりが多くていかん。一番外だけ閉まってりゃ十分でしょって態度は改めてもらいたい。微妙にきったねえシーン我慢して見続けた落とし前どーつけてくれんのさ。閉じこめられたやつら、いがみあうのは自由だがもちょっと冷静にやってくんないと観てるほう取り残されてドッ白けだし。考えもせずに命無駄にしすぎるし(焼却炉?の窓くらい先に割っときなせいよ)。だいたい注射器って小道具がどうもせせこましいよねえ。録画でしたぁって中落ちもいまいちインパクト無し。ウイルスだか毒ガスだかもまわりくどいわい。子どもの存在もあんま効いてなかったしなあ。オヤジと入れ替わるのよ、って当然のラストのためだけにあの騒ぎじゃァがっかりだしねえ。『セブン』(サイコパス系1参照)を彷彿とさせる回りくどい誘導がリアリティゼロっつの。無駄に血ぃばっか流して、モー何度もいうけど血ぃ迸らせるならしっかり脚本作りやがれや。ほれほれまぁた自分の首の肉こそぎ取るなんて無意味な芸当やらせといて(いずれにせよ他人のを確かめてからだろ)、そもそも後頭部の数字の意味なんだったの? もしかしてわかんねーままだったろ。だみですね。
 ■八仙飯店之人肉饅頭■ けっきょくなにかな、収監後のリンチのほうをやりたかったんですかね、こっちはむしろ前半の饅頭作りをもっと楽しめるかと思ってたんだけど。しかしほとんど無きに等しい理由で人をじゃんじゃん殺しちゃうんですねえ、あのオヤジったら。あれじゃちょっとなあ。殺されるやつへの感情移入みたいなのも少しは味わいたかった気ィするわけで。まあ単純なお話なんでね、付加価値があれだけ乏しいとどうも。鬼畜映画の正道ではあるんでしょうけどね。オヤジの無意味なキレまくりぶりだけが見どころでしたかね……。
 ■新・八仙飯店之人肉饅頭■ 今度はあからさま単なる虐待映画っすか。レザーフェイスでも何でもないけどシリーズだからここに。(つっても饅頭作ってないでしょうが!)んで私がこの映画観たかったのは、他のDVDの特典つーかCMに、チョイブスっぽい女が便所で尻拭こうとしてるところへ便器内からニューッと女の死顔がニヤニヤニヤーっ、ギャああーッてシーンがいきなりあって、その汚ったねえ臭気感がたまらなくて私ゃ即買い込んだのでしたけどね。その幻覚シーンもなかなかだけど、その前の(つまり便器内女が生きてるときの)ウンコ責めのとこ、同じチョイブス女が出したブツを(席を外して「じゃあ出してくるね」、残念ながら排泄シーンは無し)いじめられ女に食わせるってとこで、オメーのクソはくっせーなー(男)とかしょーがないでしょ(チョイブス)とかどーしょーもない掛け合いが続いて「こーゆーの日本人が好きなんだよな」って男が言う。はいそのとおりです。――……といいますか南京大虐殺の時なぞ、レイプだけじゃなく「変態行為の強制」がとてつもなく多かったと記録されておるそうでして。生殖と関係ない性行為は、白人や黒人に比べモンゴロイドが一番多いそうで。そんなつまらんことばっか思い出させるC級香港映画でしたワ。

トラウマ系18

2006-03-10 22:11:04 | モンスター映画
 ■南太平洋■ これがトラウマ系なのは、フランス人ヒーローのかつて人を殺したとかって過去ゆえね(しかしそのエピソード効いてたのかい?)。メインカップルのヒロインよりかサブカップルの現地娘のほうがずっと可愛いので映像的には損してるかな。歌だけうまくてもな。それに歌だけだったらあの太いおっかちゃんのほうが迫力だし。人種的偏見が前面に出てますよってことなのかどうか、歌詞にはそれが出てたけど、ストーリー的にはちょっと強調足りなかった気がするな。つうかおっかちゃんに言われたにせよお嬢ちゃん、中尉と初対面でいきなりガバーッて心底抱きついてくのってどういうもんかな。リアリティがね。人種偏見ってハクジンが一方的に持つものであってトンキン人のほうはハクジンと見りゃ即結婚したがるとでも言いたげだが、ちょいズレてんじゃないのかと。でフランスの旦那に話戻すと、今まで拒んでた軍の依頼を恋愛頓挫したとたんに受諾かい、これも単純すぎやしないか。って依頼もなにも、オープニング直後の高射砲弾のやけに命中率悪い炸裂具合といいゴムボート一個相手に機銃掃射に迫撃砲に日本兵の動作の微妙コミカルぶりといい(極小標的にあんな弾薬つぎ込むほど日本軍て物資豊富じゃねーっつの)、こういう映画なんだよねとすっかり緊張解いて見てたら、後半で中尉があえなく戦死でやんの。絶命シーンすら省いて死体埋葬に直通。ストーリー的な重さとは裏腹のそのへんのあっさり感は戦争の暗さをミュージカルっぽく表現しおおせててむしろ良かったかも。しかしまあ、太平洋戦争ってこうして再演されるとまことに変な戦争だったものよな、海を渡って島を一つ一つ奪いあってく、あんな戦争ほかにあったのかね歴史上。守備隊全滅でそのつど終わっていくため原則的に陸戦よりずっと死傷者少ない、そのわりにはいちいち上陸作戦で区切られてくから短期集中で死傷発生と、まあ戦闘規模のわりにメリハリのある戦争だったんだろなって感じがさりげなく伝わっちゃあきます。巷じゃいまだにもめてる従軍慰安婦に隠れて全然話題にならん従軍看護婦の実態についても知りたくなってきた。看護婦の同僚で一人くらい目立つのがいてくれてもよかったと思うけど(水浴びシーンで一人やけにたくましーおねーさんとかいたじゃん)。ともあれ「魅惑の宵」「バリ・ハイ」。メロディのうっとり度は言うまでもないとして、光学処理とあの島の特撮(まあ特撮っちゃあ特撮でしょ、書き割りにしても)の美しさったらないね。プロットと細部で首ひねったかわり、ムードでは大傑作と認めねばなりません。
 ■es[エス]■ にわか恋人が外からいろいろ介入したりして(あの女介入しすぎ。平然と銃撃つし)明らかにエンタテイメント作りになってるのが残念だな。ドイツ映画ってことでハリウッドとは違うモードを期待したんだが。主人公が取材目的ってのもピュアなサイコサスペンス風味を殺したな。あのテの実験がどれほどのもんか知らんがいくらなんでも誇張されすぎだし。だって囚人役ったってあんな派手な症状起こすかいな。むしろ看取役に妙な症状が起きたりしたほうが面白かったんだがな。でもま、メタ実験というか、どこまで実験なのかを疑うっていうのは健全な判断ではあるな。その意味じゃ教授を留守にさせた設定は生きたわな。しかし莫大な金がかかってるわけでもねーだろーに女医までふん縛ってあそこまでやりゃしねーって看取役どもも。そんなこんなでこっちも我に返っちゃったから、〈だいたいあんなしょーもない実験する医学者いねーっつの、特殊事情の攪乱が大きすぎてサンプルとして信頼できねーっつのよ〉等々醒めた目で観続けちゃったでしょうが。全体もうちょっと抑えといてくれればリアリティ保てたのにねぇ、銃とナイフと素手で大乱闘、地下道追跡パターンときちゃもうダメだな。せっかくのじわじわ系のお楽しみが完全オジャンだぜ、普通のバイオレンス映画になりさがっちまった。結論、無駄な設定と無理な前提が重なってせっかくのシチュエーション勝負のアイディアったらほぼ台無しでしたとさ。
 ■ティコ・ムーン■ やれやれ……。なんともはや退屈な映画ですわ……。いい加減にしてほしいよ。記憶に残ってるのは女の真っ赤な髪だけやね。なんや男どもの青い痣とやらもちっとも見栄えしてなかったし(絵の具塗ってるだけだろ?)。だいたい舞台が月面だっつんだけど月世界である意味あったのかよ。普通の街のそのへんっぽすぎるだろ。月ってことにすりゃSFで通るだろうとでも? ただのスパイアクションでしょうが(しかもアクションてほどのもん全然ね~でやがるし)。まあアメリカBC級映画の安っぽさだけは免れてますね程度の、フランス映画独特の思わせぶりな映像美漂ってるかな程度の、あとブウウーンと低音ノイズが響き続けているあたりも心地よいっちゃあよいんだけど、しかしつまらんものはつまらんよ。話の展開もようわからんかったし、かといってナンセンスに飛び跳ねてくれるじゃなし、臓器移植だか何だか早いとこ派手目のシーンに行けよって苛々してるうちに終わっちまった。あ~あ。アート気取りの空虚なビジュアルに付き合うのもほんと疲れ果てるぜ。
 ■ストーカー■ 1979年ロシア作品。どうにも困ったねこりゃ。タルコフスキーつったって『惑星ソラリス』とはえらい違いなのでは? 誰が何と言おうが俺はえれーつまらんかったぞ。序盤のセピア画面からゾーン到達とともに原色画面に切り替わったからって何だっての? でラストまたセピア、そして原色になったからって何? ヒゲ男3人がチンタラチンタラ尤もらしい人生論崩れのハナシ呟きながら廃墟ン中ぶらついてくだけで150分ってのきついっすよ正直。水滴と鳥の声で環境映像っぽい美を演出するならむさ苦しい男どもにちょっと黙らせといてよ。あるいはもうちょっと気の利いたこと喋ってや。あ~あもう。独りよがり映画の典型。よかったシーンねえ、うーんと、オープニングの家族が寝てるとこに列車の振動が伝わるとこと、雷鳴・夕立の直前に光学処理で画面全体の色がスーッとオレンジになって退いてくあたり。そんだけ。ほんと、そんだけ。んでラストの念力は何だッてんだよと。思わせぶるんじゃないってば、あ~あ、つまんね映画だったなと。
 ■サトラレ■ あ~の~これ、あまりのヒドさに途中で止めたままなんですが。どのへんかっつうと、お祭りのシーンで、サトラレがヤラセのカップルを遠くからボーッと見て「何か言わなくちゃ……」とか考えてるアホこの上ない場面らへん。こりゃあヒドイ。そもそもサトラレ保護対策は国家レベルで練られてるって設定なのに今さらながら間一髪で暴露を避けてばかりってぇのはいくらなんでも。いいやもう。コメントの価値無いからやめとこ。しかし俺、テレビドラマの『サトラレ』も全巻買っちゃってあるんだよな。テレビで観もせずに。映画版がこんなくっだらねーんじゃ、テレビ版も観る気失せたなこりゃ。